12話 摸擬戦1
遂に学園選抜バトル開始。でも今回は、摸擬戦だけです。
行き成り個性的なキャラ達が相手として登場ですよ!
始業式終了後のこと。
―――生徒だけで無く、先生達もHRや授業中。更に、授業の合間の休みの時間や昼休みでさえ、<交武祭典>《アルージェフェート》の話題で持ち切りで。
そう、文字通り学園内はお祭り騒動なのだ。
そして、ヒョウガのクラス。
帰りのHRが終わって帰ろうとする。
「んじゃあな、エイト」
「それじゃあ、明日。ヒョウガ」
―――俺は、そうエイトに言ってから、自分の部屋に戻って行ったぞ。
450号室。ヒョウガ達の部屋。
帰って来た時には―――例の話しをしていた。
「ねえ、ヒョウガ。私達も頑張ろうね!」
「ああ、勿論だぞ! 目指すは優勝だ」
ヒョウガにもカナミは振って来た為、彼は優勝を目指すと宣言すると。
―――それを聞いた皆は、少しの間黙り込んでから。
「ホ、本気でそんなこと言ってる訳!? まあ、途中まで行けたら良いけど・・・」
「本気に決まってるぞ! まあ、ランク的には、俺とサラはDランク。カナミとアーティナがAランク。アミリがBランク。ミューフィがCランクだけど、まあ大丈夫だ! 勝ち上がれるからな」
「そのヒョウガのは、態度とかヤル気。後色々悪くてDランク何だけどね」
「でも楽しそうですの。それに高い目標があるのは無いよりは良いですの!」
本気で言ってるのかと言う顔のアミリへ、彼は勿論だと言う。
―――その上で、ランク関係なしに勝ち上がるのだと。
当の本人が一番酷いの理由を言うも、アーティナは気には留めず、楽しそう言うと。
高い目標を持つことは良いと言う。
「もう大丈夫だぞ! 前とは違うから」
「そ、それなら私も手伝ってあげても良いわよ。優勝するためのね」
「私もしてみたいです。優勝を!」
「仕様が無いね。私も手伝うね。優勝するの」
彼の発言を聞いたアミリは、それうを信じて手伝うと言い。
思いを伝えたミューフィと、仕様が無いと諦めて出すカナミ。
最後のサラはと言うと、「ウチも良いよー」と賛成していたのだが―――
「でもその前に、サラは猛特訓をしないといけません」
「げえ~。一寸位優しくしてよー」
「そんな事では優勝できません」
「俺らも手伝ってやるぞ! サラの猛特訓‼」
「に、逃げられないわよ」
「終わってからは、摸擬戦しようね!」
斯うしてサラの猛特訓と、自分たちが強くなるための摸擬戦が決まり。
「このイベントのお陰で授業が無くて助かるですの」
「それ分かるよー」
「お前ら二人は、授業中どうせ寝てるだろうから、良かったな」
学園選抜バトルや特訓の為、授業がは一切ない。
それを良い事に、何時も授業中に寝ている組のアーティナとサラが、途轍もなく楽しそうだ。
―――それを知っていてか、ヒョウガが二人に良かったなと口に出す。
「そろそろルームナンバーが全て書かれた票が張り出される頃だぞ!」
「そ、そうよね」
ソファーから立ち上がったヒョウガは、隣に座っていたアミリ。その隣に座るサラ。ヒョウガの斜め右に立っていたカナミ。斜め左に立っていたアーティナ。その隣に立っていたミューフィに掲示板を観に行こうと誘う。
勿論のことアミリは賛成して、他の子達も賛成のようだ。
と言うことで、全員で掲示板を観に行く。
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―――掲示板は学生寮一階のエレベーター横にある。
そこへと、ヒョウガ達はやって来た。
既に何人もの生徒が先に来ていたらしく。
「先生、320号室と戦います」
「私達と戦うって!? 良いよ! 別に」
「決まりの様だな。じゃあ、ここに書いて於くからな」
何処かのルームメイトの人が、知り合いらしく少女に対決を申し込む。
それを受け付けた少女が、即答で了解すると。
先生が決定と言う事で、ルームナンバー票の部屋の所を線で結んで決まりであることを知られた。
「おやおや、誰かと思えばアリマ・ヒョウガでないかださ」
「ん……!? 誰だ、お前は?」
部屋番号を見ていたヒョウガに、見知らぬ男がまじまじと顔を近づけて来ると。
声を掛けてきて男に、ヒョウガは言葉を返すと。
「己のことだろうださな。ルゼイン・ディブ。同じ二年生だ。己のルームメイトと勝負ださ! どうせ己達が勝つだろうけどださ」
