表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〜TUES DAY〜  作者: †姫kan†
18/19

最終話~悠side~

大人の恋愛小説です。

けしてエロくないです。

もう少しで真由と付き合って2年。


出張ホストって仕事を結局辞められないまま

真由に嘘をつき続けて2年。


この嘘は墓場まで持っていくつもりだ。


俺は半年も前から2年目の記念日には

真由にプロポーズをしようと決めていた。


そのために転職先も決めた。


俺をこの世界に入れた先輩が

結婚を期に不動産屋に転職してたから

その先輩の紹介で俺も来月から

不動産屋に勤めることが決まってる。


あと少しで、この嘘からも解放される。


辞めるまでに

真由との新婚生活の資金を貯めておきたくて

仕事を増やしてがむしゃらに働いた。


毎週火曜日には、実家に帰る真由。


婚約指輪を隠すため、

火曜日に宝石店へと足を運んだ。


店に入り指輪のコーナーを見ていると

黒のビジネススーツに夜会巻にメガネといった

仕事出来そうな女性店員が近付いてきて

“御婚約ですが?”と声をかけてきた。



「近々、彼女の誕生日にプロポーズしようと思ってて」



正直に答えると、素敵ですねって言いながら

ガラスケースの中から4本の指輪を取り出した。


4月の誕生石はダイヤモンドだからといって

ダイヤモンドの埋め込まれた指輪を出した。


仕事上、誕生石くらいは把握していたが

そうなんですねって適当に相手に合わす。


真由の華奢な薬指に似合いそうな指輪を選んだ。


金属部分はプラチナで3つのダイヤが埋め込まれてる。

センターに2、3ミリのダイヤがあり

その両隣に1、2ミリのピンクダイヤ。


店員に聞くと当日中に持って帰れると言われたから

即決で購入した。


指輪の裏側に

eternity~mayuu~と彫ってもらった。


永遠に一緒に居られる様にと願いを込めたeternity。

ずっと寄り添っていきたいと願いを込めて

真由と俺の名をくっつけたmayuu。


我ながらくさいなって思ったけど

一生に一度のプロポーズだからいいだろう。


昼間、仕事の合間に購入して

夜には渡せるって言う事だったから

閉店前に取りに行った。


コンビニで夕飯を買って帰宅。


結婚したら、この毎週火曜日の寂しい日も

なくなるんだろうな。


真由に告白した日、泣いて喜んでた真由を

思い出した。


プロポーズしたら、また泣いちゃいそうだな。

泣かせたい訳じゃないけど、

泣いて喜ぶ顔が可愛くて思い出し笑いしてしまう。


ご飯と風呂を終えて

真由がいつも電話してくる時間が過ぎた。


どうしたんだろう?

もう少し待ってみようと1時間がすぎても連絡がない。


しびれを切らして自分からかける。

無機質なプルルルルって音が何度もなり

自動アナウンスの留守番電話に繋がる。


ん?何かあったのか?

心配でLINEを入れる。


ーーーーーーーーーーーーー

お疲れ

何かあったのか

大丈夫

寝てるのかな

ーーーーーーーーーーーーー



今まで1度たりとも

連絡がない日なんてなかったのに…


既読が付くことも無く、

寝たんだろうと自分に言い聞かせた。


結局、ほとんど寝れずに朝を迎え

眠さと気だるさを抱えたまま出勤時間になる。


なんで昨日は連絡がなかったんだ?


朝、真由からLINEが来て寝てたと言う。

本当なのか?


なんか、あったんじゃないのかと凄く不安だ。


その日は常連の太客(大金を使ってくれる客)に

時間延長を希望され、

遅くなると真由に電話をした時もいつもと違った。



「うん、わかったよ。」



と、すんなり言われてしまった。


つい、この前までは寂しいと駄々をこねていたのに…

急にどうしたんだろう…


━━━━━その日の夜。



「早くお風呂入ってきて!

温めるだけだから、すぐできるよー!」



キッチンに立つ真由の横顔をふと見ると、

大人っぽくなったな……と

なぜか俺は切ない気持ちで胸が締め付けられた。


真由が俺の傍から離れていく気がして戸惑った。


全てを終えて、寝る時。

俺はいつものように、

真由の頭の下に腕を持っていこうとしたら。



「昨日、寝違えちゃったみたいで、

今日は首が痛いから、腕枕はいいよ。」



と言った真由。


なんだよ。

俺はいじけて、真由に背を向けて寝た。


真由なら、すぐに甘えてくるはず!!

