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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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37/48

37 オンセンサル

「二日休みくれよ。今プラン練ってるから」


 翌日、休みをもう一日くれとゴネてやった。

 ミオコは電話で渋々ながら了承してくれた。


「まったく、そんなに潜りたいならミヅキと二人で潜ってこればいいのに」

「あの二人ならどこまで行けそう?」

「400くらいなら行けるんじゃないか?」


 でもヒーラーいないしな。やっぱ無理しないで欲しい。

 ヒーラーがいると安心感が違う。回復はポーションでも出来るけど、飲む時に隙が出来るしな。


「プラン考えてるって聞こえたけど」

「ああ、もう考え終わってるんだけどね」


 湯田中渋攻略プラン


 初日は1から251層まで、その後、野沢、湯沢、水上、伊香保を回り、ダンジョンボスだけを倒して帰ってくる。

 二日目は251から401まで、その後は初日と一緒。

 三日目は401から501まで、その後は初日と一緒。

 四日目が最終日、501から湯田中渋ダンジョンボス攻略を目指す。


「各地のダンジョンボスを倒すのはレベル底上げの為だ」

「そこまでしないと湯田中渋のダンジョンボスは倒せないって事?」


 いや、安全に倒す為の底上げだよ。

 今のレベルでも行けるとは思うけど、さらに確実にする為の保険だ。


「でもこれ、GODが大変じゃない?私達5か所とも行った事無いから」


 ああ、初日は特に大変だ。3人連れてテレポートしまくらなければならない。

 その為の2日休みでもあるし、MPポーションもいくつか必要だろうな。

 でも一回行ってしまえば次からは自分達で飛んでもらえるし、大丈夫だよ。


「ミオコ達には明日の夕方にでもRINEしとくか。悩みに悩みぬいた感じで」

「あはは、休むのも大変だね」


 本当にな。なんでこんなに手間かけなきゃいけないんだ。

 自由業なんだから休みくらい好きに決めたい。

 思えばソロになった理由はこういう事でもあったんだろうな。


「うお、そんな事言ってたらRINEが来た。なんだよあいつら」


 いや、ミオコ達じゃなかった。飛川さんだ。

 なんだろ?俺にRINEしてくるなんて初めてだ。


「………」

「どうしたの?GOD」

「南紀白浜の菊池っていたよな?あいつがどうも俺に相談があるとか」


 弁護士が議員通して連絡をとった来た。

 なんだろう?ただ事じゃない気がするが。


「丁度詫びなきゃいけないと思ってたし、直接現地に行ってこようかな」

「じゃあ私も行く」


 そうだな一緒に行くか。

 なんか良いお土産しらない?ついでに買ってから飛ぼう。



 ----------------



 南紀白浜ダンジョン前広場


「へいへいへい、まさかこんなに早く来てくれるとはありがてえ」


 相変わらずの様子だ。とりあえず菓子折りを渡す。

 なんかいろいろ悪かったな。あとSNSで幻惑の魔法の疑い晴らしてくれてありがとう。


「ここじゃあなんだ、俺の事務所までテレポートしてもいいかい?」


 うん、お前は信用できる奴だ。その姿はこの前見せてもらった。

 カミナもいいか?いざとなったら俺が守るからな。


 そういう訳でテレポート。

 想像と違い落ち着いた事務所だな。簡素だけど清潔なビルの2階。

 秘書いるのか?美人だな。あ、カミナに睨まれちゃった。

 と、取り合えず話を聞こうぜ。



「ほう、振り込め詐欺のかけ子か。ニュースになってたな」

「それを助けてえ」


 菊池の話はこうだ。

 若い子達が騙されて海外に連れていかれている。

 そこで犯罪に加担させられ、虐待されているらしい。

 その子達を救いだしたいのだそうだ。


「だが海外か。冒険者の渡航には色々と制限が…」

