うそつき……
大人の恋愛小説です。
けしてエロくないです。
━━━━━━あれから1年半。
もぉすぐ悠と付き合って2年になる。
悠の誕生日には
バイトは休みなのに早番だって嘘ついて
朝、忘れたふりとゆうか知らないふりをして
悠の帰宅時間に電気を全部消して
ダイニングテーブルに用意した
ロウソクを1つだけ灯して出迎えた。
サプライズのお誕生日会。
悠の大好きなオムライスや唐揚げ。
ケーキも手作りで用意して
プレゼントには手紙とBVLGALIのキーケースを。
悠はとっても喜んでくれて
その顔を見て私も凄く嬉しかった。
付き合って1年の記念日には
私の誕生日も重なって。
悠もサプライズが大好きだから……
どこに行くかは内緒って言って
連れて来てくれた場所が
ディズニーランドのオフィシャルホテル。
お部屋の中もディズニー柄で
窓から園内が眺められたの。
夜に見た窓からの眺めが今でも忘れられない。
二泊三日、シーもランドも満喫できて
人生で1番の誕生日だった。
悠と出会ってからは、
時が経つのが凄く早い気がした。
付き合った頃と何も変わりないね…
って、二人で笑いながら過ごした。
2年目も、3年目も……
毎年祝おうと約束した記念日だった。
そして、そして!!
もぉすぐ2年目。
去年約束した事は守れそうだね。
2年目も一緒にお祝いができる。
私は24歳になる。
悠なんて30歳だよ!!
私逹の出会いはTwitterだった。
まさかSNSで、
悠みたいな素敵な人に出会えるなんて……
悠には色んなモノをもらった。
色んな事を教えてくれた。
人を好きになる事…
それが私の中で1番大きかった。
後は悠との沢山の思い出たち…
初めて遊んだ日
私の初めての手料理を2人で食べた。
初めて二人で桜を見た日
その日は私の誕生日で
悠に告白をされて指輪をもらった。
初めて悠が家に来た日
お母さんと仲良くしてくれて、
私の家族皆とご飯を食べた。
初めて悠と一緒に寝た日にもなったね。
初めて水族館デートした日
二人で最初から最後まではしゃいで…
子供の頃に戻った気分だった。
初めて悠と結ばれた日
凄く嬉しくて、凄く緊張した…。
でも、本当に愛されてるって感じて幸せだった。
悠は休みの日にしか体を求めてこなかった…
仕事が大変なんだなって思ってる。
毎日お仕事お疲れさまです。
不安も不満もなく、ずっと過ごしてきたから
ケンカする事もなかったな。
毎日ちゃんと帰ってきてくれて、
いつも一緒に居てくれて。
たまに帰りが遅い時だけ
寂しい気持ちになったりした。
初めて行った海
私は海が大好きで、感動のあまり涙を流した。
悲しいんじゃない…
なぜか急に涙が溢れ出てきたんだ。
初めて行った温泉
初めて行ったディズニーランド
まだまた悠と行った場所は沢山ある。
どれもが私の大切な思い出。
私だけじゃない。
きっと悠も、そう思ってくれてるね。
2年目の記念日、私にはとっておきの
プレゼントがあるんだ。
赤ちゃんのエコー写真。
まだ、ただの小ちゃい丸だけど
この丸が悠と私の赤ちゃんだと思うと
愛おしくてたまらない。
規則正しく生理が来るのに
2週間遅れてて病院に行ったら
女医さんにおめでとうございます
って言われたの。
すぐにでも悠に言いたかったけど
もぉすぐ2年記念だから、それまで内緒。
悠に1番に伝えたいから
まだ誰にも言ってない。
♪~♪~♪
~着信 美有~
ん?美有?
最近、あまり連絡を取らなくなってた美有からの着信。
「美有、久しぶりー!どぉしたのー?」
「真由……久しぶり」
凄く低いトーンの美有の声。
なにかあったのかな……?
「驚かないで聞いて欲しいんだけど……」
え?何?
美有を心配してた気持ちから一変。
凄く嫌な予感が私を襲う。
「悠くんなんだけどさ……」
え?悠?
悠がなに!?
事故?え?何なの?
聞きたいけど、聞きたくない。
「たぶんなんだけど……
悠くんの仕事、IT関係じゃないよ」
美有、何言ってるの?
突然、電話してきて何なの?
「悠くん、出張ホストっぽい……」
え?出張ホストってなに?
わかんない。
頭の中がこんがらがってグチャグチャになる。
出張ホストって言葉、初めて聞いた。
美有に何って聞いても説明が難しいから
ホームページのURL送るから見てって。
夜の仕事仲間に見せられて
偶然見つけたらしい。
とにかく訳が分からないから
美有との電話を切って
送られてきたホームページを見てみた。
ホームページを開いた瞬間、後悔する。
1番に目に飛び込んできたのは
“女性用風俗店”
風俗って、風俗って、あの風俗だよね?
