25 レベリング
道後3日目
「GOD、朝食バイキングもいつも一緒のメニュー取るよね」
ああ、大体味解ってるしな。
道後に来たから突然美味しくなるような物でもないでしょ。
「このご当地名物とか気にならないの?」
「気にはなるけどそういうのはお店で出来立て食べた方が美味しくないか?」
バイキングは保温状態だからね。
品数多いとテンション上がるけど結局は、うーんってなる事が多い。
「ごめんな、つまんない事言ってるか?」
「ううん、言われてみると確かにそうかも」
なので、ご飯、みそ汁、納豆、ウインナー、サラダが鉄板メニューだ。
ベーコンや焼き魚がバイキングで美味しかった記憶がない。あと揚げ物も。
「スクランブルエッグは?」
「生卵があれば取るんだけどな。ここには無いみたいだし」
「卵かけご飯って事?」
そう、卵かけご飯はどこに行っても間違いない。
スクランブルエッグって美味しいか?味がぼやけてて俺はそんなに好きじゃない。
でもバイキングには必ずあるよな。
「そういう訳でプリンで妥協するか」
「卵かけご飯がプリンで代用出来るんだね」
同じ卵じゃないか。茶碗蒸しがあれば一番なんだけどな。
さあ、さっさと食べて今日もノルマ頑張ろうぜ。
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―――ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
「いくつまで上がった?」
「23上がって現在レベル96ですね」
やはり足りなかったか。精霊2体出したのに
「ウチら抜ければ良かったですかね?」
「確かに5等分なら行ったかも知れないけど読めなかったからね」
「でもミオコ、レベル3つ上がったよ?私は抜けたくない」
経験値に取り付けれた冒険者。みんなそうだよな。
「今日は体大丈夫そうだね」
「はい、さすがに慣れてきたんでしょうね」
3人共元気そうだ。でもそろそろ出なきゃな。遅いと飛川さんが心配する。
さっさとドロップ品…ありゃなんだ?見た事無いアイテムが目に入った。
「大きな石板だな…何が書いてあるのか解らん」
ダンジョン産の魔法書もそうなんだけど、何書いてあるのか解らないんだよね。
しかし、ダンジョン誕生から5年くらいで解読は出来るようになった。
今はネットを見ながら読み進めれば、何とか解読は出来る。時間かかるけどね。
「そういえばカミナ、プレッシャーの魔法書は読んだの?」
「読んでないよ。まだ覚えようかどうしようか決めかねてる」
まあそんな大した魔法ではないからね。
おっと、みんなを待たせてるから急いで出なきゃ。
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子供達を飛川さんに預け、ドロップ品を換金する。石板は一応取っておこう。
俺が見るのは初めてだけど、攻略サイトになら情報あるかも。
さて、今日はMPポーション飲みまくって全快にした。
政府の車行けば貰えたんだよな。昨日は忘れてたよ。
準備万端、昨日のリベンジをしたい。
「カミナ、500層からお願いしたいんだが」
「おじさん大丈夫なの~?」
ミズキがからかってくるけど昨日の汚名返上だ。
昨日はMPセーブしながら戦ってたからな。
今日は最初から全開で行く。加護は使わないけどね。
道後ダンジョン 500層 ワイバーンの間
ワイバーンは中型の飛竜。昨日は急降下食らっちゃったんだよな
でも飛んでるから仲間に魔法が当たる危険性が減る。ガンガン撃ってやる。
「おじさん張り切り過ぎ」
「昨日悔しかったんだよ」
10分くらいかかったけど俺は無傷で討伐出来た。
ふう、でもやっぱ弱くなってるな俺。火力が全然足りてない。
取り合えずドロップ品持って501のセーフティエリアへ。
「カミナ、チョイスで500層4人は平気だったか?」
「うん、まだまだ余裕あるよ」
一応MPポーション貰っといたよ。必要なら飲んでね。
俺も4割くらい使っちゃったな。確かに張り切り過ぎだ。飲んでおこう。
「さて、ここからはゆっくり行きますか」
そうだな、500層を倒せれば510くらいまでは余裕なんだけど、急いで進む必要はない。
ここからはじっくりレベル上げながら550の小ボスを倒す準備だ。
カミナは現在レベル623、ミオコは571、ユヅキは562らしい。
「おじさんはいくつなんですか?」
むう、言わなきゃ駄目か?まあパーティだもんな。
仲間の力は把握しておかなきゃいけないか。
「現在、レベル479だな」
「ウチらと100くらい違うんですね」
これでも不死王マラソンでかなり上がったんだぞ?