「その辺は俺が話をつけた。日本政府にもあっちの国にも許可をもらってる」

「そもそも冒険者の力が必要なのか?警察の仕事のような」

「相手は500人規模の犯罪グループだ。武装してるし中には冒険者の存在も報告されている」


 500人?!冒険者を含む500人規模の犯罪者グループか。

 そりゃ警察の手には負えないな。

 犯罪者グループは大きな建物にいろんな国から集めた2000人を軟禁状態でかけ子をさせているらしい。

 2000人も助けなきゃいけないのか?これは大事だ。


「そういう訳で何人かに声をかけたんだ。今のところ10人くらいがこの作戦に参加してくれる予定だ」

「10人?GOD危険じゃない?そんなに少ない人数で助け出せるの?」


 いや、そこまで難しくないような。

 レオンの加護使えば余裕なんだけどな。でもカミナが心配してくれて嬉しい。


「安心しな?日本の冒険者はレベルがたけえ、そしてその犯罪グループに日本人はいねえ」


 外国人の犯罪者グループという事なんだろう。

 つまり高層ダンジョンに潜っている者はいない。

 しかも犯罪に加担してるような奴なら真面目に潜ってもないだろう。

 冒険者って言ってもレベルはそんなに高くない事が予想される。


「でも銃を持ってるんでしょ?」

「カミナ、冒険者もレベル200くらい超えれば普通の銃なんて効かなくなるんだよ」

「え?そうなの?」


 日本ではあまり知られてない事実だが、銃社会のアメリカで証明されている。

 動画サイトに映像もあった気がする。実弾をはじいちゃうんだよな。


「マグナムとかの口径のでけえ弾でもレベル300越えればまったく効かねえ」

「カミナのこの柔らかい胸に当たってもな、一瞬凹むだけで跳ね返しちゃうんだ」

「私の体ってそんな事になってるの?」


 軽くショックを受けるカミナ。むう、デリカシーが無かったかな。

 元気な体で良いと思うんだけどな。


「報酬は少ないんだが引き受けてくれねえか?」

「いいよ。引き受ける」

「ええ?じゃ、じゃあ、私も行く」

「おっと、お嬢ちゃんは連れていけねえ。動画サイトで顔を出してるんだろう?恨まれる可能性があるし、身元が割れてる奴を危険にはさらせねえ」


 そうだな、カミナは著名人だ。

 顔と名前までバレてる者は探偵でも使えば住所の特定も出来てしまうだろう。

 秘密部隊が何者かなんて解らないほうが良い。


「で、でも」

「カミナはミオコ達と待っててくれよ。あいつらなら俺より強いし安全だ」


 俺はいつでもカミナの傍にいて守ってあげたいと思っている。

 だが今回はこの立派な男菊池に協力してあげたい。


「恩にきるぜ。詳細は追ってメッセージを送る」

「ああ、決行はいつ頃になりそうなんだ?」


 一週間後くらいだって、じゃあRINE交換しとくか。

 湯田中渋は予定通り行けそうだな。

 菊池に手を振り、南紀白浜を後にした。



 -----------------



「はあ、やっぱり心配、はあ」


 カミナがずっとため息ついてる。

 心配してくれるのは嬉しいような申し訳ないような複雑な気持ちだ。

 でもそこまで難しいミッションでもないと思うけどな。


「でも、またレオンがへそ曲げるかもしれないし」

「ありえるな」

『失礼な奴らじゃ。ワシだってそこまで空気を読めん訳じゃないぞ』

『主、私が敵の位置を正確に報告します』

「ありがとう、バク子」

『ワシにはないのか?』

「頼りにしてるぞレオン」


 そしてゴリ左衛門とちぃ太の加護にも頼ると思う。

 頼りにしてくれと快く頷いてくれる2体の精霊。ありがとう。


『…俺は?』

「文太は経験値アップだからなぁ、今回のミッションにはあまり…」

「か、可愛いよ?」

『じゃあしゃーねーな!』


 ふう、カミナのフォローで事なきを得た。

 懸念は無いに越したことは無い。


「ねえ、離れてる間一時間ごとに連絡して欲しいんだけど」

「カミナ、あまり心配しないでくれ。余計な事考えてると直近の湯田中渋も失敗しそうで心配だ」