無知な私でも分かる。
エッチなやつだよね……
画面をスクロールして行くと
今月のNo.1って文字と悠の顔写真が出てきた。
芸能人の宣材写真のような
白の背景にスーツ姿の悠。
メイクもしてるのかな?
私の知ってる悠より綺麗な感じ。
これ、悠かな?
そっくりさんってことない?
そんな淡い期待は一瞬で打ち砕かれる。
今月のNO.3も知ってる顔だった。
真人くんだ……
2人とも出張ホストだった。
全然、気が付かなかった。
2人とも平気な顔して嘘ついてたの?
しかも、こんな嘘…ひどすぎる。
2年も平気な顔して嘘ついて。
いったい何を信じたらいいの?
ホームページを閉じて
出張ホストって言葉をググッてみる。
デートしたり、
やっぱりエッチなこともするらしい。
色んなサイトを開いてみるけど
見れば見るほど嫌気がさす。
嫌悪感。
汚い。
こんなの利用する人いるの?
数時間で何万円も何十万円もする。
あ……
色んな事が、この仕事と結びついちゃった……
悠が仕事から帰ると
必ず直ぐにお風呂に入るのは
潔癖症なのかなって思ってたけど
他の女の人の匂いとかを隠すため。
悠が休みの日にしか私を抱かなかったのは
仕事で疲れてるからだと思ってたけど
私の知らない他の誰かを抱いてたから。
って事だよね……?
最悪……
このタイミングで、こんな事実知りたくなかった。
ようやく頭の中が整理されて
きちんと理解したところで涙が溢れてくる。
クッションに顔を埋めて
大きな声を出して泣いた。
子供みたいに……
泣いて、泣いて、泣き疲れた頃。
今日が火曜日だと思い出した。
実家に帰る日。
何だか救われた気がした。
実家に帰るとママが私の顔を見て驚く。
泣き腫らした顔を見て心配するママに
感動する映画を観て泣いちゃったと嘘をついた。
嘘がバレそうで、自分の部屋に閉じこもった。
トントントントンっ。
誰かが階段を登る音がした。
そしてドアがノックされ開かれる。
「真由入るわよ?ご飯は?あら…寝ちゃってる。」
そう言うと、お母さんはそのまま戻って行った。
ご飯なんていらない。
とっさに寝たふりをした。
どんどん時間は過ぎて行った。
20時…
21時……
22時………
ボーっとして、ただただ
今日のホームページ画面が頭に浮かぶ。
いつもなら、必ず悠に
電話をかける時間になっても
私は混乱していて電話をかけられなかった。
話したくない…。
それが本心。
そのまま時間が過ぎて23時頃、
私の携帯が鳴った。
♪~♪~♪
~着信 悠~
悠からの着信。
出る事ができない私。
どういう態度をとればいいの……?
それに今は話したくないよ…
長く鳴り続け、ようやく着信音がやんだ。
電話が切れた直後、
今度は悠からのLINEが届いた。
ーーーーーーーーーーーーー
お疲れ
何かあったのか
大丈夫
寝てるのかな
ーーーーーーーーーーーーー
そのLINEを見て、また涙が出てきた…
悠はずるい。
何もなかったように優しくしてきて…。
もうバレてるんだよ。
今まで何も気付かなかった…
悠は真面目にパソコンに向かって
仕事してると思ってた…
平気な顔して嘘ついて…
悠の気持ちとか…
今まで見てきた悠の行動全てが
嘘に見えちゃうよ…
私はどうしたらいいの?
わからないよ、悠……
私は泣きながら気が付いたら寝ていた。
次の日の朝。
悠に連絡しないと…怪しまれるよね。
何もなかったかのようにLINEを打つ。
LINEを打ってる時、胸が締め付けられて苦しくなる。
ーーーーーーーーーーーーー
おはよう
昨日はゴメン
寝ちゃってたよー
またでね(・ω・)
ーーーーーーーーーーーーー
~送信~
嘘のLINEを送った。
支度をして、家に帰らなきゃ。
帰りたくないのと、会いたくない気持ちで
いっぱいだった。
逃げだしたくて…たまらなかった。
悠の家に向かう途中、
帰りたくなくて、中々足が進まない。
いつもなら、20分程で着くのに
1時間以上かかった。
家に着いた途端、また涙が溢れ出す…
どうしたらいいのかわからない。
いつも通りに、夕飯を作って
悠の帰りを待つ。
本当は今にも逃げ出したくて仕方がない。
でもここで逃げたら…
絶対によくないと思った。
これから私はどうすればいいんだろう?
悠にどう接したらいいの?
知らないふりを続ける?
知ってしまったと言って、
仕事を辞めてもらって付き合っていく?
それとも……別れる?
お腹の赤ちゃんはどうするの?
正直本当にこの先の事がわからなくなった。
10年前にエブリスタのサイトで
完結した作品です。
表現などを修正してまた更新します。
色々な人に届きますように。