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契約は天使のキス  作者: 海鮮鍋/玉蜀黍
第三章 超えた先の結末
21/33

16話 葛藤と彼女の思い

こんばんわですよ!  


今回の話は、アーティナと男の関係メインですよ! 


そして急展開!?

二戦目を無事突破した日の三日後のこと。

この日の予定は、二戦目を突破したチームが、三戦目の相手を決めることになっている。


そしてヒョウガ達は、掲示板の所へ向かう為に準備をしていた。


「よし、準備が出来たから行くぞ!」


とヒョウガが、身支度を済ませて他の皆にそう声を掛ける。


現在の時刻は、十一時十分を回った所。


「そ、そうね!」


「行こうですの」


「次はどんな相手か楽しみだね」


「楽しみです」


「ほら行くよー」


という訳で、ヒョウガ達はエレベーターに乗って、一階まで下りて行く。


そして掲示板の前に辿り着くと、そこには先生と男が一人立っていて。


「来るのを待っていたんだ。アリマ・ヒョウガ。他のメンバーたち」


「あっ!?」


謎の男が、ヒョウガ達が来るのに気付くと声を掛けて来た。


その男アーティナは、見覚えがあったらしく少し驚く。


「アーティナ。その反応は、僕の事を覚えていてくれたんだ!」


「ち・・・・・・違うですの。人違いですの!」


「それならそれでもいい。今はだ。次の対戦相手になってもらう僕たちの」


「ああ、良いぞ! 受けて立つぞ」


男が嬉しそうに言うと、慌てて誤魔化す。


 返って来た言葉に対して、別に今は気にしていないと言う。


 それから、男はヒョウガに指をさして、戦いを申し込む。勿論断る理由が無いため、その戦いを承諾する。


 「決まりみたいだね! それじゃあ、先生がここに書いて置くよ。日程は、四日後の午前十時。場所は競技場。もう行って良いよ」


先生が二人の部屋番号に印をつけて、日程を告げる。

それが終わると、部屋へと戻るように言う。


「じゃあ、当日だよ。アーティナ」


「・・・・・・」


謎の男がアーティナに言葉を投げかけるが、黙り込んで目を合わせようとしない。


表情は凄く曇ってしまっており。


――それ以上は何も言わず、男は帰って行ったぞ。


「んじゃあ、俺達も戻るぞ!」


「―――そ、そうね」


ヒョウガの言葉を聞いて、アミリはチラッとアーティナを見て答える。


そして全員で部屋へと戻って行く。


部屋に着くなり、アーティナはササッと手を洗い、嗽をして、寝室へと向かってしまう。


「ねえ、ヒョウガ」


 「ああ、言いたいことは解っているぞ! 色々起きてごちゃごちゃだけど、アーティナとあの男には何かあるぞ」


「そ、そうよね」


 カナミが、アーティナの後ろ姿が余りにも悲しい表情だったため、言葉を発しようとしたのを、ヒョウガが言わなくても分かると、その原因についてはさっきの男を出して言う。アミリも同感で。


――あの二人はどういう関係なんだ? ただの同じ三年生って関係だけではないのは確かだぞ!


とヒョウガは、腕を組んで考え込む。


「ちょ、一寸行ってくるわよ」


「ちょ・・・待て! 今言ったって・・・・・・」


ヒョウガの言葉を最後まで聞く前に、リビングを出て行く。


              

ガチャッ、ドアを開けて寝室へと入って行く。


「ね、ねえアーティナさん」


「なん、ですの」


アミリの声掛けに対して、アーティナは布団から顔(今にも泣きそうな)を見せて尋ね。


「あ、あの・・・・・・先の人誰なのよ?」


「そ・・・・・・それは知らないですの」


「そ、それは嘘よ! その証拠に凄く哀しい顔してるわよ」


「い・・・・・・言わないですの」


 アミリの質問に対し、彼女は首を横に振って答えた。分かり易い嘘を淡白(あっさりと見抜かれた為、布団に顔を隠してしまう。


―――こ、これ以上は駄目みたいね!


