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〜TUES DAY〜  作者: †姫kan†
15/19

1ヵ月記念

大人の恋愛小説です。

けしてエロくないです。

今日は、もう火曜日か…

悠と同棲を始めて1週間。

あっという間だった。


明日はお母さんに帰る約束をしている火曜日。


1週間前まで当たり前の事だったのに

悠と離れるのが寂しい……


1日くらい我慢しなきゃだよね。


バイトが終わって、実家に帰る。


この道のりもなんだか懐かしい。


バイトを始めてから約3年間、

ずっと通ってきた道だから。


自分の家に帰るってだけなのに

段々と緊張してくる。


今まで1週間も家に帰らなかったことなんて

なかったから……


ドキドキしながら玄関のドアを開けた。



「ただいまー」



ドアの音でママが玄関まで迎えに来てくれた。



「真由、おかえり。さぁ、早く中入りなさい。」



いつものママだ。

笑顔で。


なんか、凄く久しぶりな気がしちゃう…


玄関も廊下もリビングも

当たり前だけど変わってなーい!


私の部屋に行くと…

素敵っ!!

変わってない!!


そりゃ、そうか…

なんか、数年ぶりに家に帰ってきた気分だよ。



「ごはんよー!」



ママの掛け声でダイニングに向かうと、

豪勢なご飯達がテーブルに並んでいた。


さすがママ…!



「すっごーい!いただきます。」



バイト終わりでお腹が空いてたこともあり

ガツガツとご飯を食べる私。


やっぱりママのご飯は最高!!


箸が進む、進む。



「真由めずらしいわね。

そんながっついて食べるなんて。」



目を見開いて私に話しかけるママ。



「久しぶりにママの美味しいご飯だもん!

うーん、お代わり!」



本当に美味しくて食べすぎちゃう。


ご飯食べてる間、

ずっと悠との話でもちきり。


うまくいってる事を伝えたら、

自分の事のようにママは喜んでくれた。


ママから言われたんだけど、

私が悠の話をしてる時は本当に楽しそう!

って…そんなに顔に出てるのかな?


確かに、悠の話してる時は

楽しいっていうか幸せだよ。


ママはさすがだ…何でもお見通し!


ママも悠の事を気に入ってくれてるし凄く嬉しい。



「ごちそうさまでした。」



食事を終えて食器をさげ、部屋に戻った。


まだ20時か…

お風呂入ってから悠に電話しよっ。


全身を洗い終え、

お風呂に浸かりながら鼻歌を歌った。


♪~♪~♪


鼻歌から、だんだんと熱唱に変わる。


♪~♪~♪


今の私にピッタリなテンションのあがる恋の歌。

歌詞の君の部分を悠に変えてみる。


ふと自分を客観視するとカナリ痛い子。

やめよ……


1曲歌い上げた頃には…暑い……。


逆上せちゃう1歩手前。

そろそろ出よ……。


頭にタオルをターバンの様に巻いて脱衣場を出ると

冷蔵庫から水を出して一気飲み。


プパーっとビールでも飲んだかのように一息つく。

冷蔵庫で冷やされてた水が

食道を通るのを感じる。

お風呂上りで火照った体が中から冷えていく。


ママにおやすみの挨拶をして部屋に戻った。


部屋に置きっぱなしにしてた携帯を見ると

悠からLINEが入ってた。



―――――――――――

今から真人と飯。

帰ったら電話する❤

―――――――――――



送られてきたの30分前か。

まだ帰んないよね。

何してようかな?



―――――――――――

お風呂入ってたよー!

帰り運転気をつけてね

―――――――――――



ひとまずLINEを返信してベッドに寝転がった。


悠と一緒に暮らして初めて帰ってきた実家。


そこから歩いても20分くらいしか

かからない悠の家。


今日はもの凄く遠く感じる。

地球の裏側にいるんじゃないかって気分。


一人のベットがこんなに寂しいなんて初めて知った。


今までは一人が当たり前だったのに…。



♪~♪~♪



悠からの着信音が部屋に鳴り響く。

1秒鳴ったかな?位ですぐに出た。



「もしもし」


「真由?今、平気?っつうか出るの早くない?」


「うん、大丈夫だよ!携帯ゲームしてたの

もぉ、帰ったの?」


「おぅ、真人と中華食べてきたよ」


「中華いいね」



なんて、たわいもない話をして

付き合う前の二人にみたいで少し新鮮だった。


付き合う前と違うのは私が悠の家の事を

熟知してるって事。


だから、電話しながら悠がどの部屋で

どんな体制で話してるのかを

想像するのも楽しかった。


今日一日の出来事をお互いに話す。

最後はお互いの気持ちを確かめ合って

おやすみで終わるの。


毎週火曜日の22時過ぎ。

この時間には必ず家に居て電話をくれる悠。


これが私の新しい日課になった。




━━━━━━5月11日。



今日は悠と付き合って一ヶ月記念。


一ヶ月ってこんなに短かったっけ?

って思う程、あっという間に過ぎた。


なんと!!

ラッキーな事に、初記念日がちょうど日曜日なの。


記念日に悠とまったりデートできるなんて…

私、幸せすぎる!!


実は悠にはまだ内緒だけど、

プレゼントを用意してるんだ。


手紙と安物だけど…

キーホルダー。

可愛いのを見つけたから。


悠のは水色のひもで

私のはピンク。

ひもの先には割れたハートの片側が付いてて

2つを合わせると、1つのハートになるってゆう…。


早く渡したい気持ちもあるけど、

夜までのお楽しみ。


今日の朝食はいつもより豪華!


