8話 幽霊と別荘の敵
こんにちわ。花粉が凄くて大変な時期ですね。
本編は、幽霊登場します。今回は、アミリちゃんの本性も出ます。
目的地である、分かれ道の所に着いた頃にはカナミ達がしゃがみ込んでいた。恐らくだが、待ち草臥れたのであろう。
「もう遅いよ。今までどこに行ってたの? 凄く心配したんだからね。どういう気持ちでいたか分かってる? サラちゃんなんて、事件だって騒いでいたんだからね」
「悪いな。どういう気持ちだったかは分かるぞ。一寸、先まであった洞窟を探索していたんだぞ!」
「先まであった、洞窟?」
カナミがそう叱ると、心配したと伝えた。ヒョウガが謝ってから事情を端的に伝えて。理由に出てきた言葉のその箇所に疑問を抱く。
「ああ、今は色々あって崩壊したんだ。原形を留めて無いんだぞ」
「そうなんだ」
ヒョウガの説明に、成程と納得するカナミ。
「お腹空いたので、お花畑に行きましょう」
「わ、私達もお腹空いたわよ。それより何処にあるのよ。お花畑って?」
「それなら、ウチが教えてあげる」
ミューフィがお腹ペコペコの様子で言うと、アミリもお腹が空いてると訴え。
彼女がそう聞き返すと、サラが胸を張って教えると言う。
そしてサラが先導して後に続いて、アミリ達が付いて行く。
歩いてると、岩場道が現れて、そこを登るとお花の匂いがしてきた。
―――い、良い匂いね。落着くわね。
と、アミリが匂いを嗅いで感じており。
「お花が奇麗ですの」
「そ、そうね」
「ああ、色々な花が咲いてるぞ!」
「そんな事よりも、お昼ご飯を食べましょう」
「それでは、お昼御飯にしようですの」
アーティナが、お弁当を幾つもリュックサックから取り出して、敷物の上に置く。
全てのお弁当箱を蓋だけ空けて、手を合わせる。
「んじゃあ、戴くぞ」
[[戴きます]]
「い、戴くわよ」
「戴くですの」
「戴くよー」
食事の挨拶を、一面がお花に囲まれた空間ですらやる。
ヒョウガとアミリが、最初に手を突けたのはお握り。
「美味しいぞ! 中身は梅干しだったぞ」
「ホ、本当ね。美味しいわよ。私の中身は、チーズ揚げよ」
「どれどれ!」
と言ったカナミは、お握りの入ったお弁当箱に手を入れた。
そして、二つのお握りを手に取って行く。
「何かな。パクッ‥‥。ん……紫蘇みたい。美味しいね。こっちは何だろう。パクッ‥‥ん……⁉ツナコーンみたい」
とても美味しそうな、顔をして食べるカナミ。
「このポテトフライ美味しいですの」
「おお⁉凄く美味しいぞ」
「こ、こっちの唐揚げ、胡椒が効いてて美味しいわよ」
「本当です。辛さが後味を挽いて、凄く美味しいです」
「お~、美味しいな」
他の子達も、凄く美味しそうな顔をして食べる。
「ねえねえ、その箱には何が入ってるの?」
「カナミ。その弁当箱の中身は、デザートですの」
「デ、デザートもあるのね」
デザートの存在を知ったカナミ、アミリ、他の子達の食べるスピードは、一気に上がる。
「そんな急いで食うと、早死にするとて聞いた事あるぞ!」
「そ、それ聞いた事あるわよ。だから分かったわよ」
ヒョウガの忠告を受けたアミリは、それを鵜呑みにして。
俺以外は、気付くと、お腹一杯の様。
「ふうー。もう食べられない」
「わ、私は食べられない訳じゃ無いんだからね。でも、デザートの為に残してるんだから」
「アタシもですの」
「ウチももう駄目」
「ワタシももう食べられません」
「それじゃあ、後は俺が残らないように食ってやるぞ」
カナミ達が次々とギブアップしていき、残りをヒョウガが受け持つ。
「はあ、もう食えんぞ。ご馳走様」
「もうデザートはいらないですの?」
「そ、そうよ。要らない訳?」
「ああ、もういいぞ!」
ヒョウガの御馳走様を聞いて、アーティナとアミリがデザートの事を聞く。
その言葉を聞いて、要らないとキッパリと言う。
アーティナが、デザートの入った箱を空け。
中に入っていたのは、プリンとゼリー。
「私は、葡萄ゼリーにしよう」
「わ、私はチーズケーキプリンにするわよ」
