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俺の親友が女になったんですけど1


 3月の桜が丘高校2年生の春。宮崎春翔(ミヤザキハルト)は終業式の後の午後。学校帰りに中学からの親友であり幼馴染みの宮尾瑠璃(ミヤオルリ)が話があると言われ喫茶店に入った。


 ルリとは本当に長い付き合いで。同じゲームを好きであり意気投合したのだ。男の名前が瑠璃なのは母親父親が生まれてくる子には絶対瑠璃だと決めたらしく。俺も冗談でルリチャーンなんて言って弄っていた。殴られたが。まぁ世の中にはルイと言う名前の男子もいたし気にするなとは言っている。


 そんなルリからの誘いだ。俺はなんだろうかと疑問に思いながらドリンクバーだけを頼む。安い客だが許してくれ。高校生だから。


 ルリは黙っていれば顔はよく。美男子だったイケメンである。性格もそこそこだが………オタクなのが尾を引いて俺と同じ彼女はいない。しかし、同じクラスメイトの小鳥遊小鳩(タカナシコバト)と言う絶世の帰国子女美少女学園アイドルを誉め合う中でもある。まぁ俺らには高瀬の花だと思っていたのだが。


「ルリ話は?」

「待ってくれ。薬を飲むから」


 ルリといった美男子は水を持ってきて薬を飲む。もしかして………深刻な病気が………


「そんな湿気た顔してどうしたハルト?」

「いや……ルリ………お前もしかして重病なのか?」

「あっいや。重病ちゃ………重病なんだけど」

「なんだよ?言ってくれよ覚悟するから」


 唐突の宣言に俺は泣きそうになる。こういうのは身近にあるんだなって。


「いや………俺もさ。驚いてたんだけど」


 深刻な顔で話を始める。俺は覚悟を決めた。


「言えよ。水くさい」

「実は………女体化する」

「はっ?女体化?」

「病名、突発性異常転換。染色体から変わっていくんだってさ。最近多いらしいね」

「………おい。死ぬことは?」

「死ぬ?ああたまに死ぬことはあるが早期発見で大丈夫だったよ。でも、進行は止められないんだってな」

「俺の覚悟と涙を返せ!!死ぬ病気かと思ったじゃないか!!」


 俺はテーブルに乗り上げ、ルリの胸ぐらを掴み揺さぶる。


「わ、わるかった!!わるかった!!だからその………な?」

「畜生奢れよ」

「へいへい」


 俺は頭をむしゃくしゃし勘違いの恥ずかしさを消し去ろうとする。それをニヤニヤと笑うルリ。


「にしても、全くそう見えないし」

「まぁ……もう戸籍は女になるし。少しこれでも膨らんでるんだぜ。まぁでも………自分じゃなくなるって不安なんだよなぁ。どうなるかわからないし」

「そっか。そうだよな」


 体がどうなるかわからないし。不安なんだよなぁ本当は。軽率だった。俺に相談してるんだ。しっかり答えてやろう。


「まぁ~なんだ………ルリが変わってもルリなんだしな。なんかあれば俺の出来ることなら手伝うよ。親友」

「ハルト……こ、これが親友って奴なんだな!!」

「あっ!!でも胸大きくなったら揉ませろよ!!」

「ハルト!!俺の感動返せ!!」

「うっせ!!こちとら童貞やぞ!!」

「おごりなしな!!」

「まぁ、おあいこだな」

「はぁはぁ………ハルト。まぁいい。それと春休みその病気で入院しなくちゃいけないから遊べね~」

「……ショックだわ」

「まぁ………ネットゲーはできるだろう」


 そのあとはなーんも変わらず。地球防衛軍のゲームが欲しいねと言う話題をするのだった。本当は死ななくれよかったと心から嬉しかったのだが。気恥ずかしくて言えなかった。






 親友の宣言から時がたち。春休みが終わり。始業式、入学式の日。俺はスマホのディスコードから校門で待ち合わせようと書かれたコメントに返事を返す。


 春休みの間に変体は済ませてあるらしい。俺も春休みの間に病気に調べた結果。最近の日本人の出生率が悪い事が起因しているらしいことしかわからなかった。まだまだ研究されている分野らしい。非常に今、盛んに研究されているので後続の研究結果待ちだ。


