樹上都市アナチュ・アナ ②
はしごを登る。木の葉をかき分け茂みを抜けると、開けた場所に出た。
巨大樹の枝はこれまた巨大で、上面はひらぺったくなっているため、安定して立つことができる。
巨大樹の幹には、上に続く階段が彫り込まれていた。
階段は、リューシャの立っている枝の根本から左右両側に二本伸びている。
そして、種族のよくわからない獣人が二人、門番のように階段の前を固めるように立っている。
頭からぴょんと生えた耳、脚の間に垂れる尻尾、キリッとした目元、生真面目そうな表情でこちらを見ている。
状況からして、はしごを下ろしてくれたのも彼らであることは間違いなさそうだ。
先頭ではしごを登っていたターリマは、リューシャら3人が登ってくるのを見届け、門番の方に向き直る。
それを見はからうように、門番の片方がターリマに話しかける。
「ターリマ様、お久しぶりです。今回のご同伴はゲラダ族の3名ですね?」
「そうじゃ。我の友人として、丁重に扱っておくれ。」
「もちろんです。では、お三方、来訪者登録をお願いします。」
そう言って、門番はリューシャらに向かって薄い板と筆を差し出す。
「すみませんが、僕たち文字は書けないんです。」
「あぁ、それは失礼。では名前を教えてください。」
門番は相変わらず生真面目そうに、淡々と進めていく。
リューシャ、サミ、マルカリスはそれぞれ名乗り、それを聞いた門番は木の板に筆を走らせる。
「はい、ご協力感謝いたします。それでは良いご滞在を。右の階段は北エリア、左は南エリアに出ますので。」
「あ、あの。」
サミが門番に問いかける。
「ゲラダ族のタツとミリアを知りませんか?この街にいると思うんです。」
サミの両親はこの街にいると聞いていた。
門番は手を顎に当て、記憶をたどっているようだ。
「タツ、ミリア…あぁ!タツミリ商店さんね!」
タツミリ商店??なかなか安直なネーミングだな。
「それだったら右の階段から北エリアに行くといいですよ。そこから枝を三つ数え、枝こぶ五つ分行って右手にあるはずですので。」
「えっ?」
途中から何を言っているのか分からなくなり、3人は疑問の声をあげてしまう。
「えっ?」
門番は伝わらなかったのが意外だったのか、こちらにつられてえっ?と戸惑っている。
「まぁ、とりあえずだいたいの場所はわかったし、何よりこの街にいることが分かったて良かったよ!」
微妙な空気を跳ね除けようと、リューシャは変に元気になってしまった。
「そ、そうね!とりあえず行ってみましょ!」
サミも答える。
「お主らは右の階段か、我は左から行くからここでお別れじゃな。」
「え、ここでお別れですか!?」
「なんじゃ寂しいのか?ふふっ」
「いえ、急だったもので。」
「我も用があると言っておったろうに。何でもかんでも頼ろうとすな。」
「はい…」
「そうじゃ、最後に一つアドバイスじゃ。噂か真実か、真偽は明確ではなくとも、何かヒントが欲しければチキばあのところを尋ねると良いぞ。長話に付き合わされるがな。」
「チキばあ…分かりました!ここまでありがとうございます!」
「帰りは来た穴から勝手に入って戻って良いから、それじゃあの。」
そう言って、ターリマは階段を登っていく。
自分たちだけではこの街までたどり着くことは出来なかっただろう。
辿り着いたとしても、合言葉も分からず、入る手段はなかった。
本当に感謝してもしきれないな。
「よし、じゃあ僕たちも行こうか。」
3人は幹の側面に作られた階段を登り、上にある街に向かう。
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