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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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14/46

14 緊急事態

 ー緊急事態発生、緊急事態発生ー


 スマホがビービー騒いでる。地震か?また例のアレか?


 ーーー新宿にて無差別通り魔事件発生、容疑者はまだ暴れている模様、被害多数報告アリ、なお容疑者は冒険者、向かえる冒険者は急行せよ、容疑者の生死は問わない、繰り返す、容疑者の生死は問わない


 これは…容疑者を殺してでもすぐ止めろという事だ。

 よっぽどの事が起こってるな。



 新宿歌舞伎町 劇場前広場


 逃げ惑う人々の群れ、皆死に物狂いで駆け抜けていく。

 人混みをかき分け、向かった先には…


 転がる無数の骸。

 その中心に立ち尽くす男が一人。こいつ、何やってんだ。


「ははははははははは」


 笑ってる。明らかに普通の精神状態には見えない。

 武器を持っている。高位の武器だな。高レベルの冒険者だと予測できる。


 取り合えず夢を見させてみようか?幻惑の魔法をかけてみる。

 レジストされた。間違いない、高レベルの冒険者だ。


「んん~?お前かぁ?」


 こっちを見た。即座に襲い掛かってくる男、こちらも剣を取り出し応戦する。

 火花が散り、辺りに金属音が鳴り響く。


「何やってんだ?生殺与奪の命令が出てるぞ!」

「うるせぇ!もうどうだっていいんだよ!」


 やけくそか。先刻承知のようだ。

 他の冒険者も来た。状況を即座に理解し、武器を取り出し向かってくる。

 多勢に無勢、旗色が悪いと判断したのか容疑者は逃げ出した。

 その背中に複数の魔法が飛んでいく。


「ぎゃあああああ!!!!」


 ボロボロになり、容疑者が膝をつく。

 まだ逃げようとしている。というか今ので生きてるのか?余程の高レベルなのではないだろうか。


 止めを刺そうとする冒険者を制し、容疑者に駆け寄り制圧する。

 暴れるなよ?苦しい思いをするだけだぞ。


「生死不問って聞いたけど」

「別に生きててもいいって事だ。無理に殺すな」


 一人の冒険者が不満そうだ。こいつもちょっとヤバそうな男だな…

 人を殺せる絶好の機会に駆けつけてきたのだろうか?


「どうせ極刑なのに」

「こいつがこんな事した理由くらい知りたいだろ」

「…別に」


 俺は知りたいよ。

 第二、第三のこんな奴が現れるかもしれないからな。

 その候補者が目の前にいるんじゃないか?言わないけど。


「は、はなせぇ!!」

「黙ってろ、おーい警察は居ないかー?」


 すぐに警官が駆けつけてくれた。

 例によってミスリルの拘束具で芋虫状態にされる。

 その容疑者の顔を蹴る男が…さっきの不満そうな冒険者だ。おいやめろ。


「何してんだ?もう動けないぞ?」

「こんな奴は殺していいんだよ!」


 まあわかる。すでにこの容疑者が何人も殺してるからね。

 でもそれ、いじめられっ子の考え方だぞ?


「!!!」


 図星だったのか睨まれた。あーこれは逆恨みされるかも。


「GOD、お怪我は無いですか?」

「ん?ああ、駆けつけてくれたのか」

「え?!か、カミナ」


 突然の女神の来訪に立ち尽くすオーディエンス。

 動画サイトで人気の彼女はここでも周りの目を集めるようだ。


「俺は大丈夫だけど生きてる奴も居るかも知れない。助けてやってほしい」

「は、はい、任せてください!」


 警察によってブルーシートが張られ、一般人から隔離されていく。

 俺もヒールは使えるし、生きてる奴を探すか。


「か、カミナ、俺ずっとファンで…」

「ちょっと邪魔しないで!今どういう状況か解らないの?!」


 声のした方向に目をやる。ああ、さっきの不満げな冒険者がカミナに絡んでたみたい。

 怒られ、悔しそうにした後、なぜかこっちを睨んできた。

 あらら、これも俺のせい?全部人のせいにするタイプか。

 自分が空気を読めなかったんだろうに…多分カミナと仲良いと思われたんだろな。


 警察と冒険者達による実況見分が終わる。救急車も来たけど残念ながら生存者はいなかった。

 これからしばらくここは証拠保全されるだろう。

 犠牲者の遺体が生々しい…冒険者をやっていなければ耐えられないような状況だ。


「貴方が犯人を取り押さえてくれましたよね?これから警察で事情徴収にご協力をお願いしたいのですが」

「いいですよ」

「あの、私も…」


 え?ああカミナか。でもお前は後から来たような…


 カミナの後ろにさっきの冒険者が佇んでいる。

 じっとりとした冷たい目でこちらを睨んでいる。

 …彼女をここに置いては行けないな。


「彼女もお願いします。知り合いなんで」

「じゃあ俺も!!」


 え?マジか、あいつ立候補してきやがった。もうはっきり言うしかないな。


「彼の目当ては彼女だと思う。危険な奴だから連れていけない」

「な!なんだと!」

「さっき被害者を助けてる時もナンパしてただろ!」


 その一言に、ぐうの音も出なくなる。

 涙目になり、歯をむき出しにして悔しがる不審者。

 警察も明らかに不審顔。気づくよね、さすがに。


「貴方は結構です。お引き取りください」

「い、いやあの」

「ご協力ありがとうございました」


 警察がそう締めくくり、踵を返す。

 お前は排除されたんだ、それにも気づかないか?