「アタシは、蜜柑プリンにするですの」
「ワタシはマンゴーゼリーにします」
「ウチは残った、ブルーベリープリンだぜー」
カナミ、アミリ、アーティナ、ミューフィ、サラの順番に取って行く。
「ん‥…美味しい」
「こ、こっちも美味しいわよ」
カナミが良い顔をして食べていると、アミリも負けじととてもいい顔をして食べて。
他の子達も、とても美味しそうなものを食べる、良い顔をしている。
「そんな美味しそうな顔されると、俺も食べたくなってくるぞ!」
それだけ呟くと、ヒョウガは残った一個であるベリーゼリーを手に取り。
「やっぱりヒョウガも食べるんだ」
「ホ、本当ね。まあ別に食べても何も無いんだからね」
「別腹だぞ、別腹」
「男性の方も、別腹が有るんですね」
ヒョウガの食べようとしてる所を見た、カナミとアミリがそう言ってきた。それに対してヒョウガは、別腹だとかで大丈夫と言った。ミューフィは別腹が有ると言うのに驚く。
――まあ良いぞ。
と、ヒョウガは思い。そして、プリンにスプーンを入れて、掬い上げて食べ始め。
「ん……⁉ 美味しいぞ!」
「それはそうですの。これは、最上級スイーツ店のですもの」
「そうだったんだ。やけに美味し過ぎる訳だね」
「ああ、そうだな。こんな美味いの食ったこと無いぞ!」
ヒョウガが褒めると、無い胸を張って自信満々に言う。
中身が空になると、ゴミを弁当箱に片づけて、他の空の弁当箱も片づけた。敷物も、リュックサックに仕舞い、水筒も其々鞄に入れた。これで去る準備が完了。
「それじゃあ、これからどうするんだ?」
「もう疲れたですの」
「アーティナがそう言ってるぞ。どうする?」
ヒョウガが、アーティナの言ったことを耳に入れて、他の子達にどうしたいか聞いた。すると、
「む、無理すると筋肉痛になるわよ! だから戻ってあげても良いわよ」
「ワタシもアミリの意見に賛成です」
「私もそれでいいよ」
「ウチも、ウチも」
筋肉痛になるのを、少しでも避けようとしてアミリが言うと、それに賛同するようにミューフィ、カナミ、サラが言葉を放つ。
帰る道中でのこと。
「今更先の話しに戻るんだけどさ!」
「ん……⁉ 先の話しって?」
「洞窟の話しの事。何で洞窟を壊したのかなって。今更だけど」
「んや、洞窟壊したの、俺たちじゃ無いぞ」
カナミが急に、先の事を振り出してきた。何だと返すと、その話題を持ち掛けてきた。それも有らぬ理濡れ衣を着せられてしまい。
そんなことした覚えは無いと、きっぱりと違うと断言し。
すると、カナミに「えっ!?」と本気で驚く。
「じゃあ、誰がやったの?」
「ああ、ずっと前にライディスが洗脳されて、襲撃して来たことあっただろ。そん時連れてた、悪魔が居ただろ。そいつの下部みたいな奴に遣られたのが、あの洞窟がああなった理由だぞ」
「そ、そうよ。危機一髪だったんだからね」
「でも可笑しいですの。何でアタシ達がハイキングに来てると分かったのかですの?」
カナミが聞くと、ヒョウガが経緯を話す。アミリも、危なかった事を身振り手振りで伝える。
アーティナは、なぜ自分たちがハイキングを、それもあんな所に行ったって分ったのかを疑問に思い。
「もしかして、モミナ家の別荘の人の中に、情報提供者。それか、仲間が居るんじゃない。あの時全員聞いてたし」
「何の為ですの?」
「ん……⁉ ああ、元学園長見たいな感じだったら有得るぞ!」
カナミの推測、アーティナがそう聞き返すと、ヒョウガが有り得る可能性を口に出す。
「話してる内に着きました」
「お帰りなさい。アーティナお嬢様。お友達の皆様」
俺達がモミナ家の別荘に辿り着くと、ルエルさんが出迎え。
それから客間で遊ぶ。
遊んでる内に、時間を忘れて気が付くと、外は真っ暗になっている。
「皆様。ご夕食のお時間です」
カレロが呼びに来ると、全員で食卓に向う。
今日の夕食のメニューは、カレーの様。
――俺は辛口だぞ。カナミ、アミリ、アーティナは中辛。ミューフィとサラは、甘口を選んだぞ!
