22話 勝利と敗北
今回は遂に決勝戦の解決パートですよ!
その試合を観戦していた者達は。
「やっぱ最強チーム相手じゃ全然手も足も出ないね」
「これが力の差ってやつか」
「そうだね。一対四じゃ、勝は無理無理」
観戦客の一番前の端っこで、男女三人が今の在り様を言う。
「このままじゃヤバいださ!」
「落着くだべえ。なあ」
「こいつの言う通りだ。俺らに出来るのは、ただ信じる事だけだ」
落ち着きがないルゼインに、なまった喋りの青年とその隣にいた大柄の男がそう口にして何とか落ち着かせて。
「グハハハハハ。今回ばかりは、愚者のチームの負けになるのではないか」
「はああぁ~。眠い。この戦いの勝敗はもう決まるかも」
「四対一。あの人でも無理……」
ルゼインの所の女子たちがネガティブな事を言い出す。
「ヒョウガ。君を信じてるよ!」
「ここで勝つとカッコいいな」
「皆気持ち良くなっちゃって。じゃなくて、勝ち目はないけど最後まで頑張れ」
エデロアたちは彼に一縷な望みを託す。
「流石最強チームと呼ばれる事は有るよう」
「でもキセキが起きたら凄い」
「ルアッタの言う通り」
女性陣も其々が思いを口にする。
そして決勝戦へ戻る。
「それじゃあ、行くぜ! 妖魔想像<雪女>‼」
「させないぞ! 能力<旋風>‼」
ガヴェールが雪女を出現させると、ヒョウガへ凍てつく雪を吹かせて。
透かさず彼は、その技に向けて渦のように巻き上がる風で雪女を吹き飛ばす。
そんなことしている内に、コロネが片膝を立てて、中央に居るヒョウガの至近距離へと移動し、素早く刀を抜き放つと。
「逃れることは出来ません。武装霊刀奥義<居合業火>‼」
地獄の日を纏われて、彼を斬り倒す。
「ごああぁ~。熱い熱い熱い熱い。それに痛い痛い痛い痛いぞ!」
業火を食らったヒョウガは、熱さと痛みが体中を蝕まれてしまい。流血してしまう。
「こんな攻撃なんて効かないぞ!」
「それなら妾が行くのじゃ! 武装神鉈技<神風波斬り>‼」
リーフは彼に向け、右手に持つ神鉈で技を発動。
彼女は、神が創り出した風の大波で斬りかかり―――。
が、ギリギリのタイミングで躱すことに成功したヒョウガ。
「んじゃあ、行くぞ! 武装二刀剣奥義<風神の嵐乱舞>‼」
リーフの目の前に風神を出現させると、そいつが踊り狂うように嵐を起こす。
ビュオオオオオオ。ビュオオオオオオ。と音を立てて襲い狂い。
「行くぜ! 妖魔想像<塗り壁>‼」
ガヴェールがリーフの前に立ち、塗り壁を出現させて、攻撃を防ぐ。
「行くね。武装呪銃術<怨念丸>‼」
ザクはヒョウガに銃口を向けて、引き金を引く。
放たれた怨念の弾は、一ミリたりともズレることなく猛スピードで飛んで行く。
「そうはさせないぞ! 能力・・・・・・・」
能力を発動する間も与えられぬまま、コロネが片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。
「覚悟して下さい! 先輩。武装霊刀奥義<居合閃光>‼」
閃く光を纏わせえて、彼を斬り倒す。
「ぐおおおぁ~。痛い痛い痛い痛いぞ! 中々やるな」
閃光を食らったヒョウガは、激しい痛みが体中を襲い。
「これで終わりなのじゃ。能力<崩壊>‼」
次は成功したらしく、ヒョウガの立つ地面だけに皹が入って行き、軈崩壊していく。
この時に関しては、全然地面が戻らない。
―――このままじゃ墜落するぞ! 何で地面が戻らないんだ?