「………うーむ」


 そんなことを思いながら。新入生と一緒に校門前を追加する。ルリらしき人を見ない。立っている女の子はまぁうん。可愛いな。スマホを見ている。


「ルリ何処だよ」


 メッセージを送る。校門前と返信。すると女の子が一人顔を上げて俺を見つめる。


「!?」


 俺は…………絶句した。この学校の制服はまるでアニメコスプレのように可愛く人気があり。だが着こなすにはそれ相応の体型が必要と言われていた。それを着こなしショートの髪でフワッとした美少女が俺の前に歩いてくる。


「久しぶり。ハルト」

「お、おう……ルリなのか?」

「はは………絶対そう言うと思った。声も高くなって。あそこも無くなって。男の服が会わなくなってな………なーんも俺じゃぁなくなった。女装してるみたいで変な気分。気持ちわりぃだろ?」

「…………」

「な、なんだよ。喋れよ」


 俺は驚くと言葉が出ない事を痛感しながら。真面目に正直に話す。


「いや、女にしかみえねぇ……それに結構可愛い部類じゃないか?似合ってるし」

「お!?おま!?」


 顔を押さえて恥ずかしがる姿にああ、本当に女になっちまったんだなって思う。


「まぁ不細工、どブスじゃなくて良かったな」

「うるせぇ!!こちとら、不安で不安だったんだぞ!!」

「はは!!まぁ喋って確信したわ。ルリだな。なんだ………変わってないぞ」

「うぐ、はぁ………まぁいいわ。行こうぜ。そうそう………口調も変わるかもしれない。それでもずっと親友でいてくれよ」

「親友だろ?明日も明後日も」

「…………」


 俺たちはまぁいつも通り。同じになったクラスに入っていく。2階の2ー2のクラスだ。入った瞬間。ルリは質問攻めに合い。まぁ~みんなスゲースゲーと言うのだった。いや、本当にスゲーとしか言葉が出なかったが。




 放課後。俺らは帰宅部であり仲良く歩いて帰る。新入生がチラチラと俺らを見るが気にせずに歩く。


「はぁ……疲れた」

「お疲れ。ルリ」

「うん。疲れた」


 肩をトントンと片手で叩きながらため息を吐くルリ。俺はまぁまだ姿が変わったのはなれないがすぐになれるだろう。


「はぁあ。う~ん。これからどうする?」

「家返って。クソゲーがしたい」

「WoT?」

「そうそう、課金してるやつの方が強いよなぁ~あれ」

「時間を買う課金だからね」

「じゃぁ今日はそれやる?」

「それもいいけどダクソしたい」

「いいなぁ~それも。どれ?」

「2は論外」

「はぁああああ!?」

「姿は変わっても中身は変わらないんだな……」

「それはそうだろ。お前が……ハルトが親友って言ってくれたしな」


 ルリが少し男よりの長い髪をクルクルと巻き出す。その仕草はかわいい。あまりジッと見ていなかったが。顔は小柄で丸く睫毛も長いし目はクリっとしている。学園アイドルと同じレベルに纏まっていると思う。


「なぁ………お前さ。小鳥遊さんと仲良く出来ねぇ?」

「小鳥遊さんと?無理だろ」

「いや、女になったら話しかけられるだろ?」

「………まぁうん。下心なくなったし」

「へぇ?」

「……女を見て発情しなくなった。やばい」

「ああ、うん………」


 俺はルリの肩を叩き。そして一言言う。


「小鳥遊さんは俺がもらった。ライバル減ったわ」

「おう。殴るぞ」

「だって、お前もういいんだろ?」

「くぅ………はぁ…………このまま女で生きていけるかな」

「まぁ頑張れ応援してる。じゃぁ俺は頑張って小鳥遊さんと仲良くなりたいぜ」

「言うだけなら簡単だな」

「おう。言うだけならな」


 いつもの会話、いつもの話し方。そう俺はこれがずっと続くと思っていたのだが。変化は唐突にやって来てしまったのだった。







 俺の家は変わっていた。変わっていたと言うのもそれはそれは変だった。


「ルリちゃんお帰り」

「ただいま」


 全く、男と女に変わったのを気にしないのだ。逆に母さんがよく話しかけてくれるようになった。父さんはまぁ呆れていた。おかあさんは若く。お父さんと年がすごく離れている。今の俺も父親が言うには良く似てると教えて貰った。


「母さん。くっつかないで」

「ふふ、娘が欲しかったの。可愛いわぁ~」

「はぁ~」


 泣きそう。男に生まれ恵まれてなかったのだろうか?


