草原、人、獣 ③
長老が僕を??と疑問に思ったが、よく考えてみたらそれもそうだ。
間違いなくゲラダを取り巻く状況は変化している。
さらに、ファミリーを飛び出して、随分と変わって帰ってきたのだ。
色々と話を聞きたいに違いない。
「分かった。」
伝令役に返事をする。
「は!では失礼します。」
伝令役が機敏に動き、室内に入る。
一人かと思ったが、どどどっと数人入って来たことにリューシャは驚いた。
そして、伝令役が懐から取り出した縄でルビカを拘束し始める。
「え、ちょっ、何するのよ!」
ルビカは身を捩って縄を解こうとするが、既に数人がかかりで巻きつけられ、身動きを取れなくなっている。
「おい!その子は、ルビカは俺の仲間だぞ!!」
「命令ですので。ご同行願います。危害は加えませんので。」
リューシャの呼びかけに、伝令役はそっけなく返す。
「そんなに他民族が怖いか。なら、俺も拘束してくれ。ルビカと俺は仲間だ。なら危険も同様のはず。」
「し、しかし…。分かりました。」
リューシャとルビカは、縄で縛られ連行されるような形で長老のゲルに連れて行かれた。
これじゃまるでルビカが罪人かのようだ。
リューシャは悔しさを収め、長老の前に歩み出、膝を突き簡単な挨拶を述べる。
「久しぶり、じゃな。リューシャ殿。」
帰ってきた声に、思わずリューシャは顔を上げる。
サミとの結婚式後に会った、サミの祖父チナー氏である。
「驚きました。チナー様でしたか。」
「色々あってな、身に余る大役を任されることになってしまった。」
そうはいうものの、こちらを見つめる眼力は鋭い。
元々野心家である。今の地位も望んでいたものだろう。
「わしの伝え間違いでなければ、だが、縄をかけるのはそこの異民族だけだったと思うが?」
「そのことでしたら、私自身が頼んでやってもらっていることです。」
「だろうな。今の君にそんな縄は役に立たない。今すぐにでも自力で解けるのに、そうしない理由とは?」
「さすが、お気付きでしたか。」
リューシャがそう言うや、リューシャを後ろ手に縛っていた縄ははらりと地面に落ちる。
なに、と縄を縛った伝令が驚きの声を上げる。
ただの縄である。今のリューシャなら、力づくでも、魔法でもすぐに解けるのだ。
「それは、そやつを縛ることへの抗議か。それほどまでにそやつを信頼していると?」
チナーはため息を吐く。
「ええ、仲間なんです。まずは縄を解いて欲しい。そうしないと、私はこれ以上あなたと話すつもりはない。」
「残念ながら…それはできぬ相談じゃ。なぜなら…」
チナーはもったいぶって間を置く。
「なぜなら、そやつの血族たちがまさに今、この草原の秩序を、破壊しようとしている。お主がどういう経緯で知り合ったのかは知らんが、とにかく危険な状態であると言わざるを得ない。」
お待たせして申し訳ございません!
連載再開いたします!!!