―――これはチャンスなのじゃ。何故戻らないかは気にしないのじゃじゃ。
リーフは右手に持つ神鉈と左手に持つ魔斧を構えて飛び降りた。
「リー。危ないよ!」
「戻っておいで! リーフちゃん」
「リーちゃん。何で地面が戻らない」
三人が呼び掛けるが、リーフは既に空いた地面の下へと落ちて行った後だった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これはまだ地面に異変が起きる前へと遡る。
地面の再生には、装置内にある機関や機軸、機能の全体修復が深く関わっており。
その設備へと、何者かが侵入したらしく。
侵入経路は分からぬが、恐らくは能力の類であろう。
その人物は、色々と機能を弄り、最後にはもの凄い破壊力を持つ腕で再生機関を叩き潰す。
その間も一言も口を開くこと無く。
目的を済ませると、煙の如く消えてしまい。
何と現れて消えるまで約一、二分しか経過していない。
一体何の目的で、このような真似をしたのだろうか。
一体の人物は、何を望んでいるのか。
一体どんな利があるのだろうか。
それを知りえる方法は、本人に聞かざるおえない。
異様な事態を目の辺りにしてしまった観衆に紛れ、その人物はにやりと笑う。
♢ ♢ ♢ ♢
そこへ落ちて行ったヒョウガと追いかけるように落ちて行ったリーフの話へと戻る。
これ本当に落ちて行ってるけど、大丈夫か?」
「妾も、思いつきで飛び降りたけど分からないのじゃ」
と二人が会話している間にも、ごくごくと終わりが見えてきて。
「リーフ、しっかり摑まれ!」
「ふぇ!? ど……何処触ってるのじゃ」
「悪い。やっちまったぞ!」
彼は、リーフの胸と腰を抱きかかえる形になってしまい。
そんな状況のまま地面へと着地し、すぐさま彼女から手を放す。
「貸しなんて思わないのじゃ。だから、借りは返さないのじゃじゃ」
「別に良いぞ! 何せ君みたいなかわいい子を助けられただけで幸せなんだから。それで何だけど、賭けをしないか?」
「賭けなのじゃ?」
「ん・・・・・・!? ああ、そうだぞ! 君が勝ったら―――まだ考えてないけど、俺が勝ったら、リーフ、お前を貰うぞ!
「それってまさか!? プ……プロポーズなのじゃ? ええ・・・・・・ええっ・・・・つまりに妾のことが・・・・・・。どうせ妾たちが勝つのじゃから良いのじゃじゃ」
ヒョウガの出した条件を聞いた途端、耳元まで真っ赤に染め、リーフは慌てふためきながら言葉を紡ぐ。
条件に対して「妾が出す条件は」と彼の目を緊張感漂う面持ちで、力を振り絞って言い放つ。
「何方にしろ同じだから、契約を結んで欲しいのじゃ。それとデートもなのじゃじゃ」
「ん・・・・・・!? ああ、了解だ!」
彼女の出した条件を淡々と受け入れ。
「なあ、ここで戦っても無事にに帰れると思うか?」
「分からないのじゃ。でもここも安全防御壁内だから、多分大丈夫なのじゃじゃ」
「んじゃ、ここで決めるのはどうだ? 決着を」
「それは良いアイデアなのじゃ。そうと決まれば仲間を呼ぶのじゃじゃ」
彼の提案を呑み込んで、彼女は仲間に指示を出す。
場所的に、壊された機関の破砕していたり、機軸が折れているが、戦いには何の影響もないためそう判断したのである。
全員が揃った所で、試合を再開して。
