Happy Birthday
大人の恋愛小説です。
けしてエロくないです。
場所を移動する事になり、
車に乗り込んだ。
車の中で私は、気になってた事を
悠に尋ねてみる。
「何で、誕生日知ってるの?
私も忘れてたのに。
悠に言ったことないよね?」
「あぁ、LINEのトップのとこに書いてあるだろ?
それ見て覚えてたんだよ」
えっっ…
そんなとこまで見てたんだ。
私、悠の見たことなかったな。
「悠~凄い嬉しいよ。本当ありが……」
私が言い終わる前に
悠にキスをされ、唇を塞がれた。
んっ!?
んーーーー!?!?!?
突然のキス。
それも、初めてのキス。
目が点になり開いたまま
金縛りにあったかの様に動けない。
しばらく、そのままだった。
突然すぎてビックリして。
時間が止まってたみたいに
私の世界だけがスローモーションになる。
これがキスなんだ…。
初めての感覚…。
心臓の音が大音量で響き渡る。
ゆ…悠に聞こえちゃう。
口中に悠の煙草の香りが広がった。
ゆっくりと悠が離れて目が合うと
ニコリと笑い、左手で私の手を握った。
「俺だけの隣に、ずっと居てな。
真由……一緒に住まない?」
一緒に住むって…悠とだよね?
付き合ってすぐ…
というか、今日、付き合ったばかりなのに
もう一緒に住むの!?
一緒に住むって事は…毎日、悠と一緒に
居れるって事だよね。
よく考えてみれば、
それは幸せで、夢のような生活だと思った。
私も、一緒に住みたい。
「一緒に住みたい。
でも…火曜日だけ家に帰っていい?
いきなりだし、親も心配すると思うから…」
不安気に、そう悠に話した。
「そうだよな。心配するよな。
全然、構わないよ。
一緒に住めるだけで、俺は嬉しいんだから!」
よかった…
「ありがとう!これから楽しみだね。
沢山ご飯、食べてもらわなくっちゃ!!」
「そうか!真由の飯、
毎日食えるんだよな。
想像しただけで幸せだわ!」
幸せって…
私だって幸せだよ。
悠は私をいつだって、幸せにしてくれてる。
悠の些細な行動1つ1つが
私の幸せに繋がってるから。
「ねぇ悠、いつから一緒に住むの?」
「今日からでも明日からでも、いつでもいいよ!
真由の都合に合わせるよ」
「じゃあ、とりあえず親に話してから…
それから決めていい?」
「OK!」
優しく悠は、納得してくれた。
「あとね、1つお願い聞いてくれる?」
「ん?」
「私、誕生日の事すっかり忘れてて。
ママに今日、出かけることとか言ってなくて。
多分、ケーキとか豪華なディナーを
用意してくれてると思うから、
夕飯、家で食べてもいい?」
「もちろん、いいに決まってるだろ。
送ってくよ」
悠は嫌な顔ひとつせず、
私のわがままを聞き入れてくれた。
少し遠回りして海岸線をドライブしてから
私の家の前まで送ってもらった。
「あら、真由。おかえり
お誕生日おめでとう。」
「ありがとう、ママ」
車を降りると、
ちょうどママが家に入ろうとしてて
声をかけられた。
夕飯の支度が一段落して
回覧板を回してきたらしい。
「なに、彼氏ー?」
ニヤニヤしながら悠の車の方を見る。
その光景を見て悠が車から降りてきた。
「はじめまして。
立花 悠って言います。
真由さんとお付き合いさせてもらってます。」
「はじめまして。真由の母です。
不束者ですが、真由をよろしくね
こんなとこで立ち話も何だから
上がっていきなさいよ」
「あ、じゃあお言葉に甘えて
お邪魔します。」
私とは関係のない所で話が進む。
え?悠がうちに上がるの?
やだやだやだやだ!
悠が上がるなら
掃除とかちゃんとしとけば良かった。
勝手に決めないでよ!!!