お陰で痩せてきてるし俺は満足してる。
「無理せず進めば今日中に550の小ボスくらいは倒せるんじゃないかな?」
いざとなったら精霊使えばいいし、まあ使わない事が理想だけど。
精霊に頼りすぎると自分の力を見誤るからね。
「おじさん、不死王の第二形態なんですが、あれって…」
ああ、説明してなかったよな。あれは遠距離じゃないとダメージ受けるぞ。
俺が透明になってるから何してるか解んないよな。
いつかは自分で倒したいのかいろいろ聞いてくる。
向上心があるんだな。いい事だ。
そんな感じで550層の小ボスを倒し、551層に一歩だけ進んで本日の探索は終わった。
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「明日で終わりそうだけどここの旅館いつまで使っていいんだろうな」
ダンジョン終わりに部屋湯でさっぱり、落ち着いた。
「一応政府で2週間くらい抑えてあるみたい」
「そんなにかかると思われてたのか」
まあ余裕をもって抑えたのだろう。
ゆっくり出来ていいけど、カミナも引っ越したばかりなのに家での生活をあまり楽しめてないな。
明日終わったらすぐ帰るか?
「どっちでもいいかな。どうせテレポートですぐ来れるし」
そうだよな、帰るか。ん?誰か来た。
「すみません、イチャイチャしてるところ」
「おかしな事をしてるとこ悪いんだけど」
パーティメンバーのミオコとユヅキだった。
まだおかしな事はしていない。
「800層のボスマラソン続けませんか?」
「帰るの効率悪いし残ってさ」
そう来たか。経験値目当てだよな?
15歳3人は明日で依頼が終わるし、その後は4人でって事だろう。
俺は別にいいんだけど。
「ただな、他に挑戦したい人もいるだろうし、俺達で独占しても良い物か」
「一応換金所で聞いた感じだとここ半年くらい誰も挑戦してないみたいです」
ああ、聞いて来たのか。手回しが早いな。
換金所で聞けば大体解るんだよな。
まあもちろんドロップ品を必ず売るとは限らないんだけど。
「今日も550の小ボスはウチら苦戦したんでまだまだ実力不足を感じて」
「いい感じに見えたけどな」
「ウチとミヅキを出来るだけ鍛えてやってもらえませんか?」
そう言って頭を下げるミオコ。遅れてミヅキも下げる。
全然いいけど一応カミナにも聞くか。
「GODが良いならいいよ」
想像通りの答えだ。
でも自分達のレベル上げにさすがに国に借りてもらった宿を使い続けるのは心苦しい。残るなら宿を取り直そう。
その辺はミオコがやってくれるって。
そう決まったところで3人は外湯に行く事にするみたい。
元々約束してたのか。楽しんでおいで。
…俺もちょっと街歩きしてくるか。
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「よう!えーと」
「立石 奏です」
外を歩いてたら見知った顔が。15歳の最後の一人、水泳の子だ。確か剣士の子だ。
「ふふ、私に話しかけるの最後でしたね。嫌われているのかと」
「そんな事無いよ。おっさんだからいっぺんに覚えれんのだ」
それにおっさんに話しかけられても別に嬉しくないでしょ?
そんな事無いですよふふふと笑う女の子。
15歳の割に大人びている。なにか落ち着いた子だ。
「ジョブは気にいった?」
「はい、希望通りです。水泳をやってたので体力系の方が良いなと思ってました」
ならばよし。君はどこ出身だっけ?