アミリは寝室を出る。


「言っただろ! 最後まで話し聞かないと駄目だぞ。ああいう時に言っちゃだめだぞ」


「そ、それはそうだけど・・・・・・」


「けどじゃ無いぞ! 今はそっとしておいてやらないと駄目だぞ」


リビングで、ソファーに腰掛けていたヒョウガ思った通りだと言い。


「そっとしておくとは言っても、このままずっとは駄目だぞ」


「そうだよね」


それを言ってからどうしたもんかと考え込む。


「仕様が無いぞ! 俺が何とかしてやるぞ。と言っても、俺に出来る事は無いんだけど」


「何をするつもり? ヒョウガ」


「それは決まってるぞ! 自分で解決させるんだぞ」


「そ、それはそうだけど・・・・・・大丈夫な訳?」


自信が無さげに言うアミリにヒョウガは、


「まだ今日の抜いて三日あるぞ!」


―――残り三日の間に、アーティナが何時もの元気な彼女になってくれれば良いぞ!


「それよりも、これから特訓如何どうしよっか?」


「ん~ん。そうだな。特訓は必要だぞ!」


そう言うと、ヒョウガは寝室へと向かう。


ガチャッ、ドアを開けてかれが入って行く。


「何回来たって何も話さないですの」


「別に良いぞ! それで」


「―――ヒョウガだったんですの」



布団をかぶったままの状態で、アーティナは何度来ても同じだと言う。


聞こえてきた声で、誰が来たかのかようやく気付く。そして布団から顔を出して。


 「だけどだ! 今日抜いてあと三日間の間で何とかするんだぞ。んじゃ無きゃこっちの集中が途切れて狂っちまうからだぞ」


「・・・・・・分かったですの」


 彼女の返した言葉を聞いて、ヒョウガは戻ろうとしたがふと思い出したように、アーティナの方に足を戻す。


「ああ、忘れてたぞ! 今から俺達は特訓に行って来るぞ!」


「・・・・・・」


ヒョウガの言葉を聞いて、アーティナは俯いたまま押し黙り。


それを最後に、彼は寝室を後にする。


「んじゃあ、どっちが空いているか分からないけど行くぞ!」


「そうだね」


「そ、そうね。行くわよ」


「分かりました」


「よし、行くよー」


ヒョウガが、リビングに座っていた他の子達に声を掛ける。


ガチャッ、玄関のドアを開けて部屋を出る。それからまず競技場へ向かう。


一方。部屋の寝室で一人残ったアーティナは。


「どうすればいいんですの?」


アーティナは誰もいなくなった部屋で、自分にそう問い質す。


―――どうすればいいんですの・・・・・・


自分なりの答えを出そうと考えるが、出ず。

どうすれば良くなるのかを模索し続け。


――心の整理が出来たら皆に話すですの。


と彼女は、全てが終わってから話すと心の中で決める。


二人の関係はいつから始まったのだろうか。


話しはヒョウガ達の方へと戻る。


「競技場に来たのは良いけどね」


「ああ、人が多いぞ!」


ヒョウガ達が競技場に着いた時には、他のチームが使っており。


「んじゃあ、バトル施設に行くぞ!」


「わ、分かったわよ」


と言う事で、ヒョウガ達はバトル施設へと向かう。


距離はそこまで遠くなく、あっという間に着くと、四階を目指す。


目的地について、人がいるかどうかを確かめるため、中を覗き込む。


「大丈夫みたいです」


「んじゃあ、やるぞ!」


そう言いながら中へと入って行く。


入ると、直ぐに全員が武装展開を済まして、何時でも準備バッチリ。


「んじゃあ、行くぞ!」


「準備オーケーだよー」


今回の特訓は、一対一で戦う時の為の特訓。


「武装二刀剣奥義<炎交刃ブレイゼルソードウィンド>‼」


「エアノーク! 行くよー」


―――はい、マスター。分かりました。


サラの前に、契約している真っ白な妖精が現れた。


「守護魔甲術<妖精フェアリー輝壁エクラムーロ>!」


ヒョウガが二刀剣で炎が交じり合った風を発動すると、透かさずサラが右腕に力を集中させて。


発動した技は、妖精の持つ力餌らの前に、光り輝く壁を創り出す。


勿論妖精の力だから、ヒョウガの放った技など容易たやすく打ち消してしまう。


「中々の技だぞ! まさか俺の技を消すなんて凄いぞ!」


「そうでしょー。そう言われると嬉しいよー」


ヒョウガがサラを褒めると、とても嬉しそうに喜ぶ。


「んじゃあ、次はミューフィだぞ!」


「宜しくお願いします」


ヒョウガに呼ばれて、サラと交代する。


「行きます」


「ああ、何時でも良いぞ!」



ピィ――――ッ、ピッ!


