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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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29 バカ息子

 南紀白浜 3日目


「いやーどうもどうも!」

「おじさん、肩揉みましょうか?」


 昨日の事があったからか、ミオコとミヅキの腰が低い。

 別にこっちも悪い事したなって思ってたから気にしなくていいのに。


「今日はお天気が悪いですね。おじさん傘をさしましょうか?」

「お髪が乱れると大変!あっ!」


 余計な事を言って来て、逆にイラっとするだけになっちゃった。

 もうめんどくさいからやめてくれよ。


「いやー、精霊居る事すっかり忘れちゃってた」

「もういつも姿を出しててくんないかなー」


 お前達だけに見えるようにか?

 それはそれで精霊達は消耗するのだ。精霊だって休憩は必要だ。


「そんな事よりSNSはどうだ?」

「有識者の論破ですっかり沈静化でございます。はい」

「それより昨日おじさんが魔法かけたキザったらしい人、地元の有力者のバカ息子だったみたいでね」


 嫌な予感がする。なんか問題になったのか?


「いや、前々から問題あった人みたいでね。おじさんが魔法をかけた時におかしな事言ったんだって」

「うん?どういう事?」

「金ならある、賄賂がどうとか」


 ああ、幻惑の魔法の効果だな。

 余計な事まで言っちゃったのだろう。



 そんな訳でホテルまで警察が来ちゃった。

 これで今日のダンジョン制覇が遠のいた。


「そうですか、幻惑の魔法」

「詳しい事は攻略サイトに書いてあります」


 警察はどうなんだ?地元の有力者なら抱き込まれているような事は無いのか?


「いえ、前々から問題のある人物だったので」


 目の前の刑事さんが話す。

 女を見れば手あたり次第、断られても金の力で何とかしようとする人物だったらしい。

 ストーカー被害も多く寄せられ、警察から何度も注意を受けていたのだとか。


「あいつも冒険者だからストーカー加害だけでも罪は重いんじゃ?」

「親の力でもみ消しですよ。田舎は有力者の力が強いので。ですが、賄賂の証拠があれば、状況はかなり変わります」


 そうか。だが混濁状態の証言では証拠能力が低いとも聞いた。

 証言だけでは狂言とも捉え兼ねられない。警察はどう持っていくつもりなのだろう。


「賄賂を受け取っていたのは恐らく親なのではないかと思ってまして」

「じゃあ親を失墜させたいという事?」


 親が賄賂を貰ってたかもしれないけどバカ息子にもお小遣いとして渡ってたのだろう。

 羽振りは良さそうだったし。


「現在息子は自宅に引きこもっている状態でして」

「そうなるでしょうね。ほとぼりが冷めるまでしばらく出てこないでしょう」


 今頃賄賂のもみ消しに走ってるんじゃないかな。

 で、ここまで話すって事は、嫌な予感がし始めているんだけど。

 普通参考人にここまで話さないよな?


