第2話「突入」
長文になってしまいました。
観てくれた方々ありがとうございます。
2025年3月11日午後7:30
「緋音・舞、進路のデータ転送と監視カメラの偽装は終わっているか?」
巧は数人の部下と共に建物に近づき、無線で話す。
「進路データの転送は完了、監視カメラとセキュリティー解除の方は緋音がやっています。」
サクサク仕事をこなしながらきびすに話を返す舞、隣で作業している緋音がマイクに向かって話し出した。
「こっちも準備お~け~だよ~。」
ふわふわした声で返す緋音に巧が指示を出す。
「よし、やれ!」
「了解!ぽちっ!とね!?」
巧の指示に緋音が呼応し用意した監視カメラを妨害する装置が作動する。
監視カメラは全て録画してある映像に切り替えられ相手の管制室では偽の映像が流される仕組みだ。
今回の作戦は彼らにとって大きな意義がある。
さいたま新都心駅から徒歩10分程にある大和国の庁舎、今はここが東日本の心臓部となっている。
そこを奪還することが出来なくては今後の未来は無いに等しいからだ。しかし奪還と言っても今後は仲間と
して扱うことになるだろうから無下に人を殺すことはできない。
「よし行くぞ!」
巧の合図で庁舎の裏口から侵入し、警備員の目を掻い潜りながら第一目標の非常用エレベーターに乗り込む。
「良いか。この先敵2名がエレベーター前にいるが麻酔銃で眠らせてやれ。」
巧の言葉に部下がイエス!マスター!と機敏に言葉を返す。
エレベーターが目標階である最上階の31階に到着すると警備員がエレベーターの内部を覗くと誰も居ない。
そして何も無かったかの様に巡回警備に戻ろうとした瞬間。
「うっ!」二つの呻き声と共に倒れる警備員。
エレベーターの上部に隠れておき、死角になった隙に麻酔弾を撃ち込んだからだ。
「まだまだ甘いな」
巧はそう言いながら歩き始める。
人感センサーを持っているとはいえ、全く一般人と接触しなかったのは2人のオペレーターのおかげだろう。
ナビ通りのルートで進んだ先の目的地に辿り着く。
第一目標はこの仮初めの国を暫定的に統括している長がいる部屋。
まずはここを占拠できなければ意味が無い。
部屋を開けるとそこには長である男がデスクに向かって書類と格闘していたが、巧達の侵入で慌てている。
「お前たちは何者だ。」
そう言う男に向かって巧は答える。
「俺の名は御手洗巧だ。今日は交渉にやってきた。返事次第ではどうなるか知らんが、交渉を前提に来た」