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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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18/46

18 ダンジョンデート

「ん~旅館の朝食、最高だなぁ」


 ここは山形県の温泉宿、ただいま避難中。


「和食が好きなの?」

「いやどっちでも、洋風の朝食も好きだよ」


 焼き魚に納豆、卵焼きの朝食も好きだし、ベーコンに目玉焼き、ウィンナーの朝食も好きだ。

 因みに目玉焼きには焼肉のたれ派だ。


「ふふ、変わってるね。焼肉に行ってもユッケしか食べないのに、目玉焼きには焼肉のたれなの?」

「焼肉のたれは万能調味料だと思うけどな」


 というか、焼肉のたれって使いきれなくないか?

 日々の生活の中で消費していかなければ消費期限切れちゃうし、勿体ない精神から来ているものだと思う。

 俺の子供の頃は『もった〇ないお化け』ってのが居てな、それが頭の中に刷り込まれているんだよ。


「へんなの~」


 クスクスと笑う女性を目の前に、小さな幸せを感じる。

 こういう些細な事で笑える日々がずっと続けばいいんだけどな。

 …まあ、続かない事も知っているんだけどね。


「家どうする?この際ウチで同棲するか?」

「それも素敵なんだけどね、実は元々引っ越す予定でね、新しいマンションを契約してあるの」


 ああ、そうだったの?でも今回みたいな事があると、どこに引っ越しても心配だな。


「一緒に住むでしょ?2人で貴方のお家と行ったり来たりしようよ」


 お、おう、そうだね。緊急避難場所として考えれば家が二つあった方が安心かな。


「でも俺の勿体ない精神がチラつくなぁ」

「もー、くすくす」


 朝のまどろみの中でたわいのない事を話す日々。あの懐かしさが戻って来た。



 ------------------------



「山形って来たことあるのか?」

「ううん始めて、銀山ダンジョンがある場所だよね?」


 銀山ダンジョン 200階層で浅いダンジョンだが名の通り銀スライムが良く出るダンジョンで有名。

 よく出るって言ってもレアな事に変わりは無いんだけどね。更に銀スラ狙いの冒険者が集中してるので混雑してるからむしろ遭遇率は変わらないという。

 近くには歴史溢れる温泉街があり、冬は特に大人気だ。半年以上前から予約が必要となる。


「この近くにもダンジョンあるけど深い階層なら蔵王とかかな、それでも400階層だけど」

「ねえ、日本中のダンジョンに潜ったんだよね?」


 ああ、若い頃に旅行も兼ねて日本中のダンジョンに潜ったよ。

 あの頃は気ままな一人旅、バイクで回ってたんだよな。

 行きたければどこでもテレポート出来るよ。


「ふうん、バイクで?後ろに乗りたいな」

「今は持ってないんだ。車は無駄に持ってるけどね」


 テレポートって便利だけど味気なさもあるんだよな。

 今度ドライブしようよ。女性を隣に乗せてドライブなんていつ以来だろう?もう思い出せないな。

 新しい思い出を作って行きたい。


「さて、部屋湯に入ろうかな。一緒に入る?」

「うん♡」


 これも思い出の一つだ。



 ----------------------



 一応3日間宿泊予約を取ったんだけど、さすがに暇だな。

 というか、全然ダンジョンに潜れてないぞ?このままではまたEDが…

 カミナを悲しませる事になりかねない。


「じゃあ潜りに行く?」

「いいのか?一緒に居るとこ見られちゃうけど」

「あれだけの事言ったんだから堂々としようよ。私は何も恥ずかしくないよ」


 おお、かっけー。惚れ直したわ。じゃあどこに行こうかな。



 岩手 花巻ダンジョン


 念の為また県外にした。山形県内で潜伏情報が出てしまうと意味ないからね。

 ここは300層、深くは無いけど日帰りなら手ごろな深さだ。

 ダンジョンの中で泊まったらせっかくの温泉宿が台無しだからな。


「うそ!カミナだ!」

「なんでこんなところに?!」

「じゃあ、あの人がパートナー?」


 はいはいどうもー写真はやめてねー。

 先日の配信のお陰か皆事情知ってるみたいだ。

 今日はなんとなくハンチング帽被っちゃった。

