西の街を目指せ ②
蛇の魔獣〈イビルスネーク〉は、首を高く持ち上げ、シャーと威嚇をしてくる。
リューシャとサミは、シャクに魔力を流しこみ、各々の武器を作り出す。
イビルスネークは、まずサミに向かって攻撃を仕掛けてきた。
サミは槍型の武器を作り出しており、その長いリーチを使いながら、うまく敵の攻撃をあしらう。
それでも、イビルスネークは大きく口を広げ、その鋭利な牙を剥き出し、幾度もサミに攻撃を仕掛ける。
リューシャとサミは馬を走らせ、二人で敵をかく乱しながら攻撃の機会を伺う。
イビルスネークも、しつこく牙による噛みつきを食らわせようと仕掛けてくる。
後方で支援するマルカリスの攻撃魔法も、ジリジリとダメージを蓄積させていた。
「よし、一度退いて敵を引きつけよう!」
リューシャの呼びかけに応じ、サミとマルカリスは馬を走らせ、イビルスネークから距離を取る。
イビルスネークもそうはさせまいと、その長い体をくねらせ、距離を縮めてくる。
くわっと顎を広げ、再度サミに噛みつこうとする。
サミはこれまでのように、槍を突き出し攻撃を受け流す。
その時、イビルスネークはその長いしっぽを思いっきり振り回し、サミの横っ腹をなぎ払おうとしてきた。
「させるか!」
リューシャは素早く反応し、イビルスネークが振り回しているしっぽに、思いっきり剣を振り抜く。
スパンと、イビルスネークのしっぽは綺麗に切り落とされた。
ギィーーー!!と、甲高く耳障りな音で叫び、イビルスネークは一度退いて体勢を立て直そうとする。
「マルカ!今だ!」
リューシャの合図とともに、マルカリスの炎の魔法が放たれる。
「燃えよ!ファイアボール!」
マルカリスの指の先から、火の玉がふわふわと宙を漂いながら、イビルスネークに向かって飛んでいく。
体勢を立て直そうと必死なイビルスネークは、火の玉には気付いていないようだ。
マルカリスの放った火の玉は、そのままイビルスネークにぶつかる。
すると、ぼーっと音を立て勢いよく火が燃え盛り、あっという間にイビルスネークの体全体を包み込んでいく。
イビルスネークは突然の痛みに驚き、体を包む火を消そうとしているのか、地面に体を擦り付けるようにのたうつ。
その時、イビルスネークの頭が無防備に下がっている事を、リューシャは見逃さなかった。
リューシャは剣を振り上げ、馬から飛び降りながら、イビルスネークの頭部に向かって剣を振り下ろす。
イビルスネークの首と胴体が綺麗に切り離され、魔獣は動きを止めた。
「よし!」
リューシャはついガッツポーズを取る。
このくらい強い敵であっても、3人の力で怪我もせずに倒すことができた。
その事が非常に心強く、嬉しかった。
「やったー!わーい!」
サミは無邪気に喜んでいる。
「くくく、わたしの無敗伝説はまだまだ続くのね!あぁ、自分の才能が恐ろしい、神に愛されてしまったがゆえに、敗北を知ることができないのか…」
マルカリスはまたいつものように変なことを言っている。大した数戦っていないのによくあそこまで思い上がれるなぁ。
そっちの才能は凄そうだ。
サミがリューシャの方に歩み寄ってきた。
「リューシャくん、尻尾の攻撃から守ってくれてありがとう。やっぱりリューシャくんはすごいな。安心する。」
サミのキラキラした目に見つめられ、リューシャは言葉を失う。
「も、もちろんだよ。俺はサミの夫として、サミののことはいついかなる時も俺が守るよ。」
「うん!ありがとう。」
サミの熱っぽい視線が返ってくる。
「あのー、お二人さん、お熱いところ失礼ですが、ちょっとあそこ見ていただけますー?」
マルカリスの指差す方角をよくみると、遠くの方に大勢の人影と家畜の姿が、かすかに見えた。
「あれは…遊牧民の集団だな。でもうちの民族じゃないな…ということは南方のドグエラの民か?」
縄張りの意識が強い遊牧民族が、他の縄張りに侵入してくる理由など、一つしかない。
「え、それってまずいんじゃない?領域侵犯がわかったら戦争だってあり得るでしょ?」
サミが心配そうに尋ねる。
「そうだね。とりあえず奴らは刺激しないように、ここは一旦離れよう。」
リューシャたちは目立たぬように気をつけ、北側に迂回しながらさらに西に進んでいくことにした。
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