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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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31 法案

「ねえGOD、あの人結構有名な人だったみたい」


 カミナ邸


 東京に戻り、ゆっくりとしてるとカミナがノートパソコン持ってきた。

 なになに、冒険者弁護士 菊池泰明 人権を守る会代表。

 ほうほう、弁護士をやりながら冒険者と人権団体の代表までやってんのか?すごいな。


「なんかあったら自分の名前出していいって言ってたな。そういう事だったのか」


 じゃあハゲ差別を無くしてもらえんだろうか。

 出来れば法律で制定してほしい。


「そう言えばカミナ達の事は知らないみたいだったな。動画サイトの誹謗中傷の件とか相談出来るんじゃないか?」

「うーん、今は動画サイト放置状態だからね。触らない方向で行きたい」


 そこまで実害も無いしな。大騒ぎする事でもないか。


「あとね、SNSでGODの幻惑の魔法の疑惑を晴らしてくれたのもこの人だったみたい」

「なに?!」


 随分早く疑惑が晴れたと思ってたら弁護士の力だったのか。

 そうか、そう考えると本当に初日悪い事しちゃった。

 今度菓子折りでも持ってお礼を言いに行ってこようかな。


「南紀白浜にまた行くの?ミオコ達もリベンジしたいみたいだったよ」


 ダパンの話か?一応勝ったんだけどな。でも不満の残る結果だったのは間違いない。

 リベンジしたいと言うのなら一緒に行くか。


「それよりもな、次は湯沢600が良いと思うんだが」

「湯沢?伊豆高原じゃなくて?」


 ああ、伊豆高原も行けるかもしれないけど、湯沢の方がまだ楽だ。

 伊豆高原はもうちょっとレベル底上げした方が安心だと思う。


「同じ600なら湯田中渋は?」

「あそこは600では一番相性悪いぞ?」


 魔法の専門職がいると楽な湯田中渋、に対し剣のミオコ、槍のミヅキ、ヒーラーのカミナ、何でも屋の俺

 攻略するにしても後回しにした方が良い。


「解った、ミオコ達にRINEしとくね」

「なんか俺が決めちゃってるけどいいのかな」

「良いと思うよ?私達は適当に決めてたし」


 そうか、でも不満あるなら言ってくれよ。

 パーティなんだから議論も必要だ。



 ------------------------



 熱海ダンジョン 49階層


「さて、遂に私達は50階層の小ボスに挑もうかと思います」

「「おお~~」」


 熱海の女の子達、ルシル、クオン、エレナの3人パーティ。

 この度レベルがそれぞれ73、74、72になった。


「かなりレベルに余裕持たせたから行けると思うんだけどね」

「死ぬのが一番駄目、これくらいでちょうどいいっすよ」

「でも怖いよね。初めての小ボス戦」

「いざという時はサルエロの加護で逃げれるけど、一撃でやられたらどうしよう」


 3人共緊張している。

 50階層の小ボスは狒々、3人パーティでの推奨レベルは平均62だ。

 推奨レベルは大幅に超えているが、不安をぬぐえない。


 ボスという特別な位置づけの存在。

 自分達がそれに挑むという現実味の無さ。

 本当に行けるのかと言う疑念。


 自信が無い。大それた事をしようとしてるのではないか?

 しかしこの壁を乗り越えなければ、先に進めない。

 色んな思考が交差する。


「お疲れ様です。皆さんお怪我はないですか?」

「あれ?受付のお姉さん?」

「どうしてここに?」


 また来てしまった。私ったら肩入れし過ぎね。

 頑張っている子達を見たら、応援せずにはいられない。

 というか、やっと挑んでくれるのね。

 実は何回か空振っているのよね。

 行くもんだと思って準備してたら全然行かないんだもの。


 彼女達のレベルは十二分に足りている。

 恐らく余裕で倒せるとは思うけど、一応いつでも助けられるようにこうして来てしまった。

 受付の仕事ほったらかしだから後で怒られそう。


「見届けさせてください」

「じゃあかっこいいとこ見せないとね」

「落ち着いて私、大丈夫だから」

「お姉さん、お陰で緊張とけたっす」


 よし、では行こう!


 あっさり瞬殺。


「慎重すぎたね」

「うん、こんな事ならもっと早く挑むんだった」

「ビビって損したっす。あれ?お姉さんは?」


 いなくなってる。見届けてくれたかな?