そんな思いも虚しく、

真由は何もしてこなかった…


………


絶対、おかしい。

いつもと違う…


なんなんだ…この違和感は?


俺は昨日の寝不足もあって、

気付いたら寝てしまっていた。


ふと目が覚め時計が視界に入る。

深夜2時過ぎ…


ん!??


背中に真由がしがみついてきた。


!?!?!?

泣いてる…のか…!?



「悠…ゆっ、悠……」



泣きながら、本当に小さな声で

俺の名前を何度も呼ぶ真由。


なぜか身動きがとれず、

声をかける事すら出来なかった。


どうする事も出来ないまま…

気が付けば、また寝てしまっていた。


翌朝、目を覚ますと

いつも通りの真由の姿。


あれ!?

昨日の出来事は…夢……?

だったのか?


いつも通りに、玄関まで

見送ってくれた真由。


あれは夢だったのかな?と不安もあるが、

いつも通りに振る舞う真由に…ひと安心。



「いってくるな」



そう言って、笑顔で家を出た。

真由も飛びっきりの笑顔だった。


あぁ、可愛いなぁ……


今日はいつもより早く受付を終了して

仕事を切り上げた。


色んな客が多いこの仕事。

いい客も居れば嫌な客も居る。


毎日、家に帰るのが、楽しみだった。

俺のオアシスだから。


家に帰れば、大好きで愛しくて仕方がない真由が、

美味しい手料理を用意して待っている。


玄関を開けて家に入る。



「ただ……いま?」



!?!?!?

はっ?


家は真っ暗で誰もいない……。



「真由??」



とっさに真由の名を呼ぶ俺。

けど、返事はない。


電気をつけると、テーブルの上に

手紙とオムライスが置いてある……


その光景を見て、慌てて家中を見にいく。


…………


真由の物が何一つ無くなっている。


リビングに戻ると俺は

一気に体の力がぬけ、しゃがみこんだ。


テーブルに置いてあった手紙を手に取り読んでみる。



━━━━━━━━━━━━━

悠へ


おかえりなさい。


いきなりの事で、驚いてるよね?

私はこの手紙を書きながら涙が止まらないよ。


いきなりごめんね。


私、悠の仕事…知っちゃったんだ。

火曜日に連絡しなかったのも、そのせい。

ホームページも見ちゃった。


それからググッてみたり色々調べちゃって…

勝手に調べたりしてごめんね。


でも、真実を知りたかったの。

それだけは、わかってほしいな。


それで、凄い悩んだんだけど、

好きだけど……悠の事、好きだから

受け入れられなかった。

本当にごめんね…


でも、心の底から愛してたよ…


もう会わないし、電話もしない。

さようなら


家の鍵はポストに入れておきます。


真由

━━━━━━━━━━━━━



手紙を読み終える頃には涙が止まらなかった。


手紙は確かに真由の涙で、

滲んだ文字が何ヶ所もあって

この手紙を書く真由の姿が目に浮かぶ。


手紙を握り締め、

俺は今までにないくらいの大声で泣いた。


何で、もっと早くに仕事を辞めなかったんだよ。


バカだよな。

泣きながら後悔をした。

後悔したって、もう遅いのに。


今月で辞める、この仕事。

あと1ヶ月辞めるのが早ければ

違う結末だったのか?


いや、真由が知った経緯が分かる気がした。

きっと同じだっただろうと思い直す。


頭に浮かぶ数々の真由の笑顔と、

沢山の思い出達…


いつも隣に居てくれた真由。

「悠~」って呼ぶ真由の声。

キッチンに立って料理をする真由。


今はもう、その真由がいない。ふ

俺にはそんなの、耐えられない。


今ならまだ間に合うかも……

慌ててポケットから携帯を取り出す。



「お客様がお掛けになった電話番号は

現在使われていません。

番号をお確かめになって

もう一度お掛け直しください。」



受話器の向こうからは虚しいアナウンスが流れた。


真由は携帯を解約していた。

これで、もう終わりなのかよ…








「真由ーーーーっ!!」

10年前にエブリスタのサイトで

完結した作品です。

表現などを修正してまた更新します。



色々な人に届きますように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