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プロローグ-1

文章が読みにくいかもしれませんが、見てくれればうれしく思います。

 ――あれは、15歳の誕生日の事。

 私は両親に連れられて地下室に入った。家の地下室へ入ったのは初めてのことで、わくわくしたのを覚えている。それまでは危ないからと入れてもらえなかったからだ。

 プレゼントを地下に用意してあるといわれた私は何をもらえるのか考えた。態々(わざわざ)地下に用意するほどのものなのだから凄いものに違いない、しかも今まで入れなかった場所にあるということが私の期待を大きくさせた。

「さぁ、こっちだよ」

 階段を下りた所にある扉を開けようとする父様が私を見て苦笑しているのは、私が期待と喜びで顔を赤くしているからだろう。自分でも顔が熱くなってるのがわかる。

 母様が優しそうな笑顔で父様にそっと触れると、父様は母様に頷いてからゆっくりと扉を開ける。解き放たれた部屋からは冷たい空気が流れ出てきたが、私はそんなことを気にも留めずに部屋の中に駆け込んだ。

 部屋の中は暗く、何があるのかまったくわからない。困って部屋の中をキョロキョロと見回してしまう。

「焦らなくても大丈夫よ、プレゼントは逃げたりしないわ」

 そう言って母様は部屋のランプに(あか)りをつける。焦ってしまった自分が少し恥ずかしく思えた。

 灯りに照らされた部屋の中は案外狭く、特に物が置かれている様子も無い。

 父様と母様に手を引かれ部屋の中央まで来ると、足元に何か書かれていることに気付いた。それは部屋の隅々まで書かれた模様のようで、とても神秘的だったのを覚えている。

 私が模様に気をとられていると、父様たちは部屋の入り口まで戻っていた。

「父様? 母様?」

 不安に駆られた私は二人の元へ行こうとしたが、足が動かない。

「え……父様?」

 足だけではない、動こうとしても体が何も動かなかった。自分の体が自分のものでなくなるような感覚に言いようの無い不安を感じる。いや、不安というよりは恐怖といったほうが正しいだろう。

 父様たちはこちらを見たまま笑顔を崩さない、まるでこうなることを望んでいたかのように。

「トリス、15歳の誕生日おめでとう。今年は大きな病気もせず元気でよかった、これが私たちからのプレゼントだ、受け取ってくれ」

 お前が生まれたときから準備していたんだよ、そう言いながら父様は手に持った瓶を床に落とす。すると床に描かれた模様が輝くだす。その輝きは瓶が落とされたところから広がり、床以外にも壁や天井にまで広がる。気付かなかったが壁や天井にも薄く模様が書かれていたようだ。

 そして部屋全体が光に包まれた瞬間、私の体に衝撃が走る。爪先から髪の先まで、断続的に痛みと熱が体を貫いた。

「ひっ、やだ……いたい……いやぁぁぁぁぁ!」

 涙があふれ、口の端しから涎がつたい落ちる。

 ぼやけた意識の中、視界の端に父様たちの姿が映った。

「と…さま、かあ…さま、たす……け」

 口も痺れてきてうまく喋れない、意識が朦朧(もうろう)とする中で必死に助けを呼んだ。しかし父様は母様の肩に腕を回し、こちらを眺めているだけで助けてくれない。頭の中が真っ白になり体が崩れ落ちる瞬間、最後に見たのは満足そうに頷きあう両親の姿だった。



 翌日の朝、私は冷たい石畳の上で目が覚めた。

 部屋の中は灯りが消えて暗くなってよく見えなかったが、昨日のことを思い出し床にある模様を見ようとした。しかし床に模様は無く、部屋のいたるところを見てもそれは同じであった。

 あの後どうなったのかはわからないが、自分の部屋に戻してくれなかったことや体の痛みなど誕生日プレゼントにしてはたちの悪い冗談にしか思えなくて父様たちに昨日の事を聞こうと考えた。

 地下室の扉はすんなりと開き、私は家の中を探し回った。しかしどこにも両親の姿は無い、買い物に行っているのかとも思ったが父様の鞄も母様の財布も置いてあったので出かけているにしてもすぐに帰ってくるだろうと思った。

 昼ごはんも食べずに帰りを待った、お腹が空いても我慢した。不安で涙が止まらない……夜まで私は泣いていた。

 悲しくて……怖くて、ベッドの上でひざを抱えて震えることしかできない。

「誰か……助けて、背中が痛いよ……怖いよ父様、母様…助けて」

 私はこの家で一人になってしまったのだろうか、誰も答えてくれる人がいないのはわかっていたが、私は虚空に向かって助けを――父様たちを呼び続けた。

なるべく早く更新していこうと思いますので、どうか見てやってください。


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