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プロローグ 2

少女は驚いた表情でリューシャの方へ振り返る。


青い鳥形の魔獣は、その大きな頭をぶんぶん振りながら醜く飛び上がった。羽はあるが、飛ぶのはそれほど得意ではなさそうだ。しかし、危険なのには違いない。接近されてその巨大な顎で噛みつかれたらひとたまりもないだろう。


ピィーウ


少女が飛ばしたイヌワシは、突如姿を現した魔獣に驚き、空高く飛び上がる。

魔獣はまたグアアアと叫びながら、イヌワシを追った。


「きみ!馬にのって!こっちへ!」

リューシャは少女に向かって叫ぶ。

この状況で確実に生き延びるには、イヌワシを囮にして別の方向に逃げることだ。


「キャム、戻ってきて!」とリューシャが叫ぶと、少女はイヌワシに呼びかけた。イヌワシは聞き入れ、こちらに向かって降下してきた。


「あぁ、何やってんだ!」とリューシャは心の中で叫びたくなったが、我慢して馬を引き返した。

「しょうがない、一か八かだが、このまま逃げても全滅するだけだ」


「狩りは獲物を狙っている瞬間が一番無防備だ」と、リューシャは父親から教わった言葉を思い出した。

魔獣が気を取られている間に、その降下の勢いを利用して一撃で決める。


ジャイアントキリングのお作法その1、その名も"不意の一閃"だ。

今考えた。


もしダメだったらそれまでだ。

この場の全員食い殺されるだろう。

でも逃げても同じだ。

運が悪かったと諦めよう。


これしか方法はない。

いや、あるのかもしれないがこれしか思いつかなかったからしょうがない。


「アイシャ、援護して!」

「えっ!?」

アイシャは引き返すリューシャに驚き叫ぶ。

「リューシャ様!お待ち下さい!」


リューシャは馬から素早く降り、イヌワシが飛来する場所に足を踏み入れた。

鞘に収めたシャクを手に、リューシャはひとつ深呼吸する。

彼が持つのは、ゲラダの民が代々受け継ぐ伝統の武器、シャクだ。

紋様が美しく彫り込まれた木製の棒は、軽やかに手に馴染んでいた。


リューシャは手に持つシャクに魔力を注ぎ込んだ。

すると、シャクの先端から黒い刀身が現れた。

彼はシャクを下段に構え、魔獣を睨みつけた。


魔獣はズンズンと近づいてくる。喘ぎ声を上げ、どんどんリューシャに迫ってくる。


「アイシャ!」とリューシャが叫びかけた。


アイシャはリューシャの呼びかけに応え、バシバシと二発の魔法を魔獣に放った。

威力はさほどではないが、その一瞬の隙間に、魔獣の視界を奪った。


魔獣はますますリューシャに接近してきた。

目を開けたまま、顎を大きく広げ、喉を鳴らし、グオオオアアアと怒号を上げながら、リューシャに襲いかかる。


数秒後、それは起こった。


「うおおおお!!!」とリューシャは叫び、魔獣に向かって飛び上がった。


剣を振り上げ、リューシャは全力で切り下ろした。


ズブブブゥ!


ブシャーアア!!


グオオオアアア!!!!


剣が魔獣を深々と切り裂いた。魔獣はピクピクとのたうち、最後に動かなくなった。


リューシャは剣をシャクに戻し、魔獣の首に突き立て、とどめを刺した。彼は深い溜息をついた。


「キャム!大丈夫!?」


イヌワシが少女の元に降り立った。

少女は大事そうにイヌワシを抱きしめる。


ボンッ


突如音を立て、少女の腕の中のイヌワシは、小さな困り顔のオウムに姿を変えた。

今回も読んで下さりありがとうございます!

皆さんの応援が執筆の励みになりますので、少しでもいいな、続きが気になると思った方は是非ブックマーク、高評価お願いいたしますm(__)m


次話もお楽しみに!

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