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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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34/47

34 接触

「うー、休みだー」


 ずっとダンジョンかカミナの家にいるな。一旦家の様子見てくるかな。

 冷蔵庫の中は空にしてきたけど、ずっと留守にしてると空き巣とかも心配だ。


「じゃあ私も行く」


 そんな訳で我が家へ。


 おじさん自邸


「ああ、郵便物が凄いな。溢れなくて良かった」


 少し留守にしただけでこれだよ。ほとんどが読まずに捨てる物ばかり。

 まったく、どんどん電子化してるのに無駄な広告は無くならないんだもんな。


「私、また掃除してあげるね」

「助かるよ」


 家の中に変化は無い。この辺は治安が良いから空き巣なんて滅多に聞かないけど。

 ああ、草は伸びてるな。これも魔法でなんとか出来ない物だろうか。

 元嫁がやったりもしてたんだろうな。これからは自分で頑張らなきゃ。


「手伝うよ?」


 カミナのような若くて奇麗な女の子が夏の暑い日差しの中、泥にまみれ草むしり?

 全然イメージわかないな。


「全然いいよ。ゴム手袋とかある?」


 倉庫に確か元嫁の…あ。カミナが走り出し、元嫁の痕跡を探し始める。


「捨てていいよね?こっちの新しいの使うね」

「お、おう」


 前回見逃してた元嫁の痕跡。広い家だからまだあるかもしれない。

 ついでに倉庫もリフレッシュされた。元嫁の指紋も残したくないくらいされた。


「庭も広いね。こんな一等地にこれだけの庭があるって凄いね」

「息子とキャッチボールしたくてな」


 息子が小学生の頃はよくやったんだぞ。

 中学になり、勉強が忙しくなったらつきあってくれなくなったな。

 後にはプールとサウナでも作ろうかと元嫁に相談したけど反対されて実現に至ってない。


「サウナ好きなの?」

「ああ、そう言えば最近行ってないな」


 温泉ばかり行ってたからサウナに行く気にはならなかった。

 でもサウナは大好きだ。カミナは嫌いか?


「行った事無いよ。どこにあるのかも知らない」


 そうなのか?若い子にも人気だぞ?

 インストグラマにエッチな水着でサウナ行ってるのあげてる子いるぞ?…あ。


「そんなの見てるの?」

「カミナと付き合ってからは見てないよ」


 ちょっぴりふくれるカミナ。これってどうなのかな。カミナの中では浮気なのだろうか?

 AVとか見たら怒るのかな。その辺は本当に人それぞれだよね。聞くと藪蛇になりそうで嫌だな。


「そんなの見なくてもいくらでも相手してあげるよ?」


 うん、それは解ってるし助かるんだけどさ。

 …そうだな、お前がいるなら他の物は必要ないな。


「じゃあ、家が片付いたらサウナ行かないか?」

「エッチな水着持って?いいよ」


 丁度カミナが越した麻布十番に良さそうなサウナがあるんだよな。

 そうと決まれば全力で草をむしるぞ。

 1時間くらいで片付け、サウナを楽しみその日は終わった。



 ---------------------------



 翌日、南紀白浜へ行きダパンをやっつける。

 2回目ともなるとやはり余裕だな。皆慣れてきている。

 俺が油断して一発食らっちゃったけど、前回より早く倒せた。

 精霊も使わずに済んだし、リベンジ成功って事で良いよね?