その男―――ルゼインは宣戦布告をしてきた。
それをヒョウガは、すんなりと受け取る。
「ああ、良いぞ! ディブはランク何だ?」
「己のランクだ? 勿論教えてやるださ! Bだ。そしてルームメイトナンバーは、448号室ださ」
「では、ルゼイン君がいる448号室と、アリマ君がいる450号室での対決決定ですね」
ランクを聞かれたルゼインは、真摯に答えてくれて。
それを聞いていた先生が、決定と言うことで票の二人のルームナンバーの所に線を引き―――これにて決定した。
「ねえ、ヒョウガ。挑発に乗っちゃっていいの?」
「そ、そうよ。初っ端から負けるとか洒落にならないわよ」
「そうですの。勝つ見込みでもあるんですの?」
「ヒョウガ先輩。決まってしまったのは仕方有りません。頑張りましょう」
「ウチは危険だと思うよー」
カナミ、アミリ、アーティナ、サラが途轍もなくヤバそうな顔をする。
が―――ミューフィは前向きの姿勢なのだから。
「四人共、ミューフィを見習え! 俺達は、優勝を目指してるんだぞ!」
「そ、そうだったわね。相手のメンバーを見るわよ」
俺はルゼインのチームを観察する。俺から見ても大きい大男。バッチからして三年生か。ランクは、Bランクかだぞ! 他にも、小柄な奴がいるぞ! バッチからして一年生だな。ランクはCだぞ!
と、ヒョウガが男性陣を見てそう思い。
じょ、女性陣は、痛々しげなゴスロリ衣装を着ている少女。学年は一年生。ランクは、Cランクね。あの眼鏡をかけた子、大人しそうよ。学年は二年生ね。この人の方が先輩ね。ランクはB。最後のあの子、とても眠そうね。大丈夫なの? 学年は二年。てことは、私より先輩よね。ランクはBなのね。
と、アミリが女性陣を見てそう思う。
「フハハハハハ。愚かな相手チームの様だ! 我はCランクと言うランクではあるがそれは偽りだ! 力を目覚めさせずに戦ってるからCランクだ。力が覚醒すれば、Aランク位は有るのだ。それに全てを闇に包み込むだけの力があるんだ」
「俺の苦手なタイプだ! こいつ」
「・・・・」
「これは一勝貰っただべえ」
「はああ~。もう駄目眠気の限界が来たかも」
「では、五日後の午前十時です。場所は競技場です。もういいです。帰ってください」
―――厨二病発言する少女を、彼は苦手タイプだとぼそりと言う。
赤い眼鏡をかけた大人しい少女は、何一つ喋らない。
小柄で、喋り方が訛っている青年は、強気のご様子。
とても眠たそうな少女は、限界が来たと言ってウトウトし始また。
なので先生は、早々と日時と場所を伝え終わってから。
「我は魔力の使い過ぎで疲れた。帰る」
「魔力なんてないだろ! テナ。まあ、長用する意味が無いから帰るのには賛成だ」
「己も帰るださ!」
ヒョウガよりも大きい男が、テナと呼ばれたゴスロリ服の少女の肩を叩く。
そこで魔力など無いだろうと、現実を突きつけたが、帰ることには賛成らしい。
――ルゼインが遅れて戻って行くぞ!
とヒョウガは、ルゼインの動きを心の中で言う。
「―――何か、凄い人達だね」
「そ、そうね。特に印象的だったのは、あのゴスロリの子よ! あんな子いたのね。気付かなかったわよ!」
「まあ、油断出来ない相手だぞ!」
―――ヒョ、ヒョウガ先輩の言う通りね。ああ見えて強いかもしれないわよ。
と、彼の横顔を見たアミリは、相手の事を思い直すことにして。
ルゼイン達を見たカナミが、素直な感想を言う。
アミリは、厨二病の少女が一番印象に残ったと言った。
―――それを見たヒョウガは、油断してると思い嘗めたら駄目だと注意する。
そして部屋に戻って行く。
450号室のリビング。
「んじゃあ、先ず予定を決めるぞ!」
「そ、そうね。スケジュールタップリが良いわよ!」
「んや、タップリすぎるのは良くないぞ! まあ、少なすぎるのも良くないがだぞ!」
特訓のスケジュールを、全員が集まってから話し始めた。
ぎっしりとした方が良い言うアミリに、そこまではしないと言ったヒョウガだが、ただ手抜きもしないと言う。
「スケジュールはこうだぞ! 午前二時間。午後二時間の合計四時間だぞ!」
「そんな短時間で良いですの?」
「ああ、勿論だ! 四時間を有効に使えば大丈夫だ!」
―――これ位あれば勝てるぞ!