「なぁ母さん」

「めっ!!もっと女の子らしいしゃべり方」

「おかあさん」


 声音を高くし喋る。気持ち悪くなり、背筋が冷えた。


「そそ、可愛くないと親友落とせないぞ」

「母さん。気持ち悪いこと言わないで」

「ふふ、まぁ~ねぇねぇ!!ルリちゃん!!服を買いにいかないの?私服はまだでしょ?」

「うん………でも気恥ずかしい」


 さすがに女性服を見に行くのにも勇気がいる。勇気がいるんだ。下着をつけるとき、いつもいつも悲しくなっている。


「ねぇ~買いにいかないの?」

「ひ、ひとりじゃ」 

「じゃぁ~おこずかいあげるから。ね?」


 手に数万円を握らせて貰えた。男のときの数倍でビックリする。


「!?」

「女の子の服は高いからね」

「そ、そうなんだ」


 男のときとは違うほど優しい。優しすぎる。


「まぁ親友に頼みなさい」

「母さんが一緒に来ないの?」

「マザコン?可愛い!!」

「………親友と行くわ」

「えええええ!?一緒に行こうよ!!」

「気が向いたら………な」


 俺は母を剥がして自室に戻り。スマホで電話をした。ダクソ2を起動しながら。







 休日、俺たちは百貨店に足を踏み入れた。何故かと言うと親友が地獄に付き合って貰うと言い。つれてこられたのだ。


「か、覚悟はいいな。ハルト!!」

「ルリ………行くのか」


 今日のルリの服装はジーンズにパーカーでボーイッシュな雰囲気だが。母親に急かされて女用服を買いに来た。初めてはいる聖域に俺たちはドキドキする。入ってみると。まぁ~今風の可愛い服が多い。


「早く買って帰る」

「…………ルリ。どういった物買うんだ?」

「ボーイッシュ」

「男を捨てきらないのかぁ~」

「ハルト!?なんだその邪悪な笑みは!!」

「これってどう?」

「す、ミニスカート!?」

「似合うと思う。今はまだ寒いな」

「お前………」

「よし、俺が選んでやろう。エロゲとゲームと母親の荷物もちで培ったセンスでな!!」

「や、やめろ………自分で決める」

「サイズはこれでいいな。あとこれとこれ」

「はや!?」

「じゃぁ~試着だな」


 俺は無理矢理ルリを試着室に連れ込んだ。そして、説明する。


「このジーンズのロングスカートならまだ恥ずかしくはないだろ。そこそこ暖かいし夏でも使える便利スカートだ。上については春らしいと言うことでピンクと悩んだが白を基調とした服で。上にもう一枚重ねることで気温に合わせて調整できるように数枚だ。あとはまぁまだ冬ならこのニット帽子が可愛かったがいらないな」