「それじゃあ、早く決着を着けるのじゃ」
「そうですね」
「リーフちゃんの言う通りだぜ! とっとと終わらせてやるぜ!」
「そうするか」
其々がそう言うと。
「ああ、それはいい考えだな!」
とヒョウガも肯定して。
全員が戦闘態勢を取るや、其々が行動に移す。
「それじゃあ、行くぜ! 妖魔想像<天犬>‼」
「行こうか。武装呪銃術<三千年の怨み>!」
ガウェールが赤い毛並みの巨大な狼で、青い翼に黄色の尾、黒色の嘴を持つそいつが彼へと襲い掛かってきて。
ザクはヒョウガへと銃口を向け、引き金を引く。
放たれた三千年もこの世を恨み続けた者たちの弾も、彼へと飛んで行く。
「能力<暴風>‼」
透かさずヒョウガは、体を中心に強い風が吹き荒れさせて、二つの技を吹き飛ばす。
次にコロネが、彼に技を発動させるより前に、片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。
「武装霊刀奥義<居合業火>‼」
地獄の火を纏わせて、彼を斬り倒す。
「ごああぁ~。熱い熱い熱い熱いぞ! それに痛い痛い痛い痛いぞ!」
業火を食らったヒョウガは、熱さと痛みで体中を蝕まれてしまい、流血してしまう。
「これで決めるのじゃ。武装神鉈技<天神斬り>‼」
リーフは神鉈をから天神を出現させ、彼女の斬りかかる合図で斬りかかって―――。
攻撃を避けることが出来ない。
もう応援する事しかできないカナミ達は。
「ね、ねえ、カナミさん。ヒョウガ先輩、大丈夫よね?」
「現状が分からないかな何とも言えない。だから、信じようね!」
「そうですの! きっと彼ならなんとかして呉れるですの」
「信じましょう。カナミ先輩の言う通り、そうするしかありません」
「そうだよー」
地面の下に落ちた事で現在の状況が不明な中、彼女たちはそれぞれ思いを口にし、勝負の女神を拝む。
試合に戻る。
リーフの攻撃を食らったヒョウガは、体がっボロボロになっており、体力も実は限界が近付いていて。
「これで止めと行くのじゃ。能力<破壊状態>‼」
彼女の能力により、彼の体中の血管が、脳が破壊されそうになってしまい。
「こんな・・・・・・こんな所で終わる訳には行けないんだ。皆のエールが聞こえるんだ。それに敗れた仲間達に見せる顔が無い・・・・・・だから……だから……」
凄まじい痛みを堪えながら、力を振り絞るように言い放つ。
このままでは決着が着いてしまう。
「もっと威力を上げるのじゃ」
その一言で、更なる絶望的な状況へと陥れられてしまい。
―――これは物凄く不味いぞ! このままじゃ、負けちまうぞ!
凄く悔しそうにしている彼へと、謎の声が聞こえてきて。
『ヒョウガ、こんな所で本当に終わりたいのか?』
―――ん? 誰だ?
何処からか聞こえてくる聞き覚えの無い声に、そう返すと。
『こうすると分るだろうよ』
そう言った刹那、目の前に声の主が現れた。
―――ん? ふ……風神じゃないか。
『では、早速は無しに入ろう。単刀直入に言わせて貰うよ。お前に俺様の力を使わせてやろうと言うことうよ』
―――風神の力? それって何時ものと違うのか?
ふと、よく使うそれを思い浮べ。
―――しかし、そいつは首を横に振り。
『それとは別物だ』
―――それなら使わせて貰うぞ!
