魔女と金 ④
「まずあんたら気付いとるんやろか、魔力を吸われ続けているってこと。」
「魔力を吸われてる?」
「アナチュ・アナの住人みんな、本当は魔力を持っとるんよ。でもね、この樹はここで暮らす生き物の魔力を吸い続けとる。やからみーんな魔力空っぽってわけ。魔力は常に生成されとるけど、それもすぐに消えていく。あんたらも気付かんくらいじわじわ魔力が減っていってるのよ。」
「魔力が…」
リューシャは信じられないというふうに、自分の両手をら見つめる。
「住人はこの樹に寄生しとるし、この樹も住人に寄生しとるんよね。魔力って活力やから、あんたが強いのは、騎馬生活で足腰鍛えてるからってだけとちゃうんやで、まだ魔力が残っとるから、その分身体能力も高いんや。」
「だったらなんでお前は魔法を使えるんだ?」
「異端化。儀式によってこの樹との繋がりを切ったから、やね。そのせいでこの樹からの恵みは全て、私にとって毒になるんよ。」
「魔法を使うためには代償が必要なのか。」
「やから、金が必要なんよね。毒にならない外界の食糧を調達しないと生きてもいけない。かと言って街の外に出て魔法を研究する環境を作るのは難しいんや。」
「それは分かったけど、悪徳商売していい理由にならないし、魔法の研究だって自分が勝手にやってるだけじゃないか。」
「それもそうやね。」
「え、いや言い返さないの?」
「ここまで話して理解できんのやったら、もう意味ないやろ。確かに憎まれたりすることもある。それでもこうやってここにいられるのは、ルールを破ってないからやし、街の人もうちの力を頼ってんねん。そこの坊や達みたいにね。いくら法外な金を要求されたと言っても、それを飲んだのならそれは合意の結果やん?」
「…黙って聞いてれば。あなたには魔法使いとしてのプライドみたいなものはないわけ?魔法を金儲けの道具みたいに言って、自分だけ特別だって地位を利用して搾取してるだけじゃない。」
マルカリスが横から割って入る。怒りでカンカンのようだ。
「それの何が悪いん?けっこう大変なんよ、これでも。」
「そんなの、楽してるだけでしょう?私が魔法を習得して、そんな間違ったやり方やめさせる。私が適正な料金で魔法のサービスをしてあげれば、みんな私の魔法に頼ってくれるはずでしょ?」
「それはそうかもわからんけど、どうやって魔法を覚えるんよ。まさかうちが教えてあげるとでも?なんで競合を増やすようなことを自分でやるのか、意味わからんな。」
「じゃあこれはどうだ?」リューシャが手を挙げる。
「優勝賞金の残りの部分」
「はん、それだけじゃ。」
「に加えてこの魔法石を僕たちが街を出るまでの間研究する権利、でどうだ?」
「くぅ〜…ええよ。ただし、直接は教えないから。この部屋にある資料の全て、それが対価。」
「オーケー、契約は守るよな。」
「当然。なんなら魔法で縛ってあげてもええけど。」
「そうしてもらおうか。石は渡したときと同じ状態で返すこと、妹に危害を加えないこと。これも追加してほしい。」
「はーい。じゃあ手のひら出して。よっ、コントラクション!」
グレイハウンド、マルカリス、リューシャの三人の手の間を光の線が走り抜けた。
「えっ!…てことはマルカリスちゃんはこの街に残るの!?」
サミが急に声を上げる。
「そういうことだね…」しんみりとした表情のマルカリス。
「もともと、魔法を研究するところを探して旅していたとはいえ、別れが決まると寂しいな。」
リューシャも妹と離れ離れになるのは寂しい。
「でも、マルカリスのやりたいことなんだ、ちゃんと応援してやらなきゃな。」
「お兄ちゃん…のこったお金、使っちゃってよかったの?」
「妹のためだからな、兄貴としてこれくらいはさせてくれよ。」
「ありがとう!おにいちゃん!」
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いやー、なかなか仕事が落ち着かず、本当にごめんなさい!
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