新たな旅立ち ①
ルビカとの婚姻の儀、それは異様な雰囲気に包まれていた。
彼女は異民族である。それも現在敵対しているテウトの娘だ。
参加している大人たちの雰囲気は、祝い事とは言えないものであった。
他方、子供たちの様子はまるで逆だ。
異様とはいえ婚姻の儀、振る舞われる料理や装飾は非日常を演出している。
それに、異民族の珍しい外見、子供たちが興味を抱きはしゃぐ理由には十分だ。
「ねーねー、お嫁さんどうして髪の毛のお色が銀色なのー。」
「それはね、とても遠くから来たからだよ。」
「きれー、私も遠くに行ったらあの色になるの?」
そんな会話が至る所で聞かれた。
ルビカはテウト族から放り出され、一人になった。
当然、儀式にルビカ側の参加者はいない。
とはいえ、花嫁に付き添い人がいないのも格好がつかない。
そこでどうするか、長い話し合いが行われた。
結論としては異例も異例、サミが担当することになった。
サミからの強い希望があったのだ。
花嫁の付き添い人を婿の嫁がやるなんて、それも身重の身体で。
長老連中はだめだためだの大合唱だったが、サミに押し通された形だ。
ゲラダ族の男の成人の儀とともに行われる婚姻は、儀式色の強いものであったが、二人目以降はどちらかというと家と家の交流、パーティ的な面が強い。
リューシャはアイシャとも相談して、それなりの費用をこの宴に投入した。
ルビカに対する招かざる客、というイメージを払拭するためである。
実際、最初はピリついていた空気も酒が入り宴が進むにつれて和やかになっていった。
戦闘が続き張り詰めていた皆の心は、こういった場を求めていたのかもしれない。
ゲラダの婚礼装束に身を包み、サミを伴って姿を現したルビカ。
その姿にリューシャは胸が熱くなった。
会の間も席を回りお酌したり、色々と気を回してくれている。
ルビカは元来とても気付かいの細やかな人である。
それに、女社会で戦闘から家事から政治までなんでもやるゲラダの女性と違い、テウトの女性は男を立てるとしてゲラダの男性から密かに憧れを持って見られていたのも事実である。
血族同士の争いさえなければ、さぞ歓迎されていたことだろう。
ルビカが嫌っていたそんなテウトの文化も、ここでは役には立ったということだ。
とはいえ、自立したルビカの志向はむしろゲラダの女性達と近いんじゃないだろうか。意外と上手くやっていけるのでは?などとリューシャは考えたりしているのであった。
身重のサミを早々に休ませた。
宴もわいわいとしてきたところで、ルビカがリューシャの元に帰ってきて腰を下ろす。
「お疲れ様、気を使わせてごめんね。」
リューシャが労うと、ルビカはやれやれという感じで首を振る。
「むしろこんなもんで済んでビックリよ。テウトなら女はもっとこき使われるしね。はじめは敵意だされたりしたのはしんどかったけどさ。」
ルビカはからりと笑うが、嫌な役回りを押しつけてしまったと申し訳なく思う。
「でも、今はみんなルビカのことを気に入ってくれてるんじゃないか?」
「まぁ、表面上は、って感じかな。」
と、言って鼻頭に皺を寄せる。
「それでもだいぶ進歩だよ。」
「まぁ、嫁ですから。」
嫁…か。
リューシャにとって二人目の嫁。
一緒に旅をしてきたこともあり、意外にもすでに安心感がある。
まさか異民族の娘と、こんな展開で家族になるとは。
妹のマルカリスにも紹介しなきゃな。
そんなことを思いながら、今宵の結婚式は非常に意外にも、平和につつがなく終わったのだ。
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