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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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16/46

16 公表

「なあ、普通に撮られてるな」

「撮られてるね」


 昨日の焼肉食事会、朝起きたら大変な事になってた。


「悪質だな、隣同士で座った俺とカミナだけ切り抜いてる」


 食事会の様子がSNSにあげられてた。

 4人で行ったはずなのに、これじゃ焼肉デートだ。

 俺だけ顔にモザイクがかけられている、一般人扱いかな?

 コメント見ると半分はパパ活、まあこの写真見るとそう見えるよな。


 問題は、これがカミナの家の近くの焼肉屋だったって事だ。

 特定班がすでに店の名前を書き込んでいた。

 家まで特定されるような事が無いと良いのだが。


「あ、また…」


 朝からカミナの機嫌が悪い。

 どうやら個人SNSの方にパパ活依頼が来ているらしい。

 自分もワンチャン行けると思っているのだろう。


 カミナのパーティの2人がテレポートでやって来た。


「ごめん、配慮が足りなかったよ。近い店選んだ私のせいだ」

「それよりどうする?沈静化するまでスルーしちゃう?」

「パパ活って誤解受けてるのは嫌だよ。GODに失礼だし」


 そうは言ってもな。俺も沈静化するまでスルー派だ。

 どんな弁明しても火に油注ぐだけ、炎上商法とも言われるし。

 どうせ納得しようとしない奴は死んでも受け入れない。今まで散々そういうケースを見てきた。


「公表する、今晩ライブ配信の準備して」

「「「え?」」」

「私はどんな誤解を受けてもいいけど、GODがパパ活おじさんだと思われてるのは我慢出来ない」

「いや待て、俺なら平気だぞ?」

「GODは何もしなくていいよ。私が説明するから」


 いやいや、待て待て待て、もっと他に方法があるはずだ。

 なあ2人、何か案を出してくれ。



 -----------------------



 カミナがパパ活?!うそぉ~~~!

 絶対そんなタイプじゃないと思ってた!


 静岡県内の学校に通う高校3年生 小早川こばやかわ智花ともか

 朝から学校中が大騒ぎだ。

 休み時間に入ると皆カミナの話をしている。


「カミナって男に媚びるタイプじゃないと思ってたよ~」

「でも見てよ。この甘々の顔!メスやってんじゃん」

「裏では誰にでもこんな事してんだろうね」


 みんな、好き放題言ってるなぁ。

 でも正直ショックだ。こんなカミナ見たくなかったよ。

 相手はどう見ても肥満気味のおじさんだし、モザイクかかってるけど髪薄そう。


「トモカも見てるの?カミナの記事」


 元パーティメンバーの女の子が話しかけてきた。

 その後、パーティはこの子の取り合いでギスギスらしい。


「うん、気になって何度も見ちゃう、どう思う?」

「私はなんか腑に落ちない。だって、カミナはお金山ほど持ってるでしょ?なんで男に媚びるの?」


 …その通りだね。私も少しは冒険者をやってたから解る。カミナの収入は相当なものだと思う。

 記事のコメント鵜吞みにしてたけど、お金じゃないのかもしれないね。

 でもじゃあなんでこんなおじさんと?


「解んないけど、今夜ライブ配信やるらしいよ」

「え?そうなの」

「うん、グループの方のアカウントでツィートしてたよ」


 グループの方?私、カミナの個人アカウントしかフォローしてないんだよね。

 元々カミナはあまりツィートしてくれないんだけど…

 最新ツィートのコメント欄荒れてる。やっぱり影響でかそうだなぁ。


 今夜ライブ配信か、真相を語ってくれるのかな?取り合えず見てみよう。



 -------------------------



 こ、これ、あの人じゃないの?


 熱海ダンジョン受付、葉山はやま加奈子かなこ

 御多分に漏れず、ゴシップは好きな方だ。


 この服見覚えがあるわ。ここにも一度着てきたもの。体形と言い間違いない。

 って事は、うまくいったって事よね?カミナさん幸せそうだし。


 す、すごいわ、まさかこんなに順調に行くなんて、個人情報駄々洩れにした甲斐があったわね。

 さすがはカミナさん、狙った獲物はイチコロなのね。


 でもせっかく実った恋なのに、パパ活だと思われてるのか。

 こんなことで駄目にならないと良いけど。私は応援しますからね。


 今夜ライブ配信があるのか。定時で帰らなきゃ。



 --------------------



「エレナー見た~?」

「パイセン見ましたよ、ウチショックです」


 熱海ダンジョン広場前


「カミナはそういうタイプじゃないと思ってたのに」

「え?そうじゃなくて、これ師匠だよね?」

「え?…確かに似てるけど…港区に行けばこんなおじさんたくさん居るんじゃないっすか?」

「いやだって、ここ見てよ」


 モザイクの男のテーブルの上、ユッケとご飯しかない。


「おじ様だ!!!あ、あの人何やってんの?!」

「師匠~見損なったよ~」

「え?本当にパパ活?おじ様が?」

「解んないけど師匠お金持ちだし」

「あ、あの野郎~ウチ信じてたのに!」

「一応離婚はしたらしいけどね。受付さんが駄々洩れしてた」

「そ、それにしたって!こんな若い子と!」

「まあまあ、もうすぐライブ配信らしいよ」

「これはダンジョン潜ってる場合じゃねえ!あれ?ルシルは?」

「委員会で遅れるって」



 ----------------------



 再び、カミナ邸


 壁にシーツが張られる。配信のバックに使うらしい。

 部屋の形や壁紙で住所が特定されることがあるんだって、恐ろしいな。


「くっ、また…」


 カミナが相当イライラしてるな。またパパ活依頼か?

