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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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15/45

15 議論

 ーカミナ、どういう事よ?ー


 恵比寿 カミナ自邸


 ーこないだあんなだったから心配してかけてみればー

「こ、これはいろいろあって」

 ーあんたがそんなに手が早かったとはねー


 カミナがパーティメンバーと電話してるっぽい。どうも俺の事で揉めてるらしいな。

 ここは挨拶でもした方が良いだろうか?でもなんて言えばいい?なんて説明する?

 カミナの『今日だけでも良い』の一言に流され、最後まで行ってしまった。

 そして2日経っちゃった。


 俺は一度だけ着替えを取りに自宅まで帰ったけど、ずーっとカミナ邸にいる。

 帰ろうとしても離そうとしてくれない。なのでそこでも流されてしまった。

 なんでもやってくれるし、すっかり居心地良くなっちゃった。


 …思えば元嫁も最初はこうだったな。

 俺も甘えすぎたのかな?次第に変わっていった。

 うーん、同じ事を繰り返しちゃ駄目か。


「帰るよ」

「ええ?!ま、待って!ちょっと電話切るね!」

 ーちょ…ー


 カミナが抱き着いてくる。

 切なそうな目で俺を見上げるカミナ。


「ずっとここに居て、それか私が貴方の家に…」

「なあ、俺は一つの家庭を失敗させた男だぞ?もうちょっと冷静になってみてほしい」

「どういう意味?私じゃダメ?」

「いや、むしろ逆というか、君は若いのにこんなおっさんで良いのか?」

「私にとっては貴方以外考えられない」


 最初はそう言うんだよ。それはもう経験積みのセリフだ。

 でもな、時間の経過は残酷だ。人の気持ちは変わっていく。


「自分に自信がなくなったんだよな。俺は一つの家庭も守れなかった。元の妻を不幸にしてしまった」

「私もそうなるって言うの?少なくとも今捨てられると私は今不幸になるよ?」


 うううむ、そう言われるとなあ。

 俺なんで手を出しちゃったかなぁ。


「先の事に保証なんて無いよ。それは誰でも一緒だよ?」


 確かにその通りだ。

 俺は憶病になってるんだろうな。悪いイメージしか出来なくなってる。

 この子を不幸にすると思い込んでる。


「絶対離さないからね」

「ふふ、動画だとクールに見えたのに駄々っ子みたいだな」

「貴方だけに見せる姿だよ?」


 小悪魔っぽいセリフにやられ、そのままキスをした。



 ---------------------------



 そういう訳で、付き合ってみる事になった。

 カミナは結婚したいと言ったが、それはさすがに早すぎるよ。

 もうちょっとおっさんの事を知ってからの方が良い。


 まだ憶病なんだろうな。自分が彼女にふさわしいのか解らない。

 心変わりが怖くもある。こればっかりは時間の経過を見たい。俺だって慎重にはなるよ。


「そうか、お前、カミナと契約したのか」

『その節はどうも』

「ふふ、カイ君にも貴方の事は聞いてたんだよ」


 カミナが契約している精霊を紹介された。

 トナカイ型の精霊、カイ君だそうだ。

 以前会った事がある精霊だったんだけど、俺は断られたんだよな。


『契約前に加護の内容は言えないので黙ってたんですが、加護が被るから断ったんです』


 なるほど、お前も経験値アップなのか、文太と一緒なんだな。

 一人で経験値アップそんなに取っちゃ駄目らしい。

 という事は、サルエロも無理だった訳だ。


「でも良く見つけられたね」

「丁度クリスマスの時期でね、街で聞いたクリスマスソングを鼻歌で歌ってたら」


 そう、カイ君の出現条件はクリスマスソングを歌う事だ。

 普通ダンジョンで歌うたってる奴なんかいない、モンスターが集まる恐れがあるからね。

 俺が見つけてから長らく出現条件を満たす者は現れなかったが、カミナは見つけたんだな。


「前回見つけたのが貴方だと聞いて、これはますます運命だなと」

「うーん、たまたまじゃないか?」

「違うもん」


 顔を膨らませ、まるで子供みたいだ。

 本当にイメージが違うな、動画のクールさはどこへやら。

 幸せそうに抱き着いてくる。


 そうだ、俺の精霊も紹介しとこう。

 いでよ、精霊たちよ!