って思っても、時すでに遅し。
ママが案内して、車を家の駐車場に停めなおす。
何だか悠とママはすっかり仲良しな感じ。
そりゃ、悠は優しいし素敵だから
誰とでも直ぐに仲良くなれるのは分かってるけど
何か、蚊帳の外な感じが嫌。
「ちょうど夕飯もいっぱい作ってあるし
真由の誕生会、悠くんも参加しなさいよ」
「いいんですか?なんか、手ぶらなのに
すみません。」
「そんなの、いいのよー。もぉ」
結局、悠はうちで夕飯を食べることになった。
パパが帰宅して悠を見た時のパパは
最高に面白かった。
口をパクパクして鯉みたいになって。
お兄ちゃんなんて、
帰宅して悠を見た瞬間に
手に持ってた私への誕生日プレゼントを
床に落としちゃって。
「真由が彼氏連れてくる日がくるなんて」
って失礼すぎるでしょ。
夕飯を食べ始めると
パパ達、男3人衆はビールを飲み始めて
あっという間に仲良くなってた。
パパったら、お酒弱いのにカッコつけて
悠やお兄ちゃんと同じペースで飲むから
すぐ酔っ払っちゃって。
「悠くん、真由を頼んだぞっ!うぅぅぅっ」
って、泣き出しちゃうし。
寝ちゃうし。
パパが寝てからも
悠はお兄ちゃんとずっと飲んでた。
「あいつのどこがいいのー?」
「全部っす!」
「意味わかんねー!!」
そぉ言いながら爆笑するお兄ちゃん。
悠も酔っ払ってる……。
ってか、お兄ちゃん、私に失礼な事しか
さっきから言ってないんですけど!
こんな賑やかな誕生会のおかげで
悠との同棲は皆が賛成してくれた。
リビングのソファーで寝るパパを
ママがお尻を叩いて寝室に連れていく。
お兄ちゃんは、もぉダメだ……って言いながら
フラフラと自分の部屋に入ってった。
悠もだいぶ飲んでて、家に帰すわけに行かないから私の部屋のベットを貸した。
まさか部屋にまで上げることになるなんて…。
私のベットに寝そべる悠。
「真ー由ちゃーーーん、おいでっ!」
酔っ払ってる悠がベットで仰向けに両手を広げ
私を呼び込む。
「ちょっと、悠、声大きいよ」
慌てて悠に駆け寄ると
腕を引かれ、悠の胸の中に倒れ込んでしまった。
は…恥ずかしい。
そのまま悠の腕が閉じられ、
抱きしめたまま悠から寝息が聞こえ始めた。
う、うそ。
ずっとこのままなの?
ちょっと苦しいよ。
何とか抜け出そうと
もがけばもがくほど悠の腕に力が入って
余計に苦しくなる。
もぉ、無理っ。
諦めたと同時に、今まで気付かなかった
悠の心臓の音が耳に届く。
酔っ払ってるせいなんだと思うけど
凄く早くて
恥ずかしさと緊張で早くなってる
私の心臓の音とシンクロして心地いい。
私は悠の腕に包み込まれたまま
眠りについていた。
ピピピピピっ♪
聞きなれない携帯のアラームで目を覚ます。
悠の携帯だ。
「おはよう、真由」
「お、おはよう」
目を覚ますと悠の顔が目の前にあって緊張する。
寝坊して目覚めた時のように
一瞬で意識がハッキリとした。
悠と2人で1階に降りると
お兄ちゃんが既に朝食を食べてた。
パパは既に出社したらしい。
おはようの挨拶を交わし
ダイニングテーブルの席につく。
お兄ちゃんの前に私が座り、左隣に悠を誘導した。
ママが私と悠にコーヒーを出してくれる。
朝ごはんも食べて行きなさいってママが言って
手早く用意してくれた。
トーストと目玉焼きが出てきた。
朝食を終えて、駐車場まで悠を送ると
「いってきます」
そぉ一言、言って軽く口付けをして車に乗り込む。
ちょ……ママ達に見られたら……。
って思いと2度目だということに
心臓が飛び跳ねる。
顔を真っ赤にして口に手をやる私をみて
悠が満足そうに笑ってた。
悠の車が見えなくなるまで見送ると家に入った。
10年前にエブリスタのサイトで
完結した作品です。
表現などを修正してまた更新します。
色々な人に届きますように。