と、彼は勿論と言い、有効に使えば勝てると言う。
―――ヒョ、ヒョウガ先輩が言うなら間違いないわね!
と、アミリは、ヒョウガに対して絶対的信頼得ているらしく。
スケジュールを伝えた彼に、アーティナが良いのかと聞いて来た。
―――それに対して、有効活用すれば大丈夫だと示唆する。
「んじゃあ、早速特訓始めに行くぞ!」
「勿論私は良いよ」
「アタシもですの」
「ウチも良いよー。だって早く強くなりたいから」
「そんな早く強くはなれません」
――み、皆賛成みたいね!
と、アミリは皆の様子を見て思う。
てなわけで、六人全員で外に出た。
―――先ず向かったのは競技場だ。
ごちゃごちゃ。ガシガシ。バシッバシッ。バンバン。
何所かのチームが、彼方此方で特訓を繰り広げていた為、使えそうにない。
それなので、バトル施設の方に向かって行く。
そして―――着くと直ぐに、特訓を開始する。
「武装展開!」
そう叫んで、武器を展開して準備完了。
「んじゃあ、先ずはサラの特訓からだするぞ! アーティナは攻撃を任せるぞ!」
「でも大丈夫ですの?」
「ああ、俺が保証するぞ! サラは腕に力を集中させれんだ! 分かったな」
「うん。分かったよー」
先ず最初にサラの特訓をするので、アーティナに攻撃役を頼む。
ヒョウガの指示に従い、サラは腕に力を集中させ―――。
「行くですの!
武装魔術<光焔斬り>!」
眩い光と燃え上がる炎が、突如として現れた。
眩い光と燃え上がる炎は、お互いに交差して合わさる。
そして光焔は、サラへと斬りかかろうとするのだが。
透かさずサラは、右腕を前に出して力を集中させて。
―――すると、薄っすらとバリアが出たは良いのだけど。
「やっぱり駄目だよー」
攻撃を食らうと、淡白とバリアが消えてしまう。
「ん~ん。まだまだだな!」
「分かったよー。もう一回やるよー」
—――俺にまだまだと言われて、サラはもう一回とやる気を見せるぞ!
「分かったですの!」
「そう来なくっちゃだよー」
良いと答えるアーティナへ、サラがそう言う。
「また行くですの!
武装魔術<雷光一剣>‼」
一度元の居た位置に戻り、直ぐまた一瞬にしてサラのゼロ距離に出現して。
突如にして刹那。
虚空から稲妻を出現させて、魔剣に向って降り注がす。
そして雷光を、サラに向って斬りかかろうとした。
透かさずサラは、もう一度腕に力を集中させるが―――
「グああ~。未だ、未だだよー」
創り出されたバリアは、薄っぺらく微か過ぎる為に、腕を中心に稲妻を食らい。
それからも、何度も何度もサラは攻撃される。
「もう一度行くですの!
武装魔術<水竜斬り>!」
―――此方へとやって来た水竜へ、もう一度腕に力を集中させるが、淡白と破られてしまう。
「ぐおおおお~」
もう一度アーティナが攻撃をするが駄目で。
その次も、又その次も、更にまた次も、攻撃を防ぎきれずに食らってしまうのだ。
「そろそろヤバそうですの! 止めにするですの!」
「まだ……まだ大丈夫だよー」
―――体や腕がボロボロで、文字通り危険に瀕し始めているではないか。
可成りの傷を負ってるが、彼女はまだやると言い張るから。
ヒョウガ、カナミ、アミリ、ミューフィは唯々見ているだけ。
―――か、体がボロボロね。本当にまだやるつもり?
と、サラの在り様を見て、アミリはそう思う。
「これで終わりですの!