ミューフィが魔笛を吹いた。


「催鳥魔術<炎隼フレーカル>!」


空から突如現れたのは、燃え上がる炎を纏う隼だ。ミューフィが呼び出した鳥だ。


そしてそいつが、ヒョウガへと襲い掛かって来るも。


「能力<鎌鼬>‼」


隼に触れも打ちもせずに、大きな切り傷を付けて消してしまう。


「流石はヒョウガ先輩です」


「んや、今のは技の威力が弱すぎるぞ!」


「そうですね。今では、ルームメイトの中でワタシが一番弱いですから」


彼のと言葉を聞いて、彼女は、一番自分が弱いんだと言う。


「んなら、俺が強くしてやるぞ!」


「宜しくお願いします」


「まあ、後でだぞ!」


ヒョウガがミューフィに強くしてやると胸を叩いて言った。


ミューフィが一礼してから頼み込む。


「もう準備出来てるから行くね」


「何時でも良いぞ! カナミ」


何も言われずに出てきたカナミが、そう呼びかけ。


「武装想像<朱雀>!」


カナミが想像したものは、南の方の守護神で鳥の形をした空想上の生き物。


「行け!」


指示をだ受けた朱雀は、真向から襲いかかってくる。


「武装二刀剣奥義<風・林・火・山二刃斬り>‼」


四つの属性が、それぞれ二つの刃となって朱雀に斬りかかる。


がががががが。


全ての攻撃を食らった朱雀すざくは、薄れて行き、最終的に消えていく。


「やっぱ、ヒョウガって強いよね!」


「ん……!? まあ、そうだ」


カナミが彼にそう声を掛けると、悔しいが間違いではないため、物凄く自信有り気に言った。


「んじゃあ、次はアミリだぞ」


「・・・・・・」


「アミリ」


「ふぇ!? そ、そうだったわね」


二度目のヒョウガの呼びかけで、驚いたアミリは、それから彼の前に立つ。


「まあ、アーティナの事が心配なのは分かるぞ! んでもだぞ。今は特訓に集中しろ!」


「わ、分かったわよ」


そう言って、彼女は攻撃の準備を取る。


「い、行くわよ! 武装魔銃術<氷雪の弾>!」


アミリはヒョウガに銃口を向けてから引き金を引く。


バンバン。


彼女が放ったのは、氷と雪の弾で、それが一つに合体した弾となってヒョウガへと飛んでいく。


「能力<暴風>!」


強い風がヒョウガの体を中心に吹き荒れて、飛んで来た氷雪の弾を吹き飛ばす。


「さ、流石ね。ヒョウガ先輩」


アミリが彼に流石だと褒め。


「んでもまあ、やっぱりアーティナが心配だから、今日はここまでにするぞ!」


―――や、やっぱり、ヒョウガ先輩もアーティナ先輩のことが心配だったわね。凄く。


胸に手を当てて、何故かホッとしてしまうアミリ。


「んじゃあ、部屋に戻るぞ!」


彼の言葉を聞いて、他の子達がうんと頷く。


一方。アーティナは。


―――情けないですの。皆が特訓してると言うのに、アタシは・・・・・・。


今の自分の現状に、情けなさを感じるアーティナ。


 ―――あれは彼が悪いんじゃないですのよね。 自分が悪いんですの。そうですの! アタシが・・・・・・アタシが・・・・・・


「ん……!? 大丈夫か? 今にも泣きそうな顔してるぞ! アーティナ」


顔を覗き込んでくるヒョウガが、そう声を掛けて来て。それに彼女は気付くのに遅れてしまい。


「だ・・・・・・大丈夫ですの! 何でもないですの。何でも! それよりいつ帰って来たんですの」


 「そんな元気なフリして無理するんじゃないぞ! ちなみに言っとくが、大きな声で唯今って言って入って来たぞ!」


ヒョウガの言葉を聞いて、アーティナは愕然がくぜんとしてしまう。


そんな反応をそっちのけに、彼は口をを開いて。


 「先はあんなこと言ったけど、やっぱ心配になって特訓を終了して戻って来たんだぞ! 無理に話せとは言わないが、良かったら聞かせてくれ。俺達は仲間なんだぞ! 相談とかにだって乗ってやりたいんだぞ」