「く、詳しいな」

「モデルがいいから。分かりやすい。あと小鳥遊さんともしも………なら!!」

「変な努力に感服した」

「早く買え。それで帰ろう」


 渋々と言った表情で着替えてくれる。まぁ早く買って帰りたいのだろう。俺はうんうんと頷き。試着室の前で待つ。


「ど、どう……着替えたぞ」

「おお………流石はモデルがいいからばっちりだ!!可愛いな」

「お、おえ……」

「吐くな」

「気持ち悪くなってきた」

「俺は実戦出来て満足だ。小鳥遊さんにも誉められたい」

「じゃぁ~これにする。これに」

「よし、買い物お終わったな」

「楽しんでるな?」

「もちろん。お前結構可愛いし。小鳥遊さんには劣るが」

「畜生。お前も女になれ」

「残念男だ」 

「まぁいい…………あと1件ついてきてくれるな親友」

「………お、おう」


 ルリが着替え終わり会計を済ませた。俺はまぁおちょくりいじっていたが。次の店で顔面が蒼白になるのを感じた。


 下着売り場。それも………花柄大きめサイズの店。


「え?」

「さぁ入ろうか」

「え?」


 手をがっしり捕まれる。ドキッとするぐらいにルリの手は小さく柔らかい。それに胸も大きいからつい目線が行く。下着売り場だからこそ意識してしまった。


「離せ!!話せばわかる!!」

「ハルト。親友だろ。地獄に付き合ってくれ」

「ああが!!」


 引っ張られ下着売り場に高校生が入ってくる。俺は顔が硬直しルリは慣れているのか定員と話をする。俺は店から出たいが………


「ハルト。どんな柄が好き?黒?ピンク?ねぇねぇ」


 わざとらしく。女口調で俺に決めさせようとする。恐ろしい攻撃に晒され俺は思考が停止しそうになる。言わないと終わりそうもなくて………つい………指を差した。


「ナミアミダブツナミアミダブツ」

「ハルト。仕返し」

「仕返しがえぐい」


 俺はルリの束縛が溶けた瞬間戦線恐々として戦場を後にした。ルリは思った以上に柔らかくいい匂いだった。近くのベンチでグッタリと肩を落としていると買ってきたルリが満面の笑みで俺に声をかける。可愛い笑顔だ。憎たらしい。


「ありがとう。ハルト。おかげで勇気出た」

「ははははは………俺にはダメージデカイ」

「まぁわかる。本当にありがとう。一人じゃ無理だった。さぁ~行こうよ」


 ルリが笑みを浮かべて手を差し出す。親友をベンチから持ち上げるために伸ばした手。何故か意識してしまい。それを掴まずに立ち上がる。


「昼飯なに食べる?ルリ」

「たこ焼き」

「わかったぜ~」


 なお、俺はここでも地獄を味わった。真正面で熱がりながら食べるルリが異常に可愛かったため。親友の激変になれるのはもっと時間がかかりそうだと思ったのだった。





 親友大変身から二月が経った。クラスの人間との距離も俺が間をもって説明し。縮まり。ついには女子との中にまで入れる事になった。嬉しい誤算で俺の服のセンスが認められ。勉強のためにルリが用意したファッション雑誌の講評に参加できるようになった。そして親友はまた可愛くなった。磨きがかかった。髪は短めだったのだが。腰まで長いロングヘアー。サラサラな髪にお上品な雰囲気の顔つき。


 それだからだろうか、一躍有名になり。今までモブモブしい人間だったルリに脚光が浴びるのだ。人気に拍車をかけたのは元男だから気兼ねなく男の肩を叩いて会話に参加するし。皆に対して平等に接するために。八方美人と言われつつもなんとか平和に暮らしている。ナンパも数回、告白はなしだがいつかあるだろう。


「ルリ………お前すげぇーな」

「ん?どうしたの?」


 口調も等々、女性陣と一緒だったからか女に変わっていた。昼休みの春の木漏れ日と言うより夏になりつつある日差しの下でご飯を食べる。ルリはなんと自家製弁当だ。夏は弁当やめると言っていた。