武装魔術<光魔一剣>!」
眩い光が突如照らし付けられた。
それを直視した彼女は、当然ながら目をさせられてしまう。
その隙にアーティナが、光魔剣でサラに斬撃を食らわそうとした。その時―――
「止めてみせるよー。今度こそ絶対だよー。守護魔甲!」
自らの腕に力を込めたサラは、魔法の盾を創り出す。
これこそがサラの武器―――異能だ。
光魔で斬りかかる寸前に、魔甲で撥ね返す。
そしてアーティナへと、予想外な攻撃が撥ね返って戻って来た為、避けられるはずがない。
「ぐおおおぁ~。サラ、出来たですの!」
「良くやったぞ! サラ」
「おお、出来たよー」
攻撃を食らったアーティナは、そんなのお構いなとサラを褒め。
同じくヒョウガも、サラを褒める。本人も驚いた―――が嬉しそうだ。
他の子達も、「凄いね! サラちゃん」とカナミが、「や、やっとできたわね。おめでとうよ!」とアミリが、「遂に出来ましたね。よく頑張りました」とミューフィ、其々が思い思いの事を言って称えられて。
―――その頃。バトル施設二階の出入り口。
「我が態々(わざわざ)偵察に来たのだ。ジャンケンと言う忌まわしいものの所為だ。魔力を使って負ける筈がない」
訳アリでテナは、ヒョウガ達の訓練の偵察に来ていた。
ジャンケンで負けたことが、ここに少女が来る羽目になった原因だから。
―――言い訳を言っても、どうしようもない。
「フハハハハハ。二人以外、本番のための儀式見ているだけか! ん~? 何、確かあれは、アキラ・サラ。異能をロクに扱えないはずだが。あんなこと出来るようになっていたとは!?」
サラの守護魔甲を目撃したテナは、甘く見ていたと悔いる。
そこへ、カナミがやって来た。
「やっぱそうだ! 先の子だ! 恰好からして。こんな所で何してるのかな? 一人で」
「な……見つかっただと!? 我一人で儀式の準備をだな」
「どうせ偵察だぞ!」
見付ってしまた少女は、信憑性の欠ける嘘を言い出す。
―――その嘘を、後からやって来たヒョウガが、簡単に見破られてしまう。
そして、本当の目的を彼の口から言い放つ。
「グハハハハハ。バレたなら仕方ない。我は偵察に来たのだ!」
発覚たことなので、自らテナは目的を告白する。
「んで、どうするんだ。最後まで見て行くか?」
「そうだな。我が見てやる。後で後悔することになるだろうけどな! お前らが」
―――強気なテナが観戦すると言うので、俺とカナミは戻って行く。
「んじゃあ、三対三で摸擬戦するぞ!」
ヒョウガが、摸擬戦を始めようと言った。
「始めるぞ!」
「良いですの!」
「良いよー」
彼の開幕の言葉に、アーティナとサラの二人が、返事を返す。
―――今回の組み合わせはは、ヒョウガ、アーティナ、サラとカナミ、アミリ、ミューフィの二チーム。
「サラ、守護頑張るんだぞ! アーティナ行くぞ!」
「分かったよー」
「勿論ですの」
先制攻撃を仕掛けようと言う彼に、二人は了承する。
「攻めて来るみたいね」
「き、気をつけるわよ」
「準備を完了させましょう」
―――カナミ達の方は、守りの体制を取る。
先ず最初に、アミリの三、四メートルの所にアーティナが魔剣を構えており。
それに遅れて気付いたミューフィは、出遅れてしまう。
「行くですの!
武装魔術<聖光魔斬り>!」
覆うような光が、アーティナの周りを包み込む。
聖なる光は、剣の方にも達していた。
そして光り輝く魔剣が、アミリに斬りかかろうとしたのだが―――
短時間で想像していたカナミが、攻撃を食い止める。
「武装想像<七本の神剣>! 危なかったね」
カナミが想像したのは、神に供える剣だ。
斬りかかろうとした聖光が、神剣に吹き飛ばされてしまい。
そして距離を取ったアミリは、七本の神剣を勿論ながら回避する。
そしてその神剣が、宙を舞ってアーティナへと飛んで行き―――。
「ぐああぁ~。げホげホ。中々やるですの」
避ける術もない彼女は、其の儘七本の神剣を真っ正面から食らう。
「サラ、行きます。催鳥魔術<燕返し(クイバースカット)>」
ミューフィは、魔笛を吹いて燕を出現させて、サラに向けて燕返しをさせた。
―――それと同時に、サラも自身の腕に力を込めて異能を発動する。
「守護魔甲!」
サラの腕を魔甲に変えて、燕返しを文字通り返してきた。
「ひゃああ~。強くなりましたね」
返って来た攻撃を諸に食らい、バタン、とミューフィはその場に倒れ込む。
成長したサラを、体全体で感じたと言うことか。
「こ、これでも食らいなさい!
