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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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8 情報おじさん

 ーケイトリン君、道後ダンジョンには潜らなかったようだねー

「はい、ですがいつでもテレポートで戻れるようにダンジョン前までは行きました」


 アメリカ当局から通信が来た。

 日本に居ても監視されているのか。


「取り合えず日本全国回ってテレポートポイントを増やす方が効率的かと思いまして」

 ー現在はフェリーに乗ってるようだねー

「別府に向かっています。世界最高峰ダンジョンへ向かう予定です」

 ーふむ、期待しているよー


 ふう、びっくりした。

 温泉巡りが楽しすぎて潜る暇が無かったなんて言えないものね。


 さて、気持ちを切り替えて。目指すは別府、日本最大数の源泉を誇る街。


 フェリーなんて時間かかりそうって思ったけど、風がいいわね。

 小さい島がたくさんあるわ、天気が良いから景色も素敵。


 待ってなさいよ別府、このケイトリン・リリー・フィリップスが貴方の真価を確かめてあげるわ。



 ----------------------------



「師匠、本日はお日柄もよく」

「どうしたクオン、なんか変だぞ」


 熱海ダンジョン広場前


「ルシル、良い子なんですけどちょっと天然だったみたいで」

「急にどうした?」

「いえ、万が一バレた時の為に」

「?」


 よく解らんけど俺は告白の話が気になってたんだ。

 ちょっとおっさんと恋バナしようぜ。


「そういう刺激がご無沙汰すぎてよー」

「ははは、大した話じゃないんですよ?3年の先輩に告白されたんです」

「ふむ、なぜ断ったんだ?」

「よく知らない人に好きだって言われても信じられます?」


 よく知らない人だったのか。うーん、可能性としては顔が好きとか?

 そんなんしか思い当たらないな。


「絶対性欲ですよ」

「まあ…その年代の男の子ならその可能性も否定しないが」

「3年のこの時期に彼女作ろうとするってのもどうかと思うし」

「就職するんじゃないか?受験するなら俺もそれはどうかと思うとこだけど」


 サラリと性欲の話が出たな。

 おじさんちょっと焦っちゃった。


 はあ、青春だな。

 告り告られ振り振られ。

 甘酸っぱい、甘酸っぱいよ。


「師匠、遠い目をしてます」

「うん、自分が歳をとった事をこれでもかと思い知らされてしまった」

「あはは、自分から聞いて来たのに」


 本当にな、ダメージ受けるだけなのに。

 人の恋の話なんて自分には関係ない事なのに。


「そういや今日は一人か?」

「はい、2人は赤点補習だそうです」

「あいつら頭悪いのにダンジョン潜ってるのか」

「私もギリギリでした」


 どいつもこいつも、学生の本文は勉強だぞ?

 まあおっさんも人の事は言えなかったけどな。


「そ、それでですね、あのー」


 あ、嫌な予感。

 こういう時は大抵面倒な事を言われる。


「わ、私も精霊見たいんですけど」

「なんだそっちか、レベル上げ手伝えって言われると思った。そっか、こないだ見せた時お前だけいなかったもんな」

「レベル上げに関しては手伝って貰えるとモチロン嬉しいのですが、受託側のご負担も理解しているつもりです」


 ダンジョン出来て40年、さすがにその辺はすでに浸透してるか。

 でもな、最初の頃は甘い考えで簡単に言ってくる奴が多かったんだ。

 断ると逆恨みされるし、本当に良い事が無かった。


 人の時間を奪う行為、それを深く捉えてない者が多い。

 中にはタダでやってくれとか平気で言う奴もいるからな。

 こっちは初心者鍛えてる暇があったら深いとこ潜って資源やら自分のレベルアップに費やしたほうが良いんだよ。

 あー思い出したら腹立ってきた!


