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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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17/46

17 襲撃

「いやあ、今日も素晴らしい朝だなぁ」


 心地よい日差しが入ってくる、ここはカミナ邸。

 昨日は大変だった。感情むき出しのカミナに無茶苦茶求められちゃって、はっはっはっは。


 さすがにカミナはまだ寝てるか。

 昨日はお楽しみだったもんな!はっはっはっは。


 あー暇だ、早く起きてくんないかな。

 さすがに起こすのは可哀そうだもんな。

 …気持ちよさそうに寝てる。昨日は大変だったな、ゆっくりおやすみ。



 ---------------------



「ねーお風呂入ってるの?起こしてよー」

「ごめん、勝手に使ってる」

「それはいいけど、一緒に入ろ?」

「もうあがるとこだぞ」

「もー」


 甘々だ。なんだこの生活は。おっさんが体験していい物なのか?これ。


「頭洗って」

「…」ムニュ

「そこは胸でしょ?もー」


 なんじゃこれ?日本終わってんのか?サムライ魂は死んだようだ。


「あーコーヒーが美味い」

「ねえ、SNS見た?」


 いや、まだ見てない。昨日の反響はどうだ?


「結構ウケてる」


 ウケてんのかよ。まあ悪くはないか。

 どうなる事かと思ったけど、切り抜けられたみたいだな。


「さて、今日はどうすっかなー」


 伸びをし体をストレッチ、そろそろダンジョン潜りたいなー。


「もう一回寝よ?」

「解った」


 天気が良いのにベッドへ向かった。



 --------------------------



「見た?昨日のカミナ」

「私尊敬しちゃう、10年思い続けるってすごいよねー」


 昨日とは打って変わって手のひら返し、小早川こばやかわ智花ともかは呆れていた。

 まあ私も最初はコメントを信じてたけどさ、昨日の今日でこうも変わる物か。


「トモカ、言ったとおりだったでしょ?」

「うん、そうだね」


 鼻高々の元パーティメンバー、何も考えてない子だと思っていたけど、見直したよ。


「でもさー、やっぱりおじさんと付き合うのって、ダメージ大きいんじゃないかなー」

「そうかな?」

「連れて歩くならやっぱりイケメンじゃない?」


 カミナの隣に居る人を想像すると…確かに背の高いイケメンが浮かび上がるね。

 ファンは理想を勝手に押し付けてしまうものだから、人気は落ちちゃうかもしれないね。


「でも私はカミナがもっと好きになったよ」

「そうなんだー」


 言わせたい奴には言わせておけばいい。

 カミナはきっとそんな事ではブレないよ。



 ------------------------------------



「貴方が、ウチの娘に手を出したというおじさんですか」

「………」


 現在俺は針の筵だ。カミナのお父さんが来ちゃった。


「いい歳こいて恥ずかしくないんですか?」

「うう、すみません」

「パパ!私がずっと憧れてた事知ってるでしょ?!」

「知ってるけどまさかこんな事になるなんて!」


 そうだよな。お父さんは何も間違ってないと思うぞ。


「もし貴方に娘さんが居たとして、自分より年上の男に手を出されたらどう思います?」

「…許さないと思います」


 カミナのお父さん、俺より年下だ。

 スポーツ選手だったらしい。


「パパも現役時代遊んでたんでしょ?浮気ばかりしてたって」

「な!そ、そんな事…」

「地方に女作りまくってたって」

「う、嘘だ!バレる訳ない!」


 あ、自白したようなもんだな。

 スポーツ選手って頭はあんまり…げふげふ。


「と、とにかくお父さんは認めないからな!」


 カミナのお父さんは逃げて行った。

 何のスポーツ選手だったの?へえ、野球?