「なにはともあれ勝利っす!」

「小ボスの戦利品、良いのあるかな?」

「いつもより豪華な気がするね」


 ボス初勝利、そしてボスの初戦利品、先へと進める権利、一度に色んな物を手に入れた。

 一つの壁を越え、さらなる成長へと向かう三人の女の子達。

 もうすぐ夏が終わる中で良い思い出になりそうだ。



 ----------------------



 国会議事堂 会議室


「男性は18歳から、女性は15歳からかね。それは差別にならんか?」

「だが確かに、現状では喧嘩に強くなりたいからと言う理由でダンジョンに入る若い男の子もいるものな」

「そういう子が力加減を間違え、相手に怪我をさせるケースも多く報告されている」

「ですから男の子は18歳から、正確には高校を卒業して少しは分別がつくようになってから潜らせた方が事故も減るのではないかと」


 元冒険者議員 飛川とびかわ珠希たまき

 熱意をもって意見を出してみたが、伝わるだろうか?


「現在高校生の男の子の冒険者はどれくらいいるんだ?」

「全体の3%くらいですね。そこまで多い訳でもありません」


 命懸けの仕事。若いうちからそれをやろうと思うものはそこまでいない。

 学生の本文は勉強と、親に反対されるケースも多い。

 それに親に養われているうちは甘えがあり、遊びたいと思うものなのだろう。


「3%か。それくらいなら影響も少ないかもな」

「しかし若いうちから家計を支えるために頑張っている子もいますよ?そんな子から冒険者資格を取りあげるというのも」

「それでも弊害の方が多いとしたらやはり規制はするべきだ」


 ああでもない、こうでもない。議論が続く。

 どっちに転ぶか読めないな。


「女子の方が肉体的に強くなってしまう。これには問題はないのか?」

「第二次成長期の事を考えればそれまで問題はないんじゃないか?」


 小学校の頃は一時的に女子の方が男子の成長を抜かしてしまうんだよね。

 未熟な年齢で一度経験している事だ。高校生にもなれば勘違いするような事は無いと思うが。

 まあ絶対ないとはならない。馬鹿な人間はいつの時代にもどの年代にもいる。それは別に子供に限った事ではない。


「あと、男子高校生を排除する事で女子高校生が安心してダンジョンに潜れる環境を作れる可能性もあるかと」

「ふむ、ダンジョンの中でのナンパ行為、ストーカー行為も多いからな。それは期待出来るだろうね」

「ストーカー行為も多いんですか?」

「女の子が危険に陥ったら助けてヒーローになる目的でレベルに見合わない低階層を回ってるものが居るらしい」

「それは高校生男子に限らず幅広い年代でいるらしいぞ?」

「女子高校生相手に?何考えてんですかね?」


 汚らわしい存在。私も冒険者の頃はそんな人がいて、滅茶苦茶苦労させられた。

 ストーカー野郎がいるというだけで集中出来なくて危険度が増すというのに。

 元アイドル冒険者と呼ばれていた立場としては、ものすごく共感できる。


「どうだろう?少し修正は必要だが、来年度からの施行を目指して議会を通してみるか?」


 え?!私の意見が通るの?