「じゃあこの後は予定通り黒川へ行きますか」

「おじさん、MP大丈夫?」


 和歌山から熊本の黒川ダンジョンへ。

 他の3人は行った事無いらしいから俺がテレポートで運ぶ事になる。

 便利なタクシー替わりになってるけどいつもの事だ。気にせず飛んだ。



「懐かしいな。ダンジョン制覇以降全然来てないから大分奇麗になってる」


 熊本、黒川ダンジョン前。

 25年以上来てないもんな、そりゃ変わってしまうか。


「でも風情があっていい宿が多そうだよ?」

「この辺は高級旅館が多いんだよね」


 俺達はどこの宿を予約したのだろうか。

 予約はミオコ任せで俺は関わってない。


「まだチェックインには早いのでダンジョン潜りますか?」


 そうだな、この辺は見る物も無いし、温泉かダンジョンしかない。

 風景を楽しむには良い場所なんだけど、若い3人はそれほど興味を持ってないみたいだ。

 やはりこういう場所は歳とってから来る場所なんだろうな。

 そんな訳でその日はダンジョンの201階層まで潜り、宿へと向かった。



 ---------------------------------



「南紀白浜って言ったのに、今度は黒川ですか?!」


 CIAエージェント、ケイトリン・リリー・フィリップス。

 さすがにキレそうになってきた。


 伊豆へは無駄足、その後通信が入り慌ててレンタカーを営業所に返し、南紀白浜へテレポート。

 そしてこれも無駄足となったみたいだ。


 黒川は行った事があるから飛べるけど、さすがに次無駄足になったらブチ切れそう。

 当局は私の事なんだと思っているのよ?私は派遣型のサービス嬢じゃないのよ?


「え?今回は泊まりみたいで宿なら解るの?」


 それを先に言いなさいよ。これで無駄足は無くなったわね。

 じゃあ同じ宿を予約して接触を試みるわ。


 通信を切り、さっそく宿を予約。

 い、一泊20万の宿?とんでもないところに泊まってるわね。

 あ、当日予約は無理みたい…そうよね、高級な宿はそういうものよね。

 一週間後まで予約は無理か。ここは一軒独立型の宿みたいだから宿内での接触も無理そう…


 となるとダンジョン前で待ち伏せになるのかしら?