『主、落ち着けよ』

「せ、精霊!」

「なんだ文太、お前勝手に出てきちゃ駄目じゃないか。面倒事も多いんだからさ」

「な、なんて可愛いの!!」


 レッサーパンダによく似た精霊、文太。

 口は悪いがツンデレさんだ。

 可愛いと言われたいから結構出たがりでもある。


『今の流れだとどうせ出してただろ』

「うん、彼女は解ってる子だと思う」

「さ、触りたい…けど、実体無いんでしたっけ?」


 ああ、触れないぞ。

 俺だって触れるもんならもみくちゃになるまで撫で繰り回してハゲさせちゃうかもしれない。

 自分の頭への恨みを込めて。


「他の奴も出てこい、彼女だけに見えるようにな」


 ぼんっ。

 現れる2体の精霊、バク子とチーター型の精霊。

 今日はゴリ左衛門が居ないな、ご機嫌斜めか。


「うわっ!!」

『びっくりしないでよ』

「怖い顔してるけど優しい奴だぞ」

『怖くないもん』


 チーター型の精霊、名前は ちぃ太。

 加護は脚力強化、動きが素早くなる


『…』

「バク子は初対面の相手だといつもこんな感じだ」

「この子も可愛い、あ、そっぽ向かれた」

「こいつは可愛いとか舐めてんのかと思うタイプだ」

「ええ~!!ゆ、許して」


 精霊に気に入られるってのは大変だぞ?

 俺も何回か諦めてるし。


「師匠、実際はもっと出会った事があるという意味ですか?」

「うん、8体出会ったけど3体は諦める結果となった」

「そ、その3体は、じゃあ今もダンジョンのどこかに」

「いや、2体は契約者が決まったはずだ。一応他の精霊を通してその辺は解るんだよね」

「で、では、もう一体は?」

「…今もまだいるかもな」

「どこに?!!!」


 あーあ、目の色変わっちゃった、ちょっと喋りすぎたな。

 果たして教えてよい物なのか。


「言っとくけど精霊は一心同体、死ぬまで一緒だ。四六時中私生活の中ですべての行動を見られる事となる」

「はあ、お風呂とかトイレも見られるという意味ですか?それは確かに少し抵抗がありますが」

「お前が若い性欲を爆発させ、男と無責任な快楽の為だけの…」

「セクハラです。やめてください」

「まあ俺は嫁との営みをこいつらに見せて興奮するタイプだったから良かったようなものの」

「良くないです、奥様が可哀そう、家庭不和の原因それじゃないですか?」

『最近ご無沙汰のくせによ』

「…話すのやめちゃおっかなー」

「生意気言いました。師匠は何も悪くないです」

「まあ結論から言うとな?その最後の精霊はオランウータン型で物凄くエロい奴だった。お前はそいつと契約する覚悟はあるのか?」

「ええ?」


 あいつは多分女としか契約しない。

 俺は最初っからあいつと契約するの無理だったんだよな。


「可愛い精霊を期待してるなら裏切られると思う」

「で、でも、加護、そう加護があるじゃないですか!」

「加護はなぁ、契約してみないとどんな加護だか…お前達、他の精霊がどんな加護持ってるか解るんだっけか?」

『興味ねぇ』

『知ってる子もいるけど…』

『仲のいい子なら解るけど、あの者は絶対仲良くなれないタイプ』

「こんな感じで他の精霊からも嫌われてるみたい」

「うーん」


 ひょっとしたらすごい加護を持っているのかもな。

 その可能性は捨てきれない、だからクオンも迷ってる。


「でも腐っても精霊、エロいくらいで何十年も契約されず放置されてるってのも何か引っかかる…」


 ああそれはな、結構な山奥のダンジョンに居るんだよ。

 アクセスも悪いし周辺に住む場所も少ないから不人気ダンジョンなんだ。

 訪れる人が少ないから他の人には発見されてないのかもしれない、知らんけど。


「アクセス悪いんですか。どこですか?」

「お前さらっと場所聞こうとするなよ」

「うう、決めきれないけど場所は知っておきたい」


 …迷ってるけど教えたら最終的には行ってしまう感じだな。

 というか、俺も不用意だったな。アクセスが悪い山奥と言うヒントを出してしまった。

 うーむ、ここまで言っといてお預けってのも、俺はただ惑わせてるだけの焦らし好きの変態男みたい。

 もう言っちゃうしかないかな。


「なあ、冒険者は自己責任だ」

「え?はい、解ってますけど」

「お前が俺から得た情報で不利益を被ったとしても、俺は責任を取れない。それでも知りたいというのなら、精霊の場所を教えるよ」

「い、いいんですか?」

「ただしパーティには絶対相談する事、後から知ると不和の元だからな」

「はい!」

「あと、俺から聞いたってのは内緒にしてくれ。パーティ内では言ってもいいけどな」

「解りました!」


 ふう、出来るだけの釘は刺したかな?

