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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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9 精霊契約

「聞いてないっすよー」

「(言ってないもの)さあさあ、やっと着いたわね!奥多摩!」

「クオンちゃん、3時間もかかったよ?帰りの事を考えたくないんだけど」

「(私だってそう思った)まあまあ!張り切ってダンジョンに行こうよ!」


 ははは、空元気だ、駅前さびしいなぁ。

 私だってずーっと不安!ずーっと迷ってた!

 なんで一回東京駅まで行かなきゃいけないのよ。都会をこの子達に見せたくなかった。

 これでも時間最短のルートを選んだんだけどね。結果的に田舎→都会→田舎と言う一回ぬか喜びさせるルートになっちゃった。


「うう、虫多そうっす」

「はい、虫よけスプレー」シュー

「コンビニ寄りたいんだけど」

「スマホスマホ、あるよ近くに(なに?この見た事の無いコンビニ…)」


 謎のコンビニに寄り、足の重い2人を引きずってやってきました奥多摩ダンジョン!

 …わー、人っ子一人居ないんだけど。日曜日なのに誰も来ないのかな。


「100層しか無いらしいよ」

「都心からだと熱海や箱根の方が近いんじゃないっすか?」


 確かに、熱海→東京は40分くらいだったけど、東京→奥多摩は2時間だった。

 そりゃみんな来ないよね。不人気ダンジョンと言われる訳だ。


 受付、おばあさんだ…

 ど、どうもー潜りたいんですけどー。


「ひっひっひっ、若い女の子なんて何十年ぶりかねぇ」

「「「…」」」

「気をつけて潜るんだよ、ヒャーッヒャッヒャ」

「「「…」」」


 怖い、なんか怖い。


「ねえ、更衣室のカギ壊れてるんだけど…きゃあ虫!!」

「ぱ、パイセン、本当に潜るっすか?」

「ここまで来て潜らない訳にも」


 はあ、嫌だなぁ、私だって嫌だよう。

 泣きたいけど我慢してるんだよう。


「トイレ…水洗じゃなかった…」

「ルシル、気を確かに持って!」

「和式…だった…」

「現代っ子!わがまま言わないの!」


 さっさと潜ってさっさと帰ろうよ!

 時間があったら東京に寄ってもいいからさ。

 ため息ばかりつく2人を連れダンジョン内部へ。


「えーと8階層にいるらしいのよね。浅い階層で良かったよ」

「気のせいか、熱海より不気味っすね」

「(確かに)せ、精神的な物じゃない?」

「人が居ないからかな?」


 そうか、人が居ないからか、静かすぎて不気味なんだね。

 他のダンジョンなら入り口付近に人が居ないなんて事ない。

 いつでも外に逃げれる入り口付近は初心者の安心スポット。


「でもモンスターは居るんだから気を引き締めないと」

「緊張で引き締まりまくってるっす」

「1階層は何が出るの?」


 ゴブリンだよ、熱海と一緒。

 どこのダンジョンも低階層はそんなに変わらないらしいよ。


 ゴブリンの大群を見つけるが、さすがにゴブリン程度は敵ではない。

 私達はレベル16と13と10、計算上は11階層まで潜れるパーティだ。


「8階層まで一気に行こう!進路上以外の敵は無視して!」

「うん!」

「了解っす!」


 奥多摩ダンジョン 8階層


「さて、この辺のはずだけど」


 師匠に大体の場所は聞いてある。ここを曲がった先だよね?


「…いないっすけど」

「待って、簡単に見つかる訳じゃないの。精霊が出てくる条件があるらしいよ」


 条件を聞いた時に、そりゃ見つからん訳だと思った。


「クオンちゃん、それ何?」

「………エロ本」

「なにそれ…え?そんな本売ってるっすか?」

「昔はコンビニとかにも売ってたらしいんだけどね。手に入れるの苦労したんだよ」

「裸のおねえさんがいっぱい…」

「これを床に置くと出てくるんだって」

「そんなもの…未成年が買えるの?」

「うう、それは聞かないで」

「え?おじ様が最初に見つけたんだよね?おじ様もそんなもん持ってダンジョンに来てたって事?」

「何の為に?」


 師匠の名誉の為に言っておくが、バク型の精霊の力でこの辺に精霊が居る事までは解ったらしい。

 ただ出てくる条件までは解らない。

 条件は精霊によって違うらしく、いろいろ試してみたそうだ。


 でもエロ本を置く事にたどり着くってさすがにおかしいよね。

 私もなんか変だなと疑ってる。でも怖くて聞けなかった。


「と、とにかく置いてみるね」

「もうなんもかんも不安」

「あたし、気が狂いそう」


 し、しっかりしてー、ここからが本番だぞー。

 ぺちゃりとエロ本を床に置いた。


 ウキーーーーーーーーーーーーーー!!