 はあ、朝から待機って事ね、やれやれだわ。取り合えず適当な宿を予約して向かうか。

 今日はテレポートだけでMP消費が凄いわ。

 さすがに高いMPポーション使ってまで回復する気にはならないし、この後は宿でゆっくりしましょう。



 --------------------



「ミオコ、こんな凄い宿良く取れたな」

「丁度キャンセルが出たみたいで、以前から気になってる宿だったんですよね」

「そうなのか。しかし高そうだな」

「一泊だけで明日は違う宿へ移動ですが」


 ダンジョンから少し離れた一軒宿まで連れてこられた。

 竹林に囲まれた厳かな宿だ。重厚感が凄い。

 4人で一泊80万?恐ろしい値段だな。

 受付に案内され俺達が泊る別棟へ向かう。これ丸ごと俺らで使うの?贅沢だな。


「というかお前らと一緒の部屋になるの?俺はカミナと二人きりが良いんだが」

「一軒独立型なので部屋はたくさんありますよ?お風呂も2つあるし」


 じゃあいいか。でもおかしな事は出来ないな。

 こいつら覗いてきそうだしな。


「高級な宿なので失礼の無いような行動を心がけましょう」

「そうだな、今日はおかしな事我慢するか。というかミズキは大丈夫か?こんな高級宿はマナーとかも難しいと思うけど」

「やらかしそうだね。私常識無いもん」


 自覚あるんだな。だったら大丈夫だ。

 自覚してない奴は手に負えないし救えない。


 入ってすぐに囲炉裏がある。ここでご飯食うのかな。

 ベッドが2人分あるけど残りは座敷で布団かな。たまにはそれもいいな。ベッドはミオコとミズキで使いなよ。

 カミナはそれで大丈夫か?何も問題はないと俺を全肯定。

 聞くまでもなかったかもしれないが確認は大事だ。どこで不満がたまるか解らないからな。


「風呂は露天と内風呂か。どっちもいいなぁ」

「露天は4人で入れるね」


 え?ミヅキがさっそくおかしな事を言い出した。

 お前は本当に空気クラッシャーだな。

 たしか帰国子女だっけか?海外育ちはそういうとこあるよね。


「い、いや、4人で入れる広さだねって意味だよ?」


 慌てて訂正するミヅキ。確かに広くてみんなで入れそうだけどさ。

 でもカミナが怒るから俺は絶対にお前達とは入らない。

 親交を深めるためとか訳の分からない理由があっても絶対入らないからと釘を刺しておく。


「おじさん堅いんだね」

「一回失敗してるんだから慎重にもなるだろ」


 俺はもうカミナがいれば十分なんだ。

 むしろ俺には勿体ないくらいの可愛くて良い子だ。

 なので温泉とはいえお決まりの展開にはならないのでよろしくな。


 そんな訳でさっそく俺はカミナと温泉に入る。

 ああ、大自然の中で日常を忘れさせてくれる良い露天風呂だな。

 竹が風でざわめき、涼しさを感じさせてくれる。

 ミオコには感謝だ。夏の終わりに思い出に残る良い宿を取ってくれた。


「この宿はミオコ達の奢りだって」

「おお、あいつら感謝してたんだな」


 若干こき使われてる気がしてたんだよな。

 ただ、そういう気を使われるとこれからもこき使われそうで少し怖い。

 おっさんなんだからもうちょっと休み多くして欲しいんだけどな。


「黒川ダンジョンのボスって強いの?」

「いや、遠いから避けてただけで、伊豆高原のシロトの方が強いよ」


 油断慢心が一番の敵だから言わないけど楽勝だと思う。

 結局600ダンジョンすべて回る事になりそうだな。



 --------------------------------



 黒川ダンジョン2日目


 高級な宿だからチェックアウトギリギリまで長居しちゃった。

 もう昼じゃないか。これはまた4日かかるペースだな。


『主、おかしな者がダンジョン前にいます』

「ええ?おかしな者ってどういう意味だよバク子」

『よく解りませんが、かなりの怒りを感じますね』


 よく解らんけどダンジョン前にキレ散らかしてる人がいるらしい。

 カミナ達に危険が及ぶと困る。どうしたもんか。


「相手は何人だ?」

『1人です。主よりレベルは低いようですが』

「じゃあ良いんじゃないの?どんな奴か確かめてみようよ」

「ミヅキ、お前は面白がってるよな?」

「私も気になる」


 カミナまで。ミオコはやれやれといった表情。止める気までは無いみたいだ。

 仕方ない、なにか事件を起こされてダンジョンが閉鎖されても困る。止めに行くか。


「あら、外国人だな。珍しい」


 ダンジョン前で外国人に会うのは珍しい事だ。

 外国人は日本のダンジョンには潜れないからね。

 一応特例はあるのだが、冒険者の格好してるし許可出た人なのかな?


『あの人ですね』

「ええ?なんで外国人がキレ散らかしてるの?」


 理由が解らん。というかこっちを見て近づいてきた。

 カミナが絶対防御を張る。その壁にぶつかる外国人。

 頭を打って忌々しそうだ。


「パーティニイレテクダサイ」

「ええ?そんな事急に言われても」

「面白そうじゃん、入れてあげようよ」

「ミヅキ、お前はまた」


 ちょ、ちょっと待ってね。パーティ内で緊急会議するから。

 少し離れて相談しようぜ。


「目的が解らん奴をパーティに入れていきなり後ろから切りかかられたらどうすんだよ?」

「国際問題になるような事する?ダンジョンはただでさえ各国が神経とがらせてんのに」

「でも何かに怒ってるのは確かな訳だし」

「物凄くモチベーションの高い人でモンスターに対する殺気を常に放ってるんじゃない?」


 ミヅキは適当だ。カミナとミオコはどう思うよ?