 俺には見せたくないらしい。卑猥な事でも書いてあるのだろうか。


「なあ、俺は出なくていいの?」

「おじさんは顔出ししてる訳じゃないですからね。ウチらだけで説明しますよ」


 まあ、そうなんだけど。

 女の子達に任せるのはなんか無責任に感じちゃう。


「カミナ、眉間にシワ寄ってるけど大丈夫?」

「大丈夫」

「もうすぐ始まるからメイク直しておいてね」


 配信前のバタバタに何もすることが無い俺。なんか、無力感を感じてしまう。

 みんなの顔に光あてる役とかないの?全部機材で事足りるらしい。

 コーヒーでも飲んでよ。 ズズズ

 あ、俺はこっちで配信の様子見ようかな。スマホのアプリを起動する。


 配信前からコメント見れるんだね。うわぁ、荒れてるな。

 今か今かと生贄が登場するのを待ってるようだ。


 ーこれ、なんの会見?ー

 ービッチビッチビッチビッチビッチー

 ーパパ活相手募集すんじゃね?知らんけどー

 ー謝罪しろ謝罪しろ謝罪しろ謝罪しろ謝罪しろー

 ーパパ活って500円で依頼できる?ー

 ー土下座しろ!ー


 これ本当に大丈夫か?


「始まるよ。カミナはコメント見ないほうが良いよ」

「良いから見せて」

「…知らないよ?」


 カミナが中心、サイドに2人が陣取り座る。

 カミナ、えらくふんぞり返ってるけど…

 鼻息荒く、目つきが険しい、良い予感がしないなぁ。


 始まったようだ。


「この度はお騒がせしております。SNS等により、あらぬ中傷、誤解などを受けている為、一度説明させて頂きたく、この場を準備しました」


 仕切りの子の前口上が始まった。慎重に話してるのが表情からわかる。

 視聴者数50万か、結構多いのかなこれ。コメントがもう滅茶苦茶だ。


「わたくし達のパーティメンバーのカミナが、あっ」


「パパ活パパ活うるさいのよ!!!パパ活ってのは女に金払って相手してもらう情けない行為でしょうが!!!そんなもんと一緒にするな!!!こっちは10年思い続けて!!!やっと思いを伝えることが出来て!!!処女捧げてんのよ!!!これがパパ活か?!!!一緒にすんな!!!」


 パーティメンバーが頭を抱える。


 コメント欄が一瞬止まる。



 ーお、おうー

 ーええ?純愛なの?ー

 ーすっご、言いよったー

 ー処女厨大爆死ー

 ー10年も?凄くない?ー

 ー最近まで処女だったって事?ー

 ―嘘つけ、俺は信じないー

 ーかっけぇ、ファンになりましたー


 コメントの流れが一気に変わった気がする。

 まだ中傷コメントはある物の、最初に比べると明らかに減った。


「私の愛する人を馬鹿にするのは今後、誰であろうと許さないわ。徹底的に戦ってやるから覚悟しなさいよ!」


 それだけを言い放ち、カミナが立ち上がってしまう。

 こちらに向かって来て抱きしめられた。


「え、えー、短いですが以上となります。こ、今後とも、わがチャンネルをよろしくお願いします」


 仕切りの子、しどろもどろになってるな。

 可哀そうに、災難だったな。



 ---------------------------



「かっけー、カミナマジぱねぇすよパイセン」

「10年前から知ってたんだね。師匠の功績」

「どこで見れるんすかね?」

「図書館とかに行けばあると思うよ。一応日本の資源大国化への道筋を作った人だからね」

「やば、そんな凄い人だったんだ。やっぱ尊敬してます」


 凄いな、10年思い続けたんだ。

 思いが伝わったとき嬉しかっただろうな。素直に祝福したい。


「ルシル、遅かったね」

「ねえ見た?カミナの生ライブ」

「うん、ハイエルフがオークに食べられちゃったね」

「え?何言ってんの?」

「どしたん?」

「だから、カミナはハイエルフだったのに、オークのおじさんに食べられちゃった」


 …え?…何言ってんのこの子、なんか、表情が無い気がする。


「カミナは美しいハイエルフだったのにね」


 どういう事?…あんた、ひょっとして、女の子が好きって、本当に…


「ねぇ、ダンジョンに潜ろう?あたし、強くならないと」

「「…」」


 踵を返し、ルシルが先に行ってしまう。

 ………どういう事?


「エレナ、今のは…」

「わ、解んないっす、どしたんすかね?」


 力強くダンジョンへ向かうルシル。

 その背中には得体のしれない何かを感じる。


 師匠、ルシルは天然で、素直でいい子なんです。

 でもしばらく熱海には来ないほうが良いかもしれません。



 ------------------------



 都内某所 


 壊れたスマホが転がっている。


「クソッ!クソッ!カミナは俺の物だったのに!!」


 スマホを蹴り続ける男、数日前新宿に居た男だ。


「あの時の…くそっ!あんなおっさんに!」


 スマホが後形もなくバラバラになって行く。


「許さねえ!許さねえぞ!!!」


 街の喧騒の中に響く誰も気づく事の無い絶叫。

 男は怒りに打ち震えていた。

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