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街のはみ出し者たち ②

グレイハンドが去ると、5人の間に重い沈黙が流れた。

最初に沈黙を破ったのはブーイだった。

「みなさん、お腹空いてませんか?チキばあの話は長いから、先に腹ごしらえでもしませんか。」

つとめて明るい声色で話しているのが分かった。

「あ、私朝食べてないからちょうどおなかペコペコだ~」

サミがブーイに同意する。

「そうだね、一度仕切りなおそう!」

リューシャも同意する。


一行はチキばあがいるという5階層まで降りていく。

そして、5階層にあるブーイとヌンガロおすすめの料理屋で食事をとることにした。

リューシャのいたゲラダ族は遊牧民族であるので、料理屋のようなものは存在しない。

リューシャ、サミ、マルカリスの三人は、料理屋で食事をするということだけでもすでに わくわくしていた。

自分たちで食べる料理など、大した味付けもない煮込み料理や肉を焼いただけといったものばかりだった。

「リューシャ君、私緊張してきちゃった…」

サミが硬い表情で見つめてくる。

「大丈夫、ただご飯を食べるだけなんだから。」

サミを安心させようと、何でもない風を装うが、リューシャもガチガチであった。

「何が来ても私が魔法で燃やし尽くしてやる!」

マルカリスがもはやわけのわからないことを言い始めた。

「おいおい、炭になっちゃ癖ないだろうが、それに敵じゃないんだし。」

「でも確かに不測の事態に備えるのは大事かも…!」

サミが言う。

「不測の事態ってなんだよ…」

「例えば…食べたものがおなかの中で暴れだしたり!なにか魔法がかかっていたりとか…」

サミはさすがに心配しすぎだろう。


「みなさん落ち着いてください。どこにでもある普通の飯ですから。」

ブーイとヌンガロは三人をなだめながら、席に着く。

「皆さん、何かリクエストはありますか?」

ブーイが聞く。

「いや、注文は任せるよ。」

リューシャが答える。


「じゃあ適当に頼んどきますね。」

ヌンガロがこたえ、店の人に何やら注文する。

いくばくか待つと、料理が運ばれてきた。

どれも香ばしい匂いを立ち上らせ、見た目も実においしそうだった。

くつくつと泡立てる赤色のスープに、野菜の盛り合わせ、木の実をすりつぶしたものにキノコを和えたようなもの。

それから、こんがりと焼き目を付けた鳥の丸焼き、これは皆で分けながら食べるのだろう。

見ているだけで口の中に唾があふれてくる。


「ではでは、どうぞ召し上がれ!」

ブーイがいうと、みんな一目散に料理を口に書き込み始める。

スープは程よい酸味に、後から口の中に広がる甘みが絶妙で、口に入れた瞬間鼻の奥まで広がる芳醇な香りも最高だった。

なんといっても鳥の丸焼きは、ほろほろと柔らかく、噛めば噛むほど肉汁があふれ、うまみにしたが踊る。

遊牧民族であるリューシャにとっては、筋肉質で歯ごたえのある肉に慣れ親しんでいたので、こんなお肉もあるのだと驚いたところも大きい。


「ああ!うまい!うまいよこれ!」

リューシャは皆にその興奮を伝えたい。

「たまらん…!この肉汁、犯罪的だ!ほっぺの内側に永遠に収納しておくことはできないだろうか…いや、私はそんな魔法を必ずや見つけるぞ!」

マルカリスがいつも通りわけのわからないことを言っている。

「おいしい、ありがとう。」

サミはぽつりとつぶやき、感動の涙がほろりと頬をつたい落ちる。


「いや、皆さんどんだけ感動してるんですか。ここ、街じゃ普通においしいって程度の店ですよ?上の階層に行けば金持ち向けの高級店もいくらでもあるのに。」

ブーイは三人の感動しように驚いたようだ。

「そうですよ。普段何食べてるんですか?」


「旅の間は倒した魔獣の肉食べてた。蛇の魔獣とか。」

リューシャが答える。

「そうそう、あとは地下に住むモグラ族の料理、キノコ系が中心だったね、悪くはなかったんだけど、これに比べちゃうとね。」

サミが続いて答える。


「ええ…」

ブーイとヌンガロは信じられないという目で三人を見つめた。

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