まるで彼は、アーティナが先まで考えていたことを知っているかのように、優しく話し掛けてくる。


彼女の何を知ってそう言えるのか。

彼との関係を今まで誰にも話していないと言うのに。

だからこそ、この絶好のチャンスを逃せば一生言えなくなってしまわないか。


「分かったですの! 彼とのことを話すですの」


「別に無理しなくても良いぞ!」


「そう言うのじゃないですの。仲間だから。それに、この気持ちが少しでも軽くなればと思ったんですの」


 決心が着いたアーティナが、語り出そうととすると、無理をさせてるのでは、そう思ったヒョウガが両手を使って止めるも、彼女は首を横に振って否定。そして理由を述べ。


それからアーティナは、゛彼゛の事を話し始め。


 彼とは中等課三年の初めに知り合い、アーティナの方から仲良くしたこと。それから一年半ぐらいは何もなかったということ。


「でもですの。彼が次第にアタシに好意を持ち初めて。それ自体は、物凄く嬉しいですの! そして次第にエスカレートしてしまったんですの」

 「それで少し距離を取ることにしたんですのそれでもそういう行為を止めなくて、会う日を決めてその日だけ会うことにしたんですの。彼もそれには賛成してくれて。最初は上手くいってたんですの。でもある日、アタシがその約束を忘れてしまっていて。それからは彼に会うのが怖かったんですの」


淡々と語られる、知りもしなかった事実を唯々耳に入れて行く。


「これが彼がああたった理由ですの! だから・・・・・だからあたしがいけなかったんですの。あんな態度や、約束を忘れなければ良かったんですの。自分が悪いんですの」


「んや、それは違うと思うぞ! アーティナ」


 「どうしてそんなこと言えるんですの? アタシのことなんて何一つ知らないくせに。知ったような口を聞かないで」


アーティナは自分のせいだと思っているが、彼はそうは思っていない。

その言葉を聞いた途端、彼女は声を荒らげてしまう。


リビングでのんびりと寛いでいたカナミ達だったが、心配になりコッソリ様子を窺う。


「確かに俺は、話を聞いてただけだから君の事何も知らなかったのは事実ぞ! 

 「これだけは言えるぞ! アーティナが悪いんじゃないぞ。あの男が勝手にエスカレートしたのが悪いんだぞ! 第一、一階の約束を守らなかっただけだぞ!」


「ぐすっ、それは・・・・・・そうですけど……」


 「んなら、自信を持て! アーティナは泣いてる顔よりも、笑っているときの顔の方が好きだぞ! だから笑え」


ヒョウガが歯をニッとして笑って見せると、瞳から零れ落ちた涙を拭って泣き笑いを返す。


「分かったですの」


「ああ、その顔がアーティナには一番似合ってるぞ!」


「ありがとうですの」


彼にそう言われて、少し頬を赤く染めて、目を合わせてお礼を伝える。


そしてアーティナは、寝室をヒョウガと一緒に出てからリビングへと向かう。


ガチャッ、ドアノブを強く握り締めてドアを開ける。


「その・・・・・・みんな心配を掛けてご免ですの。アタシはもう大丈夫ですの」


「本当そうだよ! 私達をもっと頼ってよね」


「ホ、ホントそうよ! 一言言ってくれれば相談に乗ってあげても良かったんだからね!」


「ワタシも二人と同じです。頼りないかもしれませんが、頼ってくれていいんですよ」


「ウチも同じだよー」


アーティナのセリフを聞いて、カナミ、アミリ、ミューフィ、サラが其々気持ちを伝える。


「どうして、そんなことを・・・・・・」


「聞こえていたって言うか、あんなに声を荒げれば、気になって見に来るに決まってるぞ!」


「ん~ん。分かったですの! これからはちゃんと話すですの」


彼女は皆と約束を交わす。


それが終わって時計の方に目を向けて見れば、時刻は十六時を過ぎていた。


―――急いで俺はお風呂の準備をするぞ!