「お力を貸していただけませんかね?昨日、ダンジョン前では色々言ってたそうなんですが、我々が直接聞いた訳ではないので」


 刑事さんの話ではこうだ。

 もう一度幻惑の魔法をかけてくれ。そうすれば色々聞きだせる。

 もちろん証拠としては弱いんだけど、証拠集めの役には立つ。

 なるほど、外堀を埋めて検挙に持っていく感じか。


「でも絶対家から出てこないですよ?」

「えーと、これは独り言なんですが」


 ん?急にどうした。


「あいつバカ息子だから女に呼び出されるとすぐ出てくるんだよなー」

「まさか」


 警察がハニートラップやってくれとは言えないのだろう。

 独り言を聞いて判断しろって事か。



「やるやる絶対やる。ダンジョンなんて潜ってる場合じゃない」


 一応話してみたらミヅキがノリノリだ。


「しかしどうやって呼び出すって言うんだ?連絡先なんて知らないぞ?」

「調べました。フェイスライブラリやってますね」


 ミオコも満更でもないみたい。最近の子はそうやって調べるのか。


「私はやりたくない。そんなハニートラップみたいなの」

「カミナは向いてないからいいよ」

「適材適所ってもんがあるから期待してない」


 カミナは戦力外だったらしい。それはそれでちょっぴり不満そうだ。


「おじさん、ちょっと写真撮ってよ。プールサイドでエロい感じの写真送るから」

「ああ、ここに呼び出すって事か?」


 警察に待機させて、俺が魔法使ってその後すぐ聞き出す感じか。

 俺はレオンの加護で隠れてればいいだけだし、楽なミッションだな。

 ホテルも全面的に協力してくれるらしい。

 そのバカ息子が突然スィートルームを用意しろとか我儘言うから困ってたらしい。


「そんなにケツを突き上げる必要あるのか?ミオコも股開きすぎだろ。そもそもそんな水着どこで買えるんだよ」

「解ってないなおじさん。馬鹿を釣る方法」


 そういうもんかね。しかもそんなきわどい水着で。

 俺なら怪しいって思っちゃうけどな。パシャリ。


「どれ見せて。ふふ、丁度雨が降ってるから濡れてエロくていい感じだね」


 確かにエロエロだ。露骨すぎて出会い系詐欺の広告みたい。


「メッセージと写真送っといたよ。私達はこのままプールで遊んでるね」

「風邪ひくなよ?」


 まったく、なんでこんな事しなきゃいけないんだ。


「レオン、そういう訳で協力してくれるか?」

『あの娘に平泳ぎをさせろ。そして後ろから追いかけるんじゃ』


 お前が釣れてどうする。解った、後で頼んでみるよ。


 5分後。


「待ったかい?!子猫ちゃん達!」


 早すぎだろ。じゃあさっそく魔法をかける。


「はれぇ?ここはどこぉ?」


 警察がたくさん出てきた。後は任せるか。


「もういいの?」

「ミヅキ、お前なんでプールサイドでY字バランスしてんだ?」


 これも馬鹿を釣る方法らしい。

 レオン、もうこれで良くないか?じっくり見ろよ。


『よかろう』

「しばらく続けてて」

「雨降ってんのにひどいね」


 ミオコももういいぞ。なんだそれ雨乞いのポーズか?

 雨を顔面に受け舌を出し恍惚の表情だ。それも馬鹿が釣れるの?

 俺は屋根の下に入ろう。


「終わったの?」

「ああ、簡単なミッションだったぞカミナ」


 レオンが堪能中だからあんまり離れられないな。

 バカ息子の目が覚めたら困るし、もうちょっとここに居るか。

 馬鹿でも冒険者、暴れだしたら警察でも止められない。


「あの人レベル7だったみたい」

「そんなに低いの?」


 装備で勘違いしたな。でも金あるなら装備はそこそこ揃えられるか。

 何歳くらいだろうな?二十代後半って感じだけど、レベル7か。


「あー、今日はダンジョン行けるのかな」

「時間かかりそうだから難しいかもね」


 どうしよう、もう一泊するか?

 明日攻略してそのまま帰るか?

 夏の海でカミナとイチャイチャしたいだけだったのに


「決定的な情報が取れました!」


 刑事さんがニコニコしながらやって来た。

 余程の収穫だったのだろう。


「どんな情報だったんですか?」

「いえいえこれ以上は、お手を煩わすわけにはいかないんで」


 急になんも教えてくれなくなった。

 利用するだけ利用しといて、用が済んだら蚊帳の外か。

 まあいいけどさ、情報が流出する恐れを少しでもなくしたいのだろう。

 俺は善良な市民だから協力を惜しまないよ。でも警察表彰はいらないからね。


「さて、あいつはどうすればいいですかね?」


 バカ息子の事か。警察に調べられた事も気づかれないほうが良いよね?

 じゃあむしろ警察署の前に置いとけば?魔法が解けたら勝手に慌てて帰ると思うよ。

 一応もっかい魔法かけておこうか?ほい。

 警察は息子を連れて引き上げていった。


「終わったぞ。レオンもういいだろ?」

『うむ、大儀であった』

「いたた、足が吊っちゃったんだけど」


 大丈夫か?取り合えず寝かせるか。どこ持てばいいのこれ?

