〈蒸気都市〉帝都~幻影の双貌編~
かつて帝都に一人の“怪人”がいた。
戦後の混乱期に帝都を荒らしまわり、人々の混乱と恐怖を助長し、〈黄金〉の名のもと大いなる不安をいだかせた怪人の名を《幻影男爵》という。
かつて帝都に一人の“探偵”がいた。
《幻影男爵》が跋扈する戦後の混乱期に現れ、人々を救い、不安を取り除け、大いなる希望と新たなる探偵像をいだかせた探偵の名を幻城影郎という。
戦後の帝都に相並ぶ怪人と探偵は長きにわたって対決を繰り広げた。
雌雄の決さぬままに戦後の混乱期が収束し、帝都は独立を果たし、「完全な戦後」が訪れる。
そして帝都を支配するあの《時計塔》が完成したとき、二人は〈閉ざされた黄金の夜〉に消えた。
旧い時代に別れを告げるかのように……。
それからほどなくして一つの組織が産声を上げる──〈黄金の幻影の結社〉。
消えた怪人《幻影男爵》を総帥にいただき、その意向を継ぎ、帝都に〈黄金〉をもたらさんと暗躍をはじめる。
〈人形〉と呼ばれる不気味な戦闘員と数名の幹部からなる彼ら〈結社〉の目的は〈混沌なる黄金〉。
大業にして悲願。叶えるべき夢。実現すべき未来。誰もが待ち望む黄金。
彩る言葉は数あれど、それが何を指すのかは誰も知らず、全ては謎に包まれている。
裏社会の人間でさえもが関わり合いを避ける〈黄金の幻影の結社〉に対峙するは、かの名探偵《黄金仮面の王》こと幻城影郎の意志を継いだ探偵たち。いいや、探偵だけではない。事件に巻き込まれた人々だっている。
全てが絡み合うとき、混沌をかざす黄金がやってくる。
さあ、あなたも共に〈黄金〉の輝きをその目に。
〈蒸気都市〉帝都に〈黄金〉をいだく者たちの物語が幕を開ける───