地下生活者 ⑤
ドゴモと名乗ったヒミズ族のおじさんは、リューシャ達を引き連れ、通路の奥へ奥へと進んでいく。
通路は幾度も分岐し、多数の横道や小道を潜りながら先へ進むため、先導なし元いた穴に戻るのは不可能だろう。
これ、ひょっとしてやばいんじゃないか?
リューシャは罠の可能性に今更思い至り、冷や汗をかく。
「ささ、つきましたぜ!」
ドゴモがこちらを振り返る。
屈託のない満面の笑みだ。
ドゴモが連れてきた場所は、広いドーム型の空間であった。
天井もかなり高く、中央は平らに開かれた広場になっている。
壁には無数の穴が開いており、これが出入り口になっているのだろう。
リューシャが出てきたのも、そうした穴の一つだ。
おそらくここを中心として、巨大な地下迷宮の様々な場所に移動できるようになっているのだろう。
広場の中央には、椅子とテーブルが並んでおり、それを取り囲むように様々な商店が所狭しと並んでいた。
「どうです?みな様、ここがヒミズ族の憩いの場、バザールですぁ!」
「ひえー、もっと汚いところかと思ってた!」
マルカリスが声を上げる。
「こら!正直すぎるだろ…確かに驚いたけど。」
地下にこのような大規模な空間ができていることに、リューシャは心底驚いた。
「ドゴモさん、もしかしてこの穴は草原のいろんなところに繋がってるの?」
サミが尋ねる。
「ええ、そりゃもう色んなところに、繋がっとります。うちの部族以外にも、このパミル草原全体にモグラ系がおりやすからね。」
「それは驚いた。草原の地下は大体こんな感じってこと?」
「へぇ、まぁだいたい、ですがね。」
バザールに並べられた椅子には、所狭しと小さなおじさん達が座ってわいわいと盛り上がっている。
リューシャには、どの顔もこのドゴモ同じに見えてしまう。
同じ顔がいくつも並んでいる光景とは、なかなか不思議なものであった。
「リューシャ様、観光の前に姉さんにお会いになってもらえませんかい?御客人はまず姉さんに謁見することが決まりなんでね。」
ドゴモが上目でこちらを伺う。
「それはもちろんいいよ。」
リューシャは答える。
「その姉さんってどんな人なの?」
サミが尋ねる。
「そりゃもう美人で優しくて、姉さんの美しさには我々はもうメロメロですわい!」
なんとなく期待していた答えとは違う回答だった。
ドゴモ達の容姿からしても、美人というのがどういうものかあまり想像がつかない。
同じような顔が出てきたら反応に困るな…
リューシャはそんなことを考えてしまう。
「えとえと、そうじゃなくて役割と言うかなんというか」
サミがしどろもどろになりながら話しを進める。
「あーそういうことですかい、これは失敬!姉さんはここの部族のリーダーだな、ヒミズ族は女性からリーダーを決めるもんで。はぁ、我々はみんな姉さんのために働いているも同然よ!姉さんに褒められたい、叱られたい、蹴飛ばされたい、みんなそんなことを考えて働いておるんすわ!」
また話が逸れてしまっている。
やはりこの人はちょっとおかしいかもしれない。
それともこのヒミズ族の人達全員やばいのか?
サミは絶句してあわあわしている。
「きもい…」
後ろからぼそっとマルカリスが呟くのが聞こえた。
無理もない。リューシャはそう思った。
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