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第12話:別れしモノ

「それでは、これからの事を話そうと思う」

 早朝、目が覚めるとリーリカが完成したペンダントを片手に寝ていたので起こし、二人を伴って街をでた。

 町を出て少し歩いたところに適当な大きさの岩があったのでその上に腰を下ろし話を始めたというわけだ。

「まずはこれを見てくれ」

 バックの中から地図を取り出し二人の前にかざす、ヴィルトは昨日見ていたから分かっているだろうがリーリカには説明せねばわかるまい。

「まずこっちの印、ここからそう遠くない街だがここには数十年前塔を訪ねてきた奴が住んでいると言っていた所だ。そいつは研究者だとか言ってたから生きていれば利用できるだろう」

 そう言いながらミリヤの町を指し示す、二人とも目を丸くしてるがそんなに驚くことか?

「おいおい、あんな塔に人が来てたのかよ」

 そっちか。

「ああ、魔女に会ってみたかったらしい。少し脅かしてやったが頑なに帰ろうとしなかったんで少し話に付き合ってやっただけだがな」

 あの時は魔女狩りと言って来る馬鹿が時々来たから間違えて殺しかけたんだったな、うん。

「まあいい、続きを話すぞ。そしてこっちの印だ、こっちは鉱石の採掘と加工がおこなわれているネストと言う所だ。ここにはヴィルトが向かう」

 うんうんと頷きながら聞いていたヴィルトの動きが止まる。もしかして言ってなかったか?

「っ初耳だ! 俺が一人で行くっていつ決まったんだ!?」

「昨日?」

「俺が知るかっ、それにどうやって行くんだよ、走って行けってか!?」

「そのことなら心配しなくてもい、転送するから一瞬だ。ただ行ったことがないから誤差が……いや、なんでもない」

「なに口ごもってんだ!?」

 いつになく元気だな……まぁ送ってしまえばこっちのものだ。ヴィルトに手を伸ばそうとすると危機を悟ったのか慌てて私から距離をとる。

「おいおいどうしたんだ? そんなに離れなくてもいいじゃないか」

 私が立ち上がると警戒して魔力を纏った、そんなに警戒しなくても攻撃なんてしないさ。なぜなら……

「マスター、捕まえました♪」

「なっ、いつのまに!?」

 私に集中しているヴィルトは背後に回り込んでいたリーリカに気付かなかったみたいだな。リーリカはああみえてパワーも凄い、ヴィルトじゃ逃げれないだろう。

 恐怖に顔をひきつらせるヴィルトにゆっくりと近づく、そんな顔をされるといじめたくなってしまうとわからないのか。ヴィルトの目の前まで行くとそっと首を撫でる。

「ト、トリス?」

 不安げに見上げてくる顔はかわいいなぁ、だがやる事は変わらない。バックから首輪を取り出しヴィルトに着ける、こんなときのために作って置いた魔具だ。

「似合うじゃないか、それにこれは離れていても魔力が供給できるという優れものだぞ」

「うう……魔物なのに、これじゃ飼い犬と変わらない。いっそ殺してくれ……」

 その首輪にオルガの足(一部)を入れた小袋を首輪に付けてやる、これで匂いを確かめる事が出来るだろう。

「何かわかったら念話(テレパス)で知らせてくれ、頼んだぞ」

 それだけ言って転送させようと手を触れる。

「ま、待て。俺は念話つかえないぞ。だから俺が行くのはやめた方が」

「大丈夫だ、それも首輪でできる。呪文も唱えなくていい、ただ私に伝えようとするだけでいいんだ。便利だろう?」

 最後の希望を失ったかのようにうなだれるヴィルトを無視し転送する、位置がよくわからないから勘で。距離が長いから消費する魔力も多いがまた寝れば回復する、最近は消費する魔力が多いから寝てばかりいるな……

「それとリーリカ、手伝え」

 バックの中からリーリカが買ってきた魔具を取り出す、こいつがどんなものか知っておきたいからな。

 それについている説明書によると筒状の魔具の横にあるボタンを押すことで、それに入れてある魔法が一度だけ使えるらしい。魔法の名前に聞き覚えはないが一緒に買ってあった魔導書『まるわかり初歩魔法』を開いて調べながら使うとしよう。

「まずは……この水呼(クォータ)という奴を使ってみるか」

 リーリカを対象に解放する、まぁ水を大量に出すだけの魔法らしいが念のため障壁を張らせておく。

「わっぷ」

 障壁を通り抜けてリーリカに水が降り注いだ、障壁が聞かないという事は魔力がこもっていないのか……ふむ、ただの水を呼び出すとは召喚魔法の類みたいだな。仕組みとしては封印石であるルナーリアに制御用クリスタルを取り付けただけの簡単なものだが発想が面白い、弱い魔法しか入れられないようだがこれを応用すれば……ふふふ、面白いものができそうだ。

 他にも閃光(クルス)等の非戦闘用魔法があったが価格も安く旅をする商人たちの必需品らしい。

 これ以上やっていても無駄に時間が過ぎてしまうしそろそろ行くとするか。

 荷物をしまいなおすと私はリーリカを伴いミリヤに転移した、ヴィルトが何かつかむ前に私たちもそれなりの事を調べておかねば面目が立たないしな。

読んでいただきありがとうございます、狭間です。

最近暖かくなってきましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私は風邪をひいております、ぐすん。

いまだにトリスのフルネームが出せなくて嘆いていますが、いつか出しますのでお待ちくださいませ。

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