 4体しか出ない、あいつはまだへそ曲げてんのか。


『よろしくな!』

「かわいい、でもカイ君の方が上かな」

『なにお~!』


 これこれ、喧嘩するなよ。なんだこの幸せ空間は。俺離婚したてなのにこんな事で良いのか。

 戸惑いながらも信じてみよう。そして、信じてもらえるよう努力しよう。



 -----------------------



「おじさん、最近来てるのかな?」

「見かけないね」

「ま、まさか、ダンジョンの中で!」


 心配になったので受付さんに聞いてみる。ここのところ来てないらしい、良かった。


「いつもいる人が居ないと不安になるよね」

「そう言えば新宿で事件あったでしょ?犯人取り押さえてるネットの動画があったんだけどね」

「ウチも見たっす!顔はモザイクかかってたけど、あの体系は絶対おじ様っすよ!」


 なんだ、元気でやってるんだね。

 じゃあその事件の影響で来られないのかな。


「それは…どうなのかな」

「でもああいう事件が起きちゃうと、冒険者全体に非難の目が来るっすからね」


 今日もニュースでやってた。

 犯人は高レベルの冒険者、どうやらFXで失敗したらしい。

 長年かけて貯めたお金を一か月で溶かしたとか。

 おかしくなって当然だよ。


「怖いよね、FXが何か解ってないけど」

「謎っすね、FX」


 更に増やしたいと欲が出ちゃうんだろうね。

 あたし達も気をつけよう。



 ----------------



「なあ、ダンジョン行きたいんだけど」


 さすがに4日くらい行ってないと不安になって来た。

 若い性欲について行く為にもそろそろ潜りたいんだけどな。


「ええ~じゃあ私も一緒に行く」

「それって平気なのか?と言うかお前って彼氏公表しても大丈夫な感じなの?」


 彼氏と言う単語に気恥ずかしさを感じる。

 おっさんが良い歳こいて彼氏て。


「動画サイトは人気商売でしょ?おっさんと一緒に居るとこ見られても平気なのか?」

「うーん、登録者数は減るかも知れないけど、一緒に居たい」


 まあ待て、動画サイトは他にもメンバー居たはずだ。

 共同経営でしょ?相談しなくていいのか?



 そういう訳で、動画共同経営兼、パーティメンバーの二人に来てもらった。

 俺の顔を見て複雑な顔をする二人、気持ちは解るぞ。


「えーと、何から話しましょうか」


 仕切りの子が言葉を選んでる。ちょっとドキドキするな。


「まず、彼氏の件なんですが、ウチらは別に今までは公表する必要もないと思って動画内で話した事は無いんです」


 なるほど、わざわざ言う事でもないと。

 そうだよな、プライベートを全部さらす必要はないもんな。


「ウチも彼氏は居るし、ウチらクールなサバサバ系って感じでやってきたんで、彼氏が居たところでそこまでの混乱は無い…と思いたいんですが」


 なにか、含みのある言い方だ。懸念があるのだろう。


「ですが、日本は恋愛禁止のアイドル文化が根付いてるせいか、違う職業の人達にもそれを求める傾向があるというか」


 言ってることは解るぞ。

 アナウンサーやお天気お姉さんが炎上してるの見た事ある。

 しかもアイドル自体も恋人作りまくってるのが実情だ。本末転倒な話だ。


「そして、時々ウチらの動画のコメント欄に気持ち悪い書き込みがあるのは確かです」


 ああ、やっぱアイドル視してる奴は居るって事か。

 勝手に理想を押し付けて来るんだな。


「なので、正直公表するとどんな反響があるか読めないですね」


 なるほど、じゃあやっぱり公表は反対?


