6話 海と別荘
今回からアーティナの別荘篇です。
今回は海の回です。
―――これは夏休み開始前日のこと。
何時もの様に彼らは、部屋で話していると。
「なあ、皆は夏休みの予定とか無いのか? 俺は無いぞ!」
「わ、私は無いわよ」
「そうなのですの!? アタシも無いですの」
「でしたら、何所かで話し合ったら如何ですか?」
ヒョウガが言うと、アミリ、アーティナも無いと言う。
手を挙げたカナミは、ミューフィの案に賛成らしく。
「じゃあさ、皆でヒョウガの家言って話すのは如何?」
とカナミが、皆に可否を問うと。
透かさず口を開きかけた彼を、サラの声が遮る。
サラとアミリは賛成らしく。
後の二人も賛成の様だ。
「ん‥‥‥!? え!? 俺ん家かよ」
「ウチは賛成!」
「わ、私も良いわよ」
―――俺の家でやろうと提案するなんて何か企んでるな。
とヒョウガは心の中で思い。
彼女は、こっちの目を覗き込んで、きょとんと首を傾げてから。
「それでさ、ヒョウガ。良いのかな?」
「ああ、良いぞ!」
と彼は返事を返す。
と言う事で次の日曜日に決まった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
次の日曜日の午後。
「こ、ここがヒョウガ先輩の家よね」
「そうだよ。じゃあ、ピンポン押すね!」
午後一時頃。
アリマ家の前には、カナミ達五人が立っていて―――。
ピンポン、とチャイムが鳴ると。
は~いと、言って出て来たのは四十代くらいの女性。ヒョウガの母だ。
「入らっしゃい。ヒョウガからは聞いてるわよ。入って入って!」
「「お邪魔します」」
「お邪魔するですの」
「お、お邪魔するわよ」
ヒョウガの母が歓迎すると、皆礼儀正しく挨拶をして入って行く。
―――入った所で、ヒョウガの母が、
「ヒョウガならまだ寝てるから、起こしてこようか?」
「否、私達が行きますので、どちらですか?」
「そうなの!? 二階よ!」
ヒョウガの母が言い終えると、カナミ達は階段を上がって行く。
そして時間は、カナミが来る三十分前に遡る。
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「グ~」
昨日の夜からヒョウガは、本をずっと読んでた為、今も寝ている。
「ヒョウガ君。起きて下さい! 起きてくれないと悪戯しちゃうんだからね。本当にしちゃうんだからね!」
「・・・」
彼の隣で横になるシナモンが、彼のゼロ距離へ接近し、唇にキスをすると。
「ちゅ、ちゅ! ちゅう~つ‥‥‥」
「ん‥‥‥ちゅう‥‥…」
しかし起きる気配がない。
―――もうこうなったら、この世界で覚えた―――人肌でも、二肌でも脱ぐしかない。
と一肌脱ぐを、裸になるという意味と勘違いし。
———誰か入って来たって見えないから平気だもんね。
とヒョウガの隣で裸になって横になり。
———抱きついても気付かないんじゃ。そんな訳無いよね。
悪巧をしようとする天使に、突如それは訪れた。
―――ぺたんと、何かがシナモンの胸に触れる感触がして見てみると。
それは寝ているヒョウガのてだった。
そして、其の儘玩具のように弄ぶ。
どんな夢見てるんだろうと疑問になってしまい。
——屹度凄い夢なんだろうな。
と、シナモンは思う。
それから―――シナモンも眠くなって来て其の儘寝た。
十四、五分が経ちシナモンが目を覚ますと、弄んでいた手が止まっていた。
―――が、まだ寝ている。
仕方ないから、着衣を急いで着て、起きるのを待つ。
「・・・・・・ん!? おお、おはよ…!?」
「やっと起きた!」
「止めろ! 飛付いて来るな。汗苦しい。 何時もよりも格好が乱れてるぞ! まさか。シナモン、そこに座ってくれだぞ。正座」
「正座!?」
難解も言う彼が、正座を教えて説教を始めて。
そして今に至るという訳で。
階段を上がり終えると、カナミ達は扉を開けようとすが―――、
