西の街を目指せ ③
旅立ちから七日が経過した。
当初の甘い想定では、そろそろ街の周辺に近づいているころだ。
途中、他の民族を避けようと進路を変更したのが裏目に出ているのかもしれない。
眼前に広がるのは、地平線まで続く草原だけであった。
夜も見張りで十分な睡眠もとれず、昼間も突発的な戦闘に出くわす。
三人の旅は常にピリピリとした緊張感に包まれており、なかなか心休まる時間もなかった。
手がかりを求め西へ西へと馬を走らせていると、土をうず高く積み上げたような塚が何本も地面から突起している場所を見つけた。
明らかに人為的な構造物であるため、何かしらの手がかりが期待できそうだ。
「これ私聞いたことある!モグラ族の家だと思う。」
「なるほど、だれかいるのなら話が聞けるかもしれないね!」
だいぶ西の街に近づいてはいるはずだ。
ここに定住している民族ならば何か情報を持っているに違いない。
「じゃあ早速聞いてみよう!」
マルカリスが馬をせかし、塚に向かって走り出す。
「おいちょっと待て!なにかあ__」
リューシャが何か罠のようなものが仕込まれているかもしれない、と注意しようとしたまさにその時、
「うぎゃあ!」
どさっと地面が陥没し、マルカリスは馬ごと落とし穴にハマってしまった。
落とし穴はそれほど深くなく、マルカリスも馬にも特にけがはないようだ。
「やれやれ、住居があるならそれを守る防衛施設が何かあるかもしれないと考えるのは当然だろ。」
「うぅ、しゅびばせん…」
マルカリスはしょんぼりとうなだれている。
周りを見渡すと、ところどころ地面の色が変わっているところがある。
これが落とし穴の場所だろう。
「地面に気を付けて、色が変わっているところが落とし穴だ。一応馬から降りてゆっくり進もう。ほかにも罠があるかも警戒しながら。」
リューシャら三人は、ゆっくりと安全確認しながら、塚に近づいていく。
塚の根元には人が一人這いつくばって通れるかという小さな穴が開いている。
「これが入り口かな?モグラ族はだいぶ体が小さいのかもね。」
サミが言う。
「だね、ちょっと覗いてみるか。」
リューシャはそういって、ひょいと身をかがめ、穴を覗く。
リューシャがかがむと同時に、穴からまっ茶色のおじさんの顔がひょこっと出てきた。
「む、おぬしらか、あほうにも穴にひっかかりおって。」
「あの、すみません。」
リューシャは穴から顔だけ出してきたおじさんのモグラ族に話しかける。
「おー、その姿、ゲラダ族じゃな。立派なたてがみ、胸の紋、うらやましいのー草原を走り回って、あーやだやだ、わし、もうこんな穴倉生活飽き飽きよ!」
かーペッといって、おじさんはリューシャの足元に痰を吐き捨てる。
「うえっ…あの、すみません。僕たち、西の街に行きたくて、何か知っていませんか?」
リューシャは尋ねる。
「あ?なんじゃ?頼み事か?なら酒を出さんか。ないなら帰れ!」
おじさんはひどくめんどくさそうに吐き捨て、顔を引っ込める。
「なんなんだ一体…」
リューシャはこの穴をあきらめ、別の穴に移動する。
しかし、どの穴からもおじさんが出てきて、酒を要求してきた。
モグラ族のおじさんはそれぞれ同一人物ではないのだが、みな判を押したように同じ答えだった。
「酒を持ってこい、話はそれからだ。」
頼み事には酒を。これがモグラ族のマナーのようだ。
しかし、リューシャの旅自宅の中に酒の用意はない。
まいったな…
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