日曜日の朝は決まって起きるのが遅いから

朝食というよりは、ブランチだけどね。


いつもなら、トーストとハムエッグとかで

簡単に済ませちゃうんだけど。


記念日だから張り切って

オムライスとサラダとスープを作ってみた。


悠はオムライスが大好きだから、

喜んでくれるかな?


って思って作っちゃったけど……

寝起きには重いかな?


でも、いつも朝から

しっかり食べる方だから多分平気だよね。


食卓に料理を並べて悠を起こすため

寝室に向かった。


カーテンを一気に開き部屋に光を取り込む。



「ゆーうーっ!!ご飯、出来たから起きて!!」



まだ寝たりないのか、

うーんと、うなってカタツムリみたいに

顔を布団の中に潜らせた。


もぉ…悠ったら、寝過ぎだよ。

せっかくのオムライスが冷めちゃうよ。


どうしても出来立てのオムライスを食べてほしい!

っていう私のワガママで布団を半分まではがして、

無理やり起こす。



「悠、起きろぉーーー!」


「うーん…真由がチューしてくれたら起きる。」



悠の一言で私の動きがピタっと止まってしまった。


そんなの恥ずかしいよ……

けど…今日だけは特別だよ……



chu!!



悠のホッペに軽くキスをした。


きっと、今の私……

ゆでだこみたいに赤い顔してると思う。



「ありがと。真由、おはよ」



クスっと笑いながら頭を撫でてくれた。



「お…おはよ。ご飯、食べよ?」



そう言って寝室を出た。


悠が顔を洗ってるうちに


オムライスを少し温めなおして、

また食卓に並べた。


洗面所からノソノソと

リビングに来た悠が食卓を見て、



「うゎー!オムライスじゃん!早く食べよ。」



早く食べよって…悠待ちだったんですけど。

って言いたかったけど

悠の本当に嬉しそうな顔を見て言葉を飲み込んだ。


もの凄い勢いで、

オムライスもサラダもスープも…

全て綺麗に完食してくれた。


悠が洗い物もしてくれる。



「今日、行きたい所があるんだけどいい?」



行きたい所?


どこ?と悠に尋ねても、

内緒と言って教えてくれない。


なんだか、告白してくれた時を思い出す。

あの時は内緒って行ってお花見スポットに

連れてってくれたんだよね。


簡単に身支度を済ませて

悠の車で家を出発した。


車を走らせ始めて1時間がたった頃、

気がつくと海岸沿いを走っていた。


うわーっ、綺麗!


海の水面が太陽の光を反射してキラキラ輝いてる。

窓を開けると潮の香りが車内に広がった。


そこから少し進んだ所にあった

駐車場に車を止める。



「行くよ」



と、悠が言って車を降りた。


二人で手を繋いで浜辺へと足を運ぶ。



「悠が行きたかった所ってここ?」


「そうだよ。」



悠はいつもそう。

私を喜ばせるのが上手。


私、海って大好き!!

どこまでも続く広い海。

あの水平線の向こう側に

外国があるんだなぁって思うと素敵でしょ??


あぁ、もう我慢できない!!


悠と繋いでいた手を離して、

波打ち際まで走った。



「悠、早く早くー!」



裸足になって海に足をつけた。



「キャっ。冷たい」



まだまだ水温の低い時期。

でも水の冷たさにも、直ぐ慣れてしまう程

今はテンションが高かった。


悠が遅れて私の所まで来ると、

無理やり裸足にさせて


一緒に足をつけた。



「うわっ。冷たてー。」


「直ぐに慣れるよ!」



悠は呆れたように笑った。


それから私と悠は追いかけっこをした。


ドラマや映画を見て憧れてたワンシーン。

もちろん、私が悠にお願いして

悠はそんなお願いに付き合ってくれた。


楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。



気が付けば、海と同化してしまう程の青空は

オレンジ色に変わっていた。



「真由、あっち見てごらん?」



悠の指差す水平線に目を向けると、

オレンジ色に輝く太陽が

水平線に沈んでいくのが見えた。



「綺麗だろ?」



追いかけっこのせいで

少し離れた場所に居たはずの悠が

いつの間にか隣に居て、そっと私の手を握った。



「綺麗・・・」



初めて見る日の入。

その光景が本当に綺麗で、口からは勝手に言葉が…

目からは涙が溢れ出た。


二人で水平線を眺め、無言のまま時が過ぎていく。


太陽が完全に沈んだ頃に、

先に口を開いたのは悠だった。



「1ヶ月記念。これからもよろしくな」



えっ?

昼間起きてから今まで何も言ってくれなかったから、

気付いてないんだと思ってた。


悠はサプライズが好きだね……

私もサプライズを用意してるんだ。


悠の手を離してバックの中に忍ばせていた

手紙とプレゼントを取り出した。



「はい。1ヵ月記念のプレゼント」



そう言って、2つを手渡すと。



「ははっ。気が合うな!」



って言いながら、ポケットから手紙を取り出し

私に差し出した。


お互い恥ずかしいから、

帰って1人の時に手紙は見る事に。


キーホルダーは早く見てほしかったから

開けてもらって、お互いのキーケースに

付けることになった。



「ありがとな。このキーホルダーみたいに、

いつまでも俺と真由、2人で1つだからな。」


「うん。ずっと一緒に居ようね」



悠の事になると泣き虫になってしまう私は

やっぱり泣いてしまって、

悠は包み込むように私を抱き締め、

頭を撫でてくれた。


私が泣き止むと。



「そろそろ帰ろうか?」



悠の言葉を合図に、車に戻って夕食を食べて帰った。


こうして、私逹の幸せな記念日が終わった。

10年前にエブリスタのサイトで

完結した作品です。

表現などを修正してまた更新します。



色々な人に届きますように。

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