他の三人はのんびりと寛いでいる。


 今日はアーティナがやりたいと言うので、彼女に料理を任せることにした。勿論、今回はカナミが教えている。


ザクザク。ザクザク。


食材を着切ると鍋に掛け。


ぐつぐつ。ぐつぐつ。カチャン。


火を止めて完成。アーティナが作ったのは肉じゃが。


ピッピッ。


「お風呂沸いたぞ!」


「肉じゃがも出来たんですの」


 「んじゃあ、味見するぞ! どれどれ。パクッ、ん~ん。おお、初めて作ったにしては上手く出来てるぞ!」


「カナミに教えて貰ったからですの」


そうアーティナは言う。


「んじゃあ、大きな皿を用意するぞ!」


「ありがとうですの」


ヒョウガが大きな皿を用意して彼女に差し出す。

その親切な対応に、感謝を伝えた。


それからその大きい更に小分けする。


 その間に、カナミがテーブルを綺麗に拭くと、肉じゃがが入った皿や冷蔵庫から出したそのほかのおかずを置く。


「んじゃあ、俺が呼んでくるぞ!」


そう言って寝室に向う。


「おい、晩ご飯の準備が出来たぞ!」


「わ、分かったわよ」


「そうですね」


「お腹空いたよー」


ヒョウガがア呼びに行くと、三人とも話すのを止め、食卓へと向かう。


「んじゃあ、食うぞ!」


「「戴きます」」


「い、戴くわよ!」


「戴くですの」


「戴くよー」


席に着くと、戴きますをして食べ始める。


早速、カナミとアミリが肉じゃがを口に入れる。


「パクッ、ん~ん。美味しい。私は教えただけだから凄いね」


「ホ、本当ね。美味しいわよ」


二人が素直な感想を述べ。


「パクッ、ん~ん。美味しいです」


「確かに美味しいよー」


他の二人もアーティナの料理を褒め。


「ありがとうですの」


アーティナはお礼を伝える。


他のおかずも次々と無くなって行く。肉じゃがの方はもうない。

ご飯の方ももう空なのでご馳走様をする。


ヒョウガが皿洗いをしている内に、他の子達は順番にお風呂へと入りに向う。


 洗物が終わり食卓を綺麗に拭く。それからお風呂に入りに向い、何十分かして出てくる。それから歯磨きをする。


シャカシャカ。シャカシャカ。シャカシャカ。シャカシャカ。


綺麗に磨き終ると嗽をする。それから顔を洗い。口と顔をタオルを拭くそれから寝室へと向かう。


寝る準備を済ませると、全員がベットに横になる。


「んじゃあ、寝るぞ!」


[[お休みなさい]]


「お、お休みなさいよ」


「お休みですの」


「お休みだよー」


全員がお休みの挨拶をして、眠りに就く。


次の日。この日は、競技場が使えず、バトル施設も空いていない。


なので、昨日じっくり聞けなかった、男の事を聞いている。


 「彼の名前は、ナラード・エデロア。アタシの隣のクラスで、彼とは昨日も来ていていたから知ってると思うんですが、元は仲が良かったんですの。あの時は物凄く楽しかったんですの」