「パーティを組んだ場合、精霊持ちだとバレますよね」

「そうだ、その問題があったな」

「おじさんは別にバレてもいいって言ってなかったっけ?」


 ああ、俺はバレても構わない人だ。

 でもそれが外国人となると、ちょっと話は変わってくるな。

 日本のダンジョンを狙ってる国も多いんだ。いつか敵になるかも知れない相手に手の内は見せたくない。


「それに経験値5等分になるよ?ミヅキは経験値欲しい人でしょ?」

「まだ中階層だし今日だけならいいじゃん。明日以降は経験値大きいから嫌だけどさ」

「いや断ろうぜ、そもそも組む理由が無い」

「日本人としておもてなし文化を見せようよ」


 何言ってんだミヅキは。どうせ面白がってるだけのくせに。

 カミナとミオコはどちらかと言うと反対っぽい。

 リスクを冒す意味が無いもんな。


「ミヅキ、お前さては帰国子女って言ってたけどどこかの国のスパイか?」

「ええ?そんな大袈裟な話になるの?」

「ミヅキ、あんたは解ってないみたいだけどダンジョンは国の財産だよ?冒険者はその財産から資源を持ち帰る大事な担い手。わざわざリスクを増やす必要は無いの」

「そーだよミヅキ、私は絶対あの人とパーティを組まないからね」


 3人に反対されしぶしぶミヅキも了承。

 じゃあ断ってくるからな。


「悪いんだけど無理だ。俺達は知らない人とパーティを組まない」

「…ココマデキタノニ」


 え?どうした?様子が変だ。

 目の前の外国人の女の目に涙が浮かんだ。

 お、おいおい、なんで泣くんだよ。


「ここまで来たのに、苦労してここまで…」

「(あれ?カタコトじゃなくなったな)何があったか知らないけど、いきなりパーティ入れてくれって言われても断るのが普通でしょ?」

「(確かにそうね)貴方のファンなんです。だから追いかけて南紀白浜や伊豆高原にも行って、やっと会えたのに」


 なんと、俺のファン?しかし追いかけてって…ああ、カミナ達と一緒だから居場所はSNSでバレるのか。

 目撃情報で追いかけてきたというのか?うーん、しかしなぁ。


「ファンだからと言ってパーティ組んでたらキリがないしなぁ」

「ねえ貴方、GODの素晴らしさを言える?」


 カミナが前に出てきた。俺のファンと言う事で仲間意識を持ったのかもしれない。

 出来れば同担拒否であってほしかった。


「別府覇者、しかもソロ、日本よりも海外での方がその偉業は語り継がれています」

「そうなの?」

「貴方はもっと称えられるべきです。まさにそちらの女性が言うGODの名にふさわしい」

「どうしよGOD、この人良い人だよ!」


 カミナが落ちてしまった。ミヅキに元気が戻ってくる。

 ミオコ助けてくれ。


「貴方から怒りを感じるのよね。その理由を言える?」


 ケイトリンは考える。怒り?ああ、当局への怒りの事かしら?

 よく解らないけどスキルか何かで解るのかしら?

 困ったな、漏れてしまっていたのか。えーと理由理由…


「朝から昼近くまで待ってて、もしかしたら嘘情報を掴まされたのかと」


 うーん、ゆっくりしすぎたよな。

 朝から待ってたのなら怒りはもっともかも知れない。

 しかしこれで疑いが晴れたとはならん。用心に越したことは無い。


「戦い方を学ばせてほしいんです。パーティが駄目なら私だけソロで後ろからついて行くだけでも構いません」


 目的はエースの現状を確認する事。

 しばらく行動を一緒に出来るなら理由なんてなんでもいいわ。

 妥協案を出すと日本人は弱い。これでどう?


「ソロでついてこられるの?」

「一応レベルは500越えてます」

「今日だけならソロでも大丈夫そーだね」

「じゃあいいじゃん、経験値の分割もなくなったよ?(精霊もバレないよ?)」

「しかしなぁ」

「はあ、このままこうしていても時間を浪費するだけ、いいんじゃないですか?ついてくるだけなら」


 ミオコも折れてしまった。

 なんだよ、俺の味方いなくなっちゃった。


 解ったよ、でも精霊がいる事は絶対バレないようにしてくれよ。

 バク子に案内はしてもらうけど、俺が道を覚えてる振りして進むからな。


「仕方ない、でも本当に今日だけだからな」

「ありがとうございます」


 やったわ、近くで観察するまたとない機会を得ることが出来たわ。

 当局が望む以上の成果を残せそうね。

 でも、あらためて見ると全然強そうに見えない。

 やっぱり無駄足だったって事にならないと良いけどね。

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