部屋の中から話し声。否、説教が聞こえた。
―――あれ? ヒョウガ以外に誰かいるのかな。
と、扉の隙間からカナミは、様子を窺いながらも聞き耳を立て。
「シナモン、何回言ったら飛付いてきたり、抱き付いて来たりするの止めてくれるんだ? 後、何でやるんだ?」
「え~~、止めないよ。楽し・・・・・・じゃ無くて契約したもん!」
「否、そんな契約した覚えは無いと思うぞ。後、悪戯は駄目だぞ! 天使の癖に行動が唯の幼女みたいだぞ」
シナモンの言い分を聞いて、ヒョウガは見覚えのない契約を、いつの間にか勝手にさせられてしまう。
更に天使の本音を素通りする。シナモンの行動を見て思ったことを伝えると。
「幼女言うな。天使だもん! それに楽しんだから良いじゃん」
「開き直ったか。仕様が無いから今日だけは許してやる」
「やったー」
――やっぱ此奴は唯の幼女だな。この反応は
と、ヒョウガは思ってると扉が開く。
「ねえ、ヒョウガ。何さっきから話してるの一人で?」
「な、何で天使とか幼女とか、後シナモンて誰の事? 後、契約って何よ!」
「何だ、もう来ていたのか。それはだな。今は言わないぞ! そのうちな」
彼が振り向くと、カナミ達が来ていて。
―――そして、二人の会話を聞いてた様で、カナミとアミリが聞いて思ったことを言う。
シナモンは、首を横に振って言うなと言う。
納得してない様子の五人だったが、何とか言いくるめて、進めることになり。
「んじゃあ、夏休みの予定を決めるけど、夏休み何処行きたいんだ?」
とヒョウガは、何か言いたげなアーティナにさりげなく聞く。
「それでしたら、アタシの別荘とかどうですの? 丁度明後日から行くですの」
彼女は、自身の別荘はどうかと可否を問うと。
「それ良いね。ね、ヒョウガ」
「ん・・・ああ、楽しそうだな! 俺は賛成だぞ」
「じゃ、じゃあ私も賛成よ」
と全員の賛成もあった事なので、決定して。
「では、決まりですの。明後日明後日の朝、ヒョウガの家の前に集合ですの。迎えに来るので」
「後イベントは……」
「夏祭りがあるよー!」
「んじゃあ、夏祭りも行くか。俺は空いてるだろうし」
皆も賛成のようだ。
「じゃあ、夏休みの予定はお終い。久し振りのヒョウガの部屋だけど、変わってないね。でも、何処かにあれがあるはず」
「やっぱりあるのね。男の人が好きなエッチな本」
と言いながら探し始め。
「ねえ、ヒョウガ君。皆が探してるのこの前読んだ奴? ヒソヒソ」
「勝手に読んだのか!? シナモンには未だ早いだろ。それより、見つからないぞ、絶対!」
三十分後
「やっぱり思い過ごしだった見たい」
「なーんだ。無いのか」
「な、無いわね」
皆が文字通り、隈なく家中を探し回るが、何処にも見つからない。
その後、皆が身支度を整えて帰る準備をした。
「んじゃあ、明後日な」
「「お邪魔しました」」
「お、お邪魔したわ」
「お邪魔したですの」
玄関で見送るヒョウガに、五人は礼儀良くお別れをして。
皆が帰ったことを確かめると、本を隠した木の下に向うい、掘り出すと部屋へと箱ごと持って行く。
そして出発前日の夜。
「良し、これで明日の準備は完了だ!」
「ねえねえ、ヒョウガ君。明日付いて行って良いんだよね」
「ん……!? 付いて来るつもりか? きちんと言う事を守れるなら良いぞ」
「うん。守れるよ」
まるで子供へ言い聞かせるように、彼は言うと。
「先ず、皆の前で話し掛けて来ないこと。二つ目は、悪戯しないこと。三つ目、何かあったらすぐに知らせる事。絶対だ!」
「うん! 分かった」
「もし破ったらお仕置きだぞ」
斯うして、シナモンもアーティナの別荘に行くことが決まった。
―――そして当日。
朝八時三十分頃。
ヒョウガの家の前で皆が集まってると、そこへ一台の大きな魔法車が停まり―――。
後部座席のドアが開く。
「さあ、皆乗ってですの!」
「あ・・・ああ、じゃあ乗るぞ」
「他の子達も乗っちゃって乗っちゃって、そんな緊張しなくていいからさ」
