再会 ③
ドンドンドン
扉をたたく音がする。
「兄貴!お迎えに上がりました!」
外から威勢のいい叫び声が聞こえる。ブーイとヌンガロがやってきたようだ。
「どなた?」
ミリアが不思議そうな顔でリューシャを見つめる。
「なんていうか…昨日仲良くなった友達?というかんじですね。」
リューシャはなんと答えるべきかわからず、歯切れの悪い返事になってしまった。
リューシャは席を立ち、扉を開け二人を招き入れえる。
「おはようございます!兄貴!」
ブーイがはきはきとあいさつする。二人のまっ直ぐな笑顔がまぶしい。
「おはよう。朝早いんだね。」
「はい!はやく兄貴に会いたくて!」
ヌンガロがのストレートな気持ちが、リューシャにはなかなか受け止めづらい。
「うわっ!ほんとに迎えに来てる!」
マルカリスが露骨に嫌そうに言いながら、部屋に入ってきた。
続いてサミも部屋に入ってくる。
「サミねえさん、マルカリスねえさん!おはようございます!」
ブーイがサミとマルカリスまで変な呼び方をするので、リューシャはププッと吹き出してしまう。
「ちょっと変な呼び方やめてよ!もっとかわいい呼び方はないわけ?」
「かわいい…かあ?」
ブーイとヌンガロは顔をしかめ、一生懸命考えている。
「すみません…一つも思い浮かばず…」
ブーイが言う。
「マルカリスねえさんですから…マ、マルちゃま…?」
恐る恐るといった様子で、ヌンガロが提案する。
「はあ…もう、みんなが呼ぶみたいにマルカでいいわよ!」
特大のため息をつき、あきらめたように手を振る。
「まあ、呼び方なんてなんでもいいじゃないか。ところで今日はどこに行くとか決めてるのかい?」
ブーイはうなずく。
「へい、今日はまずサイファの出場申し込みに行こうかと、後は街を案内するします!」
「そうなんだ、じつはチキばあと話をしてみたいんだけど、できるかな?」
「それはもちろん案内できます…でもだいぶ話長いんだよなあ。」
「それ、みんな同じこと言うね。」
リューシャは苦笑いを浮かべる。果たしてどれほど話が長いのか、少し不安になってきた。
「それじゃあ支度してくるから、ちょっと待っててもらえるかな?」
「了解です!」
ブーイとヌンガロは返事をし、そそくさと部屋を後にする。
リューシャら三人が支度を済ませ外に出ると、二人は律義に家の前で待っていた。
「待たせて悪かった。」
「いえ、俺たちが早く来過ぎたところもあるんで!」
ブーイが首を振る。本当にそのとおりだ、とリューシャは言いたくもなった。
「まずは11階層のコロシアムへ行きます!そこで出場の受付もやってるんで!」
「11階層だって!?そこまで階段で上るのか?」
リューシャが驚きの声を上げる。
「まさかですよ、ペリカンさんを使うんでひとっとびです!」
ヌンガロが答える。
二人について歩いていくと、第一階層の端の部分、最も幹から離れているエリアについた。
柵が取り付けられ落下しないようになっているが、下を見ると地面が遠く、足がすくんでしまう。
遊牧民族は高いところに慣れていないのだ。
ただ、遠くまで広がる草原を一望でき、眺めはとても良かった。
上から見たらどんなふうに見えるのだろうか。
柵に沿って歩いていると、ペリカンが集まっている広場に出た。
それぞれのペリカンは、人が余裕で入れるほどの大きさのかごをひもでつないで首からかけている。
「3人乗りなんで二手に分かれましょうか。」
「じゃあマルカとサミはブーイの方について行ってくれ。体格的にその方がいいだろ。」
リューシャはペリカンの負担にならないように、軽い二人をまとめることにした。
「ペリカンさんは力もちなんであんまり気にしなくても大丈夫ですが、ひとまずその組み合わせで行きましょうか。」
言って、ブーイとヌンガロは腰に下げた袋から豆のようなものを取り出す。
「えーっと、11階層までだから、1.2.3…10個と。」
二人は豆のようなものの個数を数えている。
「それは?」
「運賃ですよ。ただじゃ運んでくれませんからね、それに目的地を教える方法にもなっているんです。11階層までは10階層分上るので、10粒あげる。するとペリカンさんは10階層分運んでくれるんです。」
ブーイが説明してくれる。
「なるほどなあ。」
「それじゃ、このかごに乗ってください!」
一行はかごに乗り、ペリカンの口の中に豆を投げ入れる。
するとペリカンはクワアアと一声なき、大きく羽を広げ、上昇し始める。
羽を広げると、大人二人分はありそうだ。
とはいえ、これだけの人数を運ぶのはさすがに難しいだろうから、おそらくペリカン自身飛行魔法のようなものを補助的に使っているのだろう。
リューシャらが乗るかごはふわふわと浮かび、大きく揺れることもなく実に快適な空の旅であった。
11階層まで上昇し、ペリカンは静かに着地する。