彼の了承を受けた途端、ヒョウガの体の中へと入り込んで、そして消えて行き……。
「な……何なのじゃ!? その力は」
彼の体中を、風の覇気を包み込み。
雰囲気も又、何時もと違い、髪が逆立っていて。
「リーを守りましょうね!」
「おう、勿論だぜ!」
「行こう」
コロネ、ガウェール、ザクがリーフの前に立つ。
「行くぜ! 妖魔想像<滑瓢>‼」
ガウェールが滑瓢を出現させて、攻撃を仕掛けようとするが―――。
風で薙ぎることで、滑瓢を消し去って、ガウェールにも同じ攻撃を仕掛けて。
それを食らった彼は痛みが体中を襲い。
「ああ、あああぁ~。痛い痛い痛い痛いぜ! 何て威力だ」
「これで終わりにするぞ! 風神覇奥義<烈風舞踏>
彼の周りをの周りを、ラサに非常に強い風で覆い尽し、舞い踊るように手に持つ二つの刀剣でガウェールの心臓と腹へと突き刺すと―――。
大量に血が溢れ出す。
「がああぁ~。痛い痛い痛い痛いぜ! ゔぇ~。げホげホ。まさか・・・・・・俺がやられるとはな・・・・・・見事だぜ!・・・・・・」
バタン、その場に倒れ込む。
「僕も行く。武装呪銃術<積怨丸>!」
ザクがヒョウガへと銃口を向けて、引き金を引く。
放たれた積み重なった怨みの弾は、彼へと飛んで行く。
がしかし、
「んな、攻撃効かないぞ!」
そい言って、風で薙ぎってしまい。
コロネが片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。
「行きますね! 武装霊刀奥義<居合絶息>‼」
「んな攻撃食らって溜まるか! 能力<旋風>‼」
彼の息の根を止めようと試みるも、ヒョウガが渦のように巻き上がる風で少女ごと吹き飛ばす。
「これで決めるぞ! 風神覇奥義<神風乱舞>‼」
神によって吹き上がる風と共に、彼女へと踊り狂うように襲いかかって―――。
躱す事も出来ぬまま、コロネは攻撃を食らってしまい。体のあちらこちらか途轍もないほどの血が噴き出してしまい。
「ぐああああ~。痛い痛い痛い痛いです。私まで敗れるなんて・・・・・・なんて技なんでか・・・・・・ゔぇ~。げホげホ・・・・・・」
バタン、その場に倒れ込む。
遂に二人となり、焦り出すザクにリーフは示唆する。
「あの力は風の神力なのじゃ。体力切れになるまで待った方が良いのじゃじゃ」
「分かった」
仕掛けて来ない二人。その代わりに彼が仕掛けてきて。
「来ないならこっちから行くぞ! 風神覇奥義<裂風舞踊>‼」
「食らって溜まらない。武装呪銃術<積怨丸> <幽鬼丸>!」
彼の周りを更に強い風で覆い尽し、舞い踊るように二つの剣で彼を突き刺そうとすると。
ザクはヒョウガへと銃口を向けて、引き金を引く。
放たれたのは積み重なった怨みの弾と、もう一つは死者の霊の弾で。彼へと飛んで行こうとするが―――。
余裕で吹き飛ばす。
そして二つの刀剣を、ザクへと突き刺す。
その一撃必殺を食らい、体中から大量に血が溢れ出してしまう。
「んでもって、これで終わりだ!」
そう言うと、止めを刺す。
更に多くの血が噴き出して、ほとんど体内に血が残ってない。
血腥い匂いも漂ってくる。
「ゔおおおお~。痛い痛い痛い痛い。これがリーちゃんが言っていた、力か……こんなの勝てる筈がない・・・・・・ヴぇ~。げホげホ・・・・・・」
バタン、その場に倒れ込む。
少しズス、少しずつヒョウガは疲れて行き―――。
「ハアハア、リーフ。後は君だけだ」
「かなっり疲れてきてるみたいなのじゃ。そろそろ限界なのじゃじゃ」
彼の今の状況を見たリーフは、焦っている様子はなく。何処か予想そうな感じがしており。
「妾が行くのじゃ。能力<破壊状態>‼」
風の覇気に守られているにも拘わらず、彼女の能力により、体中の血管が、脳が破壊されそうになってしまい。
「ああ、ああああぁ。痛い痛い痛い痛いぞ! 体が……頭まで……風神の力を使っているはずだ・・・・・・」
「もうないのじゃ。その力は」
そうリーフが告げると、本当に力は無くなって行き―――。
「これで終わりなのじゃ。武装神鉈技<神風波斬り>‼」
彼女は右手に持つ神鉈で技を発動。
リーフは神が創り出し方風で強力な波で斬りかかってきて―――。
ヒョウガは技を発動する時間すらない。
―――今度こそ本当に不味いぞ!
