樹上都市アナチュ・アナ ⑤
「よし、サイファの話はまたゆっくり聞くとして、まずはサミのご両親を探さないとな。」
「はっ、そうだね。ねぇ、ブーイさん、ヌンガロさん、タツミリ商店って知らないかしら?」
サミが尋ねると、ブーイとヌンガロは顔を見合わせてうなずく。
そして、いつも通りブーイが先に口を開いた。
「そういうことか。もちろん知ってるぜ。珍しいもの色々売ってるからこの辺じゃ有名さ。」
「そうだそうだ。すぐ案内してやるよ!まさか兄貴たちの家族だったとはなぁ。」
言って、二人は路地裏を進み始める。
リューシャら3人もそれに続いていく。
途中、ブーイとヌンガロがこの街のことを説明してくれた。
その内容を要約するとこうだ。
まず、このアナチュ・アナと呼ばれる都市は17階層に分かれており、一つの階層は半円に近い扇型のエリア二つで構成されている。
リューシャたちが今いる第一階層は北エリアと南エリア、第二階層は西エリアと東エリアという入れ子構造である。
低層階は交易がしやすく、旅人も訪れるため、商業や宿泊施設が多い。
中層階は政治的な施設や広場、サイファの闘技場といった、人がよく集まるような場所が集まっている。
高層階は貴族や金持ちの住居が立ち並び、その上には神殿などの宗教施設エリアとなっているらしい。
上に行けば行くほど、エリアは狭くなっていくので、第一階層が最も広い。
基本的なことは大体1階層にいて困ることはないそうだ。
そんな話をしているうちに、目的地にたどり着いたようだ。
「兄貴、こちらっす!」
「明朝、お迎えに上がるんで!今度は昼間の街を案内させてくれ!」
「ありがとう!ブーイ、ヌンガロ!」
リューシャは彼らとがっちり握手する。
思っていたのとは少し違ったが、いい関係を築いていくことができそうだ。
タツミリ商店は、周辺の建物に比べてもそこそこ立派な雰囲気であった。
中の明かりが少し漏れており、中に人がいることは間違いなさそうだ。
サミが緊張した面持ちで建物を見上げている。
「サミ、緊張してるの?」
「うん、だってすごーく久しぶりなんだもの。ちゃんと私のこと覚えてるかなとかさ、考えちゃうよ。」
「そうかもなぁ。僕はサミのご両親に会えるの、すごい楽しみだよ。」
サミがニコリと微笑んだ。
ドンドンと二回、リューシャは扉を叩く。
「すみませーん、もう閉店なので…」
中から声がして、扉が開いていく。
扉の隙間から顔を覗かせたのは、サミにそっくりなゲラダ族の女性だった。
そっくりではあるものの、相応の歳を取っていることはわかる。
間違いない、サミの母ミリアである。
ミリアはサミを見つけると、目を大きく開き驚きの表情を浮かべる。
「ってサミじゃないいい!!!」
耳をつん裂くような高音とボリュームに、リューシャはつい顔をしかめてしまう。
ミリアは驚きに飛び上がり、そのままサミに抱きついた。
「お母さん、会いたかったよ!」
サミも抱きしめ返す。
「ミリア、大きな声を出してどうかしたのかい?」
ミリアの後ろから、静かで落ち着いた雰囲気の男性が顔を覗かせる。
サミの父、タツは小柄で理知的な雰囲気の大人で、リューシャの父親とも全く違ったタイプに見える。
「サ、サミなのか…?」
タツは消え入るような声でささやく。
ミリアとはちょうど正反対な反応なのが面白い。
「お父さん、久しぶり!紹介するね、こちらが夫のリューシャくんと、その妹のマルカリスちゃんです!」
「夫だって!??」
冷静だったタツの声が裏返る。
「はじめまして、リューシャです。」
「あら〜、素敵な男の子ねぇ!ささ、まずは中に入って、ゆっくり話し聞かせて!お母さん驚いちゃった!あー、全然片付いてないけど気にしないで〜!」
ミリアの勢いに呑まれてしまう。
「あ、はい。ありがとうございます。」
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