「彼といる時が本当の・・・自然体のアタシでいられるような気がしたんですの」


昨日とは違い、落ち着いた様子でアーティナは話す。

彼女は懐かしむように、遠い目をして語っていた。


「あんな事が無かったら今頃ですの」


 ―――も、もしかしてアーティナさん、ナラードさんていう人のことが好きになっちゃってたんじゃないでしょうね。


アミリは、アーティナの語る様子からそうなのではと察しを付ける。


「あ、そうでしたですの。彼の弱点はアタシですの」


納得な。とヒョウガが頷き返す。


それからも色々な話をするのだった。


そんな事をしている内に、お昼をとっくに過ぎていたことに気が付く。


なので、学園から出て十分ほど行ったところにあるパン屋さんに行くことに。


パン屋へと歩いている時のこと。


「超久し振りだぞ! あそこのパン屋に行くの」


「私は去年の九月に行ったきりだよ」


「わ、私は言ったこと無いわよ!」


「アミリが言ったこと無かったのは意外だったんですの。アタシも初めてですの」


「ぐう~~~~! お腹が空いてしまいました」


「ウチもお腹ペコペコ―」


久し振りのヒョウガと、一年振りのカナミに対し、アミリとアーティナは初めてのようで。


歩くに連れて我慢の限界とばかりに、大きな音で鳴るミューフィのお腹。

なった直後にお腹が空いたとかの彼女が言って、サラも同じようで。


そんな会話をしている内に、パン屋さんへと到着。


――ん~ん。お、美味しそうな匂いがするわね。


鼻をくんかくんかして、匂いを味わうアミリ。


「おい、アミリ店に入るぞ!」


カランカラン。


「いらっしゃいませ」


店員が、客が入って来たので歓迎の挨拶をする。


「お洒落なお店ですの」


「そ、そうね! 沢山あるから迷っちゃうわよ」


店内はお洒落な空間が広がっていて、多種多様なパンが並ぶ。


「んじゃあ、好きなパンを言うんだぞ! 俺がトレーに入れてやるで」


ヒョウガが全員にそう伝え。


――ん~んと。な、悩むわね! あ、凄く美味しそうね。これ! じゃあこれにするわよ。


アミリが選んだのはクロワッサン。


「んじゃあ、これだな」


彼がクロワッサンを取ってくれる。


「ねえ、ヒョウガ。コロッケパンとって」


「ああ、分かったぞ」


そう言って上手くとる。


「後、この紅茶のパンもね」


「あいよ!」


カナミに言われたそれを取る。


「ヒョウガ先輩。このサクサクメロンパンを取ってください。それと焼きそばパンを」


「ん、分かったぞ!」


ミューフィが言ったパンを取って、自分用に焼きそばパン塩パンを取る。


―――どれにしようですの! 全部美味しそうですの。ん~んとじゃあ一つはこれにしようですの。


「ヒョウガ。一つは、この南瓜(カボチャ)ロールを取ってですの」


「ああ、分かったぞ」


「それと塩パン」


アーティナが言った二つをトレーに乗せて。


「こ、この塩パンも食べるわよ」


アミリがこっちに来て、塩パンを指して言う。


「ウチは、パイナップルパンとスイートポテトパンだよー」


「わ、私もスイートポテトパン食べるわよ!」


 サラがあちこち見て回ってからヒョウガの所へ来て、取って欲しい物を言う。すると、アミリの分もスイートポテトパンを取る。

そして自分用にバロンクリームパンを取る。


「んじゃあ、これで良いな。どっかで食っていくぞ!」


「飲み物も買って行こっかー」


「その前に会計を済ませるぞ!」


飲み物は後でと、レジへと足を運ぶ。


会計が済むと、飲み物を買う為に歩き出す。


向かった先は、アボルダージェと言う飲み物専門のお店。


まあ、店と言っても建物の中にあるわけではない。


アボルダージェ近くには、座れるテーブル付き椅子がある。


「んじゃあ、何を飲むか決めるんだぞ! 俺はカフェモカだ」


唯今注文をしようとしている真っ最中。


「私はマイルドコーヒーにするね」


「わ、私はん~んと。じゃあ甘さ控えめのハニーティーにするわよ」


「アタシは青アップルティーにするですの」


「ワタシはストレートティーにします」


「ウチはタカピオジュースのミルクティーにするよー」


全員の注文を伺った店員のおじさんはに、ヒョウガはお金を払う。


「毎度有り。少しお待ちくださいね」


そう言ってから何分か待っていると、全員分の飲み物が揃い、テーブルで空いている席を取りに向う。


そして見つけると、全員で椅子に腰を掛ける。


「んじゃあ、食うぞ!」


「「戴きます」」


「い、戴くわよ!」


「戴くですの」


「戴くよー」