「野党は間違いなく差別を持ち出し反対してくるでしょうけどね」

「子供たちを守るためと言う名目にしては?」

「それだとじゃあなぜ女子はいいんだ?って話になるだろ」


 がやがや、がやがや。

 細かい煮詰めはまだ必要だが、前向きに進み始めているように見える。

 元冒険者議員 飛川 珠希 無茶苦茶やる気が出てきた。



 --------------------------



「飛川さんからメッセージが来たよ。15歳の子達は順調にパーティを組んでダンジョンに潜り始めたみたい」

「へえ、そう言えば次に潜る湯沢は水泳の子が通うらしいんだよな」


 水泳の子、確か立石たていし かなでちゃんだったな。

 育成計画で出会った3人は、現在は地元に戻り、近くのダンジョンに潜り始めたらしい。

 群馬の立石たていし かなでは新幹線で県外の湯沢、神戸のヒーラーの江藤えとう 彩花あやかは有馬、熊本の坂本さかもと美琴みことは南阿蘇に潜るらしい。


「南阿蘇300か、またえらいアクセス悪い所に潜るんだな」

「熊本の子はダンジョンの近所に住んでるらしいよ?」

「そうなのか?じゃあ潜り放題だな」

「でも高校が遠いんだって」


 あらら、ではそんなには潜れないか。

 そっか、あの子達はまだ高校生だった。学業があるんだっけ。


「私、熊本って行った事無い。有名な黒川は600でしょ?」

「ああ、でもあそこもアクセス悪いんだよな」


 人口3500ほどしかいない無い場所にある黒川ダンジョン。

 近くに住む場所も少ないし、遊ぶ場所も無い。あるのは高級温泉ばかりなり。

 600の中では一番人気の無いダンジョンだ。

 まあ黒川行くなら大分の由布院800、別府1000を選ぶ人が多いんだよね。


「次は湯沢って行ってたけど、黒川は駄目なの?」


 黒川は遠いから避けた。テレポートで通うの大変だからまた泊まりになるだろうし、また温泉三昧になっちゃう。

 すでにカミナと付き合ってから山形、道後と温泉ばかり行ってるからな。

 湯沢なら東京からでもテレポートで通えると思うよ。


「でもどうせなら600全部制覇したい」

「コンプリート欲求か。解るぞ。俺もそれがあるから全国回ったんだよな」


 俺の場合は日本全国すべてのダンジョンをコンプしたかった。

 なのでバイクにまたがり、時にはフェリーを駆使して回り切った。

 確かレベル200くらいから始めたんだよな。

 テレポートが使えるようになってからは、断念したダンジョンへ舞い戻ってなんとか達成へと至った。


「まあどうしても行きたいなら伊豆高原の後で行くか。湯田中渋に挑む為の底上げとして考えよう」


 それならばとカミナは納得。湯沢→伊豆高原→黒川→湯田中渋って流れになりそうだな。

 まあ700に挑戦するのはまだ早すぎるし丁度いいのかな。



 --------------------



 間に合わなかったようね。なによ、慌てて来たのに。


 南紀白浜ダンジョン


 CIAエージェント、ケイトリン・リリー・フィリップス。

 コードネーム『エース』がここに居るという情報が入り、城崎温泉からやってきた。


 当局の情報では動画サイトで有名な女の子3人と潜ってると聞いたけど。

 しかもそのうちの一人と付き合ってるですって。私よりも若い子。

 離婚してすぐに付き合い始めたとか。ただのエロ親父じゃない。

 孤高のエースと呼ばれた男も落ちたものね。


 でももう600層のダンジョンまで来てるのか。当局が様子を見に行けと言う理由も解らなくない。

 制覇したのかしら?換金所で聞けば解るかもしれないけど、教えてもらえるかしら?

 外国人だし怪しい真似はしないほうが良いわね。


「へいへいへい、外国人のお嬢ちゃん。こんなところでなにをしてるんだい?」


 …変なのに絡まれたわ。今時こんなエルビスプレスリーみたいな人が居るなんて。

 リゾート地だと聞いて来たけど、浮かれておめでたくなっているのかしら?


「外国人が来るところじゃないだろう?砂浜はあっちだぜ」


 外国人が他国のダンジョンに居るのは珍しい。

 むしろ怪しいと言っても良い。資源を盗みに来たと思われかねない。


「日本政府の許可は取ってあるわ。ダンジョンにも潜っていい事になっているのよ」

「ああ、たまに許可が出るとは聞いてはいるが、アンタもそうなのか」


 あ、コイツはエースの事知らないかしら?

 でもどう聞けばいい?怪しまれずに聞く方法は…


「私、ある人のファンなのよ。最近までここに居たって聞いて来てみたんだけど」

「ああ、有名人が最近まで居たみたいだ。お嬢ちゃんあの女の子達のファンなのかい?」


 いえ、おっさんの方よ。多分その女の子の連れ。

 ふっと笑い、リーゼントの下から櫛を通す男。早く喋りなさいよ。


「あの人は只者じゃねえな。レベル650の俺が手も足も出なかった」


 闘ったの?冒険者同士の決闘はご法度のはず。

 ああ、木刀で?なんでそんな訳の解んない事を…

 というか650の貴方が負けた?エースはもうそこまで強くなっているの?


「外国人のファンがいる程有名な人だったんだな。失礼な事をしちまったぜ」


 それはどうでも良いけど…

 レベル650が負けたとなると、おそらくこのダンジョンも制覇してるわね。

 あそこまで下がったレベルをもうそこまで回復させるとは。


 どうしよう?エースの動向に注意せよとか指令が来ちゃうと私が遊んでる暇が無くなるじゃないの。

 次はどこに行くのかしら?700の有馬?下呂?城崎?那須?

 600の可能性もあるわね。行った事の無い場所だと移動に時間を取られるから困るわ。

 テレポートで飛べれば時間のロスが減らせる、一度めぼしいダンジョン回り切っちゃおうかしら?


 はあ、こんな形で雑に温泉地を巡る羽目になるなんて。情緒も何もあったもんじゃないわ。

 まったく、アンティークプレイヤーが頑張ってんじゃないわよ。

 取り合えず有馬に行って、そこからどう回るか考えなきゃ。


「ありがとう。彼に会ってみたかったんだけど、いないならしょうがないわね」

「ふっ、こんな良い女を振り回すとは、あの人も隅に置けねえな」


 本当にそうね。貴方見た目より良い男ね。教えてくれてありがとう。

 ………


「ねえ、この辺の名物って教えてもらえるかしら?」


 おすすめはクエ鍋らしい。

 クエを食えって言われたわ。駄洒落かしら?

 やっぱりこの男は残念な人かも知れない。

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