アーティナの父は、乗るのを躊躇う子達の背中を押す。
何とか皆が乗った所で―――アーティナの父が運転する魔法車が出発した。
―――魔法車での会話―――
「どれ位掛かるんだ。別荘まで?」
「大体後、一時間から一時間半で着くですの」
今車内には俺、アミリ、カナミ、俺の正面に、アーティナ、サラ、ミューフィが座っている。運転席は、アーティナのお父さん、助手席にはアーティナのお母さんの計八人が乗っている。
と彼は、が心の中で人数を数えて。
「皆、水着持って来たですの?」
「え? 海の方なの?? てっきり登山かなと思ったけど」
「どんな所にある別荘だと思ったんですの? アタシの所の別荘は、海の直ぐ傍ですの!」
「俺はそうだろうと思ったけどな」
ヒョウガ以外、皆が登山だと思ってあ様だ。
「でも大丈夫よアタシの仕事そういうのしてるから。だから、アタシが作った水着が沢山あるから」
「でも、サイズが……」
「大丈夫ですの。お母さんは、フリーサイズの水着を作ってるですもの」
娘と友達の会話を聞いてたアーティナの母が、振り返って会話にしれっと入り込む。
実はアーティナの母は、ランジェリーデザイナーで―――更に水着のデザイナーもしているのだ。
「それならお言葉に甘えて」
「そ、それなら良いわよ。着てあげる」
「有難うございます」
「有難う!」
「どう致しまして。着て貰えないと水着が可哀想だから嬉しい」
四人共着ることが決まり、アーティナの母はとても嬉しそうだ。
「遊び道具は向こうにあるから大丈夫ですの」
「そら心配ないぞ」
「そ、そうね!」
―――こ、これなら心配なく遊べるわね。泳げないのが発覚ない。
と、アミリが心の中で安心していた。
「皆、勿論宿題を持って来たですの?」
「ウチは聞かないで……」
「俺は持って来たぞ! 張とな」
「も、勿論持って来てるんだか・・・・・・ら!?」
―――あ、あれ、入れたわよね、確か。あっ! あの時机の上に置きっぱなしだったわ。
と、アミリは原因を究明して。
サラとアミリ以外、全員持って来ていて。
「ま、まあ宿題なら何とかなるわよ!」
「そうですのよ。別荘に着いたら、執事さん達やお手伝いさん達が歓迎してくれるんですの」
「凄い!」
アーティナの言葉を聞いて、つい、カナミが口から一言零してしまう。
その後も、他愛無い話をしていると、漸く目的地に辿り着く。
「想像以上に大きいぞ!」
魔法車から降りたヒョウガが、そう呟く。
「そうだろう。妻が海の近くが良いって言っててさ! さあ、もう直ぐだからね」
「お・・・おう!」
アーティナの父を先頭として、皆がドアの近くまで行くと、五人の執事が立って居て。
「皆様、お待ちして居りました。では、お客様のお荷物をお持ちしますのでどうぞお入りください」
「あ? はい!」
五人の執事の一人―――恐らく五、六十歳位の縁眼鏡をして白髪だらけの執事が歓迎の言葉を言うと。
他の五人も歓迎の言葉を言って、ヒョウガ達の荷物をそれぞれ分けて受け取ると、白髪だらけの執事が先導してくれて。
「アーティナお嬢様、それと、ルームメイトでお友達の方々ようこそお越しになってくれました。私はここでお手伝いをしてるルエルと申します。こちらは、私の仲間です。分らないことが有りましたら何時でもお答えしますよ。では、カレロさん、他の執事さんも皆様のお部屋の案内して下さいね」
「ええ、そうさせて頂きます。ルエルさん。お客様のお部屋はこちらです」
中に入ると―――ルエルと名乗る、オレンジ色の髪に、紫色の目を持つ、恐らく三十過ぎの女性や、同じくエプロンを着たお手伝いさんが歓迎し。
疑問に答えてくれるらしく。
白髪だらけの執事、カレロに付いていった先は、
「ヒョウガ様ですかな?」
「ん……俺か、ああそうだがどうして分かった?」
「アーティナお嬢様がよく、お話ししてくれるからですな。話を戻して、ヒョウガ様のお部屋はこちらです」
