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プロローグ 神の世界

 「色彩魔法 ~強化チートでのんびり家族旅行~」の後日談を、不定期で投稿していこうと思います。

 本編共々よろしくお願いします!


 今日は2話連続で投稿します。

 その1話目になるプロローグです。

 ここは神の住まう天界と呼ばれる、外界とは切り離された空間。


 森や草原が広がる自然豊かな場所に白亜の神殿が建っており、その一室で一人の女性が空中に浮かび上がる映像を眺めていた。


 彼女の名前は虹野(にじの) 彩子(あやこ)

 この世界には二柱の神が存在し、彩子は夜を司る女神である。


 名前からわかる通り、元々はこの世界に召喚された、流れ人(ながれびと)と呼ばれる日本人。


 流れ人とは、神の意志で召喚される異世界人を指す。

 星の危機を救う手助けや、文明を発展させる起爆剤、彼らが呼ばれる理由は様々だ。


 過去に幾度となくそうした召喚が行われ、星に多種多様な影響を与えている。


 言ってみれば神の我がままだが、上位存在たる彼らにそんな感情は存在しない。ただ自分の管理する世界を、より良く導きたいだけ。


 そうやって召喚された者には特殊な能力が発現し、彩子が手に入れたチートスキルは〝人とのハーフを生み出す〟という、非常にレアなものだった。その能力を気に入った神の手によって、己と同格の存在へ昇華させられている。


 決して無理やりだったわけではなく、彩子本人は関西人特有のノリで、「ウチが神になれるん? そんなんむっちゃすごいやんけ!」と、二つ返事で了承。その即決ぶりに、提案した本人が驚いていたほどだ。



「また真白(ましろ)ちゃんのカレー、食べに行きたいなぁ」



 自分が生み出した半神(デミゴッド)であるクレアの手で地上に顕現して以降、彩子は何度も龍青(りゅうせい)たちの家を訪問していた。


 真白の作る料理は、洋食好きだった彼女の心を、ガッチリ掴み取っていたのだ。


 時間の概念が乏しい天界では、地上でおきた出来事なら昨日のことのように思い出せる……


 過去に異世界から呼んだ流れ人が暴走し、大陸の支配を目論むという事件が発生。この世界を見守る二柱の神も様々な手を尽くしたが、別次元(ダンジョン)に潜伏しながら転送魔法を使う犯人の動きを察知することができず、危機的状況に陥ってしまう。


 天界へエネルギーを送る地上の施設も機能停止したため、最後の力を振り絞って召喚されたのが彩子(あやこ)と同じ日本人である、龍青(りゅうせい)真白(ましろ)の二人だ。


 彼らの活躍で事件は解決し、星の平穏が守られている。



「世界の様子はどうだ?」


「なんや、やっと起きたんか。えらいお寝坊さんやな」



 そこに彩子と同じ白い布を優雅にまとった男が現れた。

 髪は真っ白で金色の瞳を持ち、身長百七十センチほどの優しげな風貌。


 彼こそがこの世界を作った神である。



「そうして落ち着いているところを見ると、何とかなったようだな」


「龍青君らが予想以上に頑張ってくれたさかい、アンタの大事な世界はむっちゃええ方向に進んどるで」



 緊急事態だったためロクに準備もせず召喚を実行し、一度に四つの魂を転移させることになってしまった。その無理が祟った男の神は力尽き、今までずっと眠りについていたのだ。


 意識がなかった間のことを彩子から聞き、男の神はホッと息を吐く。



「やはりアヤコと同じ世界から来た流れ人は優秀だな」


「そんなおべんちゃらとか聞きとうない。それよりアンタも詫び入れに行こか」


「あっ、いや、その、なんだ……

 我が子達に会うのは気がひけるというか、後ろめたいというか。なんとか勘弁してくれないか?」


「アンタのそんなとこ、何万年経っても変わらんなぁ」



 男の神は人付き合いが非常に苦手である。

 神同士の会合にも滅多に参加することがない、いわゆる引きこもりというやつだ。


 付き合いが長い彩子は、軽快な喋り方と人当たりの良さがあったので、何とか普通に話せるようになったものの、引き抜いた当時はコミュニケーションを取るのも大変だった。



「頼む! もう少し心の準備ができてからにしてくれ」


「アンタと喋り方や雰囲気が似とる龍青君も、人付き合いが苦手や()うとったけど、今ではこっちの世界の人らと、めっちゃ仲良うなっとるで」



 そう言って彩子は、数枚のパネルを空中に出現させる。

 そこには地上で生活する龍青たちの姿が記録されていた。



「いつのまに地上の様子を、ここまで鮮明に映し出せるようになったんだ?」


「祭壇の機能を強化する時に、ちょちょいと細工したったんや。録画もできるようになったんやで!」


「勝手に子ども達の様子を覗き見るのは、さすがに神といえども問題だぞ?」


「これ、ちゃんと許可とっとるから大丈夫や。それにこうして見られるんは、龍青君らだけやしな」



 空中に浮かんだパネルには、海で遊ぶ姿や家族で旅をする様子が映し出され、いずれの映像からも幸せな波動が伝わってくる。それは神にとっても、非常に心地よい感覚だ。



「見ているだけで力が湧いてくるな」


「せやろ! この子らのおかげで、アンタの目覚めも(はよ)うなったんやと思うで」


「他にはどんな記録があるんだ?」


「色々あるんやけど、まずはこれから見よか」






 こうして神の住まう場所で、上映会が始まった――


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本編もよろしくお願いします!
色彩魔法 ~強化チートでのんびり家族旅行~
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