「群馬です」
「おお、草津900層があるな!」
「ふふ、家は高崎なので遠いんですよ」
群馬広いもんな。草津は端っこだし。
草津は電車も無いしアクセス悪いんだよな。
いや、高崎なら伊香保500層が近いんじゃないか?
「伊香保も電車とバスで1時間ですね」
「あらら、どこも遠いのか」
「湯沢600層なら新幹線で25分です」
「新潟が一番早いのかw」
あははは、県外が一番近いとはね。
しかしどのみち学生が新幹線で県外まで通うの?大変じゃない?
「レベル100にして頂けるのでお金の方は無理なく通えるかなと」
そっか、最初から稼げるレベルだもんな。
じゃあ心配しなくて大丈夫か。
「心配して頂いてありがとうございます」
軽く会釈して宿に帰っていった。
良い子ばかりだ。親御さんの教育が良いんだろうな。
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「おお、カミナ、戻ってたんだね」
「うん、ねえGOD、石板はなんだったの?」
あ、忘れてたな。あったなそんなドロップ品。
今から調べてみるか。
「うーん、攻略サイトには情報無いみたい」
「初出って事?」
解らない。攻略サイトに情報出す人ばかりじゃないからな。
一応ネット検索もしてみたけど引っかからなかった。
「解読する?」
「いや、ここではいいよ。時間あるときにゆっくりやりたい」
東京に戻ってからでいいよ。
あんなにでかい石板を出したら旅館にも迷惑だ。
「なあ、群馬のダンジョン行ったことある?」
「ううん、群馬は車が無いとダンジョン探索は難しい場所でしょ?」
周知の事実だったのか。俺はバイクで回ってたから、あんまり気にしたこと無かったよ。
「でも今思い出したけど、群馬はよく迷ったんだよな。どこだよここって」
「スマホない時代だもんね」
ああ、バイク用ナビは当時もあったと思うけど、買わなかったな。
当時はナビ付けてる人の方が珍しかったと思う。
まったく便利な時代になったよな。ああ、またおじさん発言しちゃった。
「紙の地図見ながら悩んでたな」
「へえ、秘境探索みたいだね」
ああ、群馬は…おっとやめておくか。
でも紙の地図っていうと、若い子達にとっては映画の世界の話だよな。
「カミナは最初にどこのダンジョンから始めたの?」
「当ててみて、カイ君が居たダンジョンだよ」
「ああ、宝塚か。じゃあ兵庫に住んでたの?」
父親が野球選手なので西宮に住んでいたらしい。でも全然関西訛りないね。
「高校の時に西宮に来たってだけでね。その前は横浜にいたからね」
なるほどトレードか。人に歴史あり。
その後数年は西宮に住み続け、宝塚を制覇し有馬ダンジョンに行ってたとか。
「ミオコとミズキに会ったのも宝塚だよ」
「あの二人は元々兵庫だったのか?」
「ううん、ミオコは大阪、ミズキは海外産まれ」
色々複雑だな。人生いろいろあるもんだ
「有馬は遠かったんだけどね。でもミオコが車持ってたから助かったよ」
そのうちミオコがテレポートを覚え、有馬は700で厳しいし、どこに住んでも一緒だという事で東京に来たらしい。
それで東京近郊の熱海500へ来る事になったのか。
人の歴史を辿ってみるのもなかなか興味深い。
「実は有馬で一人仲間を失ってるんだよね。それで離れたってのもあるかな」
「…そうだったのか」
これがダンジョンの現実だ。死と隣り合わせ。
恐らくだけど、亡くなった仲間の家族は彼女達を責めたのではないだろうか?
そうなるともう有馬では潜れなくなるよな。
「ごめんな。調子に乗って余計な事聞いちゃった」
「ううん、いつか話そうと思ってたから」
しんみりしちゃった。今日は大人しく寝よう。




