地下生活者 ⑩
「ちょっとさみ、落ち着こう!」
必死でなだめるリューシャの声は、サミには全く届いていないようだ。
「リューシャくーん、なんでこっちに来てくれないのー」
サミがこちらへふらふらと千鳥足で近づいてくる。
あの馬鹿力で殴られたらどうしよう。
リューシャはついそんなことを考えてしまう。
サミは自分の足に引っかかり、バタンと倒れてしまった。
「お、おい!サミ!大丈夫か?」
リューシャがサミにかけ寄り様子を見てみると、サミはすでにすやすや寝息を立てている。
「寝てる。助かった…のか?」
「なかなか強烈なお方じゃな。まぁ、部屋に運んでおやり。」
ターリマの同情を含む目線がリューシャは辛い。
「あ、お兄ちゃん!サミさん来なかった?って寝てるし!」
マルカリスはサミを探していたようだ。
「マルカ、ちょうど良かった。サミを部屋に連れて行くのを手伝ってくれ。」
「ほんとに寝てる?サミさん酔っ払うとすごい力で暴れるから…」
「多分大丈夫。」
「お兄ちゃん、サミさんはお酒飲ませたらダメだよ。」
「あはは、そうだな…」
サミの違った一面を見てしまった気がする。
しかしあのパワーはどここからでてきたんだ、本当に恐ろしい。
翌朝、リューシャは昨夜のことを二人に話すことにした。
サミは二日酔いで辛そうだ。
「うぅ…ちょっと飲み過ぎちゃったよー」
「そ、そうみたいだね。これからはあんまり飲まない方がいいんじゃないかな。」
「そうだよね、しょぼん。昨夜のこと全然覚えてないや。」
「ほんと大変だったんすよー、暴れちゃって物壊すし。」
「ほんとごめんなさい!」
「まぁマルカもそのくらいで、それよりこれからの話だ。」
リューシャは昨夜のターリマとの話しを二人にも話した。
「いけるんだね、西の街に。会えるんだ、お父さんとお母さんに。」
「ああ、サミ。会えるよ、サミのお父さん、お母さんに。」
ドンドン!
戸口を叩く音がした。
開けてみると、そこにはドゴモとターリマが立っている。
「ターリマさん!」
「おはよう。よく眠れたかの。」
「はい、とても快適でした。」
「それはなによりじゃ。で、お二人にも話はしたかな?」
「はい。それで、出発をいつにするか相談したくて。」
「うむ。我もちょうどその話をしに来たところよ。出発は早ければ早いほど良い。準備ができ次第行くぞ。」
「分かりました!それはこちらにとってもありがたいですから。」
「うむ。街までは地下の通路で行く。馬は置いて行くことになるが、ドゴモに面倒を見させておくから安心せよ。さて、我も準備をせんとな。」
「え、ターリマさんも行くんですか!?」
「ダメか?我は街でも役に立つと思うが?言ったであろう、最大限協力すると。」
「まさか自らいらっしゃるとは…」
「まぁ、街も久しぶりじゃから、ちょっとした用事も済ませたいと思っとる。」
「なるほど。」
リューシャらは手早く旅支度を済ませ、ターリマとともに部屋を後にした。
西の街へは地下通路を2日ほど歩いたところにあるそうだ。
途中、小さな集落のような場所があり、十数人のおじさん達が暮らしている場所がある。
そうした場所で休憩するにも、ターリマがいると扱いがだいぶ違った。
ターリマのおかげで旅はなんのトラブルもなく、リューシャらはいよいよ西の街のすぐそばまで辿り着いた。
今回も読んで下さりありがとうございます!
皆さんの応援が執筆の励みになりますので、少しでもいいな、続きが気になると思った方は是非ブックマーク、高評価お願いいたしますm(__)m
次話もお楽しみに!