手を合わせるなり、食事の挨拶をして食べ始める。


「パクッ。サクッ、サク。ん=ん。美味しいです。このメロンパン」


「パクッ、ん~ん。南瓜ロール美味しいですの」


「パクッ、ん~ん。パイナップルパン美味しいよー」


「ん~ん。紅茶の良い匂い。パクッ、ん~ん。しっかりと紅茶の甘さが出ていて美味しい」


皆それぞれ選んだパンを食べて、美味しく味わっている。


見る見るうちに一つ目のパンが無くなって行く。


「コロッケパン食べよう。パクッサクサク。ん~ん。このコロッケパン凄く美味しい」


「パクッ、ん~ん。この焼きそばパン気に入っちゃました。凄く美味しいです」


「パクッ、ん~ん。ス、スイートポテトの味がしっかりしていて美味しいわよ!」


「アミリの言う通りだよー。超々美味しいよー」


「こっちのバロンクリームパンも美味いぞ!」


「ん~ん。この塩パン美味しいですの」


其々食べた感想を言う。


「ゴクゴク。ん~ん。このカフェモカ美味いぞ!」


「ゴクゴク。ん~ん。マイルドコーヒーって良いね」


「ヒョウガがカフェモカに舌包みを打ち、カナミも同じく舌包みを打つ。


彼とアミリは三つ目のパンを食べる。


「ゴクゴク。ん~ん。ハ、ハニーティーって本当良いわ! 落着く」


「青アップルティーは良いですの。凄く美味しいですの」


「甘いのばかりだったので、こういうのは凄く良いです」


「タカピオって美味しいよー。ミルクティーもおいしいし」


皆が食べ終わって、ドリンクを飲む。


空になると、ウェットティッシュで、手と口を拭く。


ゴミ袋を纏めて、持ち手を縛る。


「では、アタシが持って行くですの」


「ん……!? ああ、分かったぞ」


アーティナがそう言ってごみを捨てに向う。


ゴミ箱は、ヒョウガ達が居る所から、少し離れた所にある。


そして、ゴミを捨てているアーティナに誰かが近付いて来て。


「やっぱり君じゃないか。アーティナ」


「エデロアですのね」


「機嫌が良くなったんだ」


「場所を変えては無そうですの」


後ろを振り向くや否、声の主の名前を呼ぶ。


昨日ああなってしまった原因の彼が、胸を撫で下ろしてからそう言葉を返す。

それを聞き流して、アーティナは彼に場所の変更を伝え。


彼女が指定した場所は、薄暗くて日差しが余り差し込まない路地裏。


「君は話ししたいってどういう内容だい?」


 「そ・・・・・・その昨日は・・・・うんうん。あの時は約束を忘れていてご免ですの。許してくれないと思うですけど、本当にご免ですの」


「今更それかい。何で今なんだい。アーティナ」


エデロアから、きょとんとした顔で聞いて来ると、目を合わせないようにして心の底から謝る。

その懺悔を聞き終えた彼は、冷たい声でそう言う。


 「怖かったんですの。ぐすっぐすっ。会うのが怖くて、凄く終わかったんですの。だから、エスカレートしてしまったのはアタシが原因ですの。ぐすっぐすっ。それで昨日声を掛けられた時、凄く凄くこわあったんですの。恨まれてるんじゃないかって、憎まれてるんじゃないかって。それであんな態度を・・・・」


「そうだったんだ。僕は唯、君のことが好きだったんだよ。そこまで君を苦しめていた何てだよ」


「貴方の気持ちはとっくに気付いてたんですの」


 アーティナが理由を語ると、エデロアが、自分の言動は ゛愛の為"だと伝える。それが苦しめることになっていたと知り。


彼は口を開き。


「僕はあの日、伝えようと思っていたんだ! 君への気持ちを」


「・・・・・・」


 「君が来るのをずっとずっと待っていた。でも来なかった。それが答え何だと思ったよ。だから君に振り向いてもらおうと思っていたんだ」


「それは違うですの! 今から出良いですのね。今から気持ちを伝えるですの」


 アーティナの言葉を聞いて、「え? 今からかい!?」と違うという言葉より先に、そっちに反応してしまう。 


彼女は、大きく息を吸ってから吐くと同時に、言葉を放つ。


「エデロア。貴方に最初に話しかけた時は、ただいつも一人でいた寂しそうで気になって話しかけただけだったんですの。でも話している内に、貴方といると言葉に表せない気持ちになってしまっていたんですの。話し掛けられた時、凄く胸がドキドキしていることに気付いたんですの。それに、胸を締め付けられるほど苦しくなったんですの。屹度これはあなたのことが好きになってしまっているんですの。そう気付いてしまったんですの。貴方がアタシのことが好きって知った時は、凄く凄く嬉しかったんですの。好きな人に好きって言われた時は、とてもとても嬉しいんですの。それがアタシの気持ちですの」