選んだカレーの辛さをヒョウガは全員分伝え。
良い匂いに、お腹がリズミカルに鳴り響く。
「こ、このカレー、コクが効いていて美味しいわよ。家の寄りは辛いけど」
「俺の所のカレーより美味しいぞ」
「本当。私の家のカレーよりも、ちょっと辛いけどおいしいね」
「私の家のより本格的ですね」
「何時も以上に腕を振るってるですの」
カレーの感想をそれぞれ伝える。
そして皆が食べ終わると、フォーカムが全員の食器を下げ。
食べ終わった皆話部屋へと戻って行く。
戻ってから、お風呂に入りに行った。それが済むと、歯磨きをしに、洗面所に向う。
それが完了すると、部屋に戻って行き。
――俺は金時計を見ると、午後十時半を差していたんだぞ。だから寝る準備をして、横になったんだぞ。それから電気を切ったんだぞ!
そうして、ヒョウガは眠りに就く。
アミリの部屋
「すう~ふう・・・・・・んんう・・・・・・すう~」
アミリの健康的な寝息が聞こえてきた。
だが、夜中になると、
「うう~ふう・・・・・・ふう・・・・・・うう~」
アミリは、悪夢に魘され。
「はあはあ、ゆ、夢⁉ カナミさん、別に一緒に寝てあげても……」
「ぐう~ぐう~」
アミリが、一緒に寝てと頼もうとしたが、ぐっすり眠ってるのを起こすのは、気が引けたのかやろうとはしない。
―――あ、あんな怖い夢見たのに一人で寝れる訳無いじゃない。
と、恐い夢を見た所為で、一人で眠れなくなったアミリは、ある行動に出て。
◇ ◇ ◇ ◇
「すう~ふう・・・・・・んんう・・・・・・すう~」
トントンと、ヒョウガが居る部屋のドアをノックする音。
「ん……⁉ ああ~誰だこんな時間に‥‥」
「わ、私よ。悪夢を見たのよ」
「ん~分かった。入れよ、アミリ」
寝ていたのを起こされて、欠伸交じりに呼びかけると、アミリが自分だと言って理由を言う。
「まあ、もうこんな時間だからベットに来いよ。寝るぞ!」
ストレートに誘ってくると、アミリは、
「と、隣のベットで良いわよ。別に…」
「でも、悪夢に魘されてたんだろ。内容は聞かないでおいてやるぞ」
それを聞いたアミリは、ヒョウガが何時もよりも優しい事で、瞳には涙を浮かべていて。
「偶には泣いたって良いんだぞ。誰にも言わないでおいてやるからな。何か勘違いされるかもだぞ! だから存分に泣いて良いぞ!」
「グス、グス。あ…ありがとう。うぇーん。ぐす、ぐす。私は悪くないわよ」
「よしよし。アミリは悪くないぞ。どんな怖い夢か知らないけど、これだけは言うぞ! 俺がいるぞ。何かあったら何時でも言え。慰めてやるぞ!」
ヒョウガの目と鼻の先で、横になっていたアミリの頭を優しくなで、慰めの言葉を続ける。そして励す。
「ぐす、ぐす。う、うん。そうするわよ。だ、抱きしめて……」
―――って、な、何言ってるのよ私は、こんな状態だからって。
アミリは、自分で言った言葉で恥ずかしくなる。
「そんなことで良いのか。張と泣き止めよ」
ギュッ、大きな体と腕で抱き締めた。少女の小さな体を。
「あ、ありがとう」
アミリにとってこれが一番効果的のようだ。すっかり泣き疲れたアミリ。
「すう~・・・・・・す~う……す~……」
「寝たみたいだぞ」
余りにも近過ぎる為、寝息まで間近で感じられ。
――瞳には、未だ涙が溜まっていた。その目をハンカチで拭いてあげた。寝顔が安心したように穏やかな顔をしている。
そうして、ヒョウガもすぐに寝る。
時刻は深夜二時三十八分。
「はああ~トイレ、トイレ」
サラがトイレのある方へと歩いてると、青い火の玉と、其れを連れる人影が窓から見え。
「火の玉⁉幽霊だー」
青い火の玉は、段々と近付いてきて、男の様な幽霊もこちらに続く。
恐さのあまり、トイレに逃げるように駆け込む。
「怖い物を見たなー」
少しして、トイレを済まして戻る途中で、様子を窺うと、
「あれ? 居なくなっている」
火の玉も、それに男の幽霊も姿が見えなくなっている。
モミナ家の別荘二日目。この日幽霊が目撃された。
次の日、朝食を済ませて、歯磨きも終え、居間でお話ししている。