 サインくれって言ったら火に油かな。



 ---------------------------



 はぁ、昨日はキュンとしちゃった♡


 熱海ダンジョン受付、葉山(はやま)加奈子(かなこ)

 御多分に漏れず、恋バナは好きな方だ。


 10年、10歳の頃からって事だよね?変わらず思い続けたって事だよね?中学高校、恋多き時期を変わらず思い続けたって事だよね?あれだけ奇麗な人、告白もたくさんされたはず、それなのに気持ちが変わらなかったって事だよね?出会った時、相手は既婚者だった、それなのに諦めなかったって事だよね?はぁぁ~ん♡


 身もだえ、自分の体を抱きしめる。私もそんな恋がしたい。


「受付のおねーさんどったの?」

「わかんない、仕事してくれない」


 心ここにあらずの葉山加奈子、この後いっぱい偉い人に怒られた。



 -----------------------------



「いやーもう夕方だよ」


 カミナは寝てる、こいつ一日中寝てないか?

 まったく、ウバーでも頼もうかな。


『主』

「ん?どうしたバク子」

『何者かが周辺を偵察しています』


 何者かが?カミナの家を探しているのかな。

 やはり嗅ぎつけてきたか。


 焼肉屋の位置からしらみつぶしに探しているのかもしれない。

 どれだけの戸数が有ると思ってんだ?だが冒険者ならスキルで辿り着くかもしれないな。


「んーどうしたの?」

「いや、ちょっと怪しい奴らが居るみたいだ」

「例の奴?」

「まだ解らん、多分今は下見してるだけだ。襲ってくるなら深夜じゃないかな」

「…どうする?テレポートで逃げる?」


 それが一番安全だけど…今後の事を考えればどうせならケリつけておきたいよな。


「いざとなったら絶対防御で守れるんだよな?」

「うん、相手の強さにもよるけど一時間くらいは大丈夫だと思うよ」


 そんなに?十分だな。今夜ケリをつけよう。



 ------------------------



 深夜


『主、10名ほど集まってます』

「そうか、そろそろかな、カミナはベッドに行ってくれ」

「解った、パーティメンバーも近くで待機してくれてるからね」


 ありがたい、心強いよ。


「さて、レオン拗ねてないで力を貸してくれよ」

『…』

「レオン、頼むからさ」

『…』

「お前の力が必要なんだ、レオン」

『仕方ないのう』


 準備はそろった。後は敵がどう出てくるか待とう。



 ガシャーーーーン!!

 薄暗く、静まり返った部屋、その静寂を破るかのような破裂音。

 うわ、ガラス破って来た。こんなのすぐ警察が来ちゃうぞ。

 タワマン最上階の窓へと降り立つ男たちの姿、みんな目指し帽とマスクを被っている。監視カメラ対策か。

 最上階へやすやすと侵入するのはさすが冒険者と言ったところか。


「へへへ、カミナはどこだ!」

「居るぜ、そっちだ!」


 ゲスっぽい男達の声、その先には落ち着いて佇むカミナ。


「男がいねえぞ!」

「なんだ逃げたのか?これなら数揃える必要なかったな」


 あ、この気持ち悪い声、新宿の奴だ。


「へっへっへ、やっぱここでヤっちゃわないか?」

「計画通りやれ!テレポートで攫うんだろ!」

「うるせえ!命令すんな!」


 ほう、テレポートで攫うつもりだったのか。だからこんな後先考えない登場なのか。

 という事はレベル500以上が居るな。


「早くしねえと警察が来るぞ!お前しかテレポート使えないんだからよ!」

「見届けたらズラからねえと!」

「解ったよ!じゃあ…ほぎょっ!!!」


 カミナに近づいた男の顔面が変形する。まるで顔面の中心に丸太が突っ込んだようだ。

 壁まで吹っ飛び、崩れ落ちる。


「な、なんだ?」

「い、いった…ぼげっ!!!」


 こいつは背骨が折れたな、そんな手応えだった。


「や、やべ…ゲボっ!!!」

「お、おい!グバ!!!」

「ずらか…ぐえ!!!」


 次から次へと男たちの体が変形し、吹っ飛んでいく。

 さあ、最後はお前だ。新宿の奴。


「な、何が起こって」

「今出るよ」

「!!!」


 暗闇の中に静かに浮かび上がる人影。


「お、お前は!」

「覚えてたか?馬鹿そうだから忘れてると思ったよ」

「ふ、ふざけるな!」


 ふざけてんのはお前らだろ。人んち無茶苦茶にしやがって。


「ど、どっから」

「精霊だよ、精霊の力で透明になってたんだ」

「せ、精霊だと!」


 ほら、俺の肩に乗ってるだろ?カメレオン型の精霊。

 後はゴリ左衛門の力を借りて、ただぶん殴っただけだ。


「お前は精霊の力が無くても倒せるから出て来てみたよ」

「な、なめやがってッ!!」


 アイテムボックスから杖を取り出そうとする男、遅い!!