「それも、こんなおじさんがカミナのパートナーってなると、イメージが」ズーン

「何よ!GODを悪く言わないで!」


 仕切りの子、頭抱えちゃった。

 カミナは怒ってくれてるけど当然の反応だと思うぞ。


「怖いです。登録者数が…動画再生数が…」

「俺も正直減ると思う」

「そんな!GODは何も悪くないのに!」


 うん、俺は悪くないよ。

 ただ嫉妬や僻みの前にはそんな事は関係ないのだ。

 つかGODって何?ずっとスルーしてるけどさ。


「えー次に、パーティの話ですが」


 あ、現実逃避した。


「カミナがおじさんと潜りたいって事は、ウチらのパーティ抜けたいって事?」

「え?いや、そういう訳じゃないけど」

「でも、同じ事だよね?」

「えと、GODに私達のパーティに入ってもらうというのは?」


 仕切りの子が頭抱える。それも難しそうだなぁ。


「なあ、人気の女の子パーティに突然おっさんが入ると人気駄々下がりなんじゃないか?」

「そんな事無いよー」

「そんな事あるよ」

「あるね」


 カミナ以外は解ってる。カミナだけが解ってない。

 これがイケメンとかならまだ女信者はついてくるだろう。

 おっさんだと男も女も離れていく。


「それは俺も望まないかな、足を引っ張りたくないよ」

「GODが足を引っ張るなんてそんな」

「カミナは神格化しすぎ」

「でもそれじゃ…守ってくれないの?」


 う…そうだったよな、発端はそれだったんだ。

 俺は守るためにここに来たんだ。

 ダンジョン内で人間に襲われないとは限らない。守るならついて行かなければならないのではないだろうか。


「守るって…何から?」


 ああ、まだ話してなかったよね。俺達がこうなった理由。

 今から話すよ。



 -----------------------



「そんな事があったの?だったら全然話違うでしょ」


 そうだな、先に話しておかなければならない事だった。

 一緒に居ればパーティにだって危害が及ぶかもしれない。


「不審者がレベル278なら私達が居れば守れるけど…」

「でも、相手が一人で来るとは限らないよね?」


 カミナのパーティメンバーはレベル555と564らしい。

 物凄い戦力だ。普通なら負ける事無さそう。


「因みに俺はレベル落ちたからそこまで高くないんだけどね」

「え?じゃあ守るも何も」

「精霊が五体居る、レベル700くらいの力は出せるよ」

「ご、ごたい?!」


 おーい、みんな出てきてくれ。相変わらず4体しか出てこない。

 1体拗ねてるんだ、気にしないでくれ。


「す、すっげ、唖然としちゃう」

「一人で五体も…」

『それより言う事無いんか?』

「か、かわいいです」


 文太は可愛いと言わないと拗ねるんだ。気を使わせて悪いね。


「事情は解りました、さて、どうしようか」

「決められないよ。ダンジョン探索自体しばらく自粛した方が良いような気もするし」

「その不審者がどこまでの奴か解んないもんね」


 別に、家がバレてる訳じゃない。

 どこのダンジョンに潜ってるかはすぐバレるのかな?


「ウチら、目立つんで」

「SNSには時々あげられちゃうね」

「それは盗撮なんじゃないか?それに許可なく画像を上げるのは確か…」

「その辺もグレーですね。ウチら動画サイトで自ら顔出ししてる訳だし」

「皆が法律熟知してる訳じゃないし、訴えるとこっちのイメージも悪くなるし時間取られるし、よっぽど悪質なの以外は放置だね」


 ふーむ、苦労してるんだな。

 今の話だと君らは事務所に所属してないんだな?


「事務所は中抜きエグいので」

「水着グラビアとか握手会とか関係の無い仕事させようとしてくるから」

「ダンジョンに潜った方が稼げるし、ひどい事務所だとダンジョンでの稼ぎも半分寄越せって言ってくるらしいんですよ」


 なるほど、それは割に合わない。

 それで、個人勢で時々企業案件貰ってやってるらしい。

 外側に居ると全然知らない苦労ってもんがあるんだな。


 しかし、そんな状態で登録者数120万か。

 彼女達は滅茶苦茶頑張ってるんだな。


「それが今窮地に…トホホ」

「なんかごめん」

「GODは悪くない」

「ねえ最悪動画サイトの方は閉鎖でも良くない?元々趣味で始めたんだし」

「そうだね、収益高い訳じゃないもんね」


 そうなの?そんな感じなの?

 人気商売じゃなくなるのなら色々話は変わってくるんだがな。


「毎日動画上げてる訳でもないんで年間6000万÷3人くらいでしょうか」

「なんだ、凄いっちゃ凄いけどダンジョンでの稼ぎとは比べたら…」


 彼女達のレベルなら一回潜っただけで1人1000万は行くだろう。

 2回で事足りるくらいの年間収益なのか。


「でもせっかくここまで育ててきたのに」

「…」


 仕切り役の子は未練たらたらみたい。

 大事な我が子を奪われるよう。

 承認欲求強い子なのかもしれない。


「どうする?」

「答えなんて出ないよ。もう飲まなきゃやってられない。カミナ、焼肉奢って」

「ええ?!い、いいけど」


 現実逃避するみたいだ。若い子はすぐ焼肉だな。


「GODも行こ?」

「いや、俺は最近焼肉行ったし」

「愚痴聞いてもらわないとやってられませんよ」

「俺はどうせユッケとご飯しか食わんぞ?」

「変わってるー」


 そんなこんなで無理やり連れていかれた。

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