―――何とも一人で過ごすには広すぎるほどの大きさで。
「お荷物です。中に入れて措きますよ」
「あ‥…ああどうも」
と言ってヒョウガは、部屋に入って荷物の整理をし始めて。
「次は、カナミ様とアミリ様はこちらになります」
案内されて部屋に入ると、海の景色が見える所で、アミリと、カナミは口から一言零す。
「き、綺麗ね」
「本当だ‼ 良い景気」
二人とも気に入った様子だ。
「最後は、ミューフィ様とサラ様のお部屋はこちらになります」
―――部屋は、アミリ達の部屋より少し歩いた所にあり。
「あそこ登って見たいたー。獣居るかな?」
「駄目ですよ。危ないですから」
あそことサラが指さしたのは、窓から見えた登山の出来る深山で。
「ミューフィちゃんもサラちゃんもこっち追いで、他の子達も待ってるよ」
深山の方を見ていた、ミューフィとサラにアーティナの母が呼び掛け。
そして四人が連れてこられたのは、沢山の服が仕舞いっぱなしになっている、言わば衣類室見たいな所だ。
「こっちよ! 皆好きなの選んでね」
「これ全部作ったんですね」
「そうよ! アタシが作った奴」
「す、凄いわね」
アーティナの母に言われるまま進むと、色んな種類の水着もが並んでおり。
ど、どれにしようかしら、胸が気になるからラインが分からない奴にしたいわね。まあ、見られたことあるんだしバレてるだろうけど。
と、アミリが考えながら探してると。
「これなんてどう? アミリちゃん。胸のラインは難無くカバー出来て誤魔化せるわよ」
「べ、別にもう胸のラインは見られてるからバレてるわよ。だから気にしてないわよ。それに、似合うかしら?」
「見られたんだって、気持ちが大事だよ。それに、彼なら屹度似合うって言ってくれるって。彼のハートも一頃よ」
「な、ならこれにしてあげるわよ」
——ミュ、ミューフィ達は、何にしたのかしら。
そう思ったアミリは、ミューフィ達の方へ行く。
「な、何にしたのよ。ミューフィとサラは?」
「ワタシは、キャンディーのデザインが可愛かったので此れにしました」
そう言って見せて来たのは、キャンディーがデザインされた、紫色のビキニで。
「サ、サラは何にしたの?」
「スポーツ水着だよー」
「カ、カナミさんは?」
「このシンプルな白色のビキニ」
―――た、確かにシンプルが似合う二人は良いわね。私は身長も胸も無いから。
と、アミリは自分の掛けてる所を指摘し。
「それじゃあ、皆決まったみたいだし行くよ!」
アーティナの母がそう言って、四人共水着をもって更衣室に向かう。
更衣室が付いてるなんて凄い。
と、カナミは思った。
「アミリ、一寸胸大きくなったんじゃないか?」
「そ、そんな訳無いわよ」
「0.5ミリ大きくなったんだぜ」
「あ、余り変わって無いわね」
アミリは少しながら嬉しそうで。
そして皆が水着に着替えると、更衣室を出て外に出ると、ヒョウガとアーティナが待っていて。
「ねえねえ、ヒョウガ。アミリちゃんの水着どう思う?」
「どうって、小さいけど可愛いぞ。水着にあってるじゃねえか」
「ホ、褒めてるのよね。それ! そ、その有難う」
「ん……!? 最後の方聞こえなかったぞ!」
ヒョウガに褒められて嬉しそうだが、照れ臭いアミリは、ヒョウガに聞こえない声でお礼を言う。
「それでは早速泳ごうですの!」
アーティナの両手や両腕には遊び道具を幾つも持っていて。
「海に入る前に準備体操をしましょう」
「良いじゃんか。ここまで来て!」
「ですが、海のけがの元ですのでしましょう」
「チぇ~」
ミューフィが、準備体操をしようと言うが嫌がるサラ。何とか押し通すミューフィに、不満げな様子だが仕方なく了承してくれた。
準備体操を始めて、体が良い感じに解れた所では終了する。
「今度こそ泳ごうですの」
「じゃあ、先ず向こうの水平線まで競争だー」
「じゃ、じゃあ私はここで待っといて上げるわよ」
——ぜ、絶対無理。あんな所まで何て死ぬわよ!