「げばぁッ!!!」


 顔面をぶん殴り、天井にあたって壁に当たり崩れ落ちる。

 きたねえ、手を洗わなきゃ。


「カミナ、無事?」

「電気つけるよ!」


 パーティメンバーが駆けつけてくれたか。部屋が明るくなり、状況が映し出される。

 滅茶苦茶だ。ガラスの破片、壁は一部崩れ落ち、天井も凹んでる。

 壁際には10人の男達がボロボロになって重なってる。


「警察は呼んでおいたからすぐ来るよ」

「私一応こいつら見張ってる」

「なあ、こいつは確かテレポート持ちだ。拘束しても逃げちゃうんじゃないか?」

「ああ、そういう場合はね」


 拘束中、額にポタポタ水滴を落とし続けるらしい。

 集中させない事でテレポート使えないんだとか。

 それ確か拷問だった気がするが…犯罪冒険者には容赦が無いんだな。


 一応こいつだけ夢見させておくよ。

 今ならレジストされないだろうし、拘留されるまでの時間稼ぎだけどね。


「カミナ、大丈夫か?」

「うん、GODやり過ぎ」

「え?」

「ティーポット割れた、気に入ってたのに」

「ごめんごめん、買ってあげるから」

「天井も凹ませて、どうするの?」

「うーん、こいつらに弁償させるから」

「許さない」

「どうしたら許してくれる?」

「ぎゅーっとして♡」


 ぎゅーーーー


 なんだ、この甘々は。

 せっかく来てくれた2人が苦い顔だ。

 サムライ魂は死んだんだな。



 ----------------------



 その後、警察が来て10人の男たちは連行されていく、こいつらも極刑だろうな。

 新宿の奴以外の9人は闇バイトで集められたらしい。

 詳しい事はこれから調べられるのだろう。別に興味もないけど。

 俺達も一応事情徴収に連れてこられる、またか。

 遅くなり、その日は都内のホテルで泊まった。


 カミナの家が駄目になっちゃったのでどうしよう。

 俺んちに避難しようかとも思ったんだけど戸建てだからな、タワマンよりセキュリティーが…

 こんな事あったばかりだから用心深くなってる。



「ここどこ?」

「山形の温泉宿だよ、空いててよかった」


 県外までテレポート、東京から出ると安心感が違うな。

 やり過ぎな気もするけど。


「よく来るの?」

「ああ、気にいってるんだ」


 ここは将棋の街でね…興味ないか。部屋へ案内され落ち着いた。


「レオン見せてよ、お礼言いたい」

「ああ、出てきてくれ」

『なんじゃ?』

「ありがとう、でもなんで拗ねてたの?」

『主がのう、女湯に連れてってくれんのじゃ!』

「え?」


 レオンの加護は姿消しだ。まあ大体想像つくでしょ?


「GOD、そんな事してるの?」

「してないからこいつが拗ねてんだよ。大体冒険者の罪は重いんだぞ?覗きでもどんな事になるか」

『バレなきゃええじゃろうが』

「よくない」

「よくないよな。最初にカミナ達に会った時もこいつったら」

「そうだったの?」

『チッ、当分出てやらんからの』

「あ、消えた。でもどうせ私の裸は見れるのにね」


 そうだな、あの時は結局一緒に入っちゃったしな。

 精霊たちはいつもそばに居る。いつも見守ってくれている。

 おかしな事も全部見てる。


「さて、落ち着いたところでおかしな事するか」

「うん♡」


 とにかくおかしな事をしまくった。

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