「いや、女になってさ。明るくなったし……自信家みたいな。弁当作るし」

「うーん。弁当は残り物だよ。お母さんが作れ作れうるさいの。あと……やっぱり昔の自分が嫌いだったからかなぁ~」

「まぁ~俺は昔のお前、よかったけどな」

「…………」


 少し意外そうな顔で俺を見つめるルリ。


「今もな!!」

「ごめん。なんか気を使わいしたね。まぁそれよりも女子と話せたのはよかったし。なんかチヤホヤされるし。悪いことだけじゃないよね」

「それは俺も思った。受け入れられて良かったよ。あと!!おこぼれで女子と話せたのはいいな」

「そうそう」


 俺たちは嬉しそうに女子と話せる事に喜ぶ。なお、最近は親友もその一人な気がして気がして困ってはいる。変わりすぎなのだ。


「ハルト。タカナシさんのメアド手に入れたけどどうする?」

「幾らだ?」

「タダでいいよ。応援してるからね」


 メモ帳の切れ端を渡されて。俺はそれを天に捧げるように掲げた。


「タカナシさんにも了承取ってるよ」

「えっ?お前!?いつのまに!?」

「友達~!!」


 スマホを見せてくる。スマホには二人の美少女が仲良く画像に収まっていた。見た目おしとやかなルリと金髪美少女が並んでいるのはなんともいい画像だった。


「いったいどうやって………」

「声かけたんだよ。そしたら………ボッチだった」

「お、おう」

「女子は怖いね。フラれた腹いせとか。私も下駄箱の靴無くなったりしてたし」


 俺は何か良からぬ事を聞いた気がする。


「だから、ハルト。切っ掛けは作ったよ。あとはハルトしだい」

「ルリ!!やっぱ持つのは親友だな!!ありがとう!!」

「どういたしまして」


 親友は笑いながら俺を応援してくれる。これに答えないといけないと俺は気合いをいれるのだった。





 ハルトは喜んでくれた。その放課後の帰りに私は………大いに悩む事が出来てしまった。 タカナシさんと仲良く付き合えるチャンスに羨ましがっている自分。口調も何もかも女になっていく自覚が少し寂しくもあり、悶々として悩んでいた。それが良くなかったのか。私はボーとしていたのだ。


 ブウウウウウウウウウン!!


「ルリ危ない!!」

「あっ」


パスッ


 車の車道にフラッと出てしまった私は腕を痛いほど強く引っ張られハルトに抱き締められた。たったそれだけ。たったそれだけだった。


「わ、悪かった。ありがとう。俺……ボーっとしてた」

「だろうな。上の空だったから………あっぶな」


 抱き寄せたのは咄嗟だったのか。ハルトはすぐに解放してくれた。私も昔の口調を思い出すほどに動揺している。そう、鼓動が早鐘のように鳴り。体が火照った。


「おう、どうした?帰るぞ?」

「あっうん。なんでもない」


 ハルトは私が見てもイケメンに見える。フィルターがかかっているのかもしれない。長いとき一緒にいるからそう思っていたのかもしれない。


「………」 

「ルリ。どうした」


さっ


 私は距離をとる。何かわからないけど。体が反応してしまった。


「なんでもない。本当になんでもない」

「お、おう」


 何故か気まずい雰囲気のまま今日は帰るのだった。




https://novel18.syosetu.com/n0584eo/1/


注意。18禁です。





 めっちゃ柔らかかった。俺は今日あった事を思い出しながら悶々とする。まず、胸は柔らかかった。こっそり揉んだし。腰にも手を回した。匂いもした。


「女って柔らかいし。匂いもなんかいい。これってスゲー。元男のルリでこれならタカナシさんは………」


 高校生なのだ妄想だってするし。エロいの大好きだ。


「はぁ~いい感じなったなぁ~ルリ」


 驚くぐらいに綺麗な女の子になってしまった親友を思い出す。特に先程の憂いを持った表情はなんともドキッとさせられるほどの破壊力だった。


「まぁうん………もし、親友じゃなければ」


 親友じゃなければ告白でもしたか?俺は首を振る。親友じゃなければ関わりさえなかっただろう。


「まぁ、もし俺がなるなら不安でたまらないだろうから…………一緒にいて支えるか」


 今のところ不満は出ていないがいつかは出るだろうし、辛い場面も出る。すでに靴を盗まれている。そういった事を支えないといけない。犯人はいったい誰だろうか?


「うーむ」


 プルルルル


「おっあいつからだ」


 俺はルリからチャットのお誘いを受ける。


「どうした?」

「ああ、ハルト。さっきはそのありがとう」

「ああ、どういたしまして。こっそり胸揉ませてもらったから別にお礼は要らないぞ」

「………最低」

「約束だろ~揉ませろって」

「………はぁ~お前って奴は私が悩んでいる時に」

「ん?悩んでいる?」

「悩んでいるのは!!タカナシさんに連絡とったのかって事」

「ああああ忘れてた。すまんすまん。メールするから」

「やっぱり。本当に………」

「まぁタカナシさんゲームするんかな?」

「実はね。結構………噂ではしてるみたい。お金あるからね。あと腐かもしれない」

「そうか………まぁうん」

「なので外野をいれると良いかも」

「外野?」

「調子のいい小岩井貴史(コイワイタカシ)君を巻き込めばいいんじゃない?」

「ああ、なるほどな下心をあいつにさせて俺は真面目になる感じか」

「………非道だね」

「非道かぁ~まぁ頑張って気を引いてみるよ」

「うん、応援してる」


 電話越しでやさしい親友の声がいつもより艶っぽく聞こえた。少し息子が反応したが我慢して話を続けたのだった。






 あの抱き締めた日から数日。俺たちは登下校は一緒だがそれ以外は別れて学校生活するようになった。ルリは女のグループに。俺は元々いた男グループに入っていく。そうコイワイと言うチャラ男のバカ男のグループだ。なおこいつはボッチである。昼休憩に色んな奴と絡んでいるのでボッチではないが特定の奴とはつるんでいない。


