地下生活者 ⑦
リューシャらはドゴモとともに、ターリマの部屋を出た。
「旦那、いかがでしたか?姉さんはやっぱり素敵ですね〜」
ドゴモはニヤけるのを隠せていない。
だらしなく緩んだおじさんの顔など、見ていられるはずもない。
「何が素敵だよ、ろくに話もさせてもらえなかったじゃないか。結局西の街の話もできなかったわけだし。」
リューシャは思わずトゲのある言い方になってしまう。
「まぁまぁ〜、それはまた別の機会に!部屋を用意してますのでまずはゆっくり休んでくだせぇ!」
「はぁ…」
リューシャは深いため息をついた。
相変わらず緩んだ顔つきのドゴモの案内に従って通路を進む。
ドゴモに案内された部屋は、質素ながらも綺麗に整えられた部屋で、とでも快適そうだった。
客人としてもてなすということについては、嘘は無さそうだ。
「まさかお酒だけでここまでしてくれるなんて、思ってもいなかったよ。」
「それは我々が土の中でしか生きられないからですよ。そしてヒミズ族は大の酒好きばかりなんですわ。地下で作れる酒なんてたかが知れとるんですわ。」
「へーすごいね。僕にはそんなにいいものとは思えないけど。」
「何をおっしゃる!遊牧民族の馬乳酒は特に栄養素も豊富で、万病に効くなんていわれる逸品ですぜ!?」
「ええっ、そうなんだ!?自分らが普通だと思ってるものでもよそではとても高価なものだってこともあるのか。」
「そういうわけで、ドゴモは旦那達に巡り会えてとても幸運だったのです!今日は皆さんの歓迎会を開かせて頂きますので、また呼びにきますんで!」
ドゴモは元気よく言って、部屋を去っていった。
部屋に3人が残される。
「なぁ、二人ともちょっといいかな。」
「どうかした?」
サミが首を傾げる。
「ターリマさん、どう思った?」
「すごく綺麗で、強そうな方だなと思ったよ。なにか気になるの?」
「もしかしてお兄ちゃん惚れちゃったー?」
マルカリスの冗談を無視して、リューシャは話し始める。
「多分だけど、ターリマさんはあのお酒がゲラダのものではないことに気付いてる。確証はない、ただの勘だけど。」
「気付かれたら何か都合が悪いかなぁ?」
と、マルカリス。
「当たり前だろ。違う部族の酒なら、気になるのはどうやって手に入れたか、ってところのはず。ドゴモさんはこの草原の至る所にこの通路が繋がっているって言ってたよね。ということはドグエラ族が領域に入ってきていることも知っているかも知れない。」
「ちょ、ちょっと考えすぎじゃない?それにバレてたって何かされるわけでもないってば、こんなに歓迎されてるんだし!」
「まぁ、マルカの言う通りかもな!」
マルカリスの言うことも分かる。
しかし警戒するに越したことはないだろう。
ただ、二人を過剰に心配させないためにも、無理に明るく振る舞っていた。
宴に招かれたリューシャらは、同じ顔のおじさんに囲まれ歓待を受けた。
宴会ではヒミズ族の変わった地中生活の様子が色々と分かり、なかなか面白かった。
食生活の基本は洞窟に生えるキノコ、そして地中に根を張る根菜や、地中を移動する動物や虫などらしい。
サミやマルカリスは得体の知れない食べ物に最初は拒否感を抱いていたようだった。
しかし、口をつけるとかなり美味であることが分かり、今ではガツガツ食べている。
ドゴモによると、地中にもたまに魔獣は出るらしい。
ただ、その頻度は地上に比べ相当低いらしく、そういう安全性がこの地下迷宮の発展に繋がっているそうだ。
確かに、屈曲な遊牧民族といえども、様々な危険に出会う中で命を落とすのは日時茶飯事でもあった。
リューシャの父親もその一人である。
そんなことを思い出し、悲しみがこみ上げてくる。
サミとマルカリスの2人は、わいわいと楽しそうに宴を楽しんでいた。
ふと後ろにドゴモがやってきて、リューシャに耳打ちをしてきた。
「姉さんが旦那と二人で話したいとおっしゃってます。」
「二人で、ですか。」
ドゴモがコクリと肯く。
「はい、ご案内しますんでこちらへ。」
リューシャはドゴモに連れられ、またあの部屋に向かった。
今回も読んで下さりありがとうございます!
皆さんの応援が執筆の励みになりますので、少しでもいいな、続きが気になると思った方は是非ブックマーク、高評価お願いいたしますm(__)m
次話もお楽しみに!