先ず話しに上がったのは、アミリがヒョウガと寝たことについて。
それが挙げられた理由は、カナミが起きた時に隣で寝ていたアミリが姿を消していたから。
「そ、それは・・・その・・・え~と…」
あったことを思い出して、羞恥からか頬っぺたが桜色に染まっていく。
「な、何でも無いわよ!」
「何でもないこと無いですの! だって、一緒に寝てたんですのよ! 同じベッドで」
「そ、それならヒミツよ! 秘密。だから言わないわよ」
「アーティナさんも分かったよね!」
「勿論ですの! さては、一緒に寝るほどの関係になっていたんですの」
アミリが、最初と違う秘密と言う言葉に置き換えた事で、カナミが察しアーティナに伝え。彼女の方も理解していた。
「い、言っとくけどそう言う関係にもなって無いし、何も無かったんだからね」
「怪しいですね」
「ミュ、ミューフィまで・・・」
目線を反らして答えるアミリに、ミューフィも疑いの目を向け。
「ま、良い感じなら良いけどね!」
「そうですのね」
「そうだよー」
「ワタシもそう思います」
「も、もうそう言う事で良いわよ」
四人共嬉しそうにそう言うで、アミリも肯定する。
それを余所にヒョウガは、ボーっとしており。
「それは良いとしてさ! ヒョウガ先輩もしっかりだよー。 昨日の夜中に出たんだよー。幽霊が!」
「ゆ、幽霊。そんなの居る訳…」
話しを変えてきたサラの言う言葉に、無いと言いかけたアミリは、有る事を思い出す。
「ヒョ、ヒョウガ先輩の部屋で寝てる時に、目が覚めてカーテンを覗いたらいたわよ。別に怖かった訳じゃ無いんだけど、念のために布団に隠れたんだから」
「そんで、どんな幽霊だったんだ?」
「わ、私が見たのは、火の玉で青い。それと、男の人の幽霊よ。も思い出しただけで怖くなってきたわよ」
「ウチもそれを見たー」
アミリの言う幽霊と、サラが見た幽霊がほぼ確立的に同一と判明。
「そいつが、幽霊じゃないかもしれないぞ! 昨日、俺達を襲わせた下部の親玉が来たのかもしれないぞ」
「じゃあ、やっぱりこのっ別荘にいる誰かですの?」
「ヒントはあるぞ! 男の幽霊ってところだぞ」
「てことは、アーティナのお父さん、執事のカレロさん、料理長さん、料理長の四番弟子のフォーカムさんだよね」
幽霊ではないのではと、昨日の事から考えてそう思ってると、カナミがこの別荘に居る人を一人一人思い浮かべてる。ヒントが有ると、ヒョウガが言うと、カナミがここに居る男性陣の名前を言う。
「恐らく、何らかの罠を仕掛けないと来ないぞ」
「罠かー。落とし穴とか」
「却下だ。在り来りだから。それに、そんなもん簡単に回避されるぞ」
「ねえねえ、こんなのどう? 相手の大好物で引き付けて、油断している内に捕獲するって」
罠が無いと始まらないと言うヒョウガに、サラとカナミが案を出す。
「良い案だぞ。でも、悪魔の大好物。または、相手の大好物って何だろうな。その案は保留だぞ」
「他に良いアイディアが有るんですの?」
「ああ、それなら良いのが有るぞ」
と言って、アミリの耳元で小さな声で囁く。
「な、何でよ。それに本気で言ってるの!?」
「それは後で言う。後、最前線がそれだぞ」
「そ、逸れはそうなんだけど?」
アミリが反発したものの、最前線と言われて、間違ってないかどうか疑問になっていたが、了承した。
「それと、全員で行くと怪しまれるぞ」
「アタシは残るですの」
「ワタシもです」
「ウチも残るー」
全員一緒には行けないと言うと、アーティナ、ミューフィ、サラが残ると自分達から言う。
「そんじゃあ、俺たちは仕掛けてくるから、後は頼むぞ!」
「分かったですの」
ヒョウガが、ここは任せると言って、アーティナがOKをした。そして行動に移そうとする前に。
「あの、ヒョウガ先輩」
「ん……⁉ 何だミューフィ?」
「これは効果が有るので持って行ってくっださい」
「ああ、分かった。貰っていくぞ」
ミューフィが呼び掛けると、振り返って応じた。そこでミューフィからあるものを手渡す。
「それじゃあ行って来るぞ」
「い、行ってくるわよ」