「なぁ、なぁ~ミヤザキ。ミヤオちゃん紹介してよ」

「知り合いだろ。声かけろよ」


 ルリから離れた俺はよくこう言った相談を受けるようになった。なお、告白もあり。数回ほど手解きしたが玉砕してる。ルリ曰く。気持ち悪いそうだ。


「1回失敗してるんだよ!!」

「お前の女癖悪いからな」

「それが、知られてて声かけてもなぁ~めっちゃ睨まれるんだ。ただ………ゾクッとする」


 こいつはもうダメかもしれない。


「お前、近付くな俺に」

「やめろ!!そんな目で見るな。発情するぞ」

「ははは………きも」


 親友も同じことを思ったのだろう。引かない姿勢は評価するが行きすぎだ。


「でっ、お前ら付き合ってるの?下級生が噂してるぞ?」

「お前の意見は?」

「してない。昔から仲良かったの知ってるからな。まぁ~あそこまで綺麗な女の子になるんなら俺らももっと関わってたわ」

「まぁ~あれでも不安だったんだぞ。あいつ」

「お前が支えたんだろうな」

「そうそう、最近タカナシさんと仲がいいからさ」


ガタッ!!


 小岩井が俺の胸ぐらを掴む。


「お前、ミヤオちゃんを利用して己の好きな子と仲良くなろうとしたな」

「親友も好きだったから!!」

「ゲスめ」

「目的には手段を選ばん」

「でっ………俺は?」


 やっぱり。食いついてきた。


「一緒に遊びに行くことがあれば誘う」

「はは、わかった。俺たちは今日から心の友だ」

「キモい。残念だが心の友はすでにルリが占めてる。残念だったな」

「………お前付き合ってないんじゃ……ないか?」

「恋愛感情は無い」

「マジか………」

「男のときをよくしってるからな~」


 思い出すのは風呂場で背中を洗った事も中々懐かしい思いで達だ。


「まぁわからない事はないけど。おっと、タカナシさんとミヤオさんだ」

「ん?」


 2年生の2階教室窓から俺らは覗く。窓の外でベンチに座りお弁当を膝の上に広げる二人。ルリがタカナシさんの隣で食べている光景に。滅茶苦茶羨ましくなった。そして、元男だった名残が一切無いのか普通に馴染んでいた。


「めっちゃあそこ綺麗だな」

「ルリ、俺と変われ」

「本当にタカナシさん1強だな。俺ならどっちでもいいわ」

「まぁ~タカナシさん綺麗じゃん?」


 そう、金髪の美少女と。隣のお姉さん風のルリでは違うのだ。やっぱ金髪美少女の方がいい。ルリはまぁ茶髪に染めたような色なので変わってはいる。染めてない自然な髪なのだ。俺はメールをする。もちろんルリに。するとスマホを見て、それをタカナシさんに見せたあと。二人が俺らを見つけて目線を寄越し二人が手を振った。もちろん振り返す。


「やばい、俺いま………恋した。二人とも好きだわ」

「タカナシさんは俺が貰う。横取りすな」

「ならば………ミヤオさんおけ?」

「親友が良いって言うならな」


 複雑ではあるが。あいつはあいつが決めること。だから、言葉を濁した。


「ははは、やっべ楽しみ。いつ遊ぶ予定?」

「ルリはタカナシさんと仲良くなってそこから俺を紹介して。4人で何処かへ行こうと決めているらしい。段取りは任せてある。それと………腐ってる」

「腐ってる?」

「腐ってる」

「腐女子?」

「らしい。俺はそこんとこ会話出来るから」

「ミヤオさんは?」

「ダクソ2でも肯定しとけばいいよ」


 俺は投げやりに会話をした。本当にどうなるか。わからないが胸には希望が溢れていた。


















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