と、アミリは水平線の方を見てそう思う。
サラの提案に、面白そうだと他の子は思っていて。
「皆、先に行ってて良いぞ。なあ、アミリ。一寸向こう行くぞ!」
「な、何でよ。別に良いわよ」
「廻り諄いのは止めだ、止め! 泳げないんだろ。なら、俺が教えてやるぞ」
「べ、別に泳げなんか、泳げなんかあるわよ。あ、有難う・・・・・・」
皆に先に先にやっててと言ったヒョウガは、アミリに泳ぎ方を教えてやると言う。
アミリの小さな声で感謝を伝えると、ヒョウガは「まだ教えて無いけどああ、どう致しましてだぞ」と言う。
余り人の居ない所に行った。
「どうやって教えて欲しいんだ? 手を引っ張ってやる? それか、体を支える?」
「カ、体を支える? そ、そんなの恥ずかしいわよ! じゃ、じゃあ手を引っ張りなさいよ!」
「ま、そうだろうな。じゃ、早速入るぞ!」
と言って海に入った。
「は、離さないでよね。ヒョ、ヒョウガ先輩! も、もし離したら絶対許さないんだから」
「ああ、絶対放さねえぞ! 先ず息継ぎからやって見ろ」
「ブクブク、ハ~ブクブクハ~」
「もっとバタつかせろ!」
バシャバシャっと、アミリは勢いよくバタ足して。
「良し、良い感じだ! 次は悪いけど、やっぱり体を支えさせて貰うぞ」
「な、何よ。しょ、仕様が無いわね。良いわよ」
アミリは顔を真っ赤に赤らめながら承諾した。
ヒョウガに、お腹と胸を支えられてる状態になっている。
「んじゃあ、クロールの練習からだぞ」
「わ、分かったわよ」
鼻で良きをしながら、バタ足をして、左右を交互に動かしって、水を掻いで、少ししてから息継ぎをし。
「一応だけどあれもやるか! 平泳ぎの練習もするぞ」
「ま、まだ放さないの? わ、分かったわよ」
蹼虫のように足でそてぞれ掻き、両手を同時に開く。
其の儘繰り返す。
「上手くなったぞ! じゃあ、一人で泳いで見ろ」
「い、良いわよ。やってあげる」
バシャバシャブクブクハ~ブクブク、ハ~バタ足と息継ぎ良し、次は、クロールとスーハー、スーハー、バシャバシャと左右の手を交互に動かしてと、水を搔いてと、ハーで顔を傾けて息継ぎをし。
その次に、平泳ぎをした。お見事習得した。
「良くやったぞ! アミリ」
「お、泳げるようになったのは、そ、そのヒョウガ先輩の御陰だから、本当に有難う」
「やけに素直だな、アミリ。どう致しまして。まあ、そう言うアミリも可愛いから良いぞ」
「ホ、本気にするわよ」
泳ぎ切った、アミリの所に行ったヒョウガは、アミリを良くやったと褒めた。それで直にお礼を言うと、キュンっと来る言葉をヒョウガに言われ。
皆の居場所を探す事にした、ヒョウガとアミリは少し歩いてると、皆が居る一角を発見した。
「お昼御飯にしよ。皆」
「も、もうそんな時間だったのね」
「嬉しそうですの! 何かあったんですの?」
「何かあったの? アミリちゃん」
仕方なく、アミリはみんなの耳元で小さく囁き。
「其れは良かったですの!」
「アミリ、屹度上手くと思います」
「ミューフィちゃんの言う通りだね。絶対上手く行くよ」
