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第3の刺客

ようやく勇者は大通りに辿り着いた。

角を曲がれば後は直線100メートルだ。

壁のような向かい風から逃れられると思った勇者は完全に不意打ちで現れた人物に油断した事を後悔する。


「しまったっ!」


「君!こんな日に何故出歩いている!?」


相手はお巡りさんだ。

だが勇者にはやらねばならない事がある。

こんなところで足止めをくらう訳にはいかない。


「家はどこだ?パトカーで送っていこう。」


トタンや瓦が飛ぶ程の風だ。

お巡りさんは善意の塊として言ってくれているのはよく分かる。

こちらに歩みを進めるお巡りさんにゴメンと心の中で謝りながら勇者は伸ばされた手をグイッと引っ張りその勢いのまま背後へと投げ飛ばした。


そう。

後ろはあの風の壁である。


「なっ!?」


みるみるうちにお巡りさんは見えなくなった。

勇者は一度黙祷を捧げるとクルリと進行方面を見据えた。

ミッションに犠牲は付き物なのである。


さあ、今度こそ残るは直線100メートルだ。

進め!勇者よ!


しかし風の刺客はここからが本番だった。

少し進み始めたところで勇者は先程までとの道の違いに気付く。

大通りという事もあり車通りがあるのだ。

普段よりは少ないとはいえそれでも決して少なくはない。


「痛っ!?」


こんな所にこんな刺客がいるとは。

車のタイヤによって跳ねた小石が勇者目掛けて襲いかかってくる。


最初は軽快に避けていたがそれにも限界がある。

風によって軌道は変えられ段々とかすり傷が増えてきた。

そこで勇者は秘密兵器を使う事を決意する。


無いよりはマシと家を出る前にかぶってきた帽子に手をかけた。

それをグローブに見立てると石を次々とキャッチする。

こんなところで昔野球チームに所属していた経験が役に立つとはな。

勇者は一気に走り出した。


途中で倒れたゴミ箱を飛び越えて、帽子にたまった石を倒れそうな登りの下にお供えし、飛ばされてきた看板を華麗にかわしながらようやく勇者はミスタードーナツに辿り着いた。

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