と彼が又もや悔しそうにしている。その時、
「も~何時までのおお」
そう言って現れたのは天使―――シナモンで。
「ん・・・・・・!? シナモンか。何怒てるんだ?」
「お‥‥‥怒ってなんかないもん」
「やっぱり怒ってるんじゃないか。ホント悪かったぞ! 正直言うとすっかり忘れていたんだ」
「もう良いもん。天使を忘れる天使使いなんて許せないけど」
もしや機嫌が悪いのでは、と思ったヒョウガはシナモンに尋ねてみると、天使は頬っぺたを膨らませ、稚気な態度を取り。
その態度から察した彼は、そのことを指摘して謝るが、余計な子まで言ってしまい。
―――シナモンはそっぽを向いてしまい。
―――ん? そう言えば何かを忘れてるっ様な・・・・・・。
「余所見するななのじゃ。技が来てるのじゃじゃ」
放っておかれたリーフは、頭にきて自分が放った技にも拘らず、そのような事を言ってしまい。
「そうだったな。んじゃあ、シナモン。力かしてくれ!」
「うん、分かった」
と言って天使はヒョウガを包む輝かしい天使の光となって。
「んじゃあ、行くぞ! 能力<旋風>‼」
彼女が斬りかかった技を、彼は渦のように巻き上がる風は、天使の力が加わったことで威力は倍増して、それで吹き飛ばす。
「中々やるのじゃ」
「まだ終わらないぞ! 天使光輝奥義<天界の四重翼落とし>‼」
「武装魔斧技<薪割り>‼」
ヒョウガの天使が天空へと飛んで行くと、巨大な四つの翼をリーフへと落とす。
透かさず彼女は、左手に持つ魔斧で薪割りをするように技を割ろうとするのだが―――。
わることが出来ず、リーフは攻撃を食らってしまい。流血してしまう。
「ぐああああ~。痛い痛い痛いのじゃ。まさかこの力は、天使の力なのじゃじゃ?」
「ん・・・・・・!? そうだぞ!」
彼女の問いかけに、彼は首を縦に振って肯定し。
「妾も行くのじゃ。能力<破壊状態>‼」
リーフは能力で、ヒョウガの脳や体中を破壊しようと試みるも。駄目で。
「んじゃあこれで決めるぞ! 天使光魔剣奥義<天界の光輝>!」
包み込んだ天使の力が、元の姿に戻り、その後、シナモンは天使光魔剣に変わり、天界の方から物凄い輝きが彼立つ位置に降り注がれて、光が県に集中すると。
「<煌き光魔斬り>‼」
「食らって溜まらないのじゃ。武装神鉈技<神隠し>‼」
光に包み込まれた剣から美しく輝く光魔がリーフへと襲い掛かってきて―――。
透かさず彼女は、神の輝きを放つ鉈で切裂こうとする。
そして押し押されを繰り返すうちに、決着が着く。
押せ切れなくなったリーフは、攻撃を食らってしまい。体中から先より多くの血が噴き出してしまう。
「ぐおおおぁ~。痛い痛い痛い痛いのじゃ。妾の本気が効かなかったのじゃじゃ!? げホげホ。妾が……敗れたら・・・・・・駄目なのじゃ・・・・・・でももう・・・・・・学園最強なのに・・・・・・一度の負けたこと無いのに・・・・・・ヴぇ~。げホげホ・・・・・・妾の負けじゃ……」
バタン、その場に倒れ込む。
『では梯子を創り出しますので、アリマ君。それを上ってきて下さい』
先生が能力で梯子を創って、先生の指示通り彼はそれを上って行く。
それから上がり来て、外へと出る。
既に他の全員が集まっているので急いでヒョウガは並ぶ。
「何と言う凄い戦いだったんでしょう。そんな激戦の中、見事勝利を収めたは、なんとアリマ・ヒョウガ率いる450号室の皆さんです」
と先生が勝者を伝えると。
「「‥‥おおお~」」
観戦客の大歓声が響き渡り。
「グスグス。負けちゃったのじゃ」
「でも、俺もなかなか追い込まれていたから、あの二つの力が無きゃこっちが確実に負けていたぞ! だからさ!」
そう言って、リーフに手を差し伸べつつ、言葉を紡ぐ。