「で、でも~」

「犯罪者軍団を確実に捕まえるためのレベルアップ期間だと思えばいい。協力してくれよ」

「…うん、解った」


 少しでもレベルを上げて少しでも危険を減らそう。

 それがカミナの安心へもつながるはずだ。

 まあ出来るだけ連絡はするように心がけるよ。



 --------------------



 二日後、湯田中渋ダンジョンへ来た。


「へえ、そんな以来引き受けるなんてもの好きだね~」


 ミヅキは興味ないのか?てっきり便乗してくるかと思った。

 南紀のバカ息子の時は面白がってたじゃないか。


「興味無いかな。私は臨時招集も行った事無いし」

「そういや沖縄の時も歌舞伎町の時もカミナは来たけど2人は来なかったな」


 南紀はハニートラップだったから面白いと思ったらしい。

 まあ本来面白いで決めるような事じゃないんだけどね。


「ミオコも興味無い人なんだな」

「臨時招集は何度か行った事ありますよ?でもウチが行った頃にはもう片付いてました」


 臨時招集は無駄足も多いんだよな。

 報酬も高くないし、参加は冒険者の責任感に委ねられる。

 無駄足が続けばそのうち行かなくなってしまう。

 俺も救急の仕事はマッハ和世姉さんに負けるから行かなくなったもんな―。


「そんな訳で留守中はカミナの事お願いしたいんだよね」

「まだ変なのに目をつけられてるの?」


 いや、そうじゃないけど。

 でもこれだけ奇麗な女だぞ?常に狙ってる奴はいるだろうが。


「へいへい、心配性な事で」

「確かに過保護すぎるのかな。カミナも大人だし少しは放任した方が良いのか?」

「ええ?束縛してほしい!」


 お、おう、それで良いなら。

 束縛は嫌われるものだと思っていたけど人それぞれなんだな。

 あんまり重いと嫌かなって心配になっちゃった。


 まあいいや、取り合えず潜ろうぜ。

 今日は色々回らないといけないから無駄話してる暇は無いのだ。

 ダンジョンの251層まで潜り、野沢へと飛んだ。



 ---------------------



「500ダンジョンボスか。久々だねぇ」


 熱海以来になるのか?今なら余裕だよな。

 テレポートポイントを作るために来たのもあるから次からは自分で飛んでくれよ。

 俺はMPポーション飲まなきゃ。ごくごく。


「今日はダンジョンボスまで一気に行くんだろうけど、おじさんが留守の間は3人でどこかの500に潜らない?」

「いいね、私はさんせー」

「(経験値…)おじさん何日留守にするんですか?」


 解らない。移動もあるしな。最低3日か、長ければ一週間くらいかかるかも。


「海外までテレポート使えれば良いんですけどね」

「いや、そもそも行った事のない国だから飛べないよ」


 テレポートで海外に行くのは違法だ。一応飛べることは飛べるんだけどね。

 行った事がある人に運んでもらう事は可能だが、MPが余計にかかる分、海外は遠すぎるからそれも難しい。

 なので今回はどのみち飛行機で行く事になるだろう。


「(経験値…)お土産お願いしますね」

「ああ、買う暇あったらな」


 遊びに行く訳じゃないからそんな暇があるかどうか。

 思えば海外まで人助けに行くなんてご苦労な話だよな。

 ミヅキが物好きって言うのももっともだ。


「さて、では潜るか」


 野沢、湯沢、水上、伊香保のダンジョンボスを倒し、東京へ戻った。



 -----------------------



 翌日、その次の日も同じような感じなので省略。一気に最終日へ。


「よし、599階層まで来たな。これからダンジョンボスを攻略する。準備は良いか?」

「「「おー」」」

「今回のボスは長期戦だと思ってくれよ。1時間はかかる」

「そうなの?」

「先に聞いとくんだったね」


 攻略サイトくらい見とけよー。

 ここのボスは一匹じゃない、複数いるんだぞ。


「ここのボスはオンセンサル、100匹くらいいる」

「ひゃ、百?!」