 カミナのパートナーが髪の薄いおっさんだとやっぱりね。

 見得張っちゃった。


「カミナ、握手を…」

「デートだから邪魔しないでね♡」


 にっこりカミナ、でも威圧的。

 一人握手してしまうと殺到してしまうからね。これは仕方のない事だ。

 しかしデートだったんだなこれ、カミナには300層くらいはデートか。

 それでも気を引き締めていかなくちゃ、さて、確認しておかなければいけない事が。


「文太、カイ君と加護が被るけどこの場合どうなるの?」

『一緒の事だよ、加護は合わせて4倍になるけど、パーティ割で÷2、結局2倍だ』

「これが、もしカミナのパーティも一緒だった場合は?」

『÷4になるから主には旨味無いな』


 経験値300の敵がいたとして×4で1200、÷4で300、一人なら600だから確かに旨味が無い。

 逆に、カミナのパーティメンバーには旨味があるな。

 そっか、よし、ダンジョンに入ろうぜ。


「ここのダンジョンボスは火属性に弱いんだよね。火の魔法って何かある?」

「無いけど、そこまでは行かないでしょ?」


 いや、300層くらいならなんとか夕飯までには帰れるよ。

 俺がソロでも攻略できるダンジョンだから2人なら余裕だ。

 そしてバク子のナビがある、これで早く行けるよ。


「サーチかぁ、便利だね」

「不審者もバク子が見つけてくれたんだよ」

「ありがとうね、バク子」

『ん』


 人見知りのバク子、まだ照れがあるみたいだ。

 さて、進行上に居る敵のみ倒して、最短距離で向かおう。

 6時間=360分として、300階層なら1階層1分で抜けるくらいの計算になる

 小ボス、中ボスで少し時間かかるとして360分で多分行ける


 ザシュ ズシン


 邪魔な敵のみ切り裂いていく。


「魔石しか拾わないの?」

「うん、いつも低階層の素材も拾ってるのか?」

「ううん、アイテムボックス圧迫するから拾わない」


 じゃあなぜ聞いたのか、結構みんなそうしてると思うけど。


「勿体ない精神は?」

「そういう揚げ足取りから不和が産まれ、些細な言い合いが増え、崩壊へと向かっていくのだ。そもそも高レベルが低層階で足を止める事が効率的でない。少しでも先に進んでもっと良い素材を…」

「す、すみませんでした」


 怒ってないけどさ、これ当然の事だぞ?


「お付き合いするの初めてだから解んないの」


 ならばしょうがないにゃあ、うわ、今自分で自分が気持ち悪かった。

 多分顔も気持ち悪くなってたと思う。

 そういう不意打ちはやめてほしい。


「ふふ♡いこーよ」


 ああ、ムラムラしてきたなぁ。いかんいかん、ここはダンジョンの中。低階層とは言え油断は禁物。しかし、恋人同士で潜るのってやっぱり良くないのかもしれないな。聞いてはいたけど集中力に影響が出る。俺は長年ソロでやってたせいもあるのかもしれない。慣れれば問題ないのかな。


 100層の中ボスを倒し、101層のセーフティエリアで一休み。


「あ、言い忘れていたけど俺、好きな階層にいける魔法持ってんだよな」

「ええ?それって確か…」


 チョイス 魔法書が必要なレアスキルだ。

 俺の目的はダイエットだから、歩く目的もあって使ってないんだけどね。

 でも例えば400階層のダンジョンを100階層から始めれば今日と同じことが出来るよ。


「まあ俺達一緒に潜るの初めてだし、今日は様子見も兼ねて楽なダンジョン選んだ」

「いいな、私もその魔法欲しい」


 うん、チョイスの魔法があれば、ダンジョンに泊まること自体が無くなるからね。

 今日は200層まで行ってリターン、で、次の日は200から続きをって出来る。


「女子は特にダンジョン内で泊まりたくないでしょ?どうやってんの?」

「セーフティエリアで大型テントだね。凄い人はアイテムボックスにキャンピングカー入れてくる子もいるよ」

「さすがにそれはアイテムボックス圧迫しすぎのような」


 俺はセーフティエリアで野ざらし野宿で平気だったけど、今はアウトドアブームもあったし、その辺のアイテムは充実してるんだろうな。


 151層まで来た。


「まだ余裕だよね?」

「うん、230くらいまでならソロでも行けるよ」


 ヒーラーソロで230階か、頼もしい

 しかしカミナがヒーラーか、イメージ的には前衛で剣振ってそうだけどな。言わないけどね。

 その辺は潜在スキルとの兼ね合いもあるけど、自由とも言えるんだよな。なぜヒーラーを選んだの?