 !!!!

 なんか雄たけびが聞こえた!


 ウホーーーーーーー!!


 ち、近づいてくる。


 ウヒーーーーー!!!!


 ぎゃあー!怖い怖い怖い!


 ウピョピョピョピョピョピョ!!!


 なんなのよ!妙な奇声あげんな!


 涙目になっている私たちの視界に、ついに何かが飛び込んできた。

 歯をむき出しにし、ウホウホ言いながら近づいてくる。

 うわあ、可愛くない!


『あらあら、これは奇麗なお嬢様方、ご機嫌いかがですかな?』


 ご機嫌なら最悪だよ!って言いたいけど我慢した。


『ん~このわたくしにプレゼントですかな?このような素敵な本を頂けるとは』

「えと…精霊です、よね?」

『い・か・に・も、まごう事無きプリンスオブ精霊、精霊王子とはわたくしの事ですよほーん』


 クセ強!

 どうしよう、契約したくない。

 付き合ってくれた2人には申し訳ないけど、すべてを無かったことにしたい。

 あの日に帰りたい。


「精霊王子?普通の精霊とは違うって事っすか?」

『んーそうですねぇん、わたくし加護を2つ持っておりますので』


 え?2つ?2つも持ってるの?


『どんな内容かまでは契約してくれるまで言えないんですけどもね、はぁーい』

「えと、契約する気はあるって事ですか?」

『あらぁ、それはもうこんな素敵なお嬢様でしたらぁ、どの方でもOKですよぉ』


 よ、良かった、のか?

 でも2つ!2つはお得なんじゃないの?

 もう何も考えたくない気持ちになってるし、判断力も狂ってる気がするけど、2つ!


「で、では、私と契約してください!」

『んふふ、喜んでぇん。それではわたくしのお名前を決めてくださいますかな?』


 名前…どうしよ考えてなかった。

 オランウータン、王子、サル、エロ

 皆も考えて?あれ?ルシルが立ったまま失神してる!

 しっかりして!ダンジョンに飲み込まれちゃうよ!


「エロ本王子とかどうっすか?」

「怒られるよ、真面目に考えてよ」

「サルエロで良いんじゃない?サリエリみたいでかっこいい気もするし」

「だれ?サリエリって」


 作曲家?そんな人が居るの?き、気に入ってくれるかなぁ。

 言うの私だよね?怖いんだけど。


「で、では、サルエロと言うのはどうでしょうか?」


 ウピョーーピョピョピョピョピョ!!!


 ひぃ!興奮して暴れだした!お、お気に召しませんでしたでしょうか?!


『なーんて素敵なお名前、わたくしにピッタリのお名前ですわねぇん』

「で、では」

『契・約・成・立・いたします!』


 あ、何か眩しい光が落ちてくる、大きくなり、全てを包み込む光。

 その光が自分の中に入ってくるような感覚、だ、大丈夫なのこれ?


「クオンちゃん、顔舐められてるよ」

「え?うわ!実体無いから気づかなかった!」


 私に纏わりつき、顔をべろんべろん舐めるようなしぐさを繰り返すサルエロ。


「ぱ、パイセン、胸揉まれてるっす」

「え?ええ?!な、なにしてんの?」

『んっふっふーあくまで実体が無いので振りだけですよっほーん』


 い、いや、振りだけって言っても。

 なんかモゾモゾする気がするし、やめてほしいんだけど!


『主とわたくしは一心同体、死ぬまで一緒ですわぁーん』カクカク


 ギャアーーーーー!!!

 腰振り始めた!!イヤーーーーーー!!