「滅茶苦茶凶暴な猿みたいのが100匹だ。さらに最下層には温泉があってな、そこに入って回復するから厄介だ」


 なので範囲攻撃が出来る魔法使いがいると楽なんだけどな。

 ミオコとミヅキは1匹ずつぺちぺちやるしかない。

 でも一撃で仕留めないとすぐに見失う。

 動きが早いし他の奴が邪魔してくるしで四面楚歌になるけど、さいわい攻撃力は低い。


「被弾はある程度は覚悟してくれ。避け切るのは無理だから」

「はあ、100匹じゃねえ」

「盾あると被弾減らせるんだけどな。ミオコとミヅキは盾使った事あるのか?」


 普段は持ってないよね。邪魔だから2人共使ってないって。

 火力重視でここまでやってきたらしい。

 まあ使い慣れてないなら付け焼刃は駄目だ。今回は無しで行こう。


「カミナは風と水と氷の魔法使えたよな?範囲攻撃はあるんだっけ?」

「風は一応範囲攻撃だよ」


 風か、じゃあタイミングあれば使ってくれ。でも回復優先で良いぞ。

 囲まれてどうしようもなくなったら絶対防御でしのいでくれ。


「因みに氷は効きづらいぞ」

「おじさんは範囲魔法使えるの?」


 使えるぞ。専門職ほどではないけどな。

 じゃあ行こう。集中してくれよ。


 湯田中渋ダンジョンマスター オンセンサルの間


 階層に降りると同時に攻撃してくる100匹の魔物。

 ミヅキの槍が避けられる。獲物が長いと標準合わせづらいかもな。


「3人共あまり離れず、いて!背中を守りあうように!」


 さっそく攻撃の雨あられだ。

 視界の全てが飛びかかってくる魔物で覆われる。


「怯むなよ、ファイヤーウォール!」


 魔物が固まっている場所へ範囲魔法を打ち込む。

 む、3匹しか捕まえられなかったか。魔物の大半にが危機を察知し避けられた。

 当たった3匹も致命傷ではないな。温泉に向かって走り出す。火を消すのと回復目的だろう。


「いった!!くそ!ちょこまかと!」

「ミオコ落ち着け、心臓か頭を確実にねらえ」

「いった!お尻噛まれた!」


 カミナのお尻を?許さん!俺の渾身の一撃が飛んでいく。

 見事魔物の心臓を捉えた。魔物の一匹がドロップ品に変わる。


「ドロップ品に足を取られるなよ。倒せば倒すほど足場が無くなっていくからな」

「ええ?蹴っちゃ駄目?」


 いいよ、傷つくとか考えてる余裕はない。

 命が一番大事。報酬は二の次だ。



 30分後、疲労ととダメージが溜まってくる。

 カミナ!いったん絶対防御を張ってくれ。

 安全地帯が出来上がる。やっぱ絶対防御って凄いな。


「はあはあ、いったん立て直そう。ポーションを飲め」

「はあはあ、何匹くらい減った?」


 解らんけど俺は12~13匹くらい倒したかな。

 ミヅキとミオコもそれくらい、カミナは5匹くらいか。

 じゃあまだ60匹くらい残ってるかな。


 絶対防御の壁を取り囲む魔物たち。

 透明な壁を叩き、威嚇をしてくる。


「やれやれ、ドロップ品も邪魔だな。いったんアイテムボックスに入れるか」

「絶対防御様様だね」

「本当にね。こんな余裕普通なら無いもん」


 足場を整理する。壁の近くに行くと魔物がそこに集まってくる。

 む、これは使えるかも。


「片付いたか?カミナはそのままでミオコとミヅキはこっちに来てくれ」

「どうしたの?」


 魔物の大半が引き寄せられ壁の一部に集中する。

 ここに範囲魔法打ち込みたいな。


「絶対防御の解除と共に範囲魔法を打ち込むから2人は飛びのいてくれるか?」

「「解った」」


 皆、高レベルの冒険者、俺の考えを瞬時に理解したらしい。

 じゃあカミナ、俺の詠唱の終わりと同時に魔法を解いてくれ。


 絶対防御の解除とともに魔物が一斉に飛びかかってくる。

 その前に俺の範囲魔法が炸裂する。


「ファイヤーウォール!」


 20匹くらいは巻き込めたか?暴れまわり、半分くらいは温泉に向かう魔物たち。そこへ追撃だ!


「サンダーボルト!」


 温泉に入った魔物たちが感電し、絶命していく。

 やった、一気に減らすことが出来たぞ!