「泣くの止めてくれ! 頼むから」
「グスグス。分かったのじゃ。アリマ・ヒョウガ」
その彼の手を握って握手を交わす。
釣られて他のメンバーも相手と握手を交わす。
それからヒョウガは、幼女へとこう問う。
「なあ、リーフ。もうそう呼ぶんじゃないぞ! 下の名前で良いから!」
「じゃあ、ヒョウガ。宜しくなのじゃ」
「ああ、宜しくな」
呼び方を変えるように言う彼に、改めて握手を要求するリーフ。それに笑って答えてから、同じように握手を交わす。
その後、正式な閉会式基優勝セレモニーが行われ。
優勝したヒョウガ達と、準優勝のリーフたちが、学園の大きな校庭にて、運営委員会が立つ専用ステージの上に上がり、別々に並ぶ。
「では、先ず惜しくの優勝を逃した、リーフ・チェレヌ率いる001号室の皆さんから始めます」
運営委員会の委員長がそう切り出すや、前が誰が代表として出るかと決めていて。
「妾は大勢の人が見てるのに、人前に出るのはやっぱり無理なのじゃ」
「それでは私が行きましょうか?」
「それじゃあ、俺が行くぜ!」
そう言って、ガウェールが前に立つ。
「では改めて、準優勝おめでとうございます。こちらは銀のトロフィーです。それと、賞金三十万円。後は、<交武祭典>《アルージェフェート》でのチーム名は、<魅破>となります」
「ありがとう。嬉しいぜ! 魅力的かつ破壊的に頑張るぜ!」
副賞を受け取った彼は、観客たちに見せつけ。
パチパチパチパチパチとあちらこちらから拍手が沸き上がり。
「次に、見事形勢逆転をして見せた。アリマ・ヒョウガ率いる450号室になります」
運営委員長―――ガイヤに呼ばれ、誰も文句なしのヒョウガが前に立つ。
「あの絶体絶命と言っても過言ではない状況の中、見事優勝おめでとう。それにしても誰があのような罠を仕掛けたんでしょうね」
「ああ、ありがとう。本当に優勝できるとは思わなかったぞ! あれを仕掛けた奴は恐らく自分にとっていい方に進むようにしたんじゃないかな」
その言葉を聞いた、観戦客の反応は。
「ヒョウガって、あんなに恰好良かったんだ」
とか、
「流石に四対一だったから、絶対に負けると思ってたけど、勝つなんて驚いちゃった」
「そうだね。アタシも思った以上に強くて惚れちゃいそう」
「止めた方が良いと思うよ! でも、あんなに強いと憧れちゃうな」
と女子三人組が其々話していて。
他にもあちらこちらでそのことをお喋りしていて。
「これが君が見たかったものかな?」
「ん・・・・・・!? ああ、これが見たかったんだ!」
訳知りな顔で問うてくる運営委員長に、笑いかけてそう返す。
「此方が金のトロフィーです。それと優勝賞金五十万。高級スイーツ店無料券、お米一年分、全店舗で使える無料券と割引券です。それと、<交武祭典>《アルージェフェート》でのチーム名は、<風神>となります」
「ありがとう。凄く嬉しいぞ! 風神の如く俺達が勝ちぬけてやるぞ!」
賞金を受け取ったヒョウガは、観戦客に向け見せつけ。
パチパチパチパチとあちらこちらから大きな拍手が沸き上がり。
その後、出発が二日後であることや、その他大事なことを伝えられて、式が完全に終わり、部屋へそれぞれ帰って行く中、ヒョウガはリーフを呼び止め。
「リーフに話があるから先に帰ってくれ!」
「そ、そう。分かったわよ!」
彼に言われ、アミリは了承し、他の四人と共に先に部屋へ戻って行く。
リーフの方も、仲間に先に帰らせ、ヒョウガと二人で近くにあるベンチにあったため、そこに腰を下ろす。
早速、彼は話を切り出す。
「約束、忘れてないか?」
「勿論覚えてるのじゃ。妾が負けたらヒョウガに貰われるのや」
そう幼女は答えると。
リーフが期待した言葉とは別の言葉が、彼の口から放たれて。
