リア充
大人の恋愛小説です。
けしてエロくないです。
みんなの飲み物が揃ったところで。
『かんぱーい』
居酒屋でする乾杯、とは違う
少し控えめな乾杯をして
皆、グラスに口を付ける。
真斗くんも美有も飲むペースが早い!
悠も今日は飲んでないけど
飲むのが早いのを知ってる。
私もそんな風に飲めたらいいのに。
って、皆を羨ましく思った。
「ねぇねぇ、悠が飲んでるのって甘いの?」
カルーアミルクの味に少し飽きて
悠に聞いてみると。
「甘くはないな…ちょっと飲んでみる?」
そう言うと、
悠は持っていたグラスを差し出した。
えっ…
間接……き……
心臓が口から出ちゃいそうなほど
ドキドキしてるのを隠して、
グラスを受け取り、口に運んだ。
…※☆#×
「まっ…まずい……」
顔をしかめた私の反応に
悠がお腹を抱えて大爆笑。
うぅっ。。
恥ずかしい…!!
「ごめん、ごめん。まだ真由には早かったな」
笑いすぎて出た涙を手でぬぐいながら、
反対の手で私の頭を優しく撫でた。
…もぅ。
余計に恥ずかしくなるよ。
それから、楽しい時間は
あっという間に過ぎ
二時間くらいが経っていた。
私は少し酔っぱらっていて、
真斗くんと美有の2人は、
完全に出来上がっていた。
2人とも2時間前とは別人のよう。
呂律が回らなくなってて
すっごいハイテンションで。
肩を組みながら横に揺れ、何かを歌ってる。
そろそろ帰ることにした方が良さそうだねって
悠と会話をしてマスターにお会計をお願いした。
マスターが伝票を持ってくると
悠は自分だけが、その伝票を見て
お金を挟んで支払いを済ませてしまう。
鞄から財布を出す隙すらない。
「今日は俺が誘ったからおごり!」
「え、でも…」
「気にしなくて、いいの」
「ありがとう…」
悠はそぉ言ってくれたけど。
なんか悪いな、四人分も…
悠は帰るぞって言いながら
真斗くんと美有を立たせると
来た時と同じように扉を抑えて
2人を店の外へと促す。
2人に続いて私も外に出ようとした時
酔っていたせいか、
何も無いところで躓いてよろけた。
あっ…
って思った時にはもぉ体制を崩してて
コケることを覚悟した瞬間、
悠の腕が私の体を支え、
抱きかかえられていた。
一瞬、時計の針が止まったかの様な錯覚に陥る。
わ、私の全体重が悠の腕に…
お酒のせいで上がった体温が更に上がる。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。ごめんね」
「なんで、ごめんね?
そこは、ありがとうでしょ」
笑いながら優しく言う悠に
胸の奥が締め付けられる。
「ありがとう……」
照れのあまり、俯きながらお礼を言った。
悠が皆を送ってくれると言い
4人で車が停めてあるパーキングに向かう。
真斗くんと美有は、
相変わらず肩を組みながら
大きめな声で何かを話してる。
私には何を言ってるのか分からないのに
2人の会話は成立してるみたい。
車に着くと話し合った訳でもないのに
美有と真斗くんが後部座席に座り
私は助手席に座っていた。
まず美有から送ってくことになり
私のナビで悠が運転をする。
1分と経たぬ間に
後ろからの会話が聞こえなくなった。
振り返り2人を確認すると…
美有も真斗くんも寝てる!!!
それを悠に伝えると
バックミラーで後ろを見て笑ってた。
美有の家まで20分くらいのドライブ。
真斗くんが美有を
めっちゃタイプって言ってたとか
カラオケしてた時間や
コンビニで時間潰してた時の話をしてくれた。
「美有ついたよ!起きて!」
体を揺らして美有に声をかける。
目を覚ましてビックリする美有。
車で寝て、少し酔いが覚めた様子。
「ごめん、私…寝てたんだ。
送ってくれてありがとう。」
申し訳そうに、苦笑いで美有が言う。
私と悠は笑いながら美有と別れた。
真斗くんはというと、まだスヤスヤと寝てる。
この後は私か。
何となく、まだ帰りたくないな。
もっと一緒に居たかったな。
って思ってる自分がいた。
美有の家のナビを終えて気が緩んだのか
私も眠りに落ちてしまった。
バンッ。
車のドアの閉まる音で目が覚めた。
お腹と足を覆うように
さっきまで悠が着ていたダウンが
私に掛けられている。
周りを見渡すと車内には誰もいない。
運転手の悠すらいなくて外を見てみると
悠と真斗くんが笑いながら話してた。
会話は聞こえない。
少しすると真斗くんが手を振り
見知らぬマンションの中へと入っていった。
悠は車に戻ると
起きてる私を見て少し驚いた顔をした。
「真由、起きてたんだ」
「うん、ドアの音で目が覚めた。
寝ちゃってゴメンね。ダウンありがとう」
それから、道案内をしながら
家まで送ってもらった。
家に着いて悠は、
こんなに自分家と近かったのかと驚いてた。
驚くよね。
私も驚いたもん。
車だと5分くらいの距離だもんね。
私が車を降りると悠も車を降りて
私の家の門の前まで来てくれて。
「またな」
そぉ言うと、頭をポンポンと2回撫でられた。
今日だけでどれだけ撫でられたんだろう。
その度に私の心臓が暴れだす。
恥ずかしさで、
またねと言って直ぐに家に入った。
玄関に背中をもたれかけながら
暴れる心臓を抑える。
車のエンジン音が遠くなるが聞こえてた。
その体制のまま、今日一日を振り返る。
バイトで始まった、いつもの日常。
突然バイト先に悠が来て。
4人でBARに行くことになって。
楽しかった時間を思い出す。
最近なんだか、
充実した日々を送ってる。
今まで特にやる事もなく、
たまに美有と遊ぶ以外、
バイト漬けだった毎日。
休みの日も家でゴロゴロしてばかり。
そんなに楽しい事もなかったのに…
悠と出会ってから何もかも変わった。
毎日が楽しくて仕方なかった。
面倒くさいと思ってたバイトさえも、
楽しめるようになった。
悠っていう存在は大きい……
一瞬で私をここまで変えてくれた……
美有がTwitterを教えてくれなかったら
出会ってなかった運命。
こんなに近くに住んでいたのに。
悠に出会えて、本当によかった。
心からそう思うよ。
10年前にエブリスタのサイトで
完結した作品です。
表現などを修正してまた更新します。
色々な人に届きますように。