「パイセン、耐えれるっすか?」

「駄目かも」

「クオンちゃん、取り合えずダンジョンから出よ?」

『あらぁん、どなたか聖書(エロ本)を拾ってくださいな?わたくし実体がないので』


 そのあとの事は覚えていない。

 気が付いたら熱海に着いてた。



 -------------------------



 熱海ダンジョン広場前


「あらら、それで放心状態なの?」

「おじ様どうしてくれるっすか」

「自己責任!念を押したはずだぞ!」


 まったく、言わんこっちゃない。

 だからあれほどまでに確認したのに。


「でも加護2個あるんでしょ?どんな加護なの?」

「まだ聞けてないっす」

「さすがにダンジョン出る時に姿見えると困ると思って今は消えてもらってるの」

「じゃあクオンが呼び出すまで出てこないか」


 しかし、目の前で口を開け、焦点が定まってないクオンを見ると、よっぽどショックな事があったみたいだ。

 今日はもう帰った方が良いんじゃないか?


「パイセンとあの精霊を2人きりにさせていいんすかね?」

「いや、そんな事言っても…つか見えないだけで会話は聞かれてるんだからな」

「え?ここに来るまで失礼な事しか言ってないよ」


 あらら、怒ってないと良いけど。

 ぼんっ


『んふふ、怒ってないですよっほーん』

「おわ、勝手に出てきた、駄目じゃないか」

『ちゃんと周りには見えてないようしてますわよぅ、それより貴方、以前お会いした事がありますわよねーん』

「おお、覚えてるのか?30年以上前だったと思うけど」

『あの時はフっちゃって、ごめんなさいねーん』


 え?う、うん、フラれてたんだな俺。


『それなのにこんな素敵な女性を寄越してくださるなんて、んートレビアン』

「い、いや、俺が斡旋したみたいじゃないか、そうじゃなくてだな」


 くねくねもじもじしながら誤解を生みそうなことを言う精霊。ルシルとエレナの視線が痛い。

 違うって、罪の意識感じちゃうだろ。


「それより加護のこと教えてくんない?」

『んー主の許可なくそれをおっぴろげるのは…わたくしの心は主だけの物ですからっはーん』


 駄目だこりゃ。


「う、いいよ、教えて」

「クオンちゃん大丈夫?」

「うん、す、少し慣れてきた」

「慣れる事ってあるんすか?」


 おお、クオンが復活したようだ。

 まるで、ダンジョンでラスボス倒して来ましたみたいな憔悴ぶりだ。


『んではぁん、教えて差し上げましょうかねーん』

「おう、頼むよ」

『一つ目はぁ、わたくしの魅惑の腰振りダンス!!』カクカクカクカクカク

「「「んぎゃーーーーーーーーー!!!!」」」

『この加護はぁん、どんなに強い敵でも見惚れて動けなくなってしまいますのよぉーん』


 見惚れて?

 怖がってか唖然としてじゃないかな、そこにいる3人みたいに。


『敵が動けない間に逃げるもアリ!攻撃するもアリ!とても強力なスキルなのですのよぉーん』

「ラスボスとかでも逃げれるのか?」

『とーうぜんですわよぉーん!!!』カクカクカクカクカク


 お、おお!すごいスキルじゃないか?死ぬ可能性がほぼ無くなるぞそれ!

 どうした3人共!お前たちが動けなくなってたら意味ないよ。


「いや、当たりだと思うけどな、当たりって事にしてくれないか?(なんか罪悪感あるし)」

「うう、慣れますかねぇ?」


 慣れる、人間は慣れる生き物だ。

 こいつの腰振りが日常になる日がやってくる。


『二つ目はまぁ、大したこと無いんですけど経験値アップですわょね』

「「「「!!!!!!!!」」」」


 当たりだ!!!

 こいつのクセはともかくとして、超大当たりだ!!よろこべお前ら!


「「「ば、ばんざーい…」」」

「なんでなんだよ、(ほかの精霊達の手前大きな声では言えないけど)大当たりだぞ?」


 精霊の加護の中でも一番珍重されるのが経験値アップだ。

 レッサーパンダ型精霊文太が持ってる加護と一緒だな。

 人より早く成長出来る、これがどれほど優位性を持つ事になると思ってるんだ。


「まあ一度潜ってみれば解るよ」

「はあ、でも今日はやめときます」


 おお、疲れてそうだしやめときなよ。

 とぼとぼと帰っていく3人組と精霊。

 サルエロ、腰を振るな。

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