ハプリビレス湿地 ③
ドッカーン!
三人の目の前に光が降ってきた。
「な、なんだあれ?」
リューシャは何かが落ちてきたあたりに目を凝らす。
念の為、臨戦態勢に入り警戒しておく。
そこにいたのは、マルカリスと同じくらいの年頃の女の子だった。
女の子は勢いよく沼地に着地したはずなのに、一切汚れていない。
「ふん!久方ぶりのお客さんだと思って来てみれば、ションベン臭えガキどもじゃないか!」
女の子は、こちらを見て吐き捨てるように言う。
「いや、あんたもガキでしょうが!」
ルビカは怒って言い返す。
「あん?」
女の子は顔をしかめ、ルビカをにらみつける。
次の瞬間、女の子は消え、いつの間にかルビカの目の前に移動していた。
「人を見た目で判断すんなよ、こら。」
女の子がルビカの耳元で脅しをかける。
ルビカは、それお前が言うか?と思ったが、口には出さない。
登場の仕方といい、先程の瞬間移動といい、只者ではないことは明らかだった。
「あなた、誰?」
近くに来たことで、女の子の姿がはっきり目に映る。
大きな瞳に、つやつやとした茶色の短い髪の毛。そしてこの強い匂いはなんだろう。
甘く、嗅いでいると不思議な高揚感に包まれる。
「ムスク、ジャコウジカの血種にあるものだ。」
話をする気はあるようだ。すぐに襲いかかってくるようなタイプでなくてよかった。
「なあ、ムスク。俺たち北の湖畔に行きたいんだ。そこに魔法鍛冶師がいるって噂で聞いて。」
ムスクは手をアゴにあて、考えるような仕草を見せる。
「魔法…鍛治師?知らないなぁ。」
リューシャはがっくりと肩を落とした。
なかなか上手くはいかないな。
「ところで君が持ってるその魔石、渡してくれないかな?君みたいなひ弱が持ってていいもんじゃないんだよ。」
な、なに!?リューシャが隠し持っている魔石に気づいたということか?一体なぜ。疑問が湧き出る。
「な、なんで知ってるんだ。というか、この魔石のことを知ってるなら魔法鍛治師のことも知ってておかしくないだろ。僕たちはこの石を加工したくてそれを探してるんだ。」
「うーん…?」
むすくはまた考え込む仕草をする。
そして、あー、と言いながら指をパチンとならした。
「あー、そういうこと。どうりで噛み合わないわけね。」
ムスクはニタっと笑ってこちらを見つめる。
「よく分からないんだけど、どういうことかな?君は一体何者?こんなところで何をしているんだい?」
「説明が意味をなすとは思えないが。君たちとは別次元の存在だよ。君たちは魔法鍛治師を探していると言ったね?」
「ああ、そうだ。」
リューシャがこたえる。
「君たちは大きな勘違いをしているみたいだ。」
ムスクは人差し指を突き出し、リューシャに向ける。
「叩いて鍛えるのは、石じゃなくて君の方さ。ま、君にその器があるか、やってみないと分からないけどね。」
今回も読んで下さりありがとうございます!
繁忙期はもうすぐ終わるはず…なので終わったらもう少し更新できると思います。
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次話もお楽しみに!




