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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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33/45

33 シロト

 伊豆高原ダンジョン前広場


「449からだったよな。今日は早く帰れるな」


 伊豆半島にはたくさんダンジョンがある。

 俺が昔、バイクで日本中を回った時は、伊豆半島一周から始めたんだよな。

 家が熱海だったから、おのずとそうなってしまったんだけどね。


 600の伊豆高原を筆頭に、500の熱海、伊東、大小さまざまなダンジョンがある。

 思えば良い場所に生まれたよな。立地に恵まれてた。


「GOD、あの二人、少し遅れるって」

「あらら、個別にテレポート集合はこれだからな」


 だったら俺らももうちょっと遅く来たのに。

 カミナをこんな場所で待たせたら人が集まっちゃうぞ。


「堂々としてればいーよ」


 そうか?じゃあ近寄るなオーラを出しながら話してようぜ。


「バイクで日本中回ったんでしょ?どこが一番良かった?」


 走るなら夏の北海道が一番良かったよ。

 北海道は深いダンジョンが全然無いんだけどね。

 広大な大地をゆっくりと走ってるのが楽しかったなぁ。


「夏は野菜が美味いんだよな。北海道は」

「へえ、魚のイメージ強いけど…」


 魚が美味いのは日本海側だと思うぞ。

 富山、石川辺りが最高だ。特に冬が良い。

 まあバイクじゃ冬には行けないけどね。


「私、大間にマグロ食べに行きたい」

「うーん」


 大間は滅茶苦茶アクセスが悪い。

 電車が無いからレンタカーで行くしかない。

 それに、良いマグロは全部東京に運ばれちゃうから現地では意外と…


「マグロなら和歌山だな」

「え?最近まで行ってたのに」


 そうだな、南紀白浜行ってたな。帰りに勝浦に寄れば良かったな。

 でもやっぱりシーズンは冬だからその時に連れてくよ。


「青森なら大間に行かなくても八戸のヒラメ漬け丼が…」

「おまたせー」

「待たせたわね。いい女だから仕方ないの」


 やっと来たか。無駄に全国美味いもん食いに行ったぜ自慢をしてしまった。

 この先俺達が行きそうもない場所の話をしてしまったよ。


「ここのダンジョンボスは?」

「シロトだな」


 大きく白いトラのようなモンスター。

 攻撃力が強く、爪と牙がやっかい。動きも早く、急所を狙ってくる。


「首を狙ってくるからな。噛まれない事が一番だが、万が一嚙まれたら鼻を叩け、怯むから」


 そしてすぐに回復。頸動脈やられたら冒険者でもヤバいからな。

 じゃあ行くか。



 伊豆高原600階層ダンジョンボス シロトの間


「うわー、見た目無茶苦茶怖い」


 ダパンやモシカとは比べ物にならんくらい怖い顔。

 牙が大きい、あれにまともに噛まれるなよ。


「よし、ひろがれ、囲まなくていい。扇状に広がれ」


 すぐフォロー出来るよう離れすぎないよう広がれ。

 威嚇、警戒しながらも飛びかかっては来ない。

 こいつは慎重さも持ち合わせている。

 よし、先制攻撃だ。空ぶった。後ろに飛びのくシロト。


「このままじわじわ追い詰めろ」


 後ろに下がりながら好機をうかがうシロト。突然横に走り出す。

 陣形を組みなおせ。あいつは陣形が崩れるのを待ってるぞ。


「じわじわいけ。向こうが焦れて無謀な攻撃をしてきた時がチャンスだ」


 お互い威嚇しながら徐々に追い込む。地味な戦いだ。

 焦れて前に出すぎるな。狙われるぞ。


 来た。俺が指示を出していると解ったシロトが俺を狙ってきた。

 炎の魔法で目くらまし、そして剣を何発か打ち込む。

 隣からはシロトの背中に何発か打ち込んでくれたようだ。

 慌てて後ろに飛びのき、何事も無かったかのように威嚇しなおすシロト。


「効いてるの?」

「ああ、虚勢を張る奴だが効いてる」


 弱みを見せない。それは負けと同じだから。こいつは誇り高くもある。

 横にゆっくり動き、陣形が崩れるのを待つ。いつでも全力で飛びかかれるよう準備はしながら。


 来た。次はカミナを狙ってきた。横から背中を目掛けて一斉に他の3人が飛びかかる。

 む、これはフェイントだ。ミオコ戻れ、お前が飛び出す形にされた。

 即座にミオコを狙うシロト。


「ぐあっ!!!!」


 爪を食らったな。大丈夫、そこまで深くない、すぐに治してもらえ。

 陣形を崩さず、油断せずに。


「じりじりするね」

「焦った方が負けだ。チャンスは必ず来る。あと、ミヅキ、次はお前に来ると思う。準備しとけ」

「え?う、うん」


 俺、カミナ、ミオコと来た。こいつの事だ。隙がある奴を試してるんだ。

 ミヅキが最後になったのはミヅキが槍だからか?

 知らなかったけど、こいつは槍が苦手なのかもしれない。


「ミズキ、引き付けてカウンターだ」

「やってみる」


 来た。やはりミズキだ。ミヅキの顔面に迫るシロト。

 体を捻じ曲げ、思い切り槍を繰り出すミヅキ。

 シロトの首元に深く刺さりこんでいく。よくやった、会心の一撃だぞ!