「今の方法良いんじゃない?もっかいやる?」

「いや、こいつら頭いいから二回目は効かないと思う」


 ほら見てくれ。数が減り、陣形を広く取り始めた。

 今範囲攻撃を撃っても2匹くらいしか捕まらない。

 こいつらは仲間が減ると慎重になり始めるんだ。


「この辺から狙いを絞らせないために一斉に飛びかかってくるからな。気をつけろよ」


 暴徒から規律の取れた軍隊に変わるといったところか。

 来た、飛びかかってきた魔物一匹に狙いを定め、確実に急所を貫く。

 同時に体中のあちこちに衝撃が走る。くそ、ダメージが大きいな。


「よし、カミナは回復に集中。俺達は確実に急所を狙う」

「「「了解!」」」


 間髪入れずに魔物たちが襲い掛かってくる。

 ミオコうまいな、左右に2匹の魔物の頭を薙ぎ払う。そして剣術スキルでもう一匹仕留めた。



 20分後、魔物は10匹まで減っている。

 4人共息が荒い。そろそろあいつが出てくるぞ。


 ダンジョン最下層の部屋、一段高くなっている場所がある。

 そこへ一際大きな影が現れる。


「出た、あいつはボスオンセンサル。この群れのリーダーだ」

「ええ?まだそんなのがいるんですか?」

「先に言ってよおじさん!」


 攻略サイト読んで来いよ。書いてあるんだから。

 まったく、良くそれでここまで生き残れてきたな。


「おじさんが詳しいし良いかなって」

「私もともと字を読むのに向いてない」


 まったく、じゃあ俺があいつを引きつけるから皆は数を減らしてくれ。

 終わったら加勢してくれよ?俺一人じゃ火力不足だからな。

 目の前の魔物を薙ぎ払い、ボスの元へ。

 久しぶりだな、昔はソロで相手してたのに今じゃ落ちぶれたもんだよ。

 俺に向かって飛びかかってくるボスオンセンサル。

 剣で牙と爪を受けきるが衝撃が凄い。3歩ほど押し戻されてしまった。


 立て続けに攻撃を仕掛けてくるボスオンセンサル。

 くそ!こっちが攻撃する隙を与えてくれない。俺こんなのにどうやって勝ってたんだろ?

 しかも他の魔物を同時に相手してたんだよな?自分の昔の強さが意味わかんないよ。


「まだか?!」

「もうちょっと!踏ん張って!」


 いて!食らっちゃった。

 まだ耐えられるけど自分で回復する隙間もない。

 集中して被弾を減らさないと…


 突っ込んでくるボスオンセンサルの攻撃を避け、横から一撃を加える。

 怒りで更に攻撃が激しくなる。やば、あいつらが来るまで防御に徹した方が良かったか?

 いや、弱気になるな。こういう時こそ冷静に、相手の動きをよく見て隙を伺え。


 もう一発入れることが出来た。

 自分の攻撃が当たらず、忌々し気なボスオンセンサル。

 しめた、攻撃が大降りになってきたぞ。当たれば大ダメージだけど避けやすくなった。


「お待たせ!」

「GOD大丈夫?」


 ああ、なんとかね。4人揃えば余裕だ。

 こいつは単体なら500階層のダンジョンボスほどの力しかない。

 数の暴力が終わった今、こいつは脅威ではなくなった。


「よし、じゃあ今度はこっちが数の暴力を見せる番だ」

「「「了解!」」」


 4人で袋叩き、ボスオンセンサルも粘るものの、次第に弱り、討伐へと至った。



 -----------------



「うー、疲れたな。あ、温泉の中にもドロップ品落ちてるから拾ってくれ」

「GOD大丈夫?」


 なんだかんだ俺が一番消耗してるかもしれない。

 やっぱ歳だろうな。想像以上にスタミナが続かなかった。


「レアドロップも無しか」


 レアドロップがあれば元気も戻ってくるんだけどな。

 まあそうは上手く行かないもんだ。


「500、600のダンジョンボスを回るって話してたけど、湯田中渋はやっぱりキツイな」

「そう?確かに被弾は多かったけど、HPがやばいとこまでは行かなかったよ」


 おお、ミヅキはそうなのか。

 カミナとミオコも?キツイと思ったの俺だけか?


「初回は確かにキツかったけど、1時間も戦ってたせいか後半は動きも読めて来ましたね」

「次はもっと早く行けるよね?」


 感じるモチベーションの差。

 うむ、まだまだ強くなりたいと思う者とダイエット気分の差だろうな。


「これで600は全制覇だよ。嬉しいね」

「予想より早かったよね。おじさんのお陰だ」

「次は700だね。レベル底上げしなきゃ」


 盛り上がってるな。もう次の目標に移行か。

 全国制覇して目指す物が無くなった俺はどうモチベーションを上げていけばよいのかな。


「おじさーん、初めての700制覇はどこがおすすめ?」

「有馬だな。ボスはデュラハンだ」


 3人が無言になる。ん?俺何か変な事言った?

 …ああそうか、3人は有馬で仲間を失っていたんだっけ。


「どうする?避けて通るか?」

「…ううん、冒険者がそんな事じゃ」

「いつかは通らないといけない道だしね」

「ウチは嫌かな。有馬には行きたくない」


 ミオコの一言に現場の空気が重くなる。

 何があったか知らない俺にはどうする事も出来ないな。

 別に全てのダンジョンを回らなければならない決まりも無いし、強制も出来ない。


「まあまだ先の話だよ。パーティの平均レベルが760くらいになったら決めればいい」


 この4日のダンジョンボス集中攻略でカミナはレベル705、ミオコは677、ミヅキは671、俺は626まで上がった。

 でもまだ平均は670くらいだ。俺は海外任務もあるし、考える時間はたくさんあるよ。


「さて、そろそろ帰ろうぜ」


 ダンジョン制覇の嬉しさと近づいてきた過去との邂逅。

 おのおの複雑な思いを抱きながら東京へと帰った。

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