旅立ち ④
「マルカ、なんで旅についてくるんだ。」
リューシャは尋ねる。
マルカリスは急にキリッと真剣な表情になり、リューシャを見つめる。
珍しく真剣な目で見据えられ、リューシャは少し驚いた。
妹がこれほど真剣な表情を浮かべるのを、リューシャは初めて見た。
「ふふふ、それはですねぇ。魔法の深淵を覗くためなのでぇすっ!」
マルカリスはキラーんと、謎のポーズをとっている。
「…えっ?」
リューシャはポカーンと拍子抜けしてしまった。
「マルカちゃん、どういうこと?」
サミもたまらず尋ねる。
「そのまんまです!いや、まぁ?もうすでに少しは覗いちゃってますけれどね?」
「いや、ね?じゃねーよ。お前そんな寝ぼけたような理由でついてこようってのか!今すぐ帰れ!」
「ちょいちょいちょい!待って待って待って!」
マルカも流石に慌て始めた。
「なんだよーちゃんと説明するよー」
むくれた表情のマルカリスは、そう言ってマルカリスは人差し指を立て、顔の前に持ってくる。
「見てて、いくよ」
何が始まるのだろうか、とリューシャは不審がる。
すると、マルカリスの人差し指にボッと炎が灯る。
「うわっ!これ何だよこれは!?」
リューシャも初めて見る魔法だった。
「これが魔法の深淵というものよ。」
マルカリスがまたわけのわからない決めポーズとともに、こちらを自慢げに見てくる。
そのポーズの馬鹿っぽさとは裏腹に、今の魔法は確かにレベルの高い技術を示していた。
「す、すごいよマルカちゃん!どうやったの!?」
「実はですね、私、魔法の研究をしたいと昔からずっと思ってて、今までも一人で色んな実験をしていたのです。これはその中で発見した魔法で、魔法ってもっといろんな可能性があるんだななんて思っちゃって…」
意外にしっかりしたことを言うマルカリスに、リューシャは驚いた。
「まぁ、よくある魔法の組み合わせですよ!戦闘で使うような破裂魔法あるじゃないですか。バシバシってやつ。それの全く真逆の事をやってきゅっと指先に空気を集める。それをしながら、湯沸かしとかで使う熱を発生させる、あの魔法をやる。って感じです。うーん、なんかそんな感じでギュッ!ボッてなる感じ!」
「ごめん、マルカちゃん、全然分かんなかったや、エヘヘ」
「うーむ、それってこんな感じ?」
マルカリスの言っている事をイメージして、リューシャも魔法を発動してみる。
リューシャの指先に、一瞬ボッと火が灯ったが、すぐに消えてしまった。
「いや、これ結構難しいな、安定させられない。」
「え、なんで今の説明でできちゃうの!?」
サミが驚いた目でこちらを見つめる。
「マルカの言いたいこともよく分かったよ。確かに街に行けばもっと理論的に魔法を学べるかも知れないしな。はぁ、しょうがないな、まったく。」
「やったやったぁ!」
妹が無邪気にはしゃいでいる。
「旅の間は勝手な事は許さないからな。その時はすぐ家族のところに送り返す。いいな?」
「うん!ありがとうね、お兄ちゃん!」
そんなこんなで、リューシャ、サミ、マルカリスの3人は、西の街を目指しすことになった。
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