変人店員との出会い1
寮に戻った後、急いで待ち合わせの場所へ向かうと先生はもう着いていた。先生に教師の面影はちっともなく、一瞬別人と見間違える程に雰囲気が違った。
服装でこんなにも変わるなんて…服 ってすごいな、なんて思っていると目的の魔道具屋に着いていた。
少し小さい木造の店で、出入口に小さなベルが付いている。店内は清潔感があり、数々の商品は丁寧に並べられている。先生が話していた魔道具を探していると、青髪の女性店員に声をかけられた。
「いらっしゃいませー!魔道具専門店、アイディフルへようこそ!どんな商品をお探しですか?」
「王都で噂になっている品が此処に置いてあると聞いたんですが、まだ残っていますか?」
あの先生が…愛想笑いをしている。果たして本当に先生なのだろうか?そう心の中で審議している僕を無視して会話は進んでいた。
「すいません。その商品は先程完売しました。但し、オーダーメイドでしたらまたご来店される際までに御作りできますけど…どうしますか?」
「オーダーメイドはどのくらいの値段になりますか?」
「銀貨4枚です。…少しお値段が張りますがお好きな色を選択出来ますよ」
店員さんは手慣れた様子でそこまで会話を運ぶと、僕の姿を見つけたらしく笑顔で手を振られた。その笑顔に何となく恐ろしさを感じ、身体中に鳥肌がたった。
「銀貨4枚ですか…手持ちが足りないし、また今度来ますね」
「オーダーメイドは予約順になので、今を逃すと一ヶ月先とか平気で待つ事になりますが宜しいですか?」
帰ろうとしていた女性はその言葉に足を止め、その場で悩み始めてしまった。これを好機と見たか、店員はある条件付きで銀貨2枚で二人分の魔道具を作ると提案した。
「その女の子の名前を教えて下さい。そしたら、一つ銀貨1枚で作りますから!どうですか?良い条件だと思いますけど」
「彼…イヤ、彼女はアイト・ナイアータです。…これで作って貰えますか?」
女性は少年の方をちらりと見ると、店員へ少年の名を明かした。罪悪感はあるようだが、欲望に負けてしまったのだろう。それだからか、女性は何処か幸せそうな表情をしていた。