 これにはたまらずのけ反り、暴れながらのた打ち回るシロト。

 俺達はチャンスとばかりに一斉攻撃。

 暴れるシロトの体が俺達にも傷をつけるがお構いなし。ここは攻撃あるのみだ。


 何発も何発も、シロトに打ち込む。逃げようとするシロト。

 だが逃がさない。執拗に追いかけ攻撃し続ける。ここで決めたい。


 だが決まらなかった。体中から血を流し、大きく息を吐きながらも体制を整えるシロト。

 もう一回だ、陣形を組みなおせ。あいつにも意地がある。最後の悪あがきを出してくるぞ。


 俺に来た。大きく前足を振りかぶり、爪を鋭く引き出しながら渾身の一撃。

 剣で爪を防ぎ、次は首筋を牙で狙って来ている。それを左手で鼻を殴る事で回避。

 またシロトがのた打ち回る。


「止めだ!一斉にやれ!」


 四方八方からシロトに打ち込む。次第に動きが弱くなっていくシロト。

 目の輝きが失われ、体の力が抜けていく。終わった。


「ふう、被弾少なくいけたな」

「やったー」

「しぶとかったですね」


 ああ、体力も多いんだよなコイツ。なんかすごい疲れた。

 緊張感が長く続いたからかな。いや、歳だからか。


「見て、スキル書が出てるよ」


 おお、レアドロップだな。3人で相談して決めていいぞ。


「え?おじさんいらないんですか?」

「先の短い俺が貰うより、お前達が覚えた方が良いだろ」

「おじさん…」

「GOD、そんな事言っちゃ嫌だよ」


 いや、俺が貰ってもな。実際使う機会がどれだけあるか。

 せっかくのレアドロップ、長く有効活用出来る者が覚えた方が良い。

 その分ちゃんと他の分け前は多く貰うから遠慮するな。


 取り合えず出よう。今日は風呂に入って早く寝たい気分だ。

 ダンジョンから出て東京に戻った。



 ---------------------------



「え?伊豆高原ですか?」


 CIAエージェント、ケイトリン・リリー・フィリップス。

 昨日湯田中渋に着きエースを待っていたのだが、こちらには来なかったようだ。


 最悪だ、よりによって行って無い中で一番遠い伊豆高原。電車でもレンタカーでも6時間はかかる。

 でも今日が初日らしいし、今行けば明日か明後日には確実に接触することが出来る。


「…解りました。今から向かいます」


 昨日は温泉宿に泊まれたけど今日は朝からダンジョンの前で待機していたのに。

 これから伊豆?どうせなら湯沢、那須にもテレポートポイント作りたかったのに。

 地獄谷の猿を見てはしゃぎたかったのに。


 ああでも、草津、箱根、熱海、伊東が途中にあるわね。寄らないと。

 どうせなら伊香保にも行っときたいところだけど遠回りになるのか、日本は山だらけなのよね。


「寄り道することを考えると7、8時間?ゾっとするわね」


 はぁ、温泉でゆっくりするつもりで日本に来たのにこんなに慌ただしい旅になるなんて。

 なんで運転ばかりしなくちゃいけないのよ。

 はぁ、ため息ばかり出ちゃう、はぁ。


 CIAエージェント、ケイトリン・リリー・フィリップス。

 行っても無駄なのに伊豆へと向かう事になる。



 ----------------------



「んー疲れたなぁ」

「GOD、大丈夫?」


 風呂に入りながら考える。やはり若い子について行くのは大変だ。

 パーティも大変だ。ソロだと連携なんて考えなくて良かったからな。


「ミオコ達がダパンにリベンジしたいって言ってるけど」

「明日か?ちょっと休みたいんだが」


 ダンジョンは今日で4日間連続だ。一日くらい休まないか?

 ミオコ達に言っといてくれ。おっさんは限界だと。


「GODは昔全部ソロで倒したんでしょ?」

「うん、俺はレベル120くらいからソロになったんだよ」

「でもパーティでの戦い方も知ってるよね?どうしてなの?」


 ああ、ソロで倒した後、付き添いで何度も行ってるんだよ。

 危なくなったら助けてって感じで依頼受けてさ。報酬が良かったから引き受けてた。


「600ダンジョンボスともなると死亡率跳ね上がるし、命には変えられないからそういう依頼多かったんだよね」

「なるほど」


 600ダンジョンコンプリート者ともなると、周りから畏敬の目で見られる。

 なので大金払っても惜しくないと考える者が当時は多かった。

 今は制覇者が増えたからそこまででもない。

 あの頃の依頼者達ももう良い年齢。みんなやめてるだろうな。


「それにチョイスの魔法使えたから、ラスボス前までのタクシー代わりってのもあったかな」

「ああ、消耗せずに挑めるもんね」


 600を一から制覇しようと思えば普通は3、4日はかかる。

 その間拘束されるのは俺だって嫌だ。

 だからチョイスの魔法を使えなければ引き受けなかったな。


「その話なのかな。私が図書館で見たの」


 ああ、それで俺の事知ってたのか。

 冒険者をやめてから備忘録とか伝記とか書く人が多いんだよね。

 俺の名前も多分載ってるんだろうな。許可とか出してないけど。

 昔は緩かったからな。多分勝手に使われてるんだろうな。


「色んな人の本に出てくるんだよ?この人一体何者なの?って幼心に恋をしました」

「そうか。じゃあこうして出会えたのはそいつらのおかげなんだな」


 感謝しなきゃ。でもよく顔まで解ったな?

 写真も載せてあったのか?


「昔は制覇すると写真撮る習慣があったんでしょ?」


 ああ、ダンジョンの前で写真撮る習慣あったなぁ。

 ○○ダンジョン制覇!とか横断幕持ってさ。それを使われてるのか。

 今もやってる人はやってるんじゃないかな?制覇者増えたからやらないのかな。

 そうか、古い習慣になっちゃったんだな。


「痩せててイケメンだったでしょ?」

「今もだよ♡」


 結局イチャイチャした。

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