武装魔銃術<氷炎の弾>‼」
アミリは銃口をヒョウガに向け、引き金を引く。
バンバン。
アミリが放ったのは、氷と炎がそれぞれ交互に交じり合った弾だ。
そしてその弾は、彼の居る所へと飛んで行く。
―――ヒョウガはこの状況で笑っている。
二つの刀剣を構え、アミリが放った一ミリもズレないで飛んできたそれを弾き飛ばす。
「中々良い弾だぞ! アミリ。でも威力がもう少しないと駄目だぞ!」
「お、思った以上に強うわね!」
「んじゃあ、俺も行くぞ!
武装二刀剣奥義<風神天斬り>‼」
突如天空に風神が出現。
二つの刀剣で斬る仕草をした彼の合図に、風神が強い風と風の猛刃を降り注がす。
これによりアミリは、降り注ごうとしていたから。
「そ、そうはさせないわよ。武装魔銃術<火炎の弾>!」
透かさずアミリは、銃口を構え直して、火炎の弾を放つ。
風神の強い風に、風の猛刃と火炎の弾がぶつかり合う。
―――だが、淡白とアミリの火炎の弾が敗れて、アミリの方へと強い風と、風の猛刃が降り注ぐ。
「ぐおおおぁ~。で、でも嫌な気分じゃないわよ!」
―――こ、こういうのも案外いいわね。
と、アミリは最後に思った。
その頃、ヒョウガ達の摸擬戦を観戦していたテナは。
「我の漆黒の眼が可笑しいだけか。グハハハハハ。まあ、そんな訳無いか。なら現実だと言うのか。このままでは、戦儀で敗れてしまうようだ! 愚かなチームだと思っていたらここまでの実力を持っているチームか!? 本番の為の儀式を可也行わなくてはな」
―――テナがそう思うのも無理が無い。
油断していた相手が、油断できない相手だと分かったから。
これこそ油断大敵と言うことだ。
今のままでは勝てないと踏んだテナは、猛特訓をしようと思って部屋へと戻って行く。
それは良いとして、摸擬戦の方は終了。勝者はヒョウガ達のチーム。
「今日はここまでだぞ!」
「凄く疲れたね!」
「ホ、本当ね。凄く疲れたわよ」
「アタシもですの」
「ワタシもです」
「ウチも-」
皆凄い汗を流している。それに可成り体力を消耗が激しい。
今皆がいるのは―――バトル施設の出口。
今から部屋へ戻ろうとしているところだ。
既に人影などは見かけることが無い。
そして外に出ると、陽が沈んでいて辺りはすっかり真っ暗になっていた。
六人は、慣れた足取りで学生寮へと向かい、エレベーターで四階まで上って部屋へと戻る。
―――ガチャッ、とドアを開けると、先ず部屋の電気を付けた。
そして、部屋の中へと入って行く。
「ん……!? もうこんな時間だぞ!」
ヒョウガが時計を見ると、時刻は十九時を指していた。
「お風呂のスイッチ入れるですの」
そう言ってアーティナはお風呂のスイッチを入れる。
「晩御飯弁当で良いか?」
そう、ヒョウガが尋ねて来ると、
「私は其れで良いよ」 「わ、私は別に良いわよ! それで」 「アタシもですの」 「ワタシも構いません」 「ウチも良いよー」 と全員が賛成のよう。
「んじゃあ、買って来るから何が食いたいか言うんだぞ!」
「私は竜の唐揚げが食べたい」
「わ、私は炒飯で良いわよ!」
「アタシは麻婆豆腐で良いですの」
「ワタシは豚カツ丼が食べたいです」
「ウチは、焼き肉弁当が食べたーい」
時間が時間なので、彼は全員に食べたいものを聞き出す。
するとカナミは、竜の唐揚げを、アミリは炒飯を。アーティナは、麻婆豆腐。ミューフィは、豚カツ丼。サラは、焼き肉弁当をそれぞれ注文を頼む。
「じゃあ、行ってくるぞ!」
「行ってらっしゃいですの」
ヒョウガはそう言って玄関を出て行く。