 まだ言ってよいのか迷ってはいるんだけど…

 ええい、どうとでもなれ。


「場所は、東京都に二つしかないダンジョンの内の一つ、奥多摩の8階層にいる」



 -----------------------



 ここがそう?随分古い建物に見えるけど。


 CIAのエージェント ケイトリン・リリー・フィリップス。

 先ほど別府港へとフェリーで到着し、お目当ての温泉へとやって来た。


 入場料安すぎない?こんなのでやっていけるの?…あ、砂湯と言うのがあるのね。え?砂湯って何よ?そっちは1500円か。予約が居るのね。じゃあ取り合ず300円の普通のお風呂へ。


 靴を脱いで入場、中も古いわね。

 有名な温泉だと聞いたけど、安すぎてちょっぴり不安だわ。

 私は内風呂がついた贅沢な宿とかでいいのだけれど、ここは宿泊はやってないみたいなのよね。


 え?!更衣室と温泉が繋がってる!仕切りが無いけどここで脱ぐの?

 なんだか痛みも激しい古い温泉に見えるけど…奇麗とも言えない。ここは失敗だったかしら?


 シャワーも無い…ど、どうすれば?ええ?湯船から直接湯を汲んで洗うの?

 なんて変な温泉!でも昔はこうだったのかしら?

 熱っ!なにこれ熱すぎない?蛇口の水で埋めて…な、なにやってるかしら、私。


 見よう見まねで体は洗ってみたけど、湯舟に入っていいのよね?

 でもすごく熱かった気がするのだけれど…

 日本人は平気なのかしら?


「外人さんには熱いかもねぇ、ほれ水で埋めちょる」


 あ、水を入れてくれてる…ありがとう優しいおばさま。


 う…ま、まだ熱いけど、これならなんとか。

 それにしても、変わった体験だわ。

 おそらく古き伝統を残している歴史のある温泉なのだろう。

 ああ…気持ちよくなってきた。

 大きな窓から入る光が眩しい、目を瞑り、じっくりと流れるお湯の音だけを楽しむ。


 汗が、汗が止まらない。

 でも不思議、体の中の毒素が抜けていくような気分。

 この後ビールを飲もうかしら?

 普段は飲まないのだけれど、なんだかとてつもなく今は飲みたい。


 確か、関サバという名物があったはず。

 決めた、今日の夕飯は関サバとビールにしよう。



 -----------------------------------



「という訳なんだよね」

「うーん、喜んでいいのか」

「微妙な話だねぇ」


 翌日、クオンは2人をファーストフード店に呼び出した。

 最初は目を輝かせていた2人も次第に苦笑いに変わっていった。


「パイセンが契約するつもりなんすよね?」

「え?その辺も相談というか…意思確認をしておきたいんだけど、2人は契約する気はある?」

「うーん、あたしは無理かな。エッチなおサルさんに四六時中ってのは…」


 ルシルは無理だと、エレナはどうなの?


「せめて加護の内容が解ればいいんすけどね、ちょっと今の段階では踏み出せないっす」


 エレナも厳しい、って事は私次第って事でいいよね?


「うん、クオンちゃんの好きにしていいよ」

「パイセン平気なんすか?そんなイヤラシイ猿と一生一緒なんすよ?」


 そ、そう言われると、迷うよね。出来れば1か月くらい悩みたい。

 でもそんな事してたら先に誰かに契約されてしまうのではないかと焦ってしまう。


「でもよくそんな話を聞き出せたね」

「おじ様、ウチらには何も教えてくれなかったす」

「ああ、話の流れが良かっただけなんだよね」


 師匠も言う気は無かったはず。運が良かった…かはまだ解らないか。

 だけど可能性を信じずにはいられない。


「私、契約したい。してもらえるかは解らないけど挑戦したい」

「おお~頑張って」

「ウチらは陰ながら応援してるっす」

「え?ついてきてよ、パーティでしょ?」

「ええ?怖い…」

「ウチも怖いっす。なんだかモンスターより怖い気がしてるっす」


 うう、確かに不安だらけだけどさ。

 お、奥多摩なら近いしさ(アクセス悪いから本当は片道3時間かかるけど)。

 温泉あるしさ(熱海にはもっとあるけど)。


「というか私だって怖いんだからつきあってくださいお願いします」

「うーん、そこまで言われたら」

「しょうがないっすね」


 良かった!じゃあ次の日曜日ね!朝7時ね!

 早すぎる?健康の為に早起きしようよ!電車賃は出すからさ!

 絶対来てよね!

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