 股間が一番持ちやすいけど絶対それは駄目だろうな。

 濡れてて滑りやすそう。雨で。

 脇と内ももをもって寝かせよう。


「ひゃああ」

「おい、暴れるなよ。濡れてて滑りやすいんだから。雨で」

「くすぐったいよ」


 大騒ぎしながら寝かせ、足をマッサージ。

 濡れててやりにくいな。雨で。


「いやーいい仕事したねえウチら」

「本当、南紀白浜を守ったね」


 大げさな気もするけど、二人は満足そうだ。まあいいか。


「じゃあそろそろダンジョン行かないか?」

「おじさん、今日はなんだかもう達成感を得てしまったので」

「チョイスの階層覚えはカミナが居れば十分だから進んどいて―」


 2人は休むって、なんだよ。


「GOD、じゃあ2人で行く?」


 そうだな、無理せず少しだけでも進んでおくか。

 4人では出来ない戦い方もある、今日はそれで行こうぜ。



 南紀白浜 480層


「バク子、負担かけるけどよろしく」

『大丈夫です』


 バク子の能力はサーチだ

 ダンジョンの階層を素早く読み取り、次の階層までの最短ルートを教えてくれる。

 同時に敵の位置も教えてくれる。


『ここを左に行くと1体居ますね。今なら奇襲出来ます』


 敵が今どういう状態なのかまで解るらしい。

 じゃあカミナ、行くぞ。


 この階層のモンスターはオーガ。

 人間のゆうに2倍はある二足歩行モンスター、力がとにかく強い。


 後ろを向いているオーガの頭を一撃、脳震盪を起こさせる。

 続けざまに体に2発攻撃を入れる。焦って武器を振り回してくるオーガ。

 少し離れ、落ち着いて止めの一撃を入れる。討伐完了。


「さすがGOD。私は何すればいいの?」

「風魔法使えたよね。それで援護と俺も時々食らっちゃうから回復を頼むよ」


 カミナはヒーラーなので火力はあまりないのだが、風と水と氷の攻撃魔法をいくつか覚えてる。

 いざって時の絶対防御もあるし、500層の中ボスも行けるかもしれんな。


「例えばカミナが絶対防御を張って、俺がカミナを抱えて動き回る事って出来るのか?」

「う、うん(お姫様抱っこだ)。絶対防御は私を中心に展開するから、攻撃受けない状態で動き回れるよ」


 なるほど、じゃあ試してみるか。

 その後、奇襲のみで499層まで進んだ。


「ねえGOD、想像と違う」


 500層に向かう前にシュミレーション中。

 カミナを肩に抱き上げる、ファイヤーマンズキャリーというヤツだ。

 この状態で絶対防御張ってくれと言ったら不満そうだ。


「お姫様抱っこは両手塞がってしまうから攻撃出来ないよ」

「む~」


 珍しいな、カミナの不満顔。

 この状態でタイミングよく絶対防御を張ったり解除したりして欲しいんだが。


「次の敵は手数が多いんだよね。ただ20発くらい攻撃してきた後、若干のブレイクタイムがあるというか」


 最初に絶対防御を張って近づく、絶対防御で攻撃は受けない。で、ブレイクタイムになったら絶対防御を解除し何発か攻撃を入れる。で、向こうの攻撃が再開される前にまた絶対防御を張る。この繰り返し。


「手数は多いけど攻撃は軽いから絶対防御の耐久地もそんなに減らないと思う」

「そうしないと近づけないって事?」


 ああ、隙がないんだよね。

 パーティなら攻撃分散させて隙が出来るけど、それでも近づくのは容易ではない。

 現状ではこの作戦が一番いいと思う。


「お姫様抱っこはプライベートでやるからさ」

「じゃあいいよー♡」


 南紀白浜 500層 暗黒騎士の間


 紫のオーラを見に纏う騎士の鎧。

 攻撃の速さはトップクラス、だが定位置からはそんなに動かない。

 カミナの顔が徐々に真剣になって行く。さすがは冒険者だな。


「タイミング教えて。太もも叩いて叩いていいから」

「お、おう」


 カミナを抱え走り始める。よしパンっ。絶対防御が展開される。

 即座に暗黒騎士の突きの嵐が飛んでくる。絶対防御に跳ね返され続ける攻撃。パン。

 攻撃がやんだ隙をついて3発ほど剣を入れる、3発目と同時にパンっ。

 また暗黒騎士の突きが繰り広げられる………


 暗黒騎士の体がのけぞり、消滅していく。

 素材、魔石、ドロップ品が落ち、戦いは終わった。


「よしカミナ、降ろすぞ」


 楽に倒せたな。この方法はいいかも知れない。

 地面に降ろされ、装備を直すカミナ。


「叩くの強かったよ?」

「え?力入っちゃったのかな」


 そんなつもりはなかったのだが、でも確かにいい音はしていた。

 とりあえずドロップ品拾ってセーフティエリア行こうぜ。


 セーフティエリアに着いてもちょっと膨れてるカミナ、今日はなんだかご機嫌斜めだな。

 カミナが下半身の装備を捲った。


「赤くなってない?」

「大丈夫だぞ?」


 ちょっと焦った。見慣れて入るけどダンジョンの中では緊張する。


「明日、ダンジョン制覇した後、海でちょこっと遊んで帰ろうよ」

「ああ、いいけど」

「水着だからお肌赤いのやだったの」


 そうか、そういうつもりだったのか。

 だとしたらこちらの配慮が足りなかったかもしれない。

 その後。549層まで攻略し、この日の探索は終わった。

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