樹上都市アナチュ・アナ ④
「こ、こいつ強い…!」
腰に抱きつくような態勢でリューシャを押し倒そうとするヌンガロだったが、リューシャはびくともしない。
「もしかして急に強くなってしまった!?」
突然圧倒的に強くなったようで、リューシャは自分を疑い始めた。
「リューシャくんすごい!」
サミは素直に褒めてくれる。そんな風にストレートに褒められると、逆に照れてしまうと言うものだ。
「いやいや、この人たちが弱っちいだけでしょ。」
「マルカリスはひねくれてるなぁ。」
「何言ってんの!えい!」
マルカリスがヌンガロを掴み、引き倒した。
「うわぁ!」
ヌンガロもブーイ同様コロコロと転がっていく。
「ひぇっ!怪力男に怪力女だ!怪力族か!?」
「誰が怪力女よっ!」
「まぁまぁ、強いのはいいことじゃないか。それよりブーイ君とヌンガロ君だっけ?もういいだろ、これくらいにしないか?」
「ダメだダメだ!」
二人は地面にへたり込んだまま、首を横に振る。
「まずどうしてこんなことしてるのか聞いてもいいかな?」
「それは…かあちゃんが重い病気にかかっちまって、どこに頼んでも治してもらえず…」
ブーイは話しているうちに嗚咽が混じり始める。
「それで…あのクソ魔女に頼んでなんとか回復はしてもらえたんだが…法外な治療費を突きつけられて…払えないとこれ以上は治療してくれないって…!」
ブーイとヌンガロはもはや号泣している。
「そんなの私たちには関係ないってお兄ちゃん!?」
リューシャは二人の話に心打たれ、もらい泣きしてしまっていた。
「うぅっ、やっぱり君たちいいやつだな。僕もね、家族をなくしてしまっていて…なんとかできたらって今でも後悔するんだ。」
「そうだよね…」
サミもしっとり泣き始める。
「でもな、ブーイ、ヌンガロ、前に同じようなことやってしまった僕が言うのもなんだけど、そんな事情があっても他人に迷惑をかけてはダメだ。そんなことじゃ親に顔向けできないだろ。」
「うぅ…兄貴!すみませんでしたああ!」
「いいんだ、僕に出来ることならなんでも言ってくれ!」
リューシャは同情から、なんとか二人を助けてあげられないかと思ってしまう。
「ちょっとお兄ちゃん!」
「うぅ、ありがてぇ!…なぁヌンガロ、兄貴だったらサイファで優勝できるんじゃねぇか?」
「たしかに!兄貴なら絶対優勝間違いなしだ!」
ブーイとヌンガロはいつの間にか、リューシャを兄貴と呼び始めている。
「サイファって大会だっけ?優勝したらどうなるんだ?」
「そりゃもう莫大な賞金が出る。なんせこの街1番のイベントだぜ!」
「そうだそうだ、かあちゃんの治療費を払っても余りあるほどの賞金だ!」
「うーん…よし、分かった!ブーイ、ヌンガロ、君たちは僕に雇われてくれ。報酬はサイファの賞金だ。保証は出来ないけどな。」
「おおおお!兄貴!俺は兄貴に出会えて良かったあああ!」
ブーイが泣き叫ぶ。
「兄貴いいい!…って雇われるって何すればいいんだ?俺ら特別なことは何もできないけど。」
ヌンガロの方が尋ねる。
「簡単なことだよ。僕らがこの街にいる間、ガイドになって欲しい。まだこの街のことは何も分からないんだよね。」
「そんなことなら任せてくれ!」
ブーイが胸を張って答える。
「でも案内だったらお母さんたちに頼んでもいいんじゃない?」
サミが尋ねる。その疑問ももっともではある。
「たしかにね、でも情報源は多いに越したことはないし、それにまずはお母さんたちを探すところから始めなきゃだしね。」
「たしかにそうだね!さすがリューシャくん!」
「えへへ〜」
リューシャが照れていると、マルカリスが呆れた顔をこちらに向ける。
「はぁ、好きにすれば。」
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