 こっちを睨んだまま動こうとしない。


「パトカーに乗ってください。署までご同行お願いします」


 さっさとこの場を去りたい、カミナ、先に乗りなよ。

 良いケツしてるなあ、触りたい。

 おっと、これじゃあどっちが不審者だか解らん。

 現場を去るパトカー、残された不審な冒険者はそれをずっと睨んでいた。



「すみません、私来ないほうが良かったかも」

「いや、助けに来てくれたんだから気にしなくていいよ。それよりアイツ知り合い?」

「いえ、初めて会う人です。でもこういう事は珍しい事じゃなくて…」


 まあそうだろうね。有名人だし滅茶苦茶美人だし、私生活でも苦労してそう。


「でも、これでまた冒険者への風当たりが強くなるかもしれませんね」


 ん?ああそっか。

 後から来た不審者に気を取られていたけど、最初の事件起こした冒険者のせいで、世間は大騒ぎするだろうね。

 また根拠のない冒険者不要論とか再燃するかもな。でも結局資源は必要だから、水掛け論なんだよな。

 大多数の冒険者は資源を持ち帰る為に命がけで頑張っているんだ。一部の愚行がおもしろおかしく報道されちゃうもんだから、これまたおかしな人達が勘違いをする。

 大局で物事を見れない人が多いんだろうね。



 うっはーどうしよ!

 思わず着いてきちゃったけど緊張する!

 わ、私、今GODと一緒に車乗ってるよ?これってデートじゃないかしら!

 うーん、パトカーだし違うか。さすがにそれはないか、馬鹿か私は。

 で、でも同席してるのは確か、も、もうちょっとくっつきたい!


「沖縄の時もそうだったけど、ヒーラーはやっぱこういう時頼りになるよな」

「え?わ、私、何もしてない」

「いや、居てくれるだけでありがたいよ。安心感が違う」


 やっばこれ告白じゃない?!

 一生一緒に居てくれっていうアレじゃない?

 違うよね、解かってるわよ舞い上がっているのよ。

 うう、おしっこ漏れそう。


「家は都内なの?」

「はい渋谷区恵比寿南一丁目…」

「う、うわ、全部言わなくていいよ!」


 ええ?すべてを知ってほしいのに。

 生年月日、スリーサイズ、家族構成、学歴。

 ちなみに初彼氏は10歳の時に知った貴方で今も(脳内では)続いてます♡


 …うーん、なんかおかしいぞ?

 不審者から助けたと思っていたけど、こいつも不審だな。

 そういえば一番最初にあった時に一緒に風呂に入ってきたっけ。あれは何だったのだろう。


「もうすぐ着きますんで―」


 どう切り出そうかと聞きあぐねていたら、水を差された。

 まあいいや、そこまで気にすることもないだろう。


 新宿警察署


「うーん、なかなか来ることのない場所だから緊張するな―」


 悪い事してないのに悪い事した気分になるのはなんでなんだろ。


「ほ、本当に緊張しますねー」


 え?捕まるの私達、同じ牢屋に入れられるの?そして一夜を過ごすの?どうしようえへへ。


 隣の奴がずっと変だけど気にするほどではないか。


「それでは別々の部屋で…」

「一緒が良いです」

「え、ええ、参考人なので別に良いですけど」


 カミナの威圧に押され、お巡りさんも怯んでる。

 カミナが俺と手を繋ぎだしたな…これは一体…


 取調室のような場所に連れて来られ、隣同士に座らされる。

 うん、さすがにちょっと変だな。


「なあ、俺の腕が君の胸に挟まってんだけどさ」

「…あれ?私ったらいつの間に」

「…痴女なの?」

「ち、違いますぅ」

「あのーイチャイチャしてないで捜査に協力してほしいんですけど」

「イチャイチャ♡きゃっ」

「………」


 50過ぎのおっさんと二十歳の小娘のイチャイチャに疑問無いのか。

 多様性の時代だから警察も配慮してんのかな。


「なるほど、緊急アラームで駆けつけ…そちらのお姉さんは少し遅れてきたと」

「GODが来るかもしれないのにスッピンは無理なので」

「はい?」

「女には準備があるんです。例え緊急事態でも着の身着のままでは来れません」

「は、はあ」


 お巡りさん困ってるな。

 女の準備は時間のかかるものだ。カミナはむしろ早く到着した方だと思うぞ。


「それでですね、あの睨んでいた冒険者なんですが、不審に思い少し調べておきました」


 おお、やるな警察。

 おそらくは経済産業省と連携して情報持らったんだろうな。

 冒険者は経済産業省の管轄だ。


「まだ実害があった訳ではないので個人情報の観念から詳しくお伝えも出来ないんですが…」


 警察が資料を見て頭を掻いている。表情が微妙だ。それだけで解る。

 あまり良い事が書いてないのだろう。

 犯罪者とかは冒険者になれないはずだが、何が書いてあるんだろう?