「やったじゃん。アミリ」
アーティナ、ミューフィ、カナミ、サラがそれぞれ思いを伝え。
「アーティナ、其れからみんな、何食べる?」
「じゃあ、僕は・・・・・・」
「貴方も行くのよ」
「で、何が良い?」
その返事として、ヒョウガは、焼きそば。アミリも同じ焼きそば。カナミが炒飯。アーティナとミューフィがカレー。サラがラーメンを頼んだ。
今、皆が居るのはグライシーと言われる海の家だ。
少し待つこと、アーティナの両親が二つと一つづつ運んできた。
「はい、炒飯二つ持って来たよ」
と言って、カナミとアーティナの父の所に置く。
次に運んできたのは、焼きそばを二つとカレーを一つ運んで来た。
「はい、焼きそば二つね」
「おお、有難う!」
「あ、有難う」
お礼を言う二人に、気にしないでと言うように言う。
「さ、カレーだよ」
「有難うですの。お父さん」
最後にアーティナの父がカレー二つ持って来て、一つはミューフィの処へもう一つは妻の処へと置いた。
アーティナの父が漸く食べ始めた頃には、カナミやサラは食べ終わっていた。おまけに、先に持って来てたので冷めていた。
「ねえ、アミリちゃん。焼きそば美味しい?」
「そ、そりゃあ美味しいに決まってるわよ! 久し振りなんだから」
「じゃあ、ヒョウガは?」
「久しぶりに食べたから美味しいぞ!」
―――ああそう言えば、昨日のお昼に焼きそば食ったな。
とヒョウガは心中で思った。
実はアミリも、
―――き、昨日のお昼食べたんだったわ。なのに今日のお昼も焼きそばにしちゃったわね。
と思っていて。
実は二人とも思っていることが似ているようだ。お似合い。
じーっと見つめる視線に気付いたアーティナは、
「一口上げるですの」
「じゃあ貰うね!」
——図々しいな。まあ何時もの事だけどな。
と、ヒョウガはカナミに思った。
そして、皆が食べ終わると、アーティナの両親と別れて、其の儘ビーチサイドに向い。
そして、一時間程の間、今度こそ遊ぶ。
先ず、ビーチボールをする。
「えい!」
「ホイ!」
「ここで一気にエや~」
「つ、強すぎるわよ」
チームは、ヒョウガ、アミリ、アーティナで一チーム、カナミ、ミューフィ、サラのように分け。
最初は、が投げて、カナミが投げて、アーティナが返してきて、サラが行き良い速投げてきて、相手のサイドに落ちた。その次にいい勝負になったが、結果は、ヒョウガのチームが勝つ。
その次に、定番の水遊び。
「えい」
バシャッ
「やったですの。お返しですの」
バシャッ
「アミリちゃん。えい」
バシャッ
「や、遣ったわね。お返しよ」
バシャッ
そうやって皆楽しそうに水の掛け合いをしたして遊んだ。その後は、持って来た遊び道具で遊ぶ。
そして、モミナ家の別荘へと戻ることになり。
「それじゃあ、戻るですの」
「え~まだ遊んで居たいよ~」
「サラ、我儘は駄目です。まだ当分こちらにいるようなので、また遊べます」
ミューフィの言う事を渋々聞き入れて、今度こそ戻って行く。
次回は、モミナ家の別荘初日の後半と、ハイキングの話しの予定です。