 途端に顔が真っ赤になるカミナ。な、なんか変な事言ったか?


「…好きな人の傷を治してあげたいと、思ってたから」


 お、俺の為っすか。ああ、のろけるだけの質問になっちゃった。

 自分で自分を担ぎ上げるような感じになっちゃったよね。恥ずかしい。

 しかし俺は引退してたのに、こんな日が来るのを考えていたのか?

 嬉しいものだな。


 201層 セーフティエリアで一休み。


「ふう、そろそろさっぱりしたいとこけど、どうせ宿に帰ったらまた入るしな」


 セーフティエリアには何故かは解らないが露天温泉がある。

 これはどのダンジョンでも共通だ。

 岩に囲まれた自然あふれる天然の湯舟。

 目隠しされるかのように木々が生え揃っている。


「でも泊りがけの時は本当に助かるよ」

「これでトイレがあれば最高なんだけどな」

「…ねえ、ちょっとさっきから、し、したいなって」


 え?どっち?

 トイレ?おかしな事?どっち?


「トイレです!」

「そ、そうだよね」


 で、どっち?聞きづらいんだけどどっち?


「小さい方だよ」


 なんだ、じゃあ簡易トイレで事足りるじゃないか、持ってないの?


「あるけど、誰か来たら困るから壁になって」


 そ、そうだよな。ここには俺しか助けが無いからそうなるよな。

 なんか気まずいけど壁になるよ。


 大木の裏に回り、茂みを見つけてスタンバイ。

 あっち向いてるよ。


「というか、このフロア今は俺達しか居ないっぽいな」

「………」

「岩手では一番深いダンジョンなんだけどな」

「………」


 無言だ。おしっこしながら話せとは言わないけど、ずっと気まずい。

 音聞こえないように話しかけてるけど、余計なお世話だったかな。


「終わったよ、ありがとう」


 少し顔が赤いね。でも気づかないふりをしよう。

 でもこういうのはちょっと気を使うなぁ。

 なんか、スマートにやる方法は無いもんかな。

 さっき言ってたキャンピングカーってのはありかもな、トイレ付きのヤツあるし。

 女子とダンジョン回って見えてきた課題だな。


 300層 ダンジョンボス部屋


 難なく倒す。


「お、魔法書が出た」

「え?チョイスなら嬉しいんだけど」


 いや、さすがに違う。

 チョイスは700層以上のダンジョンボスでしか出ないと思う。

 魔法書ドロップは大概ダンジョンボスなんだよね、一部例外はあるけど。

 毎回出る訳ではないレアドロップ。


「この本は『プレッシャー』だな。俺はいらないかな」


 相手の動きを悪くするスキル プレッシャー

 あくまで動きを悪くするだけだ、防がれる可能性はある、逃げるならとても役に立つ。


「カミナ欲しければどうぞ」

「いいの?」


 ああ、高レベルにはレジストされるけどね。

 なのであんまり意味が無いかもしれない。

 必要無いなら売ればいいよ。結構高く売れる。


「GODも持ってないのなら、覚えて損は無いんじゃ?」


 まあそうなんだけど、使うスキルって大体偏っちゃうんだよね。

 たくさん覚えすぎるとどれにしようか迷う事にもなる。

 戦い方のスタイルと言うか、自分に合わないものは取捨選択も大事だと思うよ。


「おれ、無詠唱も売っちゃったんだよな」

「無詠唱?!そんなのがあるの?」


 今思えば勿体なかった。でも100億で欲しいって言われたんだよな。

 別府第一ダンジョンボスのドロップ品。

 魔法書はレアドロップだけど、そのダンジョンボスが初討伐された時には必ず出る。

 俺はもう冒険者やめるつもりだったし売っちゃった。


「攻略サイトに書いてなかった?」

「書いてないよ~」


 じゃあこの情報も隠してるのかあいつ。

 俺が売った人も今どうしてるのかな、25年経ってるからな。

 冒険者やめてんじゃないかな。


「どんな人に売ったの?」

「40歳くらいの紳士だったよ。名前は……忘れたなぁ」


 25年前に一度だけ会った人だ覚えてない。

 現在65と考えればやめてるな。


「さあ、帰ろう」

「うん、リターン私が使うね」

「解った」

「もっとくっついて」

「お、おう」


 必要ないくらいくっつかされた。

 かわいい。

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