「それなんだけどさ、やっぱりなしにしてくれるか? 何せ、未だ君は十一歳だろ。だからあと四年、その気持ちが変わらないでいてくれるなら、前向きに考えてあげるぞ!」
「・・・・ヒョウガの嘘吐きなのじゃ。プロポーズしておいてなのじゃじゃ」
泣きそうな声になりながら、リーフは言う。
一呼吸おいてから、ヒョウガはそんな要求をし。
「プロポーズになるんだよな。ホントに悪い。代わりに友達になってくれ! 後学園ランキング1位の座をくれないか?」
「グスグス。もうヒョウガなんて知らないのじゃ」
そう言ってリーフは遂に泣き出しつつ、ベンチから立ち上がると遁走してしまい。
「悪い事しちゃったな!」
とヒョウガはそう呟き、ぎくしゃくした気持ちのまま、自分の部屋へと戻って行く。
リーフの部屋でのこと。
泣いて帰って来たリーフに、コロネは優しい声音で聞いてきて。
「何があったの? リー、どうして泣いてるの??」
「うヴぇ~~~ん。グスグス。ヒョウガに裏切られたのじゃ」
「どう言う事?」
突然そんなことを言われて分からず、リーフはあったことを全ては無し。
「それってさ、逆に言えば惚れさせちゃえばいいんじゃない」
「たとえば?」
首を傾げる幼女の耳元で、コロネは呟く。
ごにょごにょ。
「それは良いアイデアなのじゃ」
「じゃあ、試してみれば」
―――あ、やっちゃった。まあ、良いか。
彼女は何かを思い出したが、言うのを止めておくことにした。
「それより、今日の夜ご飯はリーの大好きなオムライスにしよっか」
「わーいわーい。オムライスなのじゃ」
晩ご飯が自分の好物だったのもあり、リーフは跳梁して満々の笑みを浮かべていた。
そして夜になり、皆寝寝静まった頃。
場所は、南西南の奥にある森―――悪魔の森。その中でも憩いの場と言われている場所。
そこへライトを持った元学園長。そして悪魔達が集まっていて。
そこで発信器から一本の連絡入り。
「ほほ、アリマ・ヒョウガが・・・・・・そうかのう。それでアルテミス。他に情報はないかのう。ふむふむ、そうか、分かった。では、誰にもバレぬようにのう」
アルテミスと呼ばれた人物は、元学園長へ情報を漏洩しているではないか。
その会話を分節的に悪魔の一体―――闇に包み込まれた死神。闇死神が口を開いて。
「誰からの連絡だ?」
「儂の大事な教え子で、協力者じゃのう。例の天使使いが、<交武祭典>>《アルージェフェート》へ参加することが決まったらしいのう。ついでに残りの天使使いも」
聞いたことを全て悪魔に伝えると。
「それでのう。誰か儂と行こうと思っているのだがのう。ついでに言うが、向こうにはすでに、孫が言っておるのだ」
話を最後まで聞き終えると、一体の悪魔がアピールをし。
「この盗魔〈ムフィード〉が行かせて貰いましょう。必ずや主人を喜ばせましょう」
と角が無いベリーショートヘアに、吸血鬼が纏っている黒のマントを着ている偸盗から生まれた悪魔。
「ムフィーだけでは物足りないメア。ラスフも一緒に行くメア」
そう言ったのは、盗魔の前に座っていた、パーマでミディアム。髪の頭には四本の角を生やし、恰好はゴスロリ服を身に付けている両舌から生まれた悪魔。
「では決まりじゃのう。因みにムフィードとヒアイは結界を抜けられるのかのう」
一緒に行く二体が決まり、気になっていたことを二人に聞く。
すると二体が頷いて―――。
「勿論可能でしょう」
「ラスフモ大丈夫メア」
「それでのう。もう明後日には出発でのう。それにコッソリ乗り込もう可能」
と予定と行動を告げ、彼は森の外へと出て行く。
斯うして、元学園長と悪魔達が誰も知らぬ所で動き出しているなど、誰も予想だにしていない。
次回は終幕となりますよ!