待つこと十何分か。 ヒョウガが部屋へと戻ってきた。
ヒョウガは買ってきたそれを机に置いて、袋から出す。
「んじゃあ、食うぞ!」
ヒョウガの声を聞いて、自分の頼んだものを自分の前に置く。
「「頂きます!」」
「い、戴くわよ」
「戴くですの」
「戴くよー」
皆が戴きますの挨拶をする。そして食べ始めた。
パクッ、
「ん~ん。この竜の唐揚げ美味しい」
「この麻婆豆腐も美味しいですの」
カナミが言うと、アーティナも美味しいと伝える。
「わ、私の海老炒飯は普通に美味しいわよ」
パクッ、
「ん~ん。美味い。俺の親子丼も。偶には弁当もいいかもだぞ!」
「それは解ります。この豚カツ弁当とても美味しいです」
「ウチも偶にはいいかもー」
コンビニ弁当も悪くない。
そう言った彼に、ミューフィとサラは賛成のようで。
お弁当ってことあって、あっという間に食べ終わってしまう。
その後ご馳走様をすると、既に沸いているお風呂に一人ずつ入りに行く。
前の様なハプニングは起こらずに済む。
そして、歯磨きを皆しに行って、綺麗に歯を磨き終えると、寝室に向かって行って横になる。
それで、其の儘眠りに就く。
二日目、三日目、特訓は続く。
「もう一回行くぞ!」
「何時でも良いですの!」
「武装二刀剣奥義・・・・」
「前より遅くなったですの。
武装魔術<氷刃魔斬り>!」
そして本番前日の最後の特訓。この日は、ヒョウガと一対一で戦う練習だ。
アーティナは、順番選びの結果最後になり。
アーティナは、ヒョウガの前に瞬間移動して、ヒョウガが技を発動する前に動く。
アーティナが発動したのは、魔法で創り出した氷に魔力を注ぎ込んで、ヒョウガに向けてそれを振り下ろす。が、しかし、
「残念だったぞ! 能力<鎌鼬>!」
振り下ろしてきた氷の魔法の刃を、鎌鼬で切裂いて消し去ってしまい。
「これで決めるぞ!
武装二刀剣奥義<風神天斬り>だぞ!」
突如天空に風神が出現。
二つの刀剣で斬る仕草をした彼の合図に、風神が強い風と風の猛刃を降り注がす。
抵抗虚しくアーティナは、其の儘大ダメージを食らう。
「ぐはああぁ~。やっぱりアタシでも勝てないですの!」
「ん……!? まあ、あの相手チームなら多分行けるぞ! それより部屋に戻って、明日の作戦会議するぞ!」
自分でも、勝てないと改めて知ったアーティナだが、ヒョウガは多分勝てると言う。
そして部屋に戻ろうと言って、他の五人も続いてバトル施設をでる。
450号室。ヒョウガ達の部屋。
六人揃ってテーブルに着いて、作戦会議を始めようとした。
「んじゃあ、先ずはどういう体制で行くかだぞ!」
「二、二、二で分かれてやるのはどう?」
「まあ、其れが無難だぞ!まあ賛成だぞ!後、最後は、ひそひそ」
ヒョウガが大勢を皆に聞くと、カナミがアイデアを出す。
そのアイデアに、ヒョウガも良いと賛成する。
他の子達は、「わ、私は良いわよ。それで!」とアミリが、「アタシも良いですの」とアーティナ。「ワタシも賛成です」とミューフィ。「ウチも良いよー」とサラが其々賛成と言う。
そしてヒョウガは、最後に使う作戦を五人の耳元で囁く。
「そ、それで良いわよ。私は」
「私も良いよ。最後はそれで決めるんだよね」
「アタシもですの。その作戦」
後の二人に聞くも、了解だと帰って来た。
「んじゃあ、決まりだぞ!」
斯うして作戦会議が終わって、更に試合前日も終わりを告げた―――。
次回は、いよいよ始まる学園選抜バトル1回戦。
とても眠そうな少女の実力が明かされますよ!