 「そうだったんだね。僕のことをそこまで思っていてくれたんだ。と言うことは、僕と君は両想いになっていたということだね」


 アーティナは、あ自分の思いの丈をエデロアにぶつけて、彼はそのことに驚きつつ、指示られない現実を自ら口にする。


「良いですの。貴方と付き合っても」


「本当に良いんだね。こんな時期になっちゃったけど」


「そうですのね。でも別れるつもりはないので、何とかするですの。後、次の試合は絶対負けないですの」


「それは本当かい!? 嬉しいよ! それと僕の方も負けるつもりはないよ」


九月も半ばに入ったこの時期の告白に、OKが出てこれから別れずに済むように何とかすると言って、続いて、バトルの方に対して、手抜きは一切しないとお互いに誓う。


それから二人は路地裏を抜けて、二人は分かれる。


―――遅くなっちゃったですの。皆が心配してるですの。急がないと。


アーティナは先昼ご飯を食べた所へと急ぐ。


「あっ! 来たよ! ヒョウガ」


「カナミが、ヒョウガの後ろからやってきたアーティナに気付き、彼に伝える。


「何か嬉しそうだぞ! 何かあったのか? アーティナ」


「それはですの。彼と(りを戻したんですの」


 「そ、それって告白されたって事じゃないでしょうね? こんな時に。相手なんだからね。手抜きは許さないんだから」


 「あれはどちらかというと、アタシが気持ちを伝えたって感じになったですの。勿論手抜きするつもりはないですの」


アーティナのニコニコ顔が気になり、ヒョウガがが聞いて来ると、関係の修復をしてきたという。

それを聞いたアミリは、まさかと言う顔をして思ったことを伝える。

彼女は少し違うと伝えて全然大丈夫だと言葉を返す。


「それは良かったですね。幸せそうです」


「そうだよー」


ミューフィとサラは嬉しそうにそう言う。


「んじゃあ、学園に戻るぞ!」


その声を合図に、彼らは学園の方へと戻って行く。


十分ほど歩くと学園へ辿り着いて、其の儘学生寮へと戻る。


その後、部屋でのんびりと時間を過ごす。


そして時間は過ぎて行って、薄暗い夜が訪れ。


アミリがお風呂を入れてから、夜ご飯を食べる。


メニューは、ご飯、マッシュルームのスープ、トマトサラダ、マグロステーキだ。


皆が美味しそうに食べてからてから、食べ終わると一人一人お風呂に入りに行く。

何時もの様に、彼は皿洗いをして、机を拭き終ってからお風呂に向う。

何十分か経ってから、彼は出てくると、歯磨きをする。


シャカシャカ。シャカシャカ。シャカシャカ。シャカシャカ。


綺麗に歯を磨き終ると、嗽をして口を拭く。

それから寝室に向い、寝る準備を済ませて。


「んじゃあ、寝るぞ!」


そしてヒョウガが言うと、皆が「お休み」と言って眠りに就く。


(うして一日が終わりを終わるを迎える。


次の日。朝からヒョウガ達は特訓を競技場でしていた。


「んじゃあ、ミューフィ。何時でも良いぞ!」


「はい、宜しくお願いします」


この前約束した通り、ヒョウガはミューフィに強くなる特訓を施している。


「催鳥魔術<鷹の爪>!」


魔笛を吹いたミューフィが、大鷹を呼び出すのだが。


「技を発動するのに時間が掛り過ぎだぞ! もっと呼び出すのを短縮させるんだぞ!」


ヒョウガがミューフィに指摘する。


「やって見ます」


とミューフィが、ヤル気を見せる。


もう一度。


ピィ――――ッ、ピッ!


先よりはスピードは速い。でもまだ速い。


「まだ遅いぞ! もう一回だぞ!」


そう言われ、また魔笛を吹く。


「催眠魔術<隼攻撃ソーカルアタック>!」


先よりまた少し速く隼を呼び出す。


そいつで、ヒョウガに攻撃をさせようとするのだが。


「んでも、もう少し速くだぞ!」


「分かりました。もう一度行きます」


そしてもう一度魔笛を吹く。


今まで一番速く鳥を呼び出す。


「良い速さになったぞ! 次は技の方だぞ」


「はい、分かりました。催鳥魔術<鷹の爪>!」


魔笛を速く吹いて、大鷹を呼び出す。


そして、ヒョウガへ襲いかからせるのが。


「威力が弱いぞ。そんな攻撃だと相手に致命傷を与えられないぞ!」


「もう一度行きます。催鳥魔術<(イーグル)翼落(アーラドロップ)とし>‼」


 魔笛を吹いて、巨大な(わしを呼び出すと、天空へと飛んでいき、そしてそこから彼の居る所に大きな翼を落とす。


0,5秒ほど遅ければ致命傷は免れなかったも、間一髪で助かった。


「中々良くなったぞ! これなら間違いなくダメージを与えられるぞ!」


斯うして午前の練習でミューフィが上手くなり、午後も特訓もミューフィをメインにするのだった。


 そして午後の特訓も終わり、何時もの様に夕食を食べて、お風呂に入って、歯磨きをして、寝る準備をして、横になって眠りに就く。

斯うして一日は終わりを迎える。








次回は、摸擬戦と、学園選抜バトル三戦目の話しですよ!



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