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魔女と金 ③

リューシャ達一向は、魔女に貰ったヘビが示す方角に向かって進んでいく。

場所は3階層の外れ。

小さな小屋のようなぼろ家屋が立ち並ぶ、お世辞にもいい場所とは言えないエリアだった。


「うわぁ、なんか怖いところだね。」

サミがリューシャにしがみつく。

「だね。そういえばブーイとヌンガロは一度来たことがあるんだよね?」

「いえ、俺たちも直接魔女の家に行くのは初めてっす!」

「金を借りる時は伝書虫を使ってやりとりするんで。」

「じゃあ二人もはじめての場所か。」


リューシャの手の上に乗せた魔法の蛇は、曲がり角に行き着くたびに、首を右に左に振り、道を示す。

やがて、蛇の頭は一軒の家の扉の前で動きを止めた。


「ここのようだ。」

家はこの辺りでも特に古ぼけた造りで、今にも崩れてしまいそうである。

実際、柱は傾き壁にはツタと苔が無秩序に生えていた。


コンコン

リューシャがドアをノックする。

扉がキィーとか細い音を立てて、勝手に開いていく。

ノックした勢いで開いてしまったのかとも思ったが、どうやら魔法の力のようだった。


リューシャは開ききったドアの内側に足を踏み入れた。

中は思ったより広かった。いや、広すぎる。

魔法で拡張しているのかも知れない。そんな魔法について、リューシャは聞いたこともないが。


床には何やら書き記した紙の束がうず高くつみ上げられ、いくつもの紙の山を作っていた。

山の一部は崩れており、バラバラと散乱している。

壁は全面棚になっており、謎の物体、謎の肉、謎の草が所狭しと並んでいる。

奥の暖炉では大鍋がグツグツと煮込まれており、そのそばにグレイハンドの姿が見えた。

魔女は椅子に体を預け、足をテーブルにだらしなく投げ出して座っている。

そんな体勢のせいで、着ている黒の長いローブの裾がはだけ、脚が艶かしく露出していた。


「おいでやす〜。適当にくつろいでええよ。」

「長居するつもりはないよ、グレイハンド。」

リューシャは部屋の奥まで歩き、魔女の座る椅子の前にたつ。

「ええ〜、せっかく招待したんやし、ゆっくりしておいきよ。」

グレイハンドは目を細め、リューシャを見上げる。


「まずはこれだ、ブーイとヌンガロのお母さんの治療費。これで助けてあげられるんだよな。」

リューシャは金の入った袋を投げ渡す。

魔女はそれを受け取り、嬉しそうに数え始めた。

「まいどあり!お代分はきっちり役立たせてもらうで。」

にぱっと笑い、嬉しそうに何度も頷くグレイハンド。

「お金、そんなに好きなのかい?」

リューシャは素朴な疑問を口にする。


「あったり前〜やん?そしてそれこそが、あんたらが聞きたい事のの本質部分やと思うんよ。」

「どういう意味かよく分からないけど?」

「さてさて、お茶はもつたいなから出さんけど、椅子くらい出すのは礼儀やろか?」

グレイハンドが手を叩くと、床を覆っていた紙の束が脇に避けていき、空いたスペースにどこからともなく椅子が現れる。

「聞かせてあげよか、この街の魔女の宿命について。そして教えてもらわんとね、その石をどうすんのか。」

グレイハンドはリューシャの荷物を指差す。そこには、確かに魔法石を入れていた。

だが、この魔女の前でその話をしたこともないはずだ。


「な、何のことかな?」

「しらばっくれんでもええって、別に奪ったりするつもりはないんやし。…今のところは。」

「話次第ではってことか。分かった。じゃあまずそっちの話を聞かせてよ。この街において、魔女って一体何?」

魔女はニコリと笑い、話し始める。

今回も読んで下さりありがとうございます!


皆さんの応援が執筆の励みになりますので、少しでもいいな、続きが気になると思った方は是非ブックマーク、高評価お願いいたしますm(__)m

次話もお楽しみに!

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