 まあこっちの住所が相手にバレてる訳でもないし、過度の警戒は杞憂だ。

 警察としてはどっちつかずの対応になってしまうんだろうな。


「とにかく気をつけてください。戸締りをしっかり」

「んーと、そいつのレベルくらいは教えてもらえませんか?それによって傾向と対策が変わってくるというか」


 冒険者相手に戸締りなんか意味ない。

 でも俺達も冒険者だ、自分で自分を守れる存在だ。


「そうですね…レベルは278の魔法使いです」

「そんなレベルなのか。テレポートで来た訳じゃないんだね」

「多分たまたま近くにいたか、地下鉄リターンで来たんじゃないかと」


地下鉄リターンは移動の裏技

地下鉄内から行った事のある出口に一気に出れる


「君はレベルいくつなの?」

「554です」


 なんだ、倍近く違うじゃないか。

 これなら大丈夫と思いたいところだが、ヒーラーは火力が弱い。どうなのかな?


「絶対防御があるので時間は稼げますが…撃退となるとどうでしょうね」


 絶対防御持ちか!

 どんな攻撃も受け付けない完全防御。

 これがあれば後衛でもタンクになれる。


「うーん、心配だな」

「あの、RINE交換してもらえませんか?怖いので」

「え?おお、良いけど」

「あの、一度私の家に来て、テレポートポイントを」

「ああなるほど、すぐ駆けつけられるようにか?」

「じゃあこの後すぐに」


 お、おう、解ったけどさ。なんかとんとん拍子だな。

 途中から策略的な顔になった気がするけど気のせいかな。

 警察が『ケッ、もう付き合っちゃえよ』って顔してる気がすんだけど。


「パトカーで送りましょうか?」

「いえ、テレポートで帰るので」


 俺を連れてテレポートするのだろう。

 2人だからMP消費2倍だけど、恵比寿なら近いから余裕だな。


 恵比寿 カミナ自邸


「おータワマン最上階かぁ、広いな―」


 夜景が奇麗だ。新宿ではあんな事があったのに。

 いつもと変わらない日常に見える。


「お疲れですよね?お風呂沸かすんで」

「え?!い、いやすぐ帰るよ」


 いきなり風呂はおかしいでしょ。

 久しぶりの女子の部屋にテンション上がったけどお暇しなくては。

 …カミナが抱き着いてきた。


「変な女だと思わないでください」

「…どうしたの?」

「私、ずっとファンで、ずっと好きでした」


 そうだったのか。

 ストンと何かが落ちる音が…カミナの服だ。


「あの…今日だけでも良いんで」


 そ、そうは言ってもな。

 あれ?EDが…



 ---------------------



「いやあ、朝チュンだねえ」


 晴れ晴れとした朝!なんて素晴らしい朝なんだ!


「うう、痛い」

「大丈夫か?」


 カミナも起きてきたようだ。

 経験なかったんだな。


「そんなに遊んでるように見えます?」

「ん?いやそんな事無いけど、動画では結構きわどい格好してるし、最初に一緒に風呂入ったとき可愛いって言われたし」

「GODはすべてが可愛いです」


 どこが?目が悪いんかな。

 自分の体に可愛い部分なんて見当たらないよ。


「いやしかし、俺ってやつは、離婚してすぐなのに」

「…知ってます。だから誘ったんです」


 そうなの?熱海の受付から聞いた?個人情報駄々洩れだったのか。

 これはいいのかなぁ。


「と、取り合えず朝食食べます?すぐ作りますよ」

「うん、食べる」


 朝食かぁ、ご飯食ってていいのかなぁ、こんなに若い子を。


「美味しい」

「お風呂入ります?昨日入れなかったし」

「入る」


 昨日はあれだけ凄惨な現場に居たのに、風呂も入らず俺達は。


「いい湯だ」

「詰めて下さい」

「あい」


 ごめんな、おっさん体積多くてお湯が溢れまくりだ。

 あー気持ちいい。


 風呂から上がると体を拭いてくれた。

 何か甲斐甲斐しくお世話をしてくれるね。

 ひょっとして介護だと思われてるんじゃないだろうか。

 自分の体も拭きなよ、風邪ひいちゃうぞ。


 リビングでTVを見る。昨日の事件の事やってるな。


「冒険者レベル500越えだったんですね」

「そんだけレベル高ければ大金持ちだろうに、何があったんだろ」


 カミナが入れてくれたコーヒーを頂く。

 コーヒーをテーブルに置くときに、バスローブの間からこぼれんばかりのバストが魅力的だった。

 あらためて凄い体してるなぁ。


「こ、この後、もう一回…寝ますか?」

「うん」


 結局この日は一日中おかしな事をしていた。

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