「行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
あるものを持って別荘を出た。
ヒョウガ達が向かったのは、お花畑で。
「ミューフィちゃんから何貰ったの」
「これだぞ!」
と言って見せて来た、魔物に効果的な雲が作れる装置だ。
「ど、何処に仕掛けるのよ」
「ここなんてどうだ! 見付らなさそうだぞ」
「そうだね。ここなら大丈夫そうだね」
蔦だらけの所の隙間に設置。
「ホ、本当にこんなの於いてく訳無いよね」
「ん……⁉ 否、アミリのそれは必要だぞ! 相手は一応男だしな」
「だからって、私の者じゃなくても良いわよね?」
「アミリのじゃなきゃいけないんだぞ! 匂い的に!」
アミリが嫌がるが、彼は自分の意見を押し通す
その理由が匂いと言われてしまい。
「ど、どういう意味よ? レデイーの匂いが臭いとでもいうの?」
「全然思って無いぞ! そんな事。逆に良い匂いだぞ。俺的に好きな、後、説明するのが難しいんだぞ」
「こ、この匂いね。これは、私の親が遠くの店で買って来た奴よ。この匂いが一番いい訳ね」
「ああ、他のこの匂いじゃ来ない気がするからだぞ!」
カナミが、別の場所に行ってるのを良い事にそういう話をしており。
匂いを嗅いで確認するアミリに、ぶんぶんと首を振って否定して、逆だと伝えて。
それを聞いてほっとした彼女は、良い匂いの説明をする。
複雑な表情を受けベルアミリを余所に、匂いの話しは続く。
「言っとくが、大丈夫だぞ。それは穢れはさせさいぞ! 相手が誰であろうとな」
「そ、それは助かるわよ」
と、そこへカナミが戻ってくる。
そうして、予定通りに罠を仕掛け終えると、辺りを見渡して気付かれぬかどうか確認。
「よし、それじゃあ戻るぞ」
「そ、そうよね」
「そうだね。行こっか!」
来た道を引き返そうと歩き出すと、アミリとカナミも後に続く。
モミナ家の別荘 居間
「お帰りですの」
「只今」
「か、帰ったわよ」
「帰ったぞ」
部屋に入ると、アーティナが御帰りの挨拶をして、ヒョウガ達も只今の挨拶をする。
「んで、俺達が居ない内に誰かが気付いたとか、怪しんだりとかは無かったか?」
「大丈夫でした。誰も気にも留めてませんでした」
「そっちは大丈夫だったんですの?」
「ああ、勿論だぞ。有得ない程に上手く行き過ぎてるぞ!」
ヒョウガが、自分たちが居なかった時の様子を聞くと、ミューフィがあったことを説明する。
アーティナが逆質問してくると、ヒョウガが不思議とすんなりと進んだと言う。
「それより今何時だ?」
「十一時三十五分分です。もう直ぐでお昼御飯です」
「何か用意してあるんじゃないですの。別荘に居るのは、アタシたちを覗けば、ルエル、カレロ、他のお手伝いさんと執事さん達だけですの。そう言えばですの」
それだけしかいないのかと、ふむふむと頷く。
「まだ昼ご飯速いし、暑いから怖い話しよー」
「い、嫌よ、怖い話なんて。別に怖いって訳じゃ無いんだからね」
「これはウチも体験したし、お母さんも体験した話だよー」
「き、聞こえないわよ」
アミリが止めてと言っても、止める様子が無く話が始まる。
その話を聞くまいと、耳を塞いでいる。サラの話は続く。
「ある日、親が掃除しろって煩いから掃除してる時、襖の間を覗いてみたら、何かと目があった様な気がしたんだー。お母さんも最近、誰かに覗かれてる気がするって言ってたんだー。其の翌週の火曜日位に、お風呂に入ってて、髪の毛を洗ってると、誰かの視線を感じたんだ」
そこで一度区切って、もう一度話し始め。
「でも目が開けられなくて、やっと開けれて、鏡に目をやったら血まみれの女の人が何かを伝えようとしていたんだ。恐る恐る振り返ったら、誰もいなかったんだ。お母さんが、ある日、大切な話があるって声を掛けて来たんだ。そこで、見た事ない箱から、アルバムを取り出して見せて来たんだ。そこに、ウチの観た女の人がいた。聞いてみたら、忘れてしまっていたけど、ウチには年の離れた姉が居たんだって。それからは出なくなったんだ」
サラが話し終えると、
「はい、これは実話です」
ミューフィが作り話ではないと言う。
「怖かったですの」
「ま、まあ、怖かったわよ」
「俺は其処までじゃなかったぞ!」
「私も」
サラ実話の怖い話を聞いて、其々感想を言う。
その時、とんとんとドアをノックする音。 アミリが飛び跳ねて。
「アーティナお嬢様。お友達の皆様。お食事を温めたので来てくだい」
が、他の皆は何と無くだれか分かっており、驚くこと無く部屋を出て行く。アミリも遅れて出て行く。
そして食卓へと向かう。
中に入ると、食卓机に乗ってる料理から、未だ湯気がちゃんと出ていた。
「今日は私の分も用意してあったので一緒に食べます」
「おお、良いぞ」
ルエルの分も用意して居り、一緒に食べることになる。
「では、戴きましょうか」
「ああ、戴くぞ!」
「い、戴くわよ」
[[戴きます]]
「戴くですの」
「戴くよー」
お昼御飯のメニューは、海老焼売、パスタ、カラフルで栄養たっぷりのサラダ。
「このパスタ、凄く柔らかくて美味しいね。頬っぺたが落ちそう」
「其れは当たり前ですよ。料理長とフォーカムさんの相性はばっちりですから」
カナミがパスタを口にすると、ほっぺを抑えながら美味しさを表現する。
それが当たり前と、ルエルさんが口に出す。
「俺の所は市販のものだから、本物は美味しいぞ。海老焼売」
「それでは今度作りましょう。こんなに美味しくは到底出来ませんけど」
「ミューフィから行ってくるなんて珍しいぞ。でも良いぞ! 今度やって見るか」
「た、楽しそうね。私も手伝ってあげるわよ」
その楽しそうな光景を、目の辺りにしたルエル。
「とても仲が良いようですね。皆様!」
「ん……⁉ まあそうだぞ」
余りにも仲がいいのでそう仰ると、ヒョウガが否定しないので間違いないと思う。
最後にサラダを食べる。
「サラダ美味しいよー」
「た、確かに美味しいわね。気に入ったわよ」
「そうですね」
サラに続き、アミリ、ミューフィが口を揃えて言う。
「ふう~お腹一杯ですの」
「私も同じ」
「わ、私もお腹一杯よ。もう」
「ワタシもです」
「ウチももう駄目」
「俺ももう腹が膨れたぞ!」
全員が満腹の御様子。
「後片付けは任せてくださいね」
そう言ってからの皿を持って行く。
俺たちはそれぞれ一度部屋に戻る。
「ねえ、ヒョウガ君。お昼寝するよね。夜は忙しいもん」
「ああ、そうだぞ。シナモン」
ベットに横になったヒョウガは、瞼を閉じて眠りに就く。
それから二、三時間かそれ以上経った頃。
『お、起きなさいよ。ヒョウガ先輩』
――ん……⁉ 何で夢の中に中にアミリが居るんだ?
現実ではこうで。
「お。起きなさいよ。夜ご飯よ」
「ん……⁉ 夢じゃなかったのか⁉ あ、ああ分かった。それより何でここに居るんだ?」
「そ、そんなのドアを何回ノックしても気付かないからに決まってるでしょ!」
「ああ、成程な。納得したぞ!」
「そ。それより行くわよ」
「ああ」
ヒョウガが目を覚ますと、アミリが直ぐそこに立つ。
――アミリは、何回も俺を呼んでたようだぞ!
爆睡していたヒョウガは、ドアをノックした音など気に求めて無い。
話し終わると、アミリはヒョウガを連れて食卓に向う。
今日の夕食は、素麺だ。
「夏らしいですね」
「そ、そうね。夏の風物詩よね」
「美味しいー」
ミューフィが夏を感じると言うと、アミリも同じような事を思っていた。その会話を余所にサラはそうめんをバカバカと取って行く。
それに続いて、アミリとミューフィも無くなると思い、急いで食べ始める。
食欲旺盛だったようで、あっと言う間にザルは空っぽになっていく。
ヒョウガの方にあるザルもあんな沢山あったそうめんがもうから。
なので、皆ご馳走様をして、順番にお風呂に入りに行く。
皆で終わると、歯磨きを済ませに向う。
そして、それが完了すると、其々が部屋に戻って、寝る準備をして横になる振りをする。
そして深夜零時に、作戦を実行する為にお花畑に向かっていく。
次回、幽霊の正体が明かされる。第二の悪魔との戦いの話しです




