新たな旅立ち ②
冬を越え、春が来た。
その年の冬は予想通りの大寒波であった。
ゾドと呼ばれる大寒波は、大雪をもたらし草原を真っ白に塗り替え、多数の生き物を餓死に追いやる。
ただ幸か不幸か、戦いで人口を減らしたゲラダはその分貯えは少なく済んだし、家畜を減らすのも好都合ではあった。
雪上の移動は困難であること、寒波の影響はテウトも同様であることから、その冬は不気味なほどに静かで冷たい冬となった。
雪が溶け獣たちが冬眠から覚め草原を徘徊し始めた頃、周辺の見回り部隊からの報せが入ってきた。
敵に動きあり。
雪が溶け動けるようになってすぐの行軍。
冬の間に食糧を食べ尽くしてしまったのかもしれない。
なくなったのなら、奪うのみということか。
従前の約束通り、リューシャはルビカとともに前線に出る準備を始めた。
サミのお腹はもう随分と大きくなっている。
夏には子どもと対面出来るだろうか。
リューシャとルビカは馬に跨り、報告のあった方角を目指す。
そしてその後ろ1人、2人に帯同するゲラダの青年がいた。
彼は名をセイゲルといい、年の頃はリューシャより少し下というところだ。
2人の助手としてチナーが寄越したものだが、テイの良い見張り役ではある。
陽気であっけらかんとしている性格のため、リューシャはさほど気にもならなかった。
春の陽気に気が緩むのを引き締め引き締め、3人は先を目指す。
いつ敵と遭遇してもおかしくないのだ。
まず目立たないためにも、リューシャはカニを呼ばなかった。
馬での移動は時間こそかかるが、見つかりづらい。
「しかしあんたも大変だね、同族相手に殺し合いとは。」
セイゲルの直接的な物言いに、流石にムッとするものの、皮肉というよりは本気で憐れんでいるようだ。
「そう、でも必要なことだから。」
ルビカはそっけなく返す。
「俺も不運だと思わない?なんで兄貴じゃなくて俺なんだろね、ほんと。」
セイゲルにはルイゲルという双子の兄がいるという。
「はぁー死にたくないよー、嫁欲しいよー」
こんな感じの緊張感のない会話が、道中もっぱら続いていた。
「ねぇあんさん、モテる秘訣って何かな?」
いつの間にかリューシャのことはあんさん呼びに。
「少し黙るとか?」
「えー、そんなつまんないやつモテるかな?それともアイシャさんはそういう男がタイプ?」
どうやら皮肉が通じないタイプである。
「なんでアイシャのこと聞くのさ?」
「そりゃ美人で気立のいい姉さん女房なんて、男の憧れでしょうよ。」
そういえばアイシャには早くいい相手が来て欲しいと思っていた。
でも絶対こいつは嫌。
リューシャは心の中で強く願った。
更新ペース劇遅くんです。
頑張りますε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘




