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第15話:力を求めしモノ

更新が遅くなってしまい申し訳ございません、現在資格を取得するための勉強で執筆が遅くなっております。ご迷惑をおかけしますが読んでいただければ嬉しいです。

 海の魔物と戦闘後、研究所に戻った私を迎えたのは女性陣の悲鳴だった。先程の戦いで出来た傷は≪罪の意識≫で消したのだが服についていた血はそのままだったので驚いたらしい、確かに淡い赤をしていたはずの服がどす黒い血に染まっている。ビビは血に慣れていないだろうから驚くのは理解できるがリーリカよ、お前は血なんて見飽きているだろうに。

 心配する二人の前で服を脱いで傷がないことを証明、しかし何故かリーリカが鼻血を出しながら部屋へと消えて行った。傷がなくて安心したら私を放置か、酷い奴だ。

 服を持ち去られたから仕方なくバックに手を突っ込み服を出す、塔が半壊した時に適当に持ってきたのだがリーリカ手製のやたらと布の多いドレスばかり入っていたのが悔やまれる。まぁ裸よりはましか、とりあえず袖を通して研究室へ戻る。

 研究室に置かれた椅子に座り今回の戦闘を振り返る、上級とはいえ魔物相手にあそこまでやられてしまうとは……私の力とはこんなものだったのだろうか。いや、塔に籠るまではあれくらいの敵を何度も殺してきたんだ、純粋に私が弱体化したと考えるのが妥当か。

 だとしたらオルガの鉱石を調べても私の力が足りなければ勝てるはずがない、そう思い立ち私は研究室に散らばる研究資料を部屋の隅に追いやり魔導書を広げる。、

「魔力だけなら魔人にも負けない私が魔物にてこずる理由……」

 それは魔法の発動時間にある、リーリカ達のような魔人はそれぞれ固有の魔法を持っており、それを使うのに詠唱がいらない。なので強力な呪文を次から次へと発動できるのだ。

 私には上位魔法の詠唱を破棄することができない、ならばそれを補う力を手に入れねばこれからの戦いは厳しいものになるだろう。魔導書に記された魔術儀式を調べる、体に呪文を刻みこみ詠唱を省略する秘法、魔人と契約を交わす方法。前者は体に傷が残るから嫌だ、後者は命を取られるので論外……リーリカみたいな何も求めずついて来るやつは特殊だがそのような能力は持たない。奴の魔法は怪我を治すか破壊するかの偏った力だからな、私のサポートにはむかない。

 私が悩み、呻きつつも調べ物をしているとリーリカが手に魔導書を数冊持って部屋に入ってきた、先程念話で資料になりそうな物を持ってきてもらうように頼んだのだが前が見えなくなるほど持ってくるとは……さすがリーリカ。床に広げた資料を二人で眺め続けたが効果的な方法はなかった、まぁそんな方法があればその辺の人間がやっているよな。

 半ばあきらめて紅茶を飲んでいるとリーリカがポツリと言葉を漏らした。

「魔界の先生なら……」

「ん? 魔界の奴がどうかしたのか?」

「あ、いいえお気になさらないでください。魔界の変態さんを思い出したりなんてしてませんから!」

「魔界か……調べた中にもそれらしいことは書いてあったが生きているやつは入れないのだろう?」

「あの、私たちも一応生きているのですが」

 むむ、そう言えば魔物も魔人も一応生きているんだったな。だとしたら生きている人間が入れないというのはただの力量不足という事だろうか、それに魔界には私の知らない魔法も多いだろうし力を得るにはいいかもしれん。

「よし、魔界に行くぞ」

 思い立ったら吉日という言葉もあるくらいだ、今すぐ行こう。持ち物は全てバックの中に詰め込んであるので特に準備はいらない、部屋の隅にオルガの足だけが散乱していたので拾ってバックに突っ込む。

「お待ちくださいっ魔界に行くと言ってもどうやって行くというんですか! それに魔界には……」

 慌てて私を引き止めるための説得しようとするリーリカを置いて部屋を出るとそのままトーマスの部屋に乱入する。

「どうした何かわかったのか!?」

 いきなり部屋に入った私を見たトーマスは落ちついていたがオルガの一部が入った袋を見せると椅子を倒して立ち上がる。こわばった面持ちで興奮する爺が唾を吐きながら詰め寄ってくる、汚らしい。

「ああ、大事なことがわかった。それを説明するからこの間渡したオルガの一部を出してくれ」

 鼻息の荒い馬鹿(トーマス)はいそいそと棚の中から袋を取り出して机の上に置く、私が手に取る様子を見つめられるのは気持ちが悪くてたまらんな。

 奴の目の前まで足の一部を持ち上げ、奴の視線が手を追ってきているのを確認してからオルガの足を真上に投げる。驚くトーマスの顔に手を押し当てて魔法を発動。

消記(リコス)

 トーマスの額に手を当て魔法をかける、ここを去るのだからしっかりとオルガの一部を回収せねばな。こいつの記憶からオルガの一部に関する記憶を消し去り、崩れ落ちる体の方は無視だ。

 足を回収後、キッチンにいるビビにここを去ることを告げる。シュクレのジャムと飴をもらえたのは日ごろの行いだな、もらった飴を頬張りながら家を出る時にそう思った。ビビには世話になったから何もしないでいいとしよう、別に甘いケーキをくれたからじゃないぞ?

 リーリカを従え町の外に行き魔界に渡る準備を進める、必要なものも多いがリーリカがいれば代用できるものも見つかるだろう。

 さぁ魔界に続く扉を開き